1.うさぎに仰向けの姿勢はよくない?
1-1.うさぎにとって不自然な姿勢
1-2.自ら仰向けになっている場合は様子を見て
2.うさぎの仰向け姿勢の危険性
2-1.内臓に負担がかかる
2-2.骨折のリスク
2-3.精神的にも負担がかかる
3.うさぎの抱っこの仕方
3-1.からだを反らせないように
3-2.おしりをしっかり支える
4.うさぎを抱っこする際の注意点
5.うさぎに抱っこを慣れてもらうには?
6.まとめ
うさぎに仰向けの姿勢はよくない?
◆うさぎにとって不自然な姿勢
おそらく皆さんはうさぎが自ら仰向けになっている姿を見たことがないかと思います。それもそのはずで、うさぎは本来、仰向けの姿勢をとらない動物です。
通常、うさぎの背中はやわらかいカーブを描いています。
これがうさぎの自然な姿勢です。しかし、床や飼い主さんの膝の上などで仰向けに寝かせると、うさぎの背中は反ってしまい不自然な姿勢になります。仰向けの姿勢はうさぎにとって苦しい状態なのです。
◆自ら仰向けになっている場合は様子を見て
もし、うさぎが自ら仰向けになっている場合はしばらく様子を見てあげてください。
うさぎが仰向けになって動かなくなるケースで考えられるのが、極度のストレスからなる”死んだフリ”です。
野生のうさぎは食べられる側、つまり捕食される側にいます。うさぎは天敵に捕まった際に死んだフリをすることが多いといわれていて、これは天敵に「死んだ」と思い込ませるためです。
動かなくなったうさぎを見た天敵は安心して、うさぎを地面に置くことがあります。その隙をみてうさぎは逃げるわけですね。
ですので、もし自宅でうさぎが自ら仰向けの姿勢を取って固まってしまった場合は、うさぎになんらかのストレスが掛かっている可能性が考えられます。
そういう場合は、無理に起こそうとしないで、しばらく様子を見るようにしてあげてください。
また、万が一うさぎが長時間仰向けでいる場合は動物病院へ相談しましょう。
うさぎの仰向け姿勢の危険性
皆さんはうさぎを抱っこするとき、どのように抱えていますか?
たとえばうさぎの爪を切るとき、私たちはついうさぎを仰向けに抱っこしてしまいがちです。
しかし、うさぎにとって仰向けの姿勢は身体に負担をかけるといわれていて、危険性の高い抱っこといえます。
では、なぜ仰向けの姿勢がうさぎにとって危険なのでしょうか?
◆内臓に負担がかかる
上記でも述べたとおり、うさぎは通常の姿勢をとっているとき、背中はゆるやかにカーブしています。
ところがうさぎを仰向けに抱っこしてしまうと、うさぎの背中を反らすことになり、その影響で内臓が不自然な位置に移動し圧迫されてしまうリスクが発生します。
内臓に負担をかけないためにも、うさぎを仰向けに抱っこするのは避けましょう。
◆骨折のリスク
うさぎの骨は非常に脆いことで知られています。
どれくらい弱いかというと、同じ体重の猫の約60パーセントの骨量といわれています。
とくに背骨や足の骨は弱いとされており、うさぎを抱っこする際は強い力で押さえつけないことが重要です。
加えて、うさぎは仰向けに抱っこされることを好みません。うさぎを仰向けに抱っこした場合、嫌がって暴れだし、骨折に繫がることがあります。
背骨(脊髄)を骨折してしまうと、下半身が機能しなくなったり、麻痺を起こして排便がうまくおこなえなくなるなど命にかかわるケースもあるので要注意です。
うさぎの骨折を防ぐためには、正しく抱っこすることが大切になります。
◆精神的にも負担がかかる
ペットとして飼われているうさぎは、リラックスできる環境にいることが多いため、仰向けに近い姿勢で過ごすことがあります。
それに比べて野生のうさぎは警戒心が強く、お腹を見せることはほとんどありません。うさぎにとって無理やり仰向けにさせられるというのは、身の危険を感じてしまうほどのストレスになります。
内臓に負担がかかるだけでなく、精神的な負担も多いということを覚えておきましょう。
うさぎの抱っこの仕方
ここまでうさぎの仰向けの姿勢がどれくらい危険かについてお伝えしてきました。うさぎは本来あまり抱っこが得意ではありません。中には極度に嫌がる子もいます。それでも爪切りや、健康チェックをするために抱っこが必要なことがあるかと思います。
ここでは、うさぎを抱っこする際の正しい方法についてご紹介します。
◆からだを反らせないように
うさぎの骨は犬猫に比べてとても弱く、さらに背骨はゆるやかなカーブを描いています。そのことを考慮し、うさぎを抱っこする際はまず身体を反らせないよう注意しましょう。
爪きりなどのケアや、歯や足うらの健康チェックなど仰向けの抱っこが必要な場合は、少しでもうさぎの負担を減らすために短時間で終わらせるようにします。
また、床などに直接うさぎを寝かせて水平な姿勢にせず、飼い主さんの膝の上などに乗せて必ず頭を起こした状態で抱っこします。
◆おしりをしっかり支える
仰向けに近い状態でうさぎを抱っこする際のポイントは、うさぎのおしりをしっかり支えてあげることです。
片手でうさぎのおしりを支え、もう片方の手をうさぎの腋の下からお腹にそって支えます。
その際、お腹側にはあまり力は加えず、どちらかというとおしりをしっかり支えてあげるようイメージしてください。
胸を圧迫してしまうと、うさぎは苦しくなってしまい、あわてて逃げようとして危険です。
また、うさぎは耳やしっぽに触れられることを嫌がります。緊急でどこかをつかまないといけない場合は首筋の皮膚をつかむようにしましょう。
さらに、うさぎの身体を飼い主さんの身体に密着させてあげることも忘れてはいけません。
うさぎのおしりを支えているほうの腕をうさぎの身体にあてて支え、うさぎの顔が飼い主さんの腕に乗るようにできれば理想です。
うさぎを抱っこする際の注意点
うさぎは抱っこが苦手な子が多く、はじめは大人しくしていても、突然暴れだすことがあります。
高いところから飛び降りると、骨折や脱臼をしてしまうことがあるので注意してください。
抱っこ中の事故を防ぐためにも、飼い主さんは必ず床に座るようにしましょう。
あまりにうさぎが抱っこを嫌がる場合は、無理に抱っこをつづけたりしないで慣らしてから抱っこをするようにします。
この際、動物病院などうさぎを専門に扱う機関に相談するのもひとつの手段です。
また、うさぎを抱っこするときは飼い主さんの服装にも気をつけたいところです。
セーターなど網目の荒い服は避け、うさぎの爪が引っかからない服装で抱っこをするようにしましょう。
うさぎに抱っこを慣れてもらうには?
うさぎに抱っこに慣れてもらうポイントとしては、うさぎに「抱っこ=いいことがある」と覚えてもらうことです。
たとえば、大人しく抱っこをさせてくれたときはおやつを与えるなど、うさぎにとって抱っこは悪いことばかりじゃない、と思ってもらえるよう心がけましょう。
次いで、うさぎを抱っこするときは、うさぎにとって理想の環境を用意します。大きな物音がする部屋や犬猫などほかの動物がいる部屋ではうさぎも安心できません。
うさぎは、もともと警戒心の強い動物ですので、安心できない状況でお腹を見せることは相当のストレスが掛かってしまいます。
そのため、安心できる環境を整えてから抱っこすることをおすすめします。
また、過去に抱っこに対して嫌な思いをしたうさぎなど、抱っこへのトラウマがある子には無理やり抱っこに慣れさせる必要はありません。
無理に抱っこの練習をすると「抱っこ=怖いもの」との認識が高まり、かえって逆効果になってしまう可能性があります。
うさぎの抱っこは短時間、必要最低限にとどめるのが基本です。
小さい頃から抱っこに慣れてもらうことで、動物病院を受診するときなどによりスムーズに診察をおこなうことができるので安心です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
うさぎに仰向けの姿勢がよくない理由と、うさぎの身体や精神にかかる負担、仰向けに抱っこをする危険性についてお伝えしてきました。
うさぎが自ら仰向けの姿勢をとっているのは、決してリラックスをしているからではなく、極度のストレスからくるものだということもご理解いただけたかと思います。
どうしても抱っこが必要なとき、少しでもうさぎの負担を減らせるように正しい抱き方とポイントを押さえておくと安心ですね。
本記事がうさぎのケアや健康チェック、動物病院の診察時など、うさぎを抱っこする際の参考になれば幸いです。