【獣医師執筆】愛犬・愛猫がシニア期に入ったら見直すべき5つのこと

2023.04.19

【獣医師執筆】愛犬・愛猫がシニア期に入ったら見直すべき5つのこと

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は、「シニア期に入ったら見直すべきこと」について5つのポイントからご紹介をします。犬や猫は7歳からがシニアと言われていますがシニアになるとどのような変化が犬猫の体に起きるのか、気をつけてあげることはどんなことかを一緒に学んでいきましょう!

【掲載:2021.4.1  更新:2021.4.1】

いつからがシニア期?

ワンちゃん・ネコちゃんのシニア期は、カラダの大きさで変わりますがおおよそ7~13歳からといわれています。ここ10年でワンちゃんの寿命は0.7歳(8.4ヶ月)、ネコちゃんは0.5歳(6ヶ月)延びており、人の年齢に換算するとワンちゃんは約4~5歳分、ネコちゃんは約3~3.5歳の延びたことになります。獣医療の進歩やフードの品質向上などさまざまな要因が考えられますが、この10年における日本人の平均寿命の延びが男性では1.8歳、女性で1.2歳であることに比べても、ワンちゃん・ネコちゃんの寿命の延びは飛躍的といえるでしょう。

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若い頃と比べてどんな変化が起きる?

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聴覚:人より優れた耳をもつワンちゃん・ネコちゃんも歳を取ると耳が遠くなってくることがあり、声をかけても反応が鈍くなってきます。

視覚:ワンちゃんはネコちゃんと違ってもともと視力がよい方ではありませんが、歳を取るとさらに視力の低下が見られ、物にぶつかったり、足を踏み外したりすることがあります。

嗅覚:嗅覚は視覚と聴覚を補う部分となります。他の部位に比べれば衰えは遅いのですが段々と機能が低下していきます。その結果、周りへの関心が低下し活発性がなくなったり、嗅覚が鈍くなるので食事をあまり摂らなくなります。

消化器食道の運動能力や胃の消化能力の低下といった症状が現れます。消化器系のはたらきには膵臓や肝臓の影響も大きく関わってきますが、加齢とともにこれらの臓器も弱ることで、おなかを壊しやすくなる場合もあります。

筋肉:運動量が減り筋肉量が減ると、今まで跳べた場所が跳べなくなったり、動作がゆっくりしてきたりすることがあります。

関節:関節液が減っていき、関節痛などの症状が見られるようになります。その結果、立ち上がりが億劫になったり、階段の上り下りに時間がかかるようになります。

被毛:人と同じで歳を取ると白髪のように白い毛が目立ちます。被毛のうるおいも減り、パサパサになっていきます。また皮膚のバリアも衰えて、皮膚のトラブルが起きやすくなることもあります。

食事:食事量が減ったり、好き嫌いが多くなったりすることがあります。

睡眠時間:若い頃に比べて寝ている時間が多くなります。

性格:性格が頑固になったり、神経質になったりすることがあります。

シニア期に増えてくる病気

シニア期になるとワンちゃん・ネコちゃんもさまざまな機能が低下し、病気として症状が出てきやすい時期になります。認知症、白内障や緑内障、歯周病、心臓疾患、消化器や泌尿器の病気も増えてきます。また椎間板ヘルニアや糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、腫瘍も増えてきます。

どんなことに気をつけてあげたらいいの?5つのポイント

①お散歩・運動

ワンちゃんにとって生活に刺激があることは大切なので、お散歩は無理のない程度に続けてください。お散歩で嗅覚を刺激することによって、認知機能不全症の予防にもつながります。しかし激しい運動や、冬の寒い時期の運動はケガのリスクがあるので避けましょう。ネコちゃんも激しい運動にならない程度に遊びましょう。

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②食事

若い頃から年齢にあわせた食事を与えることで、カラダがしっかりと作られ、将来的な病気の予防にもなります。シニア期になったら消化がよく、低脂肪、低炭水化物で、高品質なタンパク質を含んだシニア期専用の食事を選びましょう。

③室温

体温調節が上手くできなくなるので、エアコンやあったかグッズなどで常に一定の温度に保ち、快適に過ごせる環境を作ってあげましょう。

④バリアフリー

階段などの段差はシニア期になってくると足腰などカラダへの負担につながることもあります。サポートグッズもあるので活用しましょう。ネコちゃんは高い場所が好きですので、負担をかけずに高い場所への移動をさせてあげる工夫も必要です。また、滑りやすい床などはカーペットなどを敷いてあげましょう。

⑤トイレ

排泄の回数が多くなる一方で、カラダを動かすことが負担になってきます。トイレはペットがリラックスして過ごす場所や空間の近くに置いてあげましょう。夜は暗くて見えにくくなるので、つまずきを防ぐためにもトイレのそばを明るくしてあげるとよいでしょう。

シニア期にできること

シニア期に入ると、カラダだけでなく性格や行動にも変化が出てきます。ワンちゃん・ネコちゃんに適切な刺激を与えることは、脳を活性化させ老いるスピードをできる限り遅らせることにつながります。毎日積極的にコミュニケーションを取り、イキイキとした生活を送れる環境を整えましょう。また、健康状態にあわせたごはんや適度な運動、デンタルケア、爪切りなどの日常のケアも忘れないでください。

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病気になる前にできる一番の方法はやはり「予防」です。予防の中には定期的な健康診断も入ってきますので、若い頃から定期的に健康診断を受けることをおすすめします。シニア期にはさまざまな病気のリスクが出てきますので、より定期的な健康診断でカラダの状態を把握し、病気の早期発見、早期治療をしてあげることが大切です。定期的な健康診断は長生きの第一歩です。できることを若いうちからはじめて、家族であるワンちゃん・ネコちゃんと健康で楽しい日々を過ごしましょう。



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コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/

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