1.犬が飼い主に顔をうずめる理由
1-1.信頼しているため
1-2.甘えたい時
1-3.匂いを嗅いでいる
1-4.寒くて温まりたい時
2.犬が頭をこすりつける理由
2-1.甘えたい・触って欲しい時
2-2.嬉しい気持ちの時
2-3.リラックスしている時
2-4.頭がかゆい時
犬が飼い主に顔をうずめる理由
愛犬と一緒にいる時に、愛犬が飼い主さんの腕・足・胸などに顔をうずめるような行動をとることがあります。
飼い主さんからすると幸せを感じる可愛らしい行為なのですが、この時犬には、どのような心理が働いているのでしょうか。
愛情表現の一つなのか、それとも何かのサインなのか、考えられる理由や犬の気持ちを解説していきましょう。
◆信頼しているため
犬が人間に顔をうずめてくるのは、その人を信頼できる存在として認識している証拠です。
元々犬には、群れを大切にする習性・本能があります。この行動は、自然界での暮らしの中で厳しい気候・外敵から身を守る手段でもあるのです。この名残からも、顔をうずめる相手のことを群れの仲間として認めている、という感情が感じ取れるでしょう。
愛犬が飼い主さんにこのような行動を見せるのであれば、毎日の暮らしの中で、お互いに信頼関係をしっかり築けていると理解しておいても良いのではないでしょうか。
◆甘えたい時
犬の愛情表現にはさまざまな行動がありますが、仲間と身体をこすり合わせるという方法もあります。犬が顔をうずめてくる理由のひとつとして、「甘えたい」気持ちを表している場合が挙げられるのです。
犬には本来狭い所を好む習性もあります。この生態もが組み合わさって、人に顔をうずめるような行動がみられるのでしょう。
甘えが目的で顔をうずめてきた愛犬に対しては、優しく撫でたり抱きしめるなどしてコミュニケーションをとり、大好きだよという気持ちを伝え返してあげてくださいね。
◆匂いを嗅いでいる
犬は嗅覚によって、様々な情報を手に入れます。人に顔をうずめているように見えて実はにおいを嗅いでる、というパターンもあるので覚えておきましょう。
犬にとってにおいを嗅ぐ行為は、人間でいうとおしゃべりの様なものであり、何気ないコミュニケーションの一つでもあるのです。
飼い主さんが帰宅した際に愛犬がよく顔をうずめてくるのであれば、それは体のニオイを嗅いでいる可能性が高いと考えられるでしょう。衣服などに付着した外の匂いなどから情報をよみとるために、顔をうずめてニオイを嗅いでいるのかもしれません。
◆寒くて温まりたい時
顔をうずめてくる原因の一つが、「寒さ」である場合もあります。
犬の祖先である狼や野生の犬達は、寒い季節がくると仲間同士で体を寄せ合い寒さをしのぐのですが、この名残から、寒い時に顔をうずめてくるケースがあるのです。
気温が低い日にばかり顔をうずめてくるようであれば、室温が愛犬に適しておらず寒さを感じている可能性があります。
基本的に犬は人間よりも寒さに敏感な動物ですので、室温・湿度の調整をしっかり行い、防寒具を準備するなどして配慮してあげてくださいね。
犬が頭をこすりつける理由
人に顔をうずめてくる行動と似ていますが、愛犬が人または床や壁などに頭を擦りつけるような行動をとることもあります。
飼い主さんがリラックスして寛いでいる時に愛犬がやってきて、頭をすりすりとこすりつけてくる。こんな経験のある飼い主さんは少なくないでしょう。
こちらも一見ただの愛らしい犬の行動に見えますが、そこにはどのような意味があり、心理が働いているのでしょうか。その理由を紹介していきますので、知識を深めるためにも必要な情報をとしてしっかり覚えておきましょう。
◆甘えたい・触って欲しい時
愛犬が頭をこすりつける行動は、甘えたいという欲求の現れである場合がほとんどです。
子犬が母犬に甘えるように、飼い主さんに対して身体の一部を擦りつけることでその欲求を満たしているのだと考えられます。
頭に限らず、身体全体をこすりつけるような行動を見せる子も中にはいるでしょう。
甘える時に見せるいくつかのサインの中でも、特に強い甘え欲求だともいえる行動なので、手が空いている場合は、存分に甘えさせてあげて満足させてあげてくださいね。
また、甘えとも似ているのですが、触ってほしい、スキンシップをとりたい、という気持ちからこの行動をとるケースもあります。飼い主さんが忙しそうにしている時には距離を取り、手が空いたことを察すると近寄っきてスリスリとアピールをしてくるワンちゃんも珍しくありません。
◆嬉しい気持ちの時
愛犬に留守番をさせていた時など、帰宅した飼い主さんの足元に頭をこすりつけるケースもよくあります。これは、<寂しかったよ!待っていたよ!/span>などといった気持ちを表現しているのだと考えられます。飼い主さんの帰宅に対する、喜びや嬉しい気分を言葉の代わりに全身を使って教えてくれているのでしょう。
またこの時に、飼い主さんの足元を執拗に嗅ぐ子も中にはいるのですが、これは情報収集をしているのだといわれています。他の犬や知らないにおいが強く残っていると、嫉妬・不安から自分の頭を擦り付けて、飼い主さんに自分のニオイを付けようとするワンちゃんもいるようですよ。
◆リラックスしている時
ゆったりと寛いでいる状態で、飼い主さんの体の一部や顔などに愛犬が頭を擦り付けてくるケースがあります。
これは、飼い主さんに触れることで安心感を得ながらリラックスしていることを意味しているのです。一緒にいられる時間に、幸せを感じているということですね。家族や飼い主さんからすると、とても嬉しい行動の一つだといえるでしょう。
嬉しい気持ちを伝えるように、アイコンタクトを届けてくれる子も中にはいますよ。愛犬の表情をぜひ、確認してみてくださいね。対応としては、優しく撫でたり声を掛けたりして、愛情や大切だということをしっかりと伝え返すことがポイントとなります。
◆頭がかゆい時
頭をこすりつけてくる原因が、単純に痒みである場合もあります。この際、甘えている時と比べるとスリスリというよりは、ゴシゴシといった強めの押しつけ方法をとってくるでしょう。飼い主さんの体に限らず、壁や地面などに身体を擦りつける様子も見られると思います。
あまりに痒そうにしている場合は、ノミ・ダニなどの害虫によって痒みが発生していたり、なんらかの原因による皮膚炎などを発症している可能性も考えられます。皮膚に、赤みや発疹などの症状や異常がないか確認してみましょう。
気になる状態がみられる場合は、一度獣医師の先生に相談してみることをおすすめします。問題解決のためには、分からないことや心配な問題に対して専門家の意見を聞くことが大事な対処法となるでしょう。
犬が頭をこすりつける病気
前述したように、痒みによって頭をこすりつけるケースがあります。頭に痒みが発生したり、こすりつける行動がみられがちな病気・症状をいくつか紹介していきましょう。
◆角膜炎
いわゆる「黒目」の部分の一番外側にある、無色透明な膜(角膜)に、炎症が起きた状態のことを角膜炎といいます。
主な原因は、目の乾燥(ドライアイ)・感染(細菌やウイルス)・物理的刺激(逆さまつ毛や瞼の内反、シャンプーなどの刺激や皮膚・しわの接触)・免疫異常などです。
軽度な場合は無症状ですが、慢性的な角膜炎が多い現状にあり、症状がある場合は、目を眩しそうに閉じたり、前足や床などで目をこすったりするでしょう。
◆アトピー性皮膚炎
皮膚の過敏な反応、保護機能が低下する遺伝的な要因をもった個体が、痒みの原因となるアレルギー物質に過敏な反応を起こして、皮膚全体に慢性的に炎症を起こす病気をアトピー性皮膚炎といいます。
アレルギー物質には、ほこり・細菌・草・花粉・フケ・食べ物・昆虫類などが挙げられます。
保護機能の低下した皮膚や呼吸器を通して、アレルギー物質が体内に侵入することで、過剰な免疫反応が起こるそうです。
一般的な症状は、強い痒み・皮膚の炎症・外耳炎などです。
手足でしきりに身体を掻いたり、皮膚をかじる・舐めるなどの様子が見られるでしょう。口周辺が痒いと、床に顔などをこすりつける行動をとるようになります。
皮膚炎が出やすい箇所は、顔(目・口・耳周辺)、先端部(足先・尻尾・陰部周辺・肛門周囲)、皮膚の重なる部分(わき・内股・肘・膝裏・指や肉球の間)などです。
◆外耳炎
ペットの耳のトラブルとして知名度も高い外耳炎は、外耳道の皮膚に炎症が起こる耳の病気です。溜まった耳垢が変質して外耳道の粘膜に刺激を与えたり、耳垢への細菌・酵母菌繁殖によって炎症が起きたりするのです。犬の外耳道はL字に曲がっています。そのため、湿りやすく細菌が繁殖しやすい状態となっています。日頃のケアで予防に努めることも効果的なので、注意点として覚えておきましょう。
主な原因として挙げられるのは、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどで、アレルギー体質の個体では8割近くが外耳炎を併発しているというデータがあるそうですよ。他には、草・実などの異物、耳ダニへの感染、免疫問題によるもの、耳垢腺の腫瘍によるものなど、様々な原因が考えられます。
痒みが起こるので、頭を振ったり耳を擦り付けたりするようになるでしょう。炎症が酷くなると痛みも伴います。このため、耳を触られるのを嫌がる様子を見せることもあります。また、発酵したような強い臭いや耳ダレで耳の周りが汚れることもあるので、日常的に愛犬を観察をしていれば比較的早く異常に気が付くことができるでしょう。
◆アレルギー
人間と同様、犬にもアレルギー体質の子がいます。犬の場合は痒みとして皮膚の症状がみられることが多いので、顔や頭、お腹などの痒い部分を何かに擦り付けたりする行動がみられる場合あります。
花粉・ハウスダスト・食べ物・細菌・真菌(カビ)・ノミやダニなど、アレルギーとなる原因は様々で、健康体だった子が突然発症することも珍しくありません。
犬には痒みを我慢する概念がないので、痒みを感じると瞬間的に皮膚を掻きむしってしまいます。これによって感染が起こり皮膚炎が悪化するといった悪循環に陥ってしまう場合も多いです。
日本に限らず世界的にもアレルギーに困っている人や犬は意外と沢山います。下痢や嘔吐などの症状がみられることもありますので、少しでも異常を感じた場合は一度動物病院を受診してみましょう。
アレルギーの愛犬についてのネット記事やコラムなどを参考にすると、症状との向き合い方がイメージしやすいかもしれませんね。
まとめ
飼い主さんに愛犬が顔や頭を擦り付けてくる様子は、傍から見ていても微笑ましく、それだけで満足感さえ感じる愛らしいものです。小型犬が寄り添ってくる姿も、大型犬がその大きな体を思い切り擦り付けてくる様も、想像するだけで笑顔になりますね。
行動の理由が甘えだと判断できた際には、コミュニケーションをとる最大のチャンスだと思って、しっかりと構ってあげるのがコツです。留守番などを頑張ってくれた時には、不安からくるストレスを忘れさえてあげられるくらい、大げさに褒めて愛情を伝えてあげましょう。
皮膚炎や痒みなどが原因の疑いがある場合は、早めに獣医師に相談するのが一番です。
愛犬が体を使って一生懸命伝えてくるサインを、見逃さないように受け止めてあげてくださいね。
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