1.臭腺とはいったい何?
2.うさぎの臭腺はどこにある?
2-1.あごの下
2-2.肛門周辺
4.うさぎにとってのマーキングとは
4-1.あごスリで序列アピール?
6.うさぎの臭腺まわりが汚れているときは
6-1.丁寧に拭いてあげる
6-2.動物病院でケアしてもらう
6-3.特ににおいがなく、臭腺まわりにも汚れが見られないときは
臭腺とはいったい何?
臭腺とは、その動物特有の強いにおいのある分泌液を出す腺のことです。うさぎは臭腺からのにおいをマーキングに使っています。
うさぎの体には臭腺が3箇所あります。そこから分泌液を出し、自分の縄張りや気に入ったものににおいを付けています。
うさぎの臭腺はどこにある?
うさぎの臭腺はあごの下に1箇所、肛門回りに2箇所あります。
◆あごの下
あごの下にある臭腺は「下顎腺(かがくせん)」といいます。
臭腺から出る分泌液の量は男性ホルモンによって左右されるため、メスよりオスの方が分泌液が多く出る傾向にあるようです。そのためオスのあごの下は湿っていたり、そこだけ毛が固まっていたりします。
◆肛門周辺
肛門周辺の臭腺は肛門の近くにある「肛門腺」と、外陰部の両脇に一つずつある「鼠経腺(そけいせん)」です。
うさぎの臭腺は何のためにあるの?
うさぎの臭腺はマーキングのためにあります。
オスのうさぎがジャンプしながらおしっこをまき散らすように、マーキングにはもちろんおしっこも使いますが、臭腺からのにおいも縄張りの主張のために一役買っています。
うさぎを部屋で散歩させている時に、家具などにあごをスリスリさせているのをよく見かけるかと思いますが、あれは下顎腺から分泌液を出し自分のにおいをつけて家具や色んなものを自分の所有物だと主張している行動と考えられています。
そのにおいはうさぎ同士であれば感じ取れますが、人間にはわかりません。気に入ったぬいぐるみなどにあごをスリスリさせて「自分のもの!」とアピールしている光景はとても微笑ましいですね。
またケージ内のえさ入れやトイレ、果てはおやつに至るまで、あらゆるものにあごをすり付け自分のにおいをつけてまわり、「ここは自分のテリトリーなのだ」と安心したいという思いもあるのかもしれません。
新しいおもちゃを与えると、しきりにあごをスリスリしてにおいをつけているのはこのためだと思われます。自分の身の回りは自分のにおいでいっぱいにしたいのがうさぎ心なのかもしれません。
うさぎは縄張り意識が強い動物で、男性ホルモンにより特にオスにその傾向が顕著です。しかしながらメスも臭腺を使います。それは子育ての時です。
子うさぎを産んだ母うさぎは自分の子どもにあごをすり付けてにおいをつけ、他の母親の子うさぎと判別できるようにします。そして自分の子どもはきちんと世話をし、他の子どもは威嚇して追い払うといった風に自分の家族を繁栄させていくことに臭腺のにおいを使うこともあります。
一方、肛門腺は盲腸糞でないコロコロの固い糞ににおいをつけるために使われます。うさぎはその糞をばら撒くことによってマーキングをします。こちらも自分の縄張りを主張するためにする行動です。
このにおいは人間も感じ取れます。「盲腸糞じゃないコロコロの糞なのににおいがするな」と感じたら、それは臭腺からの分泌液のにおいです。盲腸糞のにおいとはまた違ったにおいがします。
部屋での散歩の最中にうさぎがポロポロ落としていった糞がこのようなにおいがすることが多いです。多頭飼いの場合、他のうさぎが散歩した場所を自分のにおいで上書きしようとして、においのする糞をばら撒いている可能性があります。
うさぎにとってのマーキングとは
1匹に一つケージという自分のテリトリーを用意されているペットのうさぎよりも、たくさんのうさぎが共同生活をしているノウサギの世界ではマーキングはより重要な意味を持ちます。
自分たちの縄張りを主張するのはもちろんですが、優位のうさぎが群れ内での序列を誇示するためにも臭腺を使ってマーキングをします。
野生のうさぎの群れは共同の一つのトイレを使い、そこにそれぞれが糞を溜めていきます。群れの中でトップに立つオスうさぎは、肛門腺から分泌液を出しにおいをつけた糞をして「僕がここのトップだぞ」というメッセージを群れのメンバーに発し、コミュニケーションを取っていると言われています。
群れの他のうさぎも同じトイレを使うわけですから、トップうさぎの糞のにおいを嗅ぐことによって群れ内の序列を確認しているのです。
◆あごスリで序列アピール?
うさぎが何かにあごをすり付けるマーキング行動のことを、うさぎを飼っている人たちは「あごスリ」と呼ぶことがあります。
ペットうさぎのあごスリは自分の気に入ったものに自分のにおいをつけ所有物だと主張する大変可愛らしい仕草ですが、野生うさぎにとってはより重要な意味を持ちます。
野生では、優位のうさぎが下位のうさぎにあごをすり付けにおいをつけることで「自分の方が上だからね!」と群れの中での序列を確認しあっていると考えられています。
うさぎのオス同士はケンカしやすいものですが、群れの中での無用な争いを避けるために、日頃から上下関係を理解させておく手段としてあごスリを使っているのかもしれません。
ペットうさぎが飼い主にあごスリをすることもありますが、これは飼い主を気に入って自分の所有物と思いにおいをつけているのか、または家族という群れにおいて自分がトップで飼い主を下位の存在と思ってにおいをつけているのかは定かではありません。
どちらにせよ、下顎腺からの分泌液はにおいがしませんので、特に困ったことがなければうさぎの思うままにあごスリさせてあげましょう。
臭腺からの分泌液はどんなにおいがする?
下顎腺から出すにおいは人間には分かりません。しかし肛門腺と鼠経腺からの分泌液からはきついにおいがします。おしっこや盲腸糞のにおいとは違ったにおいです。
うさぎと生活していて上記のようなにおいが気になる場合はうさぎのお尻まわりをチェックしてみましょう。
うさぎの臭腺まわりが汚れているときは
オス、メスともに外陰部の両脇に黒や茶色っぽい塊がこびりついていたら、それは鼠経腺から出た分泌液が固まったものです。優しく取ってあげましょう。
◆丁寧に拭いてあげる
うさぎを仰向けにしてお尻まわりをよくチェックしてみましょう。黒や茶色っぽい塊がこびりついていたら、うさぎのグルーミング用のウェットティッシュで優しくふき取ってあげるか、グルーミングスプレーを吹き付けてふやかしてから濡らした綿棒などで優しくこすってきれいにしてあげましょう。デリケートな部分ですのでやりすぎは禁物です。
汚れが溜まっているとかなりきついにおいがしますので、あまり顔を近づけない方がよいでしょう。
また、うさぎは水が苦手です。お風呂に入れるようにおしりを直接ぬるま湯につけるといったことは、うさぎがびっくりして暴れてケガをしてしまったり、体調不良の原因になったりするので絶対にやめましょう。
◆動物病院でケアしてもらう
抱っこさせてくれないうさぎや、仰向けでじっとしていてくれないうさぎも多いと思います。無理にじっとさせようと力を入れて押さえつけてしまうと、うさぎは骨が弱いので骨折の原因となります。
ご自分でのケアが無理だと感じた場合は動物病院に相談してみるのも一つの手です。うさぎ専門店が近くにあればそちらでもよいでしょう。健康診断や爪切りのついでに気軽に相談してみましょう。
◆特ににおいがなく、臭腺まわりにも汚れが見られないときは
うさぎの臭腺は、犬のように必ずケアが必要というわけではありません。ですので、そこまでにおいが気になるようでなければ放置していてもかまいません。
しかし、うさぎのお尻まわりを定期的に見てあげることは健康チェックに役立ちます。抱っこさせてくれるうさぎは日々のブラッシングの際にお尻まわりも見てあげましょう。
まとめ
うさぎは縄張り意識の強い生き物です。臭腺から出る分泌液でマーキングをして自分のテリトリーを主張しています。あごをスリスリしたり、糞ににおいをつけたりしてマーキングをします。あごから出る分泌液は人間には無臭ですが、お尻まわりから出る分泌液はにおいがします。
おうちのうさぎから盲腸糞やおしっこではないにおいがしたら、一度臭腺まわりの汚れを確認してみましょう。黒っぽい塊がついていたらそれがにおいの原因です。うさぎのグルーミング用のウェットティッシュや濡らした綿棒などで優しく取ってあげましょう。
ですが抱っこや触られることが苦手なうさぎも多いと思います。うさぎが抱っこや臭腺の掃除に抵抗して暴れてケガをさせないためにも、ご自分でのケアができないと思ったら無理をせず動物病院やペットショップなど専門機関に相談しましょう。
うさぎは、他の動物のように必ずしも臭腺ケアが必要というわけではありませんが、においが気にならない場合でも日々のブラッシングのついでにお尻まわりをよくチェックしてあげてくださいね。
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