1.犬がくしゃみをする際に考えられる原因
1-1.嗅覚への刺激
1-2.鼻炎
1-3.呼吸器系の病気
1-4.歯周病
1-5.カーミングシグナル
1-6.アレルギー2.逆くしゃみとは
2-1.発症しやすい犬種は?
犬がくしゃみをする際に考えられる原因
くしゃみとは『1回または数回息を吸った後にその勢いを押し返すように強く息を吐きだす行為』のことを指します。
くしゃみ自体は生理的に正常な身体の反応のため、それ自体が病気というわけではないのですが、くしゃみをした原因やその回数、様子次第では、病気が関係している可能性が否定できなくなります。
健康に問題の無いくしゃみと、病気・体の異常が原因となるくしゃみなど、くしゃみの原因と思われるものはさまざまです。考えられる主な原因についてそれぞれ解説していきますので、しっかりチェックしていきましょう。
◆嗅覚への刺激
嗅覚への刺激によって出るくしゃみは生理現象の一つです。
例えば人間も、ほこりや胡椒などの細かい異物を吸い込むことで鼻がムズムズし、自然とくしゃみが出てしまうと思います。くしゃみは、この例のように異物を排出するために行われる生理現象であるため、基本的には心配がないといえます。
犬は散歩や新しい場所へ行った時などに、色々な所のにおいを嗅ぎまわりますよね。この際、ホコリ・砂・草などの異物を吸い込むことがあり、くしゃみをすることがあります。
他にも嗅覚が非常に優れた動物であることから、刺激の強いにおいを嗅ぐことでもくしゃみが出ます。
犬にとって刺激のある香りというのは、香水やタバコ、お香の煙、殺虫剤や香辛料などが挙げられます。
愛犬が室内で頻繁にくしゃみをする場合は、においの強いものが近くにあるのかもしれません。思い当たるものがある場合は、愛犬から遠ざけるか、愛犬の為に処分するなど速やかに対応してあげるようにしてください。
人間にとってはいい香りでも、犬にとっては刺激が強いものは沢山あります。消臭剤や殺虫剤であれば無香料タイプに変えたり、空気清浄機を設置してにおいを除去するなどの工夫をしましょう。
ちなみに、長時間に渡って鼻を気にする様な仕草がみられる時は、もっと大きな異物が鼻の中に入ってしまった可能性が考えられます。
ボタンや子どものオモチャなどを、遊んでいる内に鼻で吸い込んだり、誤飲するケースが実際にありますので、十分気を付けてください。
◆鼻炎
鼻腔内の粘膜が炎症を起こしている状態を鼻炎といいます。くしゃみの他にも目やに・流涙・鼻水などの症状が見られるでしょう。
最初は比較的サラサラした鼻水ですが、重症化するにつれて黄色や緑色の膿のような粘り気のある鼻汁に変化していきます。
慢性化すると、副鼻腔に膿がたまる副鼻腔炎(蓄膿症)になる可能性があるので注意が必要です。悪化すると食欲が落ちたり、犬にとって重要である嗅覚が衰えるなど、深刻な症状も引き起こされてしまいます。
主な原因として、ウイルス・細菌や真菌(カビ)などによる感染・異物の吸い込みによる粘膜の炎症、などが挙げられます。
そしてもう一つ、鼻の病気として鼻腔内腫瘍についても紹介しておきましょう。高齢の犬や鼻の長い犬種によくみられる、鼻の中に腫瘍ができる疾患です。くしゃみ・鼻水・鼻血が出るなどが主な症状で、ほとんどが悪性の腫瘍だといわれています。
異常を感じた場合は、早めに動物病院を受診し獣医師に相談してください。
◆呼吸器系の病気
【ケンネルコフ】
伝染性の呼吸器疾患を総称してケンネルコフといいますが、これは犬伝染性気管支炎とも呼ばれる疾患です。
犬パラインフルエンザウイルス・犬アデノウイルスⅡ型、などの細菌感染をすることで発症し、くしゃみの他、咳・鼻水など人間の風邪と似たような症状が現れます。
動物病院では対症療法、また細菌感染がある場合は抗生物質を使用して回復を待つ治療法が用いられるでしょう。
免疫力が低いワクチン接種前、また接種回数の少ない子犬に感染しやすい病気だといわれています。
【犬ジステンパーウイルス感染症】
犬ジステンパーウイルスによる感染症で、鼻水・発熱・咳・くしゃみ・嘔吐・下痢などの症状が初期にみられます。進行すると麻痺・痙攣などの神経症状を引き起こす場合もあります。
発症してしまうと死亡する可能性が非常に高い恐ろしい病気で、回復しても神経症状(痙攣など)が後遺症として残るケースもあるようです。
◆歯周病
歯周病は歯に関する病気のため、くしゃみとは関係がないと思われる方もいると思います。
しかし、上顎の歯周病の炎症が鼻に広がることで副鼻腔炎が引き起こされ、くしゃみの症状がみられる場合もあるのです。歯周病の悪化で歯根に達した細菌が鼻腔にも到達し、くしゃみなどの症状が出るというわけですね。
歯周病によって抜歯や歯茎の切除手術などが必要となる場合もあるため、決して軽んじてはいけません。歯垢や歯石が歯周病の原因ともなりますので、定期的に歯磨きなどの予防法を継続してください。
◆カーミングシグナル
犬が自分の気持ちを伝えるためにとる行動を、カーミングシグナルといいます。これは体に異常が起きているのではなく、興奮したり、ストレス・不安を感じた際に、自分自身または相手を落ち着かせるために行われるものです。人や他の犬との友好的な関係を築くために、生まれつき備わっている能力ともいわれています。
実は犬のくしゃみは、このカーミングシグナルとして現れる場合があるのです。
愛犬が遊んでいる時、好きな人や犬に会った時などに、くしゃみをする様子を見たことはないでしょうか?これは、興奮している自分を落ち着かせるためのカーミングシグナルというわけです。
この場合、病気などが原因ではありませんので、気持ちを表すサインとして汲み取ってあげてください。
◆アレルギー
犬にも人間同様、食べ物や物質が原因でアレルギーを起こします。花粉やハウスダストなどによりアレルギー反応が起きて、くしゃみが出る場合があるのです。
人間の花粉症のように特定の季節に症状が出る場合は、花粉が原因のアレルギー性鼻炎である可能性が高まるでしょう。ただしハウスダストがアレルゲンであれば、室内にいる限り年中アレルギー反応を起こす可能性もあります。
対処法としてはやはりアレルギーの原因を取り除く、遠ざけることになりますので、まずは原因と思われるものを突き止めましょう。
アレルギーによるくしゃみの場合、鼻水が一緒に出ることが多く、その鼻水は透明で粘り気がないという特徴を持っています。皮膚症状がみられることもあるので、その点もポイントとして押さえておきましょう。
かかりやすい犬種としては、ウエストハイランドテリア、柴犬、ゴールデンレトリバー、シー・ズー、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグなどが挙げられます。
逆くしゃみとは
逆くしゃみとは、「グーグー」「ズーズー」といった鼻水をすするような音と共に、勢いよく鼻から空気を吸い込む発作性の呼吸の一種です。
しゃっくりと同じで「反射」による動作になるので、自分の意志で止めることは出来ません。逆くしゃみは興奮時に発症が多いとも言われますが、原因はまだ明確にはなっていないようです。
一件くしゃみのようにも捉えられる動作の特徴からこのように呼ばれていますが、くしゃみの時のように口は開きませんし、事実くしゃみとは全くの別ものとなります。
何度も大きな音で鼻を鳴らし、苦しそうな呼吸をするので、初めて目にする飼い主さんは「呼吸困難では?!」と心配になるでしょう。
発作は通常数十秒、長くても数分で治まり、意識を失ったりすることはなく発作が収まれば何事もなかったかのように正常に戻りますが、あまりにケロッと元に戻る様子もまた不安になると思います。
逆くしゃみは生理的にも起こる現象ですので、一日に1度起こるくらいでしたら、少し様子を見ても大丈夫です。
ただし、長時間続いたり、1日に何度も起こるなど頻度が増えている場合は、呼吸器官に何らかの問題が生じている可能性もあるので、一度動物病院を受診することをおすすめします。
その際は、愛犬に逆くしゃみと思われる症状が出ている時の動画を撮影しておき、獣医師に見せると正確な診断に役立ちますよ。
◆発症しやすい犬種は?
逆くしゃみは、小型犬の短頭種によく見られる症状だといわれています。
チワワ、フレンチブルドッグ、パグ、シー・ズー、ペキニーズ、トイ・プードル、などが代表的な犬種として挙げられるでしょう。
もちろん他の犬種でも発症しますので、あくまで症状が起こりやすい犬種として参考にしてださい。
犬のくしゃみ、こんな時には要注意!
前述したように、くしゃみは生理現象やカーミングシグナルとしてもみられる症状です。
愛犬を観察し、くしゃみが一時的ですぐに治まっている状態であれば、様子をみても良いでしょう。
ただし、毎日連続してくしゃみが出たり、数分以上続く、といった状況であれば一度獣医師に相談してみてください。何らかの病気が、原因として関わっている可能性も考えられます。
また、くしゃみに加えて以下の様子が愛犬に見られる場合は要注意な状態といえますので、覚えておきましょう。
◆食欲が落ちている
くしゃみに合わせて、食欲が減退するケースがあります。原因として考えられるのは、嗅覚の低下です。
くしゃみと同時に鼻詰まりが起こり、それによって嗅覚が低下するため、味の感覚が落ちているのでしょう。これによって、食欲が落ちてしまう場合があるのです。
粘り気の強い鼻水が、鼻腔内に存在している可能性も考えられます。
◆元気がない
くしゃみが多く、愛犬が普段と比べて元気のない様子をみせている場合も、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
くしゃみや元気がないことに加えて、他に症状がないかも併せて確認しておきましょう。愛犬の様子を獣医師に詳しく伝えて、診断してもらってください。
万が一、病気が隠れていれば早期発見に繋がりますし、特に大きな問題がなければそれはそれでOKです。飼い主さんが安心できるというメリットが得られます。
◆鼻水の状態
愛犬がくしゃみをした際には、鼻水や鼻出血の有無についてもよく観察しておきましょう。
透明な鼻水がわずかにくしゃみと同時に出るようであれば、さほど問題ではありません。ただし、粘り気のある色のついた鼻水が出ている場合は、鼻腔内に炎症が起こっている可能性があります。
さらに、そこに鼻出血がみられるようであれば、何らかの症状が進行していることも考えられるでしょう。
ちなみに、鼻水・鼻出血が左右非対称で出ているケースでは、異物の存在・ポリープ・腫瘍などが関係している場合があるため、早めの診察がすすめられます。
少しでも愛犬の状態に異変を感じたら、速やかに動物病院を受診しましょう。
まとめ
犬のくしゃみには、病気などが原因の診察・治療が必要な場合もあれば、生理現象・カーミングシグナルといった特に心配をする必要のないケースもあります。
見極めるためには、日頃から愛犬の様子をしっかり観察しておくことが重要です。
異常を感じた場合は、早めに獣医師に相談し、ペット保険に加入している方は、対象となる病気・症状かどうかも事前に確認しておきましょう。
逆くしゃみを目にしたことのない方は、どのような状態となるのかを関連記事などでチェックしておくと良いかもしれません。事前にイメージをもっておくと、遭遇した際に慌てなくて済みます。
ペットの健康を守るのは、飼い主さんの大切な務めです。予防・対策ができることがあれば積極的に取り組み、愛犬が心身ともに健やかでいられるよう尽力しましょう。
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