1.犬にとってミネラルの必要性とは
2.犬がミネラル不足の際の症状
2-1.食欲が減る
2-2.毛艶がなくなる
2-3.体重が減少する
2-4.筋力が下がる
2-5.土を食べる
2-6.食糞やおしっこを舐める
3.犬がミネラル不足になってしまうと起きる病気
3-1.骨粗しょう症
3-2.脱毛
3-3.脂肪肝
3-4.貧血
3-5.結膜炎
3-6.甲状腺機能の低下
犬にとってミネラルの必要性とは
ミネラルは犬にとって欠かせない栄養素のひとつです。ミネラルは、犬の骨や歯の形成、神経伝達、細胞の働きなど、犬のからだを正常に保つために欠かせない栄養素です。
愛犬の健康を維持するためには、以下のミネラルを摂取することが重要です。
・カルシウム
・リン
・ナトリウム
・カリウム
・マグネシウム
・鉄
・亜鉛
・銅
・マンガン
・ヨウ素
・セレン
これら11種類のミネラルは「必須ミネラル」と呼ばれていて、犬の体内で合成できない栄養素です。そのため、とくに注意して摂取するよう心がける必要があります。
犬がミネラル不足の際の症状
犬の体内でミネラルが不足した場合、次のような症状があらわれることがあります。
◆食欲が減る
犬の身体からミネラル(特にリン)が不足すると、食欲の低下がみられることがあります。ミネラルは犬の体調を整えるのにさまざまな働きをしています。そのため、ミネラルが不足してしまうと体調不良や、疲労感、それらからくる食欲低下などの症状があらわれることがあります。
さらに、ミネラルが不足することで、犬の味覚や嗅覚が鈍くなります。そうなってしまうと食べものを美味しいと感じなくなり、食欲減退につながります。
◆毛艶がなくなる
ミネラルが不足すると犬の毛に変化があらわれます。毛が細くなり、毛艶が失われ、全体的にパサついてきます。また、フケや脱毛などの症状があらわれることもあります。
◆体重が減少する
ミネラルの中でも特にマグネシウムが不足していると、犬の体重が減少することがあります。子犬の場合は、ミネラル不足による体重減少で成長が制御されてしまう場合があるのでより注意が必要です。
◆筋力が下がる
ミネラルの中でも特にカリウムが不足している場合、犬の筋力が低下することがあります。散歩を嫌がるようになったり、立ちあがる際にふらつく、行動に遅れが出るなどの症状があらわれることが多いです。
これらの症状にいち早く気がつけるよう、普段から犬の行動をよく観察しておくことが重要といえるでしょう。
◆土を食べる
犬はミネラルが不足することで、生存本能から土を舐めたり、食べたりすることがあります。
一般的に、土や砂にはカリウムをはじめとするミネラルが豊富に含まれています。そのため、カリウム不足に陥った犬は、土を食べることで体内のミネラルを補おうとします。
◆食糞やおしっこを舐める
ミネラル、特にカリウムには犬の体液バランスを正常に保つ働きがあります。犬の身体からミネラルが不足した場合、体液のバランスが崩れ、脱水症状や低血圧を起こしやすくなります。そのため、おしっこを舐めたりして体液を補おうとします。
さらに、犬がミネラル不足になると、神経伝達に異常が生じやすくなります。神経伝達に異常が生じると、犬は自分のおしっこやフンに興味を持ち、舐めたり食べたりしてしまいます。
犬がミネラル不足になってしまうと起きる病気
犬の体内でミネラルが不足してしまった場合、どのような病気が考えられるのでしょうか?
◆骨粗しょう症
ミネラルの中でも特にカルシウムが犬の体内で不足しつづけることで、骨粗しょう症になってしまう可能性があります。
犬の骨粗しょう症は、骨の密度が極端に低くなってしまう状態を指します。犬は、私たち人間の約14倍のカルシウムが必要などうぶつです。
骨がスカスカになると痛みを生じ、歩行に障害が出てきます。犬が立ちあがろうとした際によろけたり、普段にくらべて歩行速度が低下、散歩に行きたがらないといった症状がある場合は骨粗しょう症が疑われます。
犬の骨粗しょう症が進行してしまうと骨折のリスクも高まりますので、注意が必要です。
◆脱毛
ミネラルは犬の皮膚や毛根を健康に保つために欠かせない栄養素のひとつです。そのため、犬がミネラル不足になると、皮膚の乾燥や脱毛といった症状があらわれることがあります。
ブラッシングをするたびに毛がごっそり抜け落ちたり、換毛期でもないのに毛がまとまって抜けてしまう場合はミネラル不足による脱毛の可能性があります。
◆脂肪肝
ミネラルは犬の体内においてさまざまな役割を果たしています。その中には脂肪の代謝も含まれます。
犬の体内でミネラル(特に亜鉛)が不足すると、脂肪の分解がうまくおこなわれなくなります。肝臓に脂肪が蓄積されやすくなると、脂肪肝のリスクが高まり、危険です。
犬の脂肪肝では早期に症状があらわれることは、ほとんどありません。進行するにつれて以下のような症状があらわれます。
- 疲労
- 腹部の膨満
- 食欲の低下
- 吐き気
- 嘔吐
◆貧血
犬のミネラル不足のなかでも銅が不足状態になると、貧血を起こす可能性が高くなります。銅は、赤血球をつくるのに必要なヘモグロビンの生成に必要な栄養素です。犬の体内から銅が不足してしまうと、ヘモグロビンの生成がうまくおこなわれず、貧血が起こります。
銅の不足が原因で起こる貧血症状は以下のとおりです。
- 元気消失
- 息切れ
- 運動機能の低下
- 舌や歯茎、耳の内側が白っぽくなる
- 体温の低下
- 呼吸困難
◆結膜炎
ミネラルのなかでも亜鉛が不足すると、犬は結膜炎をおこしやすくなります。亜鉛は、結膜の健康維持に欠かせない栄養素です。亜鉛が不足することで結膜の免疫力が下がり、炎症を起こしやすくなります。
亜鉛が不足したことによる結膜炎の症状は、以下のとおりです。
- 白目の部分が充血する
- 目ヤニが出やすい
- しきりに目を気にかける
- 涙や、涙やけが目立つ
◆甲状腺機能の低下
甲状腺ホルモンの合成に必要なミネラルである「ヨウ素」が不足すると、犬の甲状腺機能に低下がみられることがあります。
犬の甲状腺機能低下による症状は、以下のとおりです。
- 元気消失
- 顔のむくみ
- 肥満傾向(体重増加)
- しっぽや胴体部分の脱毛
- フケの増加
- 皮膚が黒っぽくなる(色素沈着)
- 筋力の低下
- 関節の腫れ
- 顔面麻痺
- 斜頸
- 筋肉のけいれん
このような症状があらわれた場合には甲状腺機能が低下している可能性が高く、要注意です。
犬のミネラル不足を防ぐ方法
犬の健康を維持するために不可欠な「必須ミネラル」ですが、じつは、体内でつくりだすことができません。そのため、食べ物から摂取する必要があります。
では、具体的にどういった食事を与えたらよいのでしょうか?
◆ドッグフードを正しく与える
現在、ペットショップなどで販売されているドッグフードのほとんどに、五大栄養素である炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミンそして、「ミネラル」が含まれています。
犬がミネラル不足に陥らないためにも、バランスの良いドッグフードを選び、与えることが重要です。また、市販のドッグフードを与える際は必ず「総合栄養食」と表記があるものを選ぶようにしましょう。
総合栄養食とは、犬に必要とされる栄養素がすべて含まれたものをいいます。基本的に総合栄養食を正しく与えていれば、犬がミネラル不足になってしまう心配はありません。
ドッグフードは、犬のミネラル不足を予防するだけでなく、それぞれの年齢や状態に合わせてケアをすることも可能です。
また、犬のミネラル不足を招くとされ、もっとも注意したいのが「手づくりごはん」です。
私たち人間にとってバランスが良いとされている食事が、必ずしも犬にとってバランスの良い食事とは限りません。犬に手づくりごはんを与える場合、ミネラルを含む必要な栄養素を考慮してつくることが重要です。
栄養が過不足にならないよう、基本的にはドッグフード(総合栄養食)を与えるようにしましょう。
ドッグフードは犬種や年齢にあわせて選ぶこともできます。
小型犬、大型犬といったようにサイズで選ぶことも可能です。
療養中や歯が悪いなど、状態によってはウエットタイプのドッグフード(総合栄養食と表記があるもの)を選択することも視野にいれておくと良いでしょう。
◆サプリメントを与える
普段の食事に加え、サプリメントを与えることでミネラルを補うことも可能です。ただし、犬にサプリメントを与える場合は、前もって獣医師に相談することをおすすめします。
特に、持病がある犬や、病気等で治療を受けている場合は、種類や治療薬によってサプリメントと併用できないことがあります。
まとめ
今回は犬のミネラル不足についてお伝えしてきました。ミネラル不足によって引き起こされる症状や、病気、また犬がミネラル不足に陥った場合の対処法などを中心にお話してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ミネラルは、バランスが大切です。不足しても、過剰に摂り過ぎても犬に悪影響を及ぼしてしまいます。日ごろからバランスの取れた食事を心がけ、ぜひ愛犬に長生きしてもらいましょう。
もしも、あなたの愛犬が本記事に記載されている症状にあてはまる場合は、早めに獣医さんに相談してあげてくださいね。
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