1.犬の睡眠について
1-1.犬の睡眠時間
2.犬が眠い時の行動
2-1.口を動かす
2-2.目を閉じる
2-3.呼吸を深くする
2-4.体をくっつける
2-5.あくびをする
2-6.くるくると回る
犬の睡眠について
人間の場合、まとめて一度に8時間程度の睡眠をとることが平均的です。しかし、それに対して犬は、分割して睡眠をとるのです。
「愛犬が昼寝ばかりしている」と感じている飼い主さんも少なくないと思いますが、それは、人間と比べて犬が浅く、小分けに寝ているから、というわけですね。
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。この単語を聞いたことのある方も多いでしょう。
浅い眠りをレム睡眠、深い眠りをノンレム睡眠といいますが、犬の場合、レム睡眠の時間が約8割を占めているそうです。
ちなみに、犬があごを地面につけながら眠っている時はレム睡眠、地面からあごを離して横向きになっていたり、手足を広げて無防備な姿をしているなど、更にリラックスした様子で眠っている時はノンレム睡眠に入っているといわれています。
愛犬が飼い主さんの目の前でノンレム睡眠に入っているようであれば、それは深い信頼の証で安心できている状態だといえるでしょう。
このように、しぐさによってどちらの睡眠に入っているかが判断できるので、愛犬が眠っている時に注意深く観察してみてください。
◆犬の睡眠時間
犬の睡眠時間は個体による差はあるのですが、年代ごとに以下の平均睡眠時間が適切であることがワシントン大学の調査によって発表されています。
成犬期(1歳~6歳) | 12~15時間/1日 |
---|---|
幼犬期(およそ1歳まで) 老犬期(小型犬7・8歳から、大型犬5・6歳から) |
18~19時間/1日 |
成犬に比べて、子犬や老犬が睡眠時間を多く確保する理由は次の通りです。
子犬
幼犬期の子犬は、多くのことを学習するために動き回ります。そのためエネルギーを沢山消費するので、多くの睡眠時間が必要となるのです。授乳中の時期は、お乳をもらう以外の時間のほとんどを寝て過ごすでしょう。
老犬
高齢犬となると成犬と比べて体力が衰えてくるため、より多くの休息が必要となります。このため、睡眠時間が成犬よりも長くなるのです。
ちなみに、犬種によっても睡眠時間に差があるといわれており、中型犬の作業犬(柴犬など)は他の犬種よりも平均睡眠時間が短めだという見解があります。
これは人間のために、起きてすぐ活動することが求められていたことが理由として挙げられています。
対して活発な小型犬(チワワ・トイプードルなど)は12~14時間が平均的だそうです。
しかし、年代別の平均睡眠時間を含めて、全ての犬がこれに当てはまらなければいけないというわけではありません。あくまでも目安として考えましょう。
人間にもいえることですが、毎日きっちり同じ睡眠時間をとるわけではありませんよね。犬も日によって疲れ具合が違いますし、必要な睡眠時間も異なってきます。
さらに、健康状態や犬種などの違いによっても差は出るでしょう。寒い季節には中々寝床から出ずに寝る時間が増えたり、病気・怪我の治療中の場合や、旅行など普段の生活環境とは違う場所で慣れない時間を過ごし、ストレスや疲れを感じている場合なども、睡眠時間に影響が出るのです。
あくまで睡眠時間の平均は目安とし、犬は夜間だけではなく昼寝も必要な動物であるという認識を持っておくことが大切です。
犬が眠い時の行動
犬が眠気を感じている状態の時には、様々な仕草がみられます。これをサインとして覚えておくことで、ペットの気持ちや行動の理由が分かり、また一つ愛犬を理解できるようになるでしょう。
どんな行動や仕草を見せるのか一例を紹介していきますので、しっかりチェックしてみてください。
◆口を動かす
犬が横になっていたり、伏せの姿勢をとっている時に、口をもごもごしたりくちゃくちゃと動かしている様子を見たことはないでしょうか?
実はこれ、犬が眠る時にする習慣の一つであり、落ち着いた表情で満足げに口を動かしているのはリラックスしている証拠なのです。
口を動かすのは母犬のお乳を飲んでいた頃の仕草の名残りで、お腹いっぱいになり満足した状態で眠る時にする習慣だといわれています。
特に甘えん坊な性格の子には、子犬の頃の名残が抜けずに、よくみられる可能性が高いかもしれませんね。
◆目を閉じる
人間と同様に犬も眠くなってくると、瞼が重くなってきます。ぱちぱちと繰り返しまばたきをする様子も見られるでしょう。
目を閉じたり瞼を重そうにしたり、片目だけを何度もぱちぱちとするといった仕草をしている場合は、愛犬が眠いと感じている可能性があります。
◆呼吸を深くする
ため息の様な深い深呼吸をしている時、その原因が眠気である場合があります。
寝床で横たわりながら深く息を吐いていたり、食後や散歩後のリラックスした状態でため息の様に長く息を吐く様子が見られたら、愛犬が眠気を感じている可能性があるでしょう。
◆体をくっつける
飼い主さんがソファやベッドなどに座っている時、愛犬が隣にきて身体の一部をくっつけてくることはありませんか?
これは愛犬が飼い主さんのことを信頼しており、飼い主さんの傍を安心できるリラックスできる場所だと考えている証拠です。
人間の子供にもみられる行動ですが、特に眠い時は親の近くで安心感を得ようとしたり、身体をくっつけて甘えの気持ちを表すことがあるのです。
大好きな飼い主さんのぬくもりを感じながらリラックスをし、幸せを感じながらすぐにすやすやと寝息をたて始めるでしょう。
◆あくびをする
眠い時にあくびが出るのは、人間に限らず犬も同じです。あくびも、犬が眠い時に見せる仕草の一つなのです。
それでは、どうして眠くなるとあくびが出るのでしょうか?それは、眠気を感じると脳が酸欠状態となることに原因があるのです。酸素が足りなくなるため、あくびをして深い呼吸をすることで、酸素を取り込んでいるというわけですね。
よく「あくびはうつる」といいますが、これは「共感あくび」などと呼ばれている現象です。親しい人同士で共感しあう感情が働くために、近くにいる人にあくびがうつるといわれているのです。この共感あくびは人間同士に限らず、飼い主さんと犬との間でもみられることがあるそうですよ。
ただし犬のあくびは、眠い以外にも様々な意味をもつ行動の一つです。
恐怖を紛らわしたい、自分や相手を落ち着かせたいときなどに現れる、カーミングシグナルでもあるのです。
眠い以外の感情や態度を表している場合もありますので、前後の行動を思い返して照らし合わせ、愛犬の仕草の意味を読み取らなくてはいけません。
また、愛犬があくびを繰り返しているのに中々寝付けない場合は、眠る環境に問題がある可能性も考えられます。室温が適切ではなかったり、テレビのボリュームが大きすぎるなど、何らかの原因で愛犬が眠りにつけないのかもしれません。エアコンの設定温度を見直すなどして、落ち着いて眠れる環境を整えてあげましょう。
◆くるくると回る
地面・床・敷物などの上で、愛犬が同じところをぐるぐる回ったり、鼻でつついたり、前足で微調整するような様子を見たことはないですか?
これは、眠気を感じた犬が寝るための寝床を整える時にする行動なのです。
数週回ってすぐに横になる子もいれば、中々決まらずにぐるぐると回り続ける子、鼻・前足でベッドを掘り起こす子など、性格や環境によっても行動の種類には違いがみられることがあるでしょう。
野生で暮らしていた時代の犬には、穴を掘って寝床を作る習慣がありました。ぐるぐる回って地面を踏み固め、心地よく眠れる寝床作りをしていたのです。
この野生時代の名残や習慣が、飼い犬となった現代の犬にも残っていると考えられています。
愛犬がぐるぐる回りながら落ち着かない様子を見せた際には、寝床を整えようとしているんだなと思い、優しく静かに見守ってあげてください。
寝ている犬に触れると唸る場合
睡眠に関して、愛犬が唸ったり、攻撃的な行動を見せる場合は、自己判断せずに必ず獣医師やプロのドッグトレーナーなどに相談することをおすすめします。
愛犬の行動の全てには必ず理由があります。個々の性格や、それまでのしつけの状況、また飼い主さんの行状などによって、愛犬がなんらかの不満やストレスを感じている可能性も考えられるのです。
原因を特定し、なんらかの解決方法を探す必要があるでしょう。
またその原因が、体調不良や身体的な異常である場合も考えられるため注意が必要です。眠気によってみられる仕草と同様の行動も、痛みなどが原因で引き起こされているケースがあるのです。行動別に解説していきますので、ぜひチェックしてみてください。
◆身体の痛みや不調の可能性がある
口をくちゃくちゃ動かす
食後や眠そうな時以外でこの行動を見掛けた場合は要注意、だということを覚えておきましょう。
歯周病などの口内の病気や異物誤飲が起こっている可能性があります。また、成長期や老犬であれば、歯が抜ける可能性もあるので、少しでも異常を感じたら愛犬の口内チェックを行ってください。
目をしょぼしょぼさせている
眠いわけでもないのに、愛犬が常に目をしょぼしょぼとした感じで細めていたり、涙目が続いている場合は、目になんらかの異常が発生している可能性が考えられます。
ドライアイ・逆さまつ毛・異物混入・結膜炎による瞼の腫れなど、目の疾患が原因となっている場合もあるのです。一度動物病院を受診して、獣医師に相談してみると安心です。
深い呼吸をしている
眠い時に限らず、疲れている時やストレスが溜まっている時など、犬は不満を感じている時にも深い呼吸をすることがあります。
鼻ではなく口から息を吐いたり、立位・座位の姿勢のまま頻繁に深呼吸やため息をしているようであれば、体調不良の可能性も考えられるため、しっかり愛犬の様子を確認してください。
これらのように、一見、眠い時に見せる仕草と類似した行動であっても、その原因が体調不良やストレスから起こっている場合があるということを念頭に置いておかなくてはいけません。
犬の病気については獣医師・ドッグトレーナー監修の記事なども沢山ありますので、疑わしい状態が愛犬にみられる場合は参考にし、早めに動物病院を受診して相談してみましょう。
犬が寝ているときにちょっかいを出すのはNG
愛犬が気持ちよさそうに眠っている姿は、とても可愛くて癒されるものです。ついつい身体を撫でたり、毛布などをかけてあげたくなりますよね。
しかし、寝ている愛犬を触るのはNG行為。
動物の生命維持行動を妨害することは、直接的に嫌われたり、事故の原因ともなり得ます。愛犬の安眠妨害には、十分注意しなくてはなりません。
愛犬が眠い時に見せる仕草・サインを見逃さないよう気を付け、落ち着いてゆっくり眠れる環境を整えてあげることが大切です。
まとめ
犬は人間とは違って、小分けに睡眠をとる動物です。分割して浅く眠ることで、周囲を警戒しながら眠っているということを頭に入れておきしょう。
夜間にのみ眠るのではなく、昼寝をするのが当たり前なのです。
元気な毎日を過ごすためにも、愛犬が眠っている時は、そっとしておいてあげてくださいね。
眠気を感じている時の仕草を見極めるコツをつかんで、愛犬がより良い睡眠時間を得られるように配慮していきましょう。
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