1.犬が後ろ足を伸ばしている理由
1-1.一緒に遊びたい
1-2.痛みを我慢している
1-3.筋肉を伸ばしてストレッチしている
1-4.ストレスがあり退屈している
1-5.拒否反応
3.犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは
3-1.症状
3-2.治療法
3-3.予防法
4.犬の椎間板ヘルニア
4-1.症状
4-2.治療法
4-3.予防法
犬が後ろ足を伸ばしている理由
◆一緒に遊びたい
犬は遊びに誘うとき、左右の前足を伸ばしておしりを高く上げ、お辞儀のようなポーズをとります。これは「プレイバウ」と呼ばれる行動で、多くの犬に見られます。おもちゃを咥えてくることもあります。
ワンちゃんが元気な証拠ですが、遊びたいという要求にいちいち応えているとワガママな性格になる可能性があります。都合が悪いときは飼い主の方を優先しましょう。
◆痛みを我慢している
実は病気やケガが隠れているかもしれません。子犬のうちはわからなくても、1歳までに持病が見つかることがあります。犬種によって関節炎になりやすいことがありますが、雑種でも引き起こす可能性がないわけではありません。
歩くときに足を曲げずに歩く、スキップのように歩くときはどこか痛みがあるのでしょう。考えられる病気は膝蓋骨脱臼・椎間板ヘルニア・骨折・指間炎などがあります。
足を地面に着けたくないためにおかしな歩き方をし、放置しているとそこから関節を痛めることがあります。
またお腹が痛いときには前足を伸ばしてお腹を丸め、尻尾を後ろ足の間に収める姿勢をとります。プレイバウと似ていますが、尻尾が下がるのが大きな違いです。便秘や下痢、胃捻転といった危険な病気かもしれないので、すぐに動物病院に行きましょう。
◆筋肉を伸ばしてストレッチしている
人間は長時間座っていたときなど、筋肉が緊張して硬くなったらストレッチをします。これは犬も同じで寝起きなどでは伸びをしたくなります。足を前や後ろに伸ばす、背中を丸めるといった体勢はストレッチです。
犬は四つ足で寝るときにも体を丸めるため、背中や足は凝りやすいようです。
◆ストレスがあり退屈している
体を伸ばすとリラックスできるということは、ストレスが溜まっているからほぐそうとしていることも考えられます。飼い主から叱られた後などの伸びやあくびがそれです。
◆拒否反応
散歩中に犬が立ち止まり、リードを引っ張っても足をピーンと伸ばして動かないことがあります。「そっちには行きたくない」と拒否しているときです。理由は様々ですが、老犬であれば「疲れたからもう帰りたい」という意志表示が多いでしょう。この先に行くと怖い目にあった、例えば動物病院があるとわかっていると犬は嫌がります。具合が悪くなければ「今日はこの道は嫌だ」と言っているだけなので、あまり心配は要りません。
子犬が後ろ足を伸ばして伏せをしている
犬がドーナツのように丸まって寝る、伏せのポーズで寝る光景はよく目にします。犬の基本的な寝相ですが、実は警戒しています。お腹を下にして内臓を守り、敵が近づいてきたら振動を感じることもできる姿勢ですが、これを崩して足を伸ばしているとリラックスしていると読み取れます。
また犬にとって足は大事な部位なので、寝るときにも守るようにして寝ます。足をすぐに走れないように伸ばしているときも、安心しきっているときです。
体は伏せていても前後の足を伸ばしてスーパーマンのようなポーズをしていると、かなりリラックスしています。他にもお腹を上にするへそ天など、子犬の時期には驚くようなポーズで寝ることが多いですね。子犬はまだ警戒心が少なく、年齢が若いと股関節が柔らかいのでリラックスしたポーズが多くなります。
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは
◆症状
膝には靭帯と膝蓋骨があり、これが大腿骨にはまって滑車のように動くことで歩行ができます。このお皿のような膝蓋骨が内側、又は外側に外れてしまうことを膝蓋骨脱臼と言います。この症状はパテラと呼ばれ、小型犬に多いです。トイプードルなどの人気犬種には6~7割見られます。しかし体重の重い大型犬でも起こる可能性はあるので、注意は必要です。
症状には4段階あり、グレード1は手で関節をずらすと外れるが、手を離すと元に戻る状態です。2は手で同じく関節が外れ、元に戻すにはまた手で戻す必要がある状態。3は膝蓋骨が外れっぱなしで一時的には手で戻せる状態。4は手で戻すことができない悪い状態です。
犬が片方の後ろ足を持ち上げて地面に着けたがらない、触ると痛がるといった異変で気づきます。先天性のものだけではなく、交通事故や高所からの転落でも引き起こすことはあります。
◆治療法
グレード1や2の場合は鎮痛剤・レーザー・鍼灸治療で痛みを抑えます。
グレード3以上は手術が必要です。膝蓋骨が上手くはまるように大腿骨を深く削る、あるいは金属の高い溝をつける処置があります。
犬が成長途中に先天性のパテラが見つかり、1歳未満の場合は将来歩行困難になることが考えられるため、手術を勧める傾向があります。
◆予防法
体重を増やさない、犬の関節や爪に優しいマット等を敷いて床に工夫をするといった対策で膝への負担を減らすことができます。体重管理のために運動が必要ですが、激しい運動でかえって膝に負担をかけてしまうこともあります。またサプリメントや膝のマッサージもおすすめです。
犬の椎間板ヘルニア
◆症状
背骨の骨と骨の間に椎間板があり、これが飛び出して神経を刺激してしまう病気です。症状は手足のしびれや麻痺などで人間にも起こります。
犬の場合は後ろ足に症状が現れることが多く、グレードは5段階あります。初期の段階では触ると痛がる、段差の上り下りを嫌がるといった症状です。ところがグレードが高くなると立ち上がることができなくなり、排泄も困難になってしまいます。
◆治療法
痛みだけのうちは鎮痛剤を服用する、安静にするといった処置をします。重度の場合は圧迫されている背骨を削る手術をし、更にリハビリをすることになります。
◆予防法
体重を増やさない、激しい運動をしすぎないなどがありますが、人間と同じく予防が難しい病気です。普段の生活で段差の上り下りをさせない、抱っこの際には愛犬の腰を支えて浮かせないといった対策をしてください。ダックスフントやコーギーなどの胴長の犬種に多いので、腰に負担をかけないようにしましょう。
犬の骨折
◆症状
犬は人間よりも痛みに強いので、骨折しても異変に気づきにくいです。しかし放置していると骨が曲がったままくっつき、生活に支障をきたすことがあるのですぐに治療しなくてはいけません。足を引きずる、地面に着けないように歩く、腫れて熱を持っているなどの症状があると骨折の可能性があります。
◆治療法
たいていの治療では骨折している部位に手術でプレートやピンを入れて固定します。このとき全身麻酔をかけるため犬には負担がかかってします。手術をせずにギプスで固定する方法もありますが、活発な犬には向いていません。
◆予防法
人気の小型犬や1歳未満の子犬は骨折しやすいと言われています。子犬は骨が柔らかく、よくじゃれるので簡単に骨折することがあります。また抱っこをしていたら落とした、ソファから落ちたなども原因になります。小型犬にとっては家の中のあちこちが高所です。移動しやすいように踏み台を設置するといった対策をしてあげましょう。
犬の指間炎
◆症状
指間炎とは犬の肉球や指の間に腫れ・痒み・出血などを起こす皮膚炎です。足裏に傷があると犬が気になって舐めてしまい、雑菌が繁殖しています。炎症が酷くなってしまいます。犬は痛がってその部分を地面に着けないように歩き、そこから関節を痛めてしまうこともあるので治療が必要です。
◆治療法
皮膚炎なので外用薬を使う、薬用シャンプーで洗う、内服薬を飲むといった処置をします。犬がどうしても舐めてしまうときは包帯やエリザベスカラーを巻くことがあります。
◆予防法
散歩中に肉球にケガをした、アスファルトが熱くて火傷をしたなどの外傷があると、指間炎になる可能性があります。愛犬の足元に危険なものがないか気を配り、夏は気温が高い時間の散歩を避けてください。
散歩から帰ってきた後に、シャワーでしっかり足を洗いすぎるのも皮膚炎の原因になります。皮膚がガサガサになるまで洗ってしまうと肉球がひび割れ、逆に炎症を起こしやすくなってしまうのです。毎日の散歩帰りには足裏を拭きとる程度にし、汚れが取れなければ洗うようにしてください。湿ったままにしておくのは良くないので、シャンプーの後は足もしっかり乾かしましょう。
犬にとって後ろ足は大事
人間は高齢になると足腰が弱ります。これは犬も同じで前足よりも後ろ足から弱っていきます。犬は疲れやすくなって気分転換もできず、若いときのように活発ではなくなり、介護が必要になってしまいます。つまり後ろ足を鍛えておけば若さを保てるのです。
まとめ
犬の伸びには前足だけ伸ばす、後ろ足だけ伸ばす、片足ずつ伸ばすなど、パターンがたくさんあります。体を伸ばすのは自然な行動ですが、あまりにも頻繁にしているとストレスがあるのか、病気があるのかもしれません。普段から犬をよく観察し、異変があればすぐに気づいてあげてください。
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