【獣医師執筆】今更聞きにくい、ワンちゃん・ネコちゃんの為の避妊・去勢のあれこれ

2023.04.24

【獣医師執筆】今更聞きにくい、ワンちゃん・ネコちゃんの為の避妊・去勢のあれこれ

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は、ワンちゃん・ネコちゃんを迎えたら多くの飼い主さんが考える「犬猫の避妊・去勢」についてです。予防接種だけでなく避妊・去勢手術を検討する必要があります。そもそもなぜ避妊・去勢手術が犬・猫に必要とされているかや、手術の流れなどについてご紹介します。

【掲載:2019.10.1  更新:2019.10.1】

避妊・去勢とは

去勢・避妊手術とは、精巣または卵巣(子宮)を取り除く手術のことです。不妊手術とも言い、男の子の場合は去勢手術、女の子の場合は避妊手術と区分されます。

避妊・去勢はなぜ必要なのか?

避妊・去勢は飼い主さんによって意見がわかれる繊細なテーマです。生殖機能を失うため、子どもを産むことができなくなることや、全身麻酔をかけて手術をするため愛犬・愛猫のカラダへの負担もあります。ですが、次のようなことからワンちゃん・ネコちゃんを守り、穏やかな生活を送るための一歩とも考えられます。

アセット 3

■女の子の場合

望まない妊娠の予防

完全室内飼いでないネコちゃんは、野良猫と交尾をして妊娠をする可能性があります。もしも外で出産した場合、飼い主のいない子猫たちが生まれ、厳しい環境で生きていかなくてはならないかもしれません。

発情期に特徴的な行動の軽減

ネコちゃんの場合、発情期特有の大きな鳴き声や、尿スプレーなどの問題行動を減らすことができます。
ワンちゃんの場合、発情期の出血がなくなります。また、まるで妊娠したかのように巣作りをしたり神経質になる偽妊娠や乳汁が分泌されることによって乳腺が腫れる乳腺炎もなくなります。

病気の発症リスクの軽減

子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などの生殖腺由来の病気の発症リスクが軽減します。

1

■男の子の場合

発情期に特徴的な行動の軽減

スプレー行動、攻撃性、マウンティングなどが軽減されます。特にネコちゃんは攻撃性が軽減されることで喧嘩による咬傷が少なくなり、間接的に猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス感染症(FeLV)といった病気の感染リスクが減ります。

病気の発症リスクの軽減

前立腺肥大、精巣腫瘍などの発症リスクを減らすことがでます。
また、未去勢犬で見られる肛門周囲腺腫や会陰ヘルニアを治療する目的で去勢することもあります。

2

手術まで流れ・術後のケア(コジマ動物病院の場合)

【手術まで】
手術に必要な情報を得るため、体重・体温測定や触診など全身の検査を受け、日程を決めます。手術前日は手術前後の嘔吐による誤嚥を防ぐため、夜12時以降は絶食絶水します。

【手術当日】
1.術前検査
術前には身体検査や血液検査、胸部のレントゲン検査を行いカラダの状態を確認します。

2.手術
麻酔を効かせ準備が整ったら手術開始となります。手術中は心拍数や血圧以外にも呼気中の二酸化炭素濃度や麻酔濃度を確認しながら行います。

4.手術終了
術後は麻酔の影響で血圧や体温の低下があるので点滴と保温をし、傷口に触れないようエリザベスカラーや術後服を着せます。

5.退院
状態にもよりますが基本的には一泊し翌日退院となります。傷口の二次感染予防のために抗生剤を服用し、エリザベスカラーや術後服を着用したまま10日以降に抜糸を行います。

手術の流れ

【お家でのケア】

手術後は違和感や疲労感で興奮することもあります。ワンちゃんの場合散歩は軽めに済ませ、天気の悪い日は控えましょう。ネコちゃんの場合はあまりジャンプをしたり走り回らせないように気をつけましょう。

飼い主さんが気をつけてあげること

ホルモンバランスの変化から、運動好きだったのに動かない、粗相が増えたなど今までとは違った行動が見られることもあります。ワンちゃん・ネコちゃん自身も体質の変化に戸惑っているので、大きな心で優しく接してあげましょう。

アセット 4

避妊・去勢をすると太りやすくなるのはなぜ?

女の子は食欲抑制効果のあるエストロジェンの分泌がなくなり、食欲が増進します。男の子は、テリトリー意識や運動量が低下します。また、どちらもカラダに必要なカロリーが15~25%減るため太りやすくなります。さらに、去勢・避妊を行うことの多い6~10ヶ月の頃は、成長スピードが落ちる時期と一致しているため肥満が加速しやすいです。食事量などに注意し、太らないように心がけましょう。

いつまでにするのがベスト?成犬・成猫になってからでもできる?

手術をするタイミングは種や体格などによってさまざまですが、生後6ヶ月以降の手術をおすすめしています。特に女の子は、避妊手術の時期が乳腺腫瘍の発生率に大きく影響を受けるため、初回発情以前か1回目の発情後から2回目の発情がはじまるまでに行うのがよいでしょう。

成犬・成猫になってからでも手術は可能ですが、幼少期に身についてしまった問題行動が軽減されなかったり、病気のリスクや麻酔のリスクが高齢になると増す可能性があります。飼い主さんが望むワンちゃん・ネコちゃんとの将来を考えたうえで、できるだけ若くて健康なうちに手術を受けさせることをおすすめします。



– おすすめ記事 –

・犬の発情期はいつから始まる?発情による行動と避妊・去勢手術のメリット
・避妊去勢手術を行うことで防げる可能性がある病気
・【獣医師監修】犬の全身麻酔は危険?全身麻酔の流れや副作用を知って不安を取り除こう
・【獣医師監修】犬の術後のケアのポイントは?術後に気をつけること


focebookシャア
ツイート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/


記事に関するお問い合わせはこちら