1.フィニッシュスピッツとは
1-1.フィニッシュスピッツの歴史
1-2.フィニッシュスピッツの名前の由来
1-3.フィニッシュスピッツの特徴
1-4.フィニッシュスピッツの大きさ
1-5.フィニッシュスピッツの毛色・毛質
1-6.フィニッシュスピッツの性格
1-7.フィニッシュスピッツがかかりやすい病気
3.フィニッシュスピッツの飼い方
3-1.フィニッシュスピッツの運動量
3-2.ごはんの量
3-3.抜け毛のケア
3-4.無駄吠えのしつけ方
フィニッシュスピッツとは
フィニッシュスピッツは、愛らしく丸くて黒眼の瞳、ピンと立ち上がった耳に、クルリと巻いた尻尾を持っている狩猟犬です。フィニッシュスピッツは極寒の環境でも狩りができる体型とタフな性質を持っています。大きな声で鳥の居場所を知らせるといった狩猟法で、鳥が飛び立った場合も追いかけ、何度でもハンターにその場所を知らせます。また、不思議なことにフィニッシュスピッツが吠えると鳥は動けなくなるともいわれています。
フィニッシュスピッツは、ジャパンケネルクラブではまだ登録されていない希少種のワンちゃんです。
◆フィニッシュスピッツの歴史
フィニッシュスピッツはフィンランドが原産で、元々はスピッツ系の北方祖先犬を起源としているワンちゃんです。昔にフィン・ウゴル族というウラル系民族が祖先犬たちを、ユーラシア大陸からフィンランドに連れてきたことで、フィンランドで広まったと言われています。フィニッシュスピッツの祖先犬たちは、キャンプで暮らしていたフィン・ウゴル族の番犬をしたり、のちには狩猟犬として活躍していました。
狩猟犬としての狩猟法は独特な方法になっています。ハンターから離れて歩き回り、獲物を見つけると、その居場所を大きな声で吠えてハンターに知らせるといった狩猟法をとります。獲物が逃げるとフィニッシュスピッツたちは、獲物がどこかに止まるまで執拗に追いかけます。獲物が止まった場所を突き止めると、ハンターに吠えて知らせるといった行動を繰り返し、ハンターと共に獲物を確実に仕留める方法で狩猟をしていました。ハンターが獲物を撃ち落とすと、その獲物を回収する役割も担っていました。獲物の位置を吠えて知らせることから「bark pointer(バークポインター)」とも呼ばれています。
フィニッシュスピッツのワンちゃんたちは、長い間僻地で孤立した生活を送っていたため、改良の手が入ることもなく、純血のままその血統を受け継いでいました。しかし、1800年頃に交通機関の発達により、様々な地域から色々なワンちゃんが入り込むようになりました。その結果、異種交配が進み、純血のフィニッシュスピッツはほとんど姿を消してしまいました。
そんな中、1800年代後半にスポーツ愛好家のフィンランド人が純血種のフィニッシュスピッツを何頭か発見。その後彼らが30年近くに渡って、この犬種を救おうと運動をしたことで、犬種として守られたといわれています。
1960年代になって初めてアメリカで繁殖されるようになり、1988年にはAKCのノンスポーティング・グループに認定されることになります。
アメリカでは、フィニッシュスピッツは愛玩犬として親しまれています。原産国のフィンランドでは、以前と変わらず今も狩猟犬として活躍し、人々から重宝されています。
ちなみにこのフィニッシュスピッツは、現在フィンランドの国犬になっています。
◆フィニッシュスピッツの名前の由来
フィニッシュスピッツは当時、フィンランド語で「Suomenpystykorva(スオメンピュステュコルヴァ)」直訳すると「ピンと立った耳を持つフィンランドの犬」、または吠え声を駆使した鳥猟を繰り広げていたことから、「フィニッシュ・バーキング・バード・ドッグ」「バークポインター」などと呼ばれていました。1891年頃、正式に「フィニッシュスピッツ」という名前に変更されました。
◆フィニッシュスピッツの特徴
体高よりも体長がやや短く、横から見るとほぼ正方形に近い胴体をしています。動きはすばやく、軽やかな足取りで歩き、全体的にキツネや柴犬のような外観をしているワンちゃんです。
フィニッシュスピッツは上記でもご紹介しましたが、獲物を見つけては吠え、ハンターに居場所を知らせる役割をしていたため、「1分間に160回も吠えた」という記録もあるほど良く吠えるワンちゃんです。
◆フィニッシュスピッツの大きさ
フィニッシュスピッツの体重
フィニッシュスピッツは、柴犬よりも大きく、中型犬に分類されています。平均体重は柴犬よりも重く、男の子は11kg~15kg、女の子は9kg~13kg程度が理想と言われています。
フィニッシュスピッツの体高
平均体高も柴犬よりも大きく、男の子は44,5cm〜50cm、女の子は40cm〜46cm程度が理想体高と言われています。
◆フィニッシュスピッツの毛色・毛質
フィニッシュスピッツの毛色
フィニッシュスピッツの毛色は、レッド、ゴールド、レッドゴールドの3色です。この3色の毛色に加えて、白の斑がアメリカケンネルクラブでは認められています。
フィニッシュスピッツの毛質
フィニッシュスピッツの毛質は、柔らかで短い下毛と、硬くまっすぐな上毛とのダブルコートになっています。首、背中、腿の裏の毛が長く、しっぽには羽根のような毛が生えています。単一色や明確に区分される模様は忌避され、微妙なグラデーションがよいとされます。そのおかげで、非常に寒い環境のなかでも狩りをすることができます。激寒のなかで狩りをするうえで、寒さに耐え得るよう作られた被毛です。ただ、暑さに弱い傾向にあります。特に日本の湿度が高く、じめじめとした夏の暑さは苦手です。
◆フィニッシュスピッツの性格
遊ぶのが大好き
フィニッシュスピッツは遊ぶことが大好きな犬種です。飼い主さんの家族や、他のワンちゃんと仲良くすることもでき、信頼できる飼い主さんには生涯忠誠を尽くすといったなんとも可愛らしいワンちゃんです。原産国のフィンランドでは多くの家庭で愛玩犬としてかわいがられています。寂しがり屋な一面もあるので、コミュニケーションを取ることを忘れないようにしましょう。
飼い主さんや家族には甘えん坊だが警戒心が強い
飼い主さんやその家族には甘えん坊ですが、フィニッシュスピッツは警戒心が強いです。見知らぬ人や、ワンちゃんにはよそよそしい表情を浮かべて距離を取ろうとし、時には攻撃的な一面を見せる可能性もあります。
とても勇敢で頼もしいワンちゃん
フィニッシュスピッツは、元々狩猟犬ということもあり、強い敵にも立ち向かう勇敢さがあります。物事を察知する感覚の鋭さを持ち合わせ、吠えることで獲物の場所を知らせる仕事をしてきたため、番犬にも適しています。ただ、吠えやすいという特徴もあるので、小動物との共生は避けたほうがよいでしょう。ちょっとした変化を発見すると、すぐに吠えてしまうため、近隣の方とトラブルになってしまう可能性があります。ただ、番犬にはぴったりのワンちゃんと言えるでしょう。
◆フィニッシュスピッツがかかりやすい病気
フィニッシュスピッツがかかりやすい病気は以下の通りです。
糖尿病
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足することによって引き起こされる病気。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンという体の代謝を活性化するホルモンを分泌する器官の機能が低下し、ホルモン分泌が低下して起こる病気。
白内障
目の水晶体が白く濁って見えにくくなる病気。
落葉状天疱瘡(らくようじょうてんぽうそう)
皮膚を作り出す物質を抗原と判断し、免疫物質が体内の中で作られるようになり、免疫異常が起こってしまう病気。
てんかん
脳障害により、硬直、四肢をバタバタさせる、あごをかみしめている、よだれがたくさん出るなどの症状がでること
股関節形成不全
股関節の緩みが根本的な原因となり、股関節が異常に形成されていく病気。遺伝的な所から発症してしまう場合もある。
フィニッシュスピッツを家族に迎え入れるには
フィニッシュスピッツは、日本では希少犬となっており、ペットショップやブリーダーから迎え入れる事がとても難しく、見つかったとしても、譲ってもらえないケースが多いです。なので海外のブリーダーの方とコンタクトを取って譲り受けてもらう場合がほとんどです。根気よく里親募集サイトや市町村のホームページなどを検索するとヒットするかもしれません。
ただ、フィニッシュスピッツのような希少犬を飼う場合はリスクが伴います。その理由として、希少犬なので、情報がとても少ないことです。例えばしつけの方法、病気の症状など飼育数が多いワンちゃんの場合、情報がたくさんありますが、希少犬だとそうはいきません。ワンちゃんごとの性格や性質を知ることで健康で快適な生活を作ってあげる事ができますが、フィニッシュスピッツのような珍しいワンちゃんの飼い主さんになるには、事前に良く調べるなど、念入りに迎え入れる準備をしておきましょう。
フィニッシュスピッツの飼い方
フィニッシュスピッツを家族に迎え入れる事ができた時の飼い方をご紹介していきます。
◆フィニッシュスピッツの運動量
フィニッシュスピッツは元気に満ち溢れており、元々狩猟犬であったことから、無駄吠えのしつけや散歩・遊びの時間の確保は欠かせません。室内飼いをする際は特に、ストレスが溜まらないよう、外でアクティブに活動できる環境を用意してあげましょう。
◆ごはんの量
フィニッシュスピッツは、運動量やごはんの量を調整してあげないと肥満になりやすいです。脂肪分や炭水化物が多く、高カロリーなごはんはなるべく避け、高たんぱく低カロリーな栄養バランスが整ったごはんを選んであげるようにしましょう。
ちなみにワンちゃんに食べさせてはいけない物は以下の通りです。
-
・ネギ類全般(にんにく、ニラ、玉ねぎなど)
・ぶどう類全般
・チョコレート
・キシリトール
・生の魚介類(魚、イカ、タコ、エビ、カニ)
・鶏の骨
・アボガド
・ナッツ類全般
◆抜け毛のケア
フィニッシュスピッツは、ダブルコートになっていて、年に1~2回換毛期があります。通常の抜け毛はそこまで多くなく、グルーミングは週に2回程度で問題ありませんが、換毛期にはふわふわしたアンダーコートが大量に抜け落ちます。なので、換毛期は毎日グルーミングをやり、シャンプーで取り除いてあげるといいです。
グルーミングの際はスリッカーブラシでアンダーコートを取り除き、コームやラバーブラシで仕上げをしてあげましょう。ケアをしてあげる事も愛犬とのコミュニケーションになります。
また、定期的にお風呂に入れてあげるようにしましょう。フィニッシュスピッツは、被毛が魅力的なワンちゃんです。綺麗な毛並みは健康にも繋がりますので、お風呂に入れて清潔に保ってあげましょう。
◆無駄吠えのしつけ方
フィニッシュスピッツは、吠えることでハンターに獲物の場所を伝えるのを目的としたワンちゃんです。吠えることがフィニッシュスピッツの一番のポイントでもあるので、全く吠えないようにするのは難しいです。しかし、吠えたらやめさせるようにすることを覚えさせることはできます。
-
1. フィニッシュスピッツが好きなおやつを用意します。
2. おやつを手に持ち、犬が吠えずに飼い主に注目したら、褒めながらご褒美をあげます。
3. (2)を繰り返して、静かに飼い主に注目することを覚えさせます。
4. 無駄吠えをしたら、すかさずおやつを手に持ち「静かに」という言葉を言います。
5. 犬が無駄吠えをやめて飼い主に注目したら、うんと褒めながらおやつをあげます。
6. (4)と(5)を繰り返して「静かに」という言葉を覚えさせます。
まとめ
今回は、日本では珍しい希少犬のフィニッシュスピッツについてのご紹介をしてきました。柴犬にも似ていてキツネにも似ているその姿は、とても愛らしいです。もしフィニッシュスピッツを家族に迎え入れる事ができたのなら、慎重にお世話をするようにしましょう。近所トラブルの原因になる可能性があるので、しつけなどもしっかりと行うようにしましょう。
フィニッシュスピッツと運命的な出会いがあることを祈っています。
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