1.フードアグレッシブとは?
2.フードアグレッシブの原因
2-1.野生時代の名残による「食べ物を死守したい!」という本能
2-2.集中しているところに邪魔をされてビックリ
2-3.食事中にエサを取り上げられてしまった苦い過去
2-4.食事中にエサを取り上げられてしまった苦い過去食事を必要以上に制限されていた、満足に食べられなかった辛い過去
4.愛犬のフードアグレッシブへの対策
4-1.フードアグレッシブらしき行動が見られたら早めに対処する
4-2.エサを前にして「マテ」をさせない
4-3.人間の手に対して苦手意識を持たせないようにする
4-4.食事場所を安心できるところに変える
4-5.そもそも食事中にちょっかいを出すのをやめる
【掲載:2022.08.16 更新:2024.07.05】
フードアグレッシブとは?
フードアグレッシブとは、犬が食事をしているときや食事後に自分以外の誰かが「フードに近づく」「皿を取ろうとする」などの邪魔が入ると急激に怒り出すことです。
フードアグレッシブの行動は個体差があって、「ウーッと唸る」「ワンッと吠える」程度のこともあれば、「歯を剥き出しにして噛みつくしぐさをする」などをします。
ひどければ、実際に噛みつくワンちゃんもいるのです。
また、その“噛む”という強さは犬によって異なるため、本気度の強い犬ほど必死で噛みついてきます。
犬の尖った歯で本気噛みされると、縫合をともなう大ケガに発展するかもしれません。
食べ終わった後も興奮している子の場合、飼い主さんは中々食器を片付けることができないのです…。
フードアグレッシブは問題行動のひとつではありますが、「いつか直るだろう」と軽視していると、状態が悪化するかもしれません。
「どうしてフードアグレッシブが起こるか」という原因について考え、飼い主さんなりに対策をしていくことが大事です。
フードアグレッシブの原因
「フードアグレッシブがなぜ起こるか」についてですが、考えられる理由はひとつではありません。
犬の性格や飼育環境には個体差があるため、「これが原因だ!」と断定できるものはないのです。
ただ、一般的な傾向を知っておくと、何らかの対策もつながります。
それでは、考えられる原因をいくつか見ていきましょう。
◆野生時代の名残による「食べ物を死守したい!」という本能
犬は元々集団で生きていた野生の動物です。
彼らは生きるために常に必死で、自分のエサは自分で狩ることが当たり前の生活でした。
ペットで飼われている犬のように「食べ残しても、次の食事タイムにエサが出てくる」ということはないのです。
エサはどんなタイミングでやってくるか分かりませんし、獲物を見つけてもライバルに取られてしまうこともあります。
そのため、自分で捕まえた大事なエサは食べ終わるまでは必死で守るスタイルで生き抜いているのです。
自然界で生きるために備わった習性ともいえるでしょう。
その感情は、人間に飼われたとしても、本能的に犬の中に存在しています。
犬に眠っている“食事への執着”がフードアグレッシブを起こしてしまうようです。
◆集中しているところに邪魔をされてビックリ
お腹が空いている時に出てくるエサは、犬も集中して食べたいのでしょう。
きっと、「エサが出てきた!」と食べ物のことしか考えていない状況だと思います。
そんなとき、誰かの手が伸びて食器を触った、体に触れられたとなれば、
きっとビックリするのかもしれません。
安心できない食事となり、精神的にもピリピリとフードアグレッシブの行動を起こしている可能性もあります。
◆食事中にエサを取り上げられてしまった苦い過去
フードアグレッシブの行動を見せる犬のなかには、食事中にエサを取り上げられた過去があるワンちゃんもいるかもしれません。
食事のスタイルは、犬によって個性がありますよね。
食器にエサを入れて間もなくきちんと食べてくれる犬もいれば、「ちょっと残して、少ししたらまた食べる」という遊び食いをする犬もいるでしょう。
後者の場合、食器を片付けずに放置しているケースもあるかもしれません。
「これではダメだ」という思いから、犬が食べようとしているのに無理に食器を片付ける飼い主さんもいるかと思います。
犬にとっては「今食べようと思っていたのに…」という苦い経験から、「何が何でも死守してやる」とフードアグレッシブの行動につながっている可能性もあります。
◆食事を必要以上に制限されていた、満足に食べられなかった辛い過去
犬を飼うことになった経緯はさまざまで、なかには保護犬をペットとして迎えるケースもあるかと思います。
ただ、ペットショップやブリーダーさんから迎えた場合と違い、保護犬には悲しい事情を抱えているケースがあります。
これまでの食事時間に不安を抱えていた可能性もあるでしょう。
「エサをほとんど与えてもらえなかった」「ひどい環境で食事をしていた」など、環境的な要因からそれがトラウマとなってフードアグレッシブを引き起こしていることもあります。
フードアグレッシブは問題行動だけれども…
フードアグレッシブは「問題行動」と言えるでしょう。
ただ、前述したように、野生で暮らしている犬にとっては当然の行動でもあり“問題”なわけではありません。
吠えたり噛んだりも、野生にいれば、正常な行動なのです。
しかし、人間とともに生活をするペットの犬の場合、フードアグレッシブによって狂暴化して周囲にケガを負わせる可能性を持ってしまうと問題行動と言わざるを得ません。
愛犬がフードアグレッシブを起こしたとき、「大したことではない」と感じてしまうと、それがエスカレートして状況が深刻化するケースもあります。
愛するワンちゃんが「問題行動を起こす犬」として世間に捉えられるのも悲しいことですよね。
それを予防や改善できるのは、飼い主さんだけなのです。
愛犬のフードアグレッシブへの対策<
愛犬が食事中に興奮して攻撃性が高まっているなら、フードアグレッシブの兆候があります。
このまま何もしなければ“ひどくなる可能性”がありますが、何かしらの対策をすれば行動は改善できるかもしれません。
飼い主さんができる対策をおさえておきましょう。
◆フードアグレッシブらしき行動が見られたら早めに対処する
本能的なものなので、子犬のころからその兆候が現れる子が多いです。
子犬期は成長するために、食欲も旺盛。
しかも、飼い主さんとの関係性も十分にできていない時期であれば、食事時間に、噛みつこうとしたり、吠えようとしたりなどもあるでしょう。
しかし「まだまだ子供だしね…」とそれほど問題視しない飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、どんな問題行動についても言えることですが、直せるものは初期に直すことで今後の大きな問題へと発展しません。
成犬になるほどに自我が固定されてしまい、飼い主さんが無理に直そうと試みても改善ができず、やがて「手に負えない」という状態にまで悪化することがあります。
「もしかしたらフードアグレッシブかも…」と思った時点で、対処に取り組むようにしましょう。
◆エサを前にして「マテ」をさせない
飼い犬として迎えると、さまざまなコマンドを覚えさせるかと思います。
なかでも「マテ」は、散歩や食事などさまざまなシーンで活躍する言葉です。
ただ、ドッグフードが入ったエサを犬の前に置いたまま「マテ」をさせるのは、フードアグレッシブの原因にもなりやすいでしょう。
飼い主さんはマテができるほど喜びますが、犬にとっては「目の前にエサがあるのに待たなければならない」という不安でしかありません。
マテの頻度が多過ぎるほど「食べたいのに禁止されているモヤモヤ」「誰かに取られてしまう不安」が募り、食べている最中に邪魔をされそうになると「ガウッ」と狂暴化する可能性もあるのです。
愛犬が号令に従ってくれると、しつけを習得してくれたようで嬉しいものですが、「ひっきりなしにマテをする」「マテに従えないから叱る」などを繰り返すのは止めましょう。
「マテ」をするなら、飼い主さんが食事の準備中の間待ってもらう「マテ」にしましょう。
エサが出てくるのをじっと待ってくれた犬には「おりこうさんだね」とすぐに食器を差し出してあげることで、犬も安心の食事タイムを過ごせるのです。
◆人間の手に対して苦手意識を持たせないようにする
犬がエサをガツガツと食べるとき、軽めの食器だと少しずつ移動することがありますよね。
「位置を直してあげよう」と手出しをしても、犬は「食べ物を奪う“手”」として人間の手に嫌なイメージを持つ可能性があります。
人間の手について「エサを奪う憎きもの」ではなく、「エサを与えてくれる優しいもの」と愛犬に知ってもらうことが大事です。
その対策としてできるのが「エサを入れた食器を飼い主さんが持ったままの状態で犬に食事をしてもらう」という食事スタイルです。
この対策は、すでにフードアグレッシブが見られる犬にやるよりも、子犬期のときから行うのがおすすめです。
食事中に人間の手が近くにある状態が自然なものとして受け止められれば、成犬になっても飼い主さんの手を噛んだりすることがないでしょう。
時には、手のひらにエサを乗せて与えてみるのもおすすめです。
ただ、すでにフードアグレッシブの行動が見られる犬の場合、いつもと違う状況に戸惑っている犬、そして「噛まれると怖い」という飼い主さんとの間で微妙な時間が流れるかもしれません。
中々食べてくれないもどかしさもあるかと思いますが、愛犬の様子を見ながら続けてみましょう。
◆食事場所を安心できるところに変える
ひとつの場所で食事を続けていると、「場所&食事」がセットとなってインプットされ、食事の時間には自然にフードアグレッシブのスイッチが入ることもあります。
そこで、食事場所を変えてみると安心できる可能性もあります。
また、ケージ内で食事をしている場合、フードアグレッシブの度合いがひどくなって、飼い主さんがケージに近づくだけで怒ってしまうというケースも考えられます。
こうなるとケージの中が犬にとっては安心できない場所になっているのかもしれません。
食事場所が原因の可能性も考えて、ときどき違う場所で与えるのもいいでしょう。
◆そもそも食事中にちょっかいを出すのをやめる
愛するペットは、どんなときでも可愛いものですよね。
迎えたばかりのときには、とにかく抱っこしたり撫でたりなどスキンシップをしたくなるかもしれません。
愛犬がエサを食べている姿さえ可愛いですから、ついつい頭を撫でたり食器の近くへと“手”を出すこともあるでしょう。
しかし、犬にとっては、それが飼い主さんからの愛情とは分かりません。
むしろ、「大事な食事タイムにちょっかいをかけてくる不快な手」と認識し、それが関係性の悪化にもつながる可能性もあるでしょう。
まとめ
今回はフードアグレッシブについて詳しくお伝えしてきました。
愛するペットには、美味しいごはんをリラックスして食べてもらいたいものですよね。
しかし、フードアグレッシブによって荒々しい気分のまま食べる子もいます。
本来であれば、「おいしい食事ができる楽しい時間」のはずなのに、飼い主さんをも敵視している愛犬を見るのはとても悲しいことです。
フードアグレッシブは犬の本能的なものなので、子犬のときにその傾向が見られる子もいます。
ただ、「子犬だから」と放置するとひどくなり、食事中以外でも攻撃性が高まる可能性にもつながります。
なるべく早めに対策することは愛犬の幸せのためでもあります。
だからと言ってすぐに直るものではないため、原因を探りながら長期的な目線で改善を試みなければいけないかもしれません。
「フードアグレッシブを直さなければ!」という飼い主さんの強い思いが、逆に愛犬の不安を煽ってしまう可能性もあります。
飼い主さんが焦ってピリピリすると犬との関係性をも壊しかねません。
まずは、フードアグレッシブについての知識を深め、「どうやったら愛犬が幸せな食事を食べられるか」を家族間で話し合ってはいかがでしょうか。
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