1.犬が目をしょぼしょぼさせる原因
1-1.目に痛みがあるサイン
1-2.逆さまつ毛
1-3.緑内障
1-4.ブドウ膜炎
1-5.角膜炎
1-6.ドライアイ
1-7.アレルギー
2.犬のドライアイの症状とは
2-1.目やにや涙が多い
2-2.目が赤く充血している
2-3.目をしょぼしょぼさせる
2-4.目の乾燥があるように感じる
3.ドライアイとはどんな病気か
3-1.ドライアイとは
3-2.涙の必要性
犬が目をしょぼしょぼさせる原因
多くの飼い主は、愛犬が「目をしょぼしょぼさせている」のを見たことがあるかもしれません。
この症状は、一見大したことなさそうにも見えますが、犬にとってはとても不快な状態であり、病気やアレルギーのサインである可能性があります。
では、犬が目をしょぼしょぼさせる原因にはどんなものがあるのでしょうか?
◆目に痛みがあるサイン
犬が目をしょぼしょぼさせている場合、「目に痛み」があることが多いです。その痛みを引き起こしていると考えられる原因には、以下のような病気が挙げられます。
◆逆さまつ毛
犬の「逆さまつげ」とは、本来外側に向かって生えるはずのまつ毛が、何らかの原因で下向きに生えている状態のことを指します。
この状態になると、まつげが常に犬の目を刺激するため、目の炎症や角膜潰瘍を引き起こす原因になります。すると、犬は目をしょぼしょぼさせたり、目やに増加、充血などの症状がみられるようになります。
◆緑内障
緑内障とは、眼圧が上昇し、視神経が損傷することで発症する犬の目の病気の1つです。
犬の緑内障の原因は、目の中の水(眼房水)の循環が何かの影響で悪くなり、眼圧が上昇することが1つとして挙げられます。そしてこれは、遺伝的な要因や、犬の年齢、種類によってもリスクが高くなることがあります。
犬が緑内障にかかると、症状は急速に進行し、短期間で視力が失われることがあります。しかも、初期段階では気づきにくいことが特徴です。
そのため、目をしょぼしょぼさせる他、瞳が白く濁る、光に敏感に反応するなどの症状が現れたら、すぐに獣医師に相談するようにしましょう。
◆ブドウ膜炎
犬の「ブドウ膜炎」とは、眼球の周りにあるブドウ膜(虹彩、毛様体、脈絡膜の総称)と呼ばれる組織が炎症を起こす疾患です。
犬が「ブドウ膜炎」を発症すると、目をしょぼしょぼさせる、充血、まぶたの痙攣などの症状が現れます。
ブドウ膜炎の原因としては、アレルギー、感染症、代謝異常、外傷、遺伝などが挙げられ、放っておくと、失明や視力低下の原因にもなる恐ろしい病気です。
◆角膜炎
角膜炎とは、犬の目の表面である角膜に炎症が生じた状態を指します。犬が角膜炎にかかると、目をしょぼしょぼさせるほか、目の充血や腫れ、目やにや涙などの症状が現れます。
角膜炎の原因は、様々なものが考えられます。一般的には、外部からの刺激や怪我、細菌やウイルスの感染、アレルギーなどが原因となります。
また、犬種によっては遺伝的な要因によって角膜炎にかかりやすくなる場合があります。
なお、角膜には再生能力があるため、軽度の場合であれば自然治癒することもあります。ただし、症状がひどくなると、炎症が慢性化したり、痛みが強くなったりする可能性があるため、いずれにせよ、獣医師の診察と適切な治療を受けるようにしましょう。
◆ドライアイ
犬の「ドライアイ」とは、正式名所は「乾性角膜炎」といいますが、目の表面が適切な涙の量で保湿されず、乾燥してしまっている状態を指します。
人の「ドライアイ」はよく聞きますが、犬にも「ドライアイ」はあって、その罹患数も増加しています。
ドライアイの原因は、犬の場合、免疫異常などの影響で涙膜(目の表面にある涙の膜)を作る涙液が分泌されなくなってしまうことです。
最悪の場合視力が低下したり、失明してしまうこともあるので、「たかがドライアイ」と軽視することはやめましょう。
◆アレルギー
犬も人間と同様に、アレルギーにかかることがあります。
犬のアレルギーは、さまざまな原因によって引き起こされますが、主な原因としては、食物アレルギー、花粉症、ダニ、カビ、または家庭内の化学物質などが挙げられます。
犬がアレルギーを発症すると、目をしょぼしょぼさせるほかに、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、人の花粉症と同じような症状が現れます。
ただし、アレルギー反応が重い場合は、アナフィラキシーショックを起こす場合もあるので注意が必要です。
犬のドライアイの症状とは
先に、犬の「ドライアイ」が増加しているとお話ししましたが、「愛犬がもしかしたらドライアイなのでは?」と感じる飼い主さんもいることでしょう。
そこで、ここでは犬のドライアイの症状について解説します。愛犬に同じような症状が現れたら動物病院で相談しましょう。
◆目やにや涙が多い
犬がドライアイの場合、目の表面が潤滑されていないため、汚れや古くなった細胞をうまく洗い流すことができずに、目の周りに黄色い目やにがたまることがあります。
そして、それらが涙点(涙の排水溝のようなもの)をふさぎ、行き場を失った涙が、目から多く出てきます。
◆目が赤く充血している
ドライアイは、目が涙膜に守られていないために、乾燥し、角膜に損傷を受けやすい状態になっております。
そのため、目に炎症が起こりやすくなり、実際に炎症が起こると、目が赤くなり充血する症状が見られます。
これは、犬のドライアイの典型的な症状の1つに挙げられます。
◆目をしょぼしょぼさせる
犬が目をしょぼしょぼさせる理由としては、まず目が乾燥していることが挙げられます。ドライアイの犬は、目の表面が乾燥しているため、不快感から目をしょぼしょぼさせることがあります。
また、瞬きを多くすることで、涙の分泌を促し目を潤そうとするために、目をしょぼしょぼさせることもあります。
◆目の乾燥があるように感じる
ドライアイを発症すると、目の表面の涙の量が減少しているため「乾燥」を感じることは珍しくありません。
犬は目の乾燥を感じると、目をこするような仕草をすることがあります。
ドライアイとはどんな病気か
ドライアイというと、「目が乾燥している病気」と思われがちですが、実は「目を覆う涙が減少してしまっている状態」を指します。つまり、目そのものというよりは、涙の病気と思ったほうが良いです。
それでは、ドライアイについてもう少し詳しく紹介していきます。
◆ドライアイとは
ドライアイとは、目の表面が十分に潤滑されていない状態を指します。これは、目の表面を潤滑する涙液が何かしらの影響(免疫反応など)で不足していることが原因です。
目の表面は、本来「涙液層」という涙の膜で守られています。
涙液層は、さらに「油層」と「液層」に分かれていて、「油層」は涙の蒸発を防ぎ、「液層」には”ムチン”と呼ばれる粘液(糖タンパク)が混ざっており、これが目の潤いを保っているのです。このように、「油層」「液層」は、それぞれの役割で目を守っています。
しかし、この「涙液層」が不安定になると、涙が均等に行きわたらなくなったり、涙の量が不足してしまいます。そうなると「ドライアイ」といわれる状態になり、目の不快感や、炎症を引き起こします。
涙液が減少してしまう原因は、人では、パソコンやスマホを酷使することが原因といわれていますが、犬の場合は、免疫反応、涙腺の異常、眼球の大きさ、遺伝が主な原因とされています。
◆涙の必要性
涙の必要性はとても高く、健康な目の状態を保つのに不可欠な要素です。
涙の役割は、目を潤して清潔に保つだけと思われがちですが、他にも
- 目の表面に酸素や栄養を供給する
- 異物や細菌を洗い流す
- 抗菌作用があるため、目を感染から守る
などがあります。
涙は、普段から十分な量を分泌し、正常な機能を果たしています。しかし、その機能が低下すると、ドライアイや目の炎症、感染症などの病気を引き起こす原因になります。
そのため、涙の必要性は「高く」健康な目を維持するのに、重要な要素として存在しています。
ドライアイに注意したい犬種
犬の中でも、ドライアイにかかりやすい犬種(好発犬種)というものがありますが、それには、以下のような犬種が挙げられます。
- アメリカンコッカースパニエル
- キャバリアキングチャールズスパニエル
- ヨークシャーテリア
- チワワ
- ミニチュアシュナウザー
- シーズー
- ボストンテリア
- パグ
など
好発犬種の中でも、短頭腫の犬種は特に注意が必要です。
短頭腫とは、鼻や口の形が平たく、顔が短い犬種のことを指しますが、代表的な犬種として、ブルドッグやシーズー、パグ、フレンチブルドッグなどが挙げられます。
短頭腫の犬種は、顔の形状により涙腺が正常に機能しないことがあり、涙の分泌量が不足することが多く見られます。そのため、ドライアイを発症しやすいと言われています。
もし短頭腫の飼い主であれば、一層目の乾燥に気をつけ、涙の分泌が正常に行われているか、目の炎症や感染症の症状がないか、定期的にチェックすることが大切です。
犬のドライアイの治療法
ドライアイを発症してしまった場合、元通り「完治」することは難しいです。しかし、適切な投薬や治療を行うことで、症状を軽減することが可能です。
それでは、ドライアイの治療法にはどんなものがあるのでしょうか?
◆点眼薬を使用
犬のドライアイの治療法の一つに、点眼薬の使用があります。点眼薬には、涙の分泌を促す効果のあるものや、免疫を抑制するためのものがありますが、主に以下のような薬を使用することがあります。
涙の分泌を促す効果のある点眼薬
人工涙液やシクロスポリンといった成分が含まれたものがあります。これらの点眼薬を使用することで、目の乾燥を防いだり、涙の分泌を促すことができます。
犬の血清
ドライアイになっている犬の血清を、そのまま目薬として使用します。血清にはたんぱく質などの栄養分が豊富に含まれているので、涙の減少とともに低下した涙の栄養分を補う目的で使用することがあります。
点眼薬を使用する場合には、獣医師の指示に従って正しい方法で使用することが大切です。
◆眼軟膏を使用
犬のドライアイには、眼軟膏を使用することもあります。目薬というと液体のイメージが強いですが、これは「目に塗る薬」です。
犬の眼軟膏は、主に「オプティミューン眼軟膏」と呼ばれる薬を使用することが多いです。
オプティミューン眼軟膏は、免疫反応を抑える効果と、涙腺を刺激する効果があるので、涙の量を増加させる効果も期待できます。
犬のドライアイの原因の1つに「免疫反応」が挙げられるので、オプティミューン眼軟膏はその対策として使用されます。
◆ホットパックをする
ホットパックをすることで、ドライアイの症状を緩和させる効果を期待できます。
ホットパックには、
- 目の周囲に温かさをもたらすことで、血液循環を促進し、涙腺の機能を改善さる
- 涙層に含まれる「油層」の蒸発を防ぐ
など、ドライアイの症状を緩和させる効果を含んでいます。
もしホットパックを行う際には、必ず温度に注意し、犬の目を傷つけないように十分な配慮をしましょう。
また、犬は人と違って、起きている時間にじっとしていることは難しいです。そのため、犬が眠ったタイミングで、10分程度温めたタオルなどを目の上に置いてあげるのが良いでしょう。
まとめ
今回は犬が目をしょぼしょぼさせる原因の1つ「ドライアイ」について詳しく紹介してきましたが、ポイントは以下の通りです。
・ドライアイは涙膜が減少し乾燥してしまっている状態。涙の病気。
・ドライアイになると、目をしょぼしょぼさせたり、目やにが増加、充血などの症状がみられる
・ドライアイの治療は、目薬や眼軟膏を使用するのが一般的だが、完治は望めない。症状を緩和する程度
・短頭種は特に注意が必要
犬のドライアイは早期に発見し、獣医師の診断と治療を受けることが大切になります。そのため、定期的な眼のケアや、健康状態を把握しておき、犬の目の健康を守りましょう。
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