1.犬の平均寿命
1-1.小型犬の平均寿命
1-2.中型犬の平均寿命
1-3.大型犬の平均寿命
2.大型犬の寿命が小型犬よりも短い理由
2-1.ガン細胞の発生率
2-2.臓器の比率が小さい
2-3.遺伝子の違い
2-4.成長スピード
2-5.胃捻転の発症率
犬の平均寿命
昔に比べ、小型犬ばかりでなく大型犬も室内で飼われることが一般的になり、事故にあったり病気になったりするリスクが減りました。
さらに、医療も進化し、品種や年齢、体調にあったフードの開発が進んだおかげで、平均寿命は年々伸びています。
10年前と現在では1歳近い差があります。
犬の寿命は平均で13〜14歳と言われており、犬の大きさによって差があることはご存知でしょうか。
ここでは、小型犬(超小型犬含む)から中型犬、大型犬に分けて、それぞれの平均寿命を紹介します。
◆小型犬の平均寿命
一般社団法人ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」によると、超小型犬の平均寿命は15.31歳、小型犬の平均寿命は14.28歳と報告されています。
超小型犬の方が小型犬より寿命が長い傾向にあります。
犬種別では、チワワやポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの超小型犬はおよそ15歳。
トイプードルやミニチュアダックスフンドの小型犬はおよそ14歳です。
◆中型犬の平均寿命
同調査では、中・大型犬の平均寿命は13.81歳となっています。
中型犬に限ると、一般に平均寿命は10歳〜14歳くらいと言われています。
柴犬やビーグル、コーギー、アメリカンコッカースパニエル、雑種犬などが中型犬に分類されています。
◆大型犬の平均寿命
大型犬の平均寿命は9歳〜13歳くらいです。
犬種別では以下のようになります。
大型犬の寿命が小型犬よりも短い理由
統計的にも、大型犬の方が小型犬よりも寿命が短い傾向にあるのがお分かりいただけたと思います。
大型犬の方が体が大きい分、丈夫で長生きするイメージがありますが、実際は逆なのです。
大型犬と小型犬では平均寿命が5〜7年ほどの差があります。
どうして体格の違いで寿命に差が出るのでしょうか。
原因とされている理由を挙げてみました。
◆ガン細胞の発生率
大型犬は名前の通り、大きな体をしています。
つまり、その大きな体を形成・維持する為に、小型犬よりも細胞分裂の回数が多いのです。
細胞分裂の回数が増えると、ガンの発生率も上がります。
ガンは犬にとっても怖い病気です。
ガン細胞の発生率が高いということは、大型犬の方が小型犬よりも寿命が短い原因のひとつと言えます。
◆臓器の比率が小さい
大型犬と小型犬では体格に差がありますが、臓器の大きさは比例しません。
小型犬に比べて大型犬の臓器は、体の大きさの割に小さいのです。
そのため、日常生活を送るのに体の負担が大きくなり、内臓にも無理がかかります。
細胞の老化を早める原因になる可能性もあると考えられています。
内臓が体の大きさに見合っていないので、必要な酸素や栄養を効率よく体全体に取り入れることが難しいとされています。
心臓や肺と体の大きさの比率が釣り合わないことが体の酸化に影響を及ぼしていると言われています。
酸化とは体の老化のことでもあるので寿命が短くなる原因といってよいでしょう。
また、そうして体に無理を強いることでガン細胞の発生率を高めているという説もあります。
心臓を例にとると、小さな心臓で大きな体全体に血流を回すのは大きな負担になります。
事実、大型犬は心臓病の発生率が高いです。
◆遺伝子の違い
犬の体の大きさは「IGF-1」という遺伝子による「IGF-1因子」という成長ホルモンによって決まるという研究結果があります。
この成長ホルモンは犬の大きさだけではなく、寿命や成長にも関与しているのではないかと言われています。
「IGF-1因子」が多いと体が大きくなり、寿命が短くなる傾向があります。
大型犬はこの成長ホルモンの分泌が多いことも、短命である原因だと言われています。
また、遺伝的な要因で骨や関節に異常がある大型犬もいます。
大型犬は骨肉腫などの骨の病気にかかりやすいのです。
骨肉腫も死亡率の高い怖い病気です。
骨肉腫ほどの重病でなくても、足腰が悪くなると大きな体は負担になります。
動けなくなれば急速に筋力や体力を失ってしまう為、寿命を縮める原因と言えるでしょう。
◆成長スピード
体の大きい大型犬は、小型犬よりも成長するスピードが早いです。
小型犬のチワワやトイ・プードルと大型犬のゴールデン・レトリーバーやバーニーズ・マウンテン・ドッグの体格を比べると何倍もの差があるのがわかるでしょう。
つまり、大型犬の方が同じ成長期間で急激に成長をしている為に、細胞分裂の回数も多く、スピードも早いということです。
計算方法は後で説明しますが、犬の年齢を人間の年齢に換算すると、4歳を過ぎた時点で大型犬の方が小型犬の年齢が高くなり、年が過ぎるにつれて差が広がっていきます。
これらは、大型犬が小型犬に比べて老化のスピードが早く、ガンなどの病気のリスクも高いことを示しています。
◆胃捻転の発症率
胃捻転は胸の位置が高い大型犬に多い病気です。
原因はまだ解明されていませんが、大型犬は胃捻転の発症率が高く、死亡率の高い恐ろしい病気です。
膨れ上がった胃がねじれて腸とからまることで、周りの血管や臓器も一緒に巻きこまれてしまうのです。
その為、血流がうまく循環できず臓器も圧迫されてショック状態に陥ります。
食事はゆっくり取らせる、大量の水分を食事と一緒にとらせない、食後の運動は避けるといった予防を心掛けましょう。
食後に吐こうとするなど落ち着かない様子をみせたり、お腹が膨らんでいたり、大量のよだれが出ていたり、呼吸困難などの異常な症状がみられたらすぐ病院を受診し獣医師に相談してください。
犬の年齢の人間換算
愛犬が人間だと何歳になるのか気になりませんか?
大型犬と小型犬では計算方法が違います。
-
大型犬の人間年齢=12+(犬の年齢-1)×7
小型犬の人間年齢=24+(犬の年齢 – 2)×4
*大型犬…1歳以上、小型犬…2歳以上が対象
大型犬は1歳になった時点で人に換算すると12歳に相当し、小型犬の場合は17歳に相当します。
1歳を過ぎると、大型犬、小型犬とも成長のスピードは緩やかになります。
1歳の時点では小型犬の方が大型犬より成長が早いのですが、4歳を過ぎた時点で、大型犬が小型犬の人間年齢を上回ることがわかります。
10歳の時点で計算すると、大型犬は75歳、小型犬は56歳になり、19歳もの差が生じることになります。
こ
のことからも、大型犬の方が小型犬よりも寿命が短い傾向にあることが分かります。
ギネス記録での犬の最高齢
世界で一番長生きした犬は何歳だと思いますか?
なんと30歳です!
平均寿命の約2倍ですね。
人間年齢に換算すると
ギネス記録が更新されたのは最近のことで、2023年2月2日にポルトガルの雄犬ボビが「存命中の世界最高齢」の犬に認定されました。
更新前はオーストラリアのオーストラリアン・キャトル・ドッグのブルーイーが残した29歳5ヶ月が最長記録でした。
ブルーイーが亡くなったのは1939年。
なんと84年も記録更新されていなかったのです。
ボビの年齢は2023年2月1日時点で30歳と266日、5月には31歳を迎えます!
ボビは「ラフェイロ・ド・アレンティジョ」というポルトガル原産の犬種で、この犬種の平均寿命は12〜14歳とされています。
まとめ
大型犬が小型犬より寿命が短い理由を挙げてみました。
体が大きくて丈夫に見える大型犬ですが、実はその為に体に負担がかかっていることがお分かりいただけたと思います。
最近では暮らし方の変化や、フードや医療の進化もあり、大型犬の寿命も伸びてきています。
愛犬には長生きして欲しいですよね。
出来るだけ長く一緒に過ごせるように、買主さんは食事や運動など健康面に気を配ってあげましょう。
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