1.犬に鶏肉を与えても良い?
1-1.鶏肉に含まれる成分
1-2.期待できる効果
1-3.アレルギー
2.鶏肉の与え方
2-1.鶏肉の部位
2-2.加熱する
2-3.小さく切る
5.犬に鶏肉を与える時の注意点
5-1.肉の取り扱いに注意!
5-2.味付けはしない
5-3.与え過ぎない
5-4.鶏肉ばかり偏って与えない
5-5.人間用に加工されたものはダメ
犬に鶏肉を与えても良い?
鶏肉は、犬に与えても大丈夫な食材です。ドッグフードの原材料を確認すると、チキンを使っているものも少なくありません。
◆鶏肉に含まれる成分
タンパク質
たんぱく質が、非常にバランスよく含まれています。特に、身体を作るのに欠かせない必須アミノ酸は、豚肉や牛肉よりも多く含まれています。また、動物性タンパク質は、植物性タンパク質より効率よく吸収されます。
三大栄養素の1つで、エネルギー源として欠かせません。また、血液や筋肉などの主要な成分であり、生命維持に欠かせない酵素などの物質のもとでもあります。
ナイアシン
水溶性ビタミンB群の1つで、ニコチン酸とニコチンアミドの総称です。体内では、トリプトファンというアミノ酸からナイアシンが合成されます。
動物性食品にはニコチンアミドが含まれていて、体内でピリジンヌクレオチドに合成され、酵素の働きを助ける補酵素として働きます。代謝やエネルギー産生、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成など、幅広い反応に関与しています。
イミダゾールペプチド
渡り鳥の胸肉に多く含まれることで知られています。ペプチドとは、アミノ酸が2つ以上結合したものです。
筋肉中の疲労物質である乳酸の分解を促進する、体内の老廃物である尿酸の量を調節する、活性酸素を抑える(抗酸化)などの働きがあります。
コラーゲン
身体や臓器の枠組みを作るタンパク質の一種です。
骨や血管などに多く含まれていて、細胞同士を結びつける働きがあり、皮膚を健康に保ち、関節の動きを助けます。
リン
リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして、骨や歯の構成成分となっています。また、筋肉などの軟組織や細胞膜、わずかですが、細胞外液にも存在しています。
カリウム
大部分が細胞内に存在し、細胞外液に多いナトリウムと相互に作用しています。細胞の浸透圧の維持、水分の保持に重要な働きをするミネラルです。
ビタミンA
油に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンです。体内に入ると、脂肪とともに小腸から吸収され、大半が肝臓に蓄えられます。被毛や皮膚、粘膜を健康に保つ働きがあります。
ビタミンK
血液凝固に関与するビタミンです。骨を健康に保つ、動脈硬化を予防するなどの働きもあります。
◆期待できる効果
バランスよく含まれるタンパク質がエネルギー源になるほか、皮膚・被毛などの健康維持、疲労回復などの効果が期待されます。
抗酸化作用のあるイミダゾールペプチドを多く含み、ビタミンKが動脈硬化を予防するなど、老化防止にも役立つでしょう。
老犬にとっては、筋肉維持や関節の動きを助けるなどの効果も期待できます。
◆アレルギー
鶏肉は、牛肉、乳製品に次いでアレルギーの報告が多い食材です。
アレルギーの症状としては、皮膚の赤みや痒み、下痢や嘔吐などがあります。
初めて与えるときにはごく少量にとどめ、愛犬に何らかの異常が見られたときには、すぐに動物病院を受診してください。
鶏肉の与え方
◆鶏肉の部位
胸肉に隣接した部位です。
胸肉以上に低脂肪、低カロリーである一方、タンパク質は多く含まれるため、犬の食事にも上手に取り入れたいですね。
リンとカリウムも豊富に含まれます。リンの過剰摂取は、尿毒症や脱水症状を引き起こすことがあり、腎不全になる恐れがあります。また、腎機能が低下していると、カリウムの尿への排出量が減少し、体内に蓄積されます。血液中のカリウム濃度が高くなると、不整脈や心停止の危険性が高くなります。
腎機能の低下した犬は、リンやカリウムの摂取量を制限する必要があるため、ささみを与えるのは控えましょう。
📌【おすすめ記事】犬にささみを与えてもOK!ささみを与えるメリットや注意点はある?
鶏の大胸筋です。脂肪は少なめで、タンパク質が多く、肉質は柔らかいです。
ビタミンB群とナイアシンが豊富に含まれています。ビタミンB群には代謝を高めて細胞を活性化させる働きがあり、ナイアシンには疲労回復や粘膜・消化器系を守る働きがあります。
運動量の多い犬や、夏バテ対策、シニア犬で胃腸の不調が気になる場合などにおすすめです。
鶏の脚の腿部分の肉で、筋肉質ですが、旨味が強い部位です。
鉄分とビタミンB2が豊富で、「セレン」というミネラルも含まれています。セレンは、細胞の老化を防いで動脈硬化を予防します。
痩せ気味の犬、シニア犬、持病がある犬など、栄養素を効率的に摂取したい場合におすすめです。
肥満気味の犬には、皮をそぎ取って身の部分だけを与えましょう。
首の部分の筋肉です。身が引き締まっていて噛み応えがあり、脂身が多く旨味が凝縮されているので、おやつに適しています。
グルコサミンやコンドロイチンが含まれています。これらは、関節の動きをスムーズにする働きがあります。
ただし、高脂肪なので、与え過ぎには注意が必要です。肥満気味の犬には、与えないようにしてください。
余分な脂を落とすために、沸騰しているお湯で茹でたり、オーブンでカリカリに焼いたりすると良いでしょう。
肝臓のことで、鶏の場合は牛や豚のレバーよりクセがなくて食べやすいのが特徴です。
ビタミンAが豊富です。ビタミンAは、肝臓に溜まり、過剰摂取すると中毒を起こすことがあります。
与える頻度は、週に1度程度が適切です。脂肪分がほぼないため、ダイエット中のおやつにおすすめです。
鶏の胃の筋肉部分です。食感はコリコリしていて、高タンパク低カロリーです。
鶏の翼の部分で、手羽先、手羽中、手羽元に分けられます。
関節の維持をサポートするコラーゲンが豊富ですが、高脂肪です。
骨は必ず取り除きましょう。小型犬など消化管の小さい犬種では、特に気を付けてあげてください。
茹でるとコクのあるスープが取れます。スープは、ドライフードにかけたり、手作りフードに使ったりするのもおすすめです。
水に少量混ぜると、犬がよく飲むようになるので、水分補給にも活用できます。
◆加熱する
犬に鶏肉を与える際には、必ず加熱したものを与えましょう。
鶏肉に限らず、生肉を犬に与えることはおすすめできません。生肉には、食中毒の原因となる菌や寄生虫が含まれているからです。
特に、鶏肉は牛肉や豚肉と比べると、加工の際の衛生管理が厳しくありません。このため、他の肉類以上に、生で食べることに向いていないのです。
生の鶏肉には、大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなどの細菌やウイルスが付着している可能性が高く、表面を舐めるだけでも、付着している菌を体内に取り入れてしまうかもしれません。
細菌やウイルスは加熱すると死滅するので、必ず加熱したものを与えてください。
熱が通りにくい中心部を75℃以上で1分以上加熱すると、完全に死滅させることができると言われています。
◆小さく切る
犬は、食べ物を丸呑みする傾向があります。喉に詰まらせることがないように、小さく切ってあげましょう。
茹でたささみであれば、手でさくこともできます。
犬に骨付きの鶏肉は与えてもいいの?
鶏の骨は、他の動物の骨と異なり中が空洞であるため、加熱すると脆くなり、割れやすくなります。縦に割れるため、破片が鋭利になりやすいです。
割れた骨が喉や食道を傷つける可能性が高く、丸呑みしてしまうと腸閉塞などのリスクもあります。骨付き肉は、喉に詰まり、呼吸困難を起こす可能性があります。
犬には、骨や骨付きの肉は与えないようにしましょう。骨付きの部位を与える場合は、必ず骨から外した肉を与えてください。
鶏肉を使ったレシピ
犬のおやつ・ごはん研究科のDECOさんによる鶏肉のレシピをご紹介します。
飼い主さんも一緒に食べられる犬の手作りごはんのレシピです。
ささみ
レバー・砂肝
むね肉
ひき肉を使ったレシピもあります。
犬に鶏肉を与える時の注意点
◆肉の取り扱いに注意!
鶏肉は、牛や豚に比べて高確率で、カンピロバクターに汚染されていると言われています。
この菌は、腹痛や下痢を起こす原因ですが、加熱することで死滅します。上述の通り、生の鶏肉は絶対に与えないでください。
さらに、別の食材に触れない、鶏肉に触れた後の手洗いなども重要です。
カンピロバクター症は、「生の鶏肉からの1滴のしずくでも発症する」と言われているので、注意してくださいね。
◆味付けはしない
ネギや玉ねぎはもちろんですが、砂糖などの調味料やお酒を入れて調理することは厳禁です。
◆与え過ぎない
トッピングやオヤツとして与える場合は、他のおやつなどと合わせて1日の最適カロリー量の10%以内が適切と言われています。また、与えたカロリー分だけ、フード(総合栄養食)は減らしましょう。
手作り食の場合は、肉類50%、ご飯40%、野菜類10%を目安とするとよいと言われています。
◆鶏肉ばかり偏って与えない
鶏肉はアレルギー報告の多い食材ですが、その理由の1つに、与える機会が多くて顕在化しやすいことが挙げられます。アレルギーの原因タンパク質は、摂取する機会が増えるほどリスクが上がります。鶏肉だけではなく、いろいろな種類の肉を与えましょう。
また、肉ばかり与えると肝臓や腎臓に負担になるため、炭水化物もバランスよく与える方が健康な体を維持できます。
◆人間用に加工されたものはダメ
フライドチキンや、スーパーで販売されている味付きの鶏肉など、人間用に加工された鶏肉は、決して犬に与えないでください。
塩や砂糖、香辛料などが使われているため、塩分過多や肥満、病気につながる可能性が高いです。ナツメグやニンニク、玉ねぎなどが使用されているものもあり、犬の命に関わることもあります。
まとめ
鶏肉は、牛や豚に比べて低カロリー高たんぱくで、ヘルシーな食材です。部位によって含まれる栄養素に特徴があるので、愛犬の健康状態や年齢などに合わせて使い分けると良いでしょう。
生や骨のついたままでは与えない、味付けはしない、人間用の加工食品は与えないなど、注意点は守ってくださいね。
鶏肉を好きなワンちゃんは多いので、おねだりしてくることもあるかもしれませんが、与えすぎると病気や肥満の原因になります。適量を守って与えましょう。
鶏肉は比較的安く、手に入りやすいので、ぜひ上手に活用してみてくださいね。愛犬の食生活が豊かになりますよ。
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