1.犬が足の裏を舐めている原因
1-1.原因①暇つぶしやストレス
1-2.原因②乾燥
1-3.原因③バリカンまけ
1-4.原因④アトピー性皮膚炎
2.痛みがあり犬が足の裏を舐める場合
2-1.骨折や打撲などの損傷
2-2.関節に痛みがある
2-3.椎間板ヘルニアなどの神経麻痺
3.犬に足の裏を舐めるのをやめさせる方法
3-1.手足を清潔に保つ
3-2.エリザベスカラーを付ける
3-3.しつけや接し方を変えてみる
犬が足の裏を舐めている原因
猫には「毛づくろい」または「グルーミング」のために足の裏を舐めるという習性はあります。もちろん、あまりにも過剰に舐める場合は何かしらのトラブルが発生していると考えた方がよく、必要に応じて動物病院への受診などを検討した方が安心でしょう。
しかし、犬においては猫のような習性はあまり認められないため、もし足の裏を舐める様子が見られたならば、それは愛犬からの体調不良のサインや飼い主さんへのメッセージの可能性があります。
犬が足の裏を舐めるときに考えられる原因について一つずつご説明していくので、ぜひ参考にしてくださいね。
◆原因①暇つぶしやストレス
飼い主さんが忙しくてなかなか愛犬をかまってあげられなかったり、新しい家族として新たに犬や猫を迎えたりした場合に、犬が暇をつぶすためやストレス、寂しさを訴える手段として足の裏を舐める場合があります。
これは犬の「強迫神経症」という病気のときに見られる「常同行動」や「強制行動」の中の一つであることもあり、何度も何度も同じ行為を繰り返すことを常同行動、そして常同行動を自分の意志で止めることができない状態のことを強制行動といいます。
急に愛犬に足の裏を舐める行為が見られるようになったときには、愛犬にさみしさやストレスを与えてしまうような飼い主さんの行動や環境の変化がなかったかなど、思い当たる原因について注意深く考えてみましょう。
◆原因②乾燥
犬の足の裏にある肉球は細かくパーツに分けることができます。
前脚においては、真ん中にある一番大きな「掌球(しょうきゅう)」と爪が生えているところにある五つの「指球(しきゅう)」、そして一つだけ少し下のほうにある「手根球(しゅこんきゅう)」という三つの部位から成り立っています。
一方で後脚においては、真ん中にある一番大きな「足底球(そくていきゅう)」と爪が生えているところにある四つの「趾球(しきゅう)」という二つの部位から成り立っています。
肉球には全体重がかかる足先を保護したり緩衝材の役目をして衝撃を和げたりするなどのクッションとしての役割や肉球にある汗腺から汗を出し体温調節をすること、さらには肉球内の厚い角質層や血液の流れを上手く調節することで地面からの冷たさや熱から犬の体を守るなどの働きがあります。
このように犬の生活においてとても重大な役割を持っている肉球ですが、やはり直接地面に触れる部位であることから乾燥しがちな冬場や夏などのお散歩の際に熱い石やコンクリートの上を歩くことなどによって乾燥しやすいというデリケートな側面もあります。
もし愛犬がお散歩からの帰宅後や冬に足の裏を舐めている様子が見られたら、それは肉球が乾燥しているというサインかもしれないため肉球の様子をじっくり観察してあげてくださいね。
◆原因③バリカンまけ
トリミングには欠かすことのできない道具の一つにバリカンがあり、足裏カットを行うときにもとても役に立ってくれます。しかし、犬の中にはバリカンにまけてしまうことによってバリカンを使った部分が赤くなってしまったり、薄皮がむけて斑点のような赤みのある傷ができてしまったりする場合があります。
よって、もしトリミングが終わった後に足の裏を舐める様子が見られたら、それは肉球がバリカンにまけてしまっているかもしれません。
足裏がバリカンにまけてしまう理由としては、以下の3つのことが考えられます。
バリカンの使い方が適切ではない
バリカンの使い方に慣れていない飼い主さんなどが足裏カットを自宅で行うさいに、バリカンを足裏に強く押しつけた状態で動かしてしまうとバリカンまけしてしまうことがあります。
このような事態を避けるためにも、可能ならば足裏カットといった部分カットでもプロであるトリマーにおまかせした方がが安心でしょう。
バリカンやバリカンの刃が古くなっている
長年使用されていて古くなったバリカンは使っている最中にすぐに熱をもってしまい、通常よりも犬の肌への刺激が強くなってしまうというデメリットがあります。
また、バリカンの刃が古くなると切れ味が悪くなるので、同じ場所に何回もバリカンをかける必要性が出てきてしまい皮膚へのダメージが増える危険性があります。
ほとんどのトリミングサロンは道具のお手入れも適切に行なっているため、古いバリカンやバリカンの刃を使用し続けることは少ないと考えられますが新しいトリミングサロンを開拓するときなどは口コミやご近所の飼い主さん仲間からの評判を確認したほうが良いかもしれませんね。
初めて犬にバリカンを使用するとき
初めてバリカンを使用する犬の肌は、バリカンの刺激に対する耐性が弱いためバリカンまけをしてしまう可能性が高くなります。今まで感じたことのない刺激に皮膚が驚いてしまうという感じですね。よって、バリカンまけしないように適切な刃の長さのバリカンなどを使用してもらうためにも子犬などで初めてトリミングデビューを行うとはあらかじめトリミングサロンにその旨を伝えておくようにしましょう。
◆原因④アトピー性皮膚炎
アレルギー症状を引き起こす原因物質であるアレルゲンによってかゆみなどの症状が起こる疾患を「アトピー性皮膚炎」といいますが、肉球や指の間は症状が出やすい部位の一つであるといわれています。
アトピー性皮膚炎の原因となるアレルゲンには環境中のハウスダストや花粉、カビなどがあるといわれていますが特定することは困難であり、また遺伝や体質も関与してくるため予防は難しいと考えられています。
もし、足の裏以外にも耳や脇、股、口、目の周りなどをかゆがってしきりに体を舐めたり噛んだりする行動が愛犬に見られたらアトピー性皮膚炎を疑っても良いかもしれません。
痛みがあり犬が足の裏を舐める場合
私たち人間とは違って犬は話すことができないため、「痛み」を訴えるサインとして足の裏を舐めている場合も考えられます。では、どのようなときに犬は痛みのサインとして足の裏を舐めることがあるのでしょうか?
◆骨折や打撲などの損傷
私たち人間が足をぶつけたときに、ぶつけた部分を手でさすったりなでたりすることがありますが犬も同じように骨折や打撲などで痛みを感じたときに気を落ち着かせるため、舐めるという行為をおこないます。
このときの舐めかたの特徴としては、前足後ろ足を問わずにひたすら同じ側の足の裏をなめるという様子をあげることができるでしょう。また、さらに舐めるだけではなく足を上げたまま下ろせない、足を引きずる(跛行)、触られるのを嫌がるなどの症状も同時に見られることが多いと考えられます。
愛犬が階段やソファー、ベッドなどから落ちたり、飛び降りたりした後にこのような症状が見られたら可能な限り速やかに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
◆関節に痛みがある
犬も高齢化が進むと人間と同様に骨と骨をつなぐ部分である関節に炎症が起こり、痛みや腫れが生じる「関節炎」という病気になることがあります。また、若い犬でも過度な運動や肥満、遺伝などによって関節炎になることがあるため注意が必要となります。
関節炎による痛みのために足の裏を舐めるときの特徴としては、骨折や打撲の時と同様に前足後ろ足を問わずにひたすら同じ側の足の裏をなめるという様子が見られます。また、散歩の際の歩く速度が遅くなったり、階段などの段差の上り下りを嫌がったりするなどの症状が見られるでしょう。
原因によっては関節炎を完治させることは難しいかもしれませんが、痛み止めの投与などによってQOLを高めることは可能となります。
◆椎間板ヘルニアなどの神経麻痺
もし、愛犬がひたすら後ろ足の裏を集中して舐めているならばそれは「椎間板ヘルニア」のしびれによる違和感のサインかもしれません。
椎間板ヘルニアとは犬の背骨と背骨の間にクッションのように挟まっている組織のことをいいますが、それが何かしらの原因で潰れて変形してしまった状態のことをいいます。症状の一つとして、後ろ足のしびれが見られるため急に愛犬が後ろ足の裏を舐める様子が見られたら、椎間板ヘルニアを疑っても良いかもしれませんね。
犬に足の裏を舐めるのをやめさせる方法
愛犬が足の裏を舐める原因としてアトピー性皮膚炎などの病気や骨折などの怪我を除外することができれば自宅で以下の方法を試してみてはいかがでしょうか?
◆手足を清潔に保つ
足の裏は直接地面に触れる部位であるため、犬の体の中で最も汚れやすいということができます。よって、お散歩などの外出から帰ってきたときには犬用のウェットティッシュなどで前足と後ろ足を丁寧に拭いてあげることをおすすめします。なお、そのときに保湿効果のあるものを使用することによって肉球の乾燥も防ぐことができるでしょう。
また、地面がぬかるんでいるときなどは愛犬が嫌がらなければ、犬用の靴を履かしてみても良いかもしれませんね。
◆エリザベスカラーを付ける
これは基本的には獣医師から指示があったときの対応となりますが、足の裏を舐めさせないようにするためにはエリザベスカラーを付けるという手段がとられることが多いようです。
ただ、愛犬が足の裏を舐める原因がはっきりしない段階でエリザベスカラーを付けてしまうと、余計に状態が悪化してしまう危険性があるため飼い主さんの独断では行わないようにしましょう。
◆しつけや接し方を変えてみる
愛犬が暇をつぶすためやストレス、寂しさを訴える手段として足の裏を舐めているならば、少し厳しい言い方になりますが、飼い主さんの責任が大きいと考えられます。
可能な限り、愛犬と触れ合う時間を取ってあげたり、新しい家族よりもまずは先住犬の方を優先するなどの対策を取ってあげてくださいね。
手足が真っ赤になっている場合は動物病院へ
愛犬が足の裏を舐めている理由がどのような場合であっても、犬の指や肉球の間が赤くなったり腫れたりしているならば「指間炎」、または「指間皮膚炎」という病気になっている可能性があります。 初期のうちに適切な治療を行わないと、一時的に治ったとしても再発して慢性化するケースもあるため早めの受診をおすすめします。
まとめ
愛犬が足の裏を舐めるという行為には飼い主さんへのメッセージや体調不良のサインなど様々な理由があります。ぜひ、この記事を参考にしてきになることがあればすぐに動物病院へ相談してくださいね。
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