カノコスズメの生態
カノコスズメは、スズメ目カエデチョウ科キンセイチョウ属の小さな鳥、いわゆる「フィンチ」の一種です。
体長はオス、メス共に10㎝ほど。日本の町中で見かける一般的なスズメは、およそ15㎝ですので、カノコスズメはかなり小さい印象です。
あまりポピュラーではありませんが、個性的な魅力たっぷりのカノコスズメ。その生態について、詳しく紹介していきます。
◆カノコスズメの原産国・生息地
カノコスズメの原産国はオーストラリアです。
生息地は、オーストラリア北部や東部。乾いた草原地帯や低い木の多い林に主に生息していますが、近年は人家の周辺や公園でもカノコスズメの姿が見られています。
カノコスズメの特徴
◆カノコスズメの外見
カノコスズメは地味な色合いをしています。白い顔に黒い模様、背中は褐色で、クチバシは薄いブルーグレーです。
特徴的なのは、カノコスズメの白い顔をぐるりと縁取る黒いライン。このラインの効果で、まるで皇帝ペンギンの赤ちゃんやフクロウにも似て見えるカノコスズメは、海外では「フクロウスズメ」の愛称で呼ばれています。
ちなみにカノコスズメの海外での正式名称は「Doble-barred finch(2本筋の入ったフィンチ)」。顔周りと胸元にも1本黒いラインが入っていることから、見たままの名前を付けられたのですね。
カノコスズメの胸元のラインは、オスの方がメスよりやや太目であるといわれていますが、それだけで性別を完全に判断できるほど、はっきりとした違いではありません。
カノコスズメのもうひとつの特徴は、風切り羽根にあります。
茶褐色の羽根に点々と浮かぶ、子鹿のバンビのような白い斑(まだら)模様を「鹿の子模様」と呼ぶことから、カノコスズメの名前がつきました。
また、カノコスズメのクチバシは円錐形です。これはフィンチ類の特徴で、穀類を食べるのに適した形となっています。
◆カノコスズメの性格
カノコスズメは警戒心が強く臆病ですが、温和な性格をしています。協調性も備えているので、複数飼育も可能です。上野動物園のバードコーナーでは、数種類の鳥とも仲良く同居している姿が見られます。
しかし、カノコスズメはヒナの状態でペットショップに出回ることが非常に少ない品種で、成鳥から手乗りになる可能性はあまり期待できません。過度なコミュニケーションはカノコスズメにとってストレスになってしまいますので、手乗りよりも観賞向きのフィンチといえるでしょう。
どうしても手乗りに育てたい場合は、カノコスズメを繁殖させてみてはいかがでしょうか?カノコスズメの繁殖はそんなに難しくはないので、成鳥のペアを飼育して、ヒナの誕生を待ちましょう。ヒナのうちから慣れさせれば、手乗りのカノコスズメも夢ではありませんね。
◆カノコスズメの鳴き声
カノコスズメの鳴き声は、子猫のようだと評されます。「ピャー」のような「ミャー」のような愛らしいさえずりは、癒しの効果抜群です。
どちらかというと、メスよりもオスの方がよくさえずるという説もあります。
◆カノコスズメの特技
小さいながら、カノコスズメは飛翔力に優れたフィンチです。放鳥時にその美しい飛翔を楽しんでみてはいかがでしょうか?
ちなみにカノコスズメの足の指は「三前趾足(さんぜんしそく)」。これは前に3本、後ろに1本指がある足の形です。これはフィンチの特徴のひとつで、ピョンピョン飛び跳ねるように移動するかわいい姿が見られますよ。
カノコスズメの値段は?
カノコスズメの値段は、単体では10.000円~15.000円くらいです。ペアで販売されることが多く、価格は20.000円~30.000円ほどになります。
一般的なペットショップでは取り扱われることは少ないので、大型のペットショップやオウムやインコなどを扱う専門店、またはブリーダーからの入手が一般的です。
ペットショップやブリーダーによっては、カノコスズメをヒナから手乗りに育てているところもあります。その場合は人件費や手間賃などが加味されますので、少し高めの価格設定となるでしょう。
カノコスズメに適した飼育環境は?
カノコスズメにおすすめの飼育環境は、直射日光や空調の当たらない、落ち着ける場所です。
そしてカノコスズメの飼育に必要なグッズは、次のようなものです。
- 鳥かご(ケージ)
- 餌入れ
- 給水器
- 菜挿し
- 止まり木
- 水浴び容器
- 保温器具
それぞれの飼育用品について、詳しく説明していきます。
◆鳥かご
竹製やプラスティック製のものもありますが、カノコスズメの飼育にはさびない金属製がおすすめです。ステンレス製の鳥かごなら丸洗いもできるので、清潔な環境を保てます。
鳥かごのサイズ選びにも悩んでしまいそうですが、基本的には「止まり木から止まり木へ羽根を広げて移動できるサイズ」がベストとされています。飼育するカノコスズメの数にもよりますが、1~2羽なら30×30×50㎝くらいのサイズが良いでしょう。
間口の開き方や底板の形状などを比較して、掃除や世話がしやすいものを選んでください。
◆餌入れ
鳥かごに付属してあるものでも良いですが、別で用意するならカノコスズメにひっくり返されないよう重みのある安定したものがおすすめです。
主食のフィンチ専用フードとは別に、ボレー粉用も容器があると便利ですね。
◆給水器
鳥かごに付属している水入れは、カノコスズメが水浴びをしてしまうかもしれません。汚れた水を飲んでしまうと健康を害する危険もあるため、給水器の使用をおすすめです。鳥かごの外側に取り付けられる給水器なら、衛生的で水の交換も手軽に行えます。
◆菜挿し
コマツナや豆苗などの葉野菜を与えるのに、菜挿しがあると便利です。
◆止まり木
止まり木にもさまざまな太さがありますが、最適なのは円周の3分の2ほどを握れる太さだそう。中でも自然木でできたものがおすすめなのは、自然木なら場所によって太さが異なるからです。太さが均一の人工の止まり木よりも足に負担をかけません。
◆水浴び容器
水浴びは、カノコスズメのストレス解消と健康維持のために必要です。水浴び容器は忘れず用意してください。
◆保温器具
カノコスズメは寒さに弱い品種ですので、ヒートランプやバードヒーターなどの保温器具を使用しましょう。
カノコスズメの飼い方
カノコスズメの飼育難易度は、文鳥やジュウシマツとほとんど変わりません。鳥の飼育初心者にも飼いやすい種類といえます。
◆カノコスズメのごはんについて
カノコスズメの主食はフィンチ専用の混合フードです。粟やヒエ、キビなどのミックスシードで、殻付きのものと殻のむいてあるものがありますが、おすすめなのは殻付きです。殻をむくことがカノコスズメにとってちょっとした遊びになりますし、殻のむいてあるものに比べて栄養価も高く、鮮度の持ちも良いからです。
ごはんの頻度は、餌入れを確認して判断します。フードのパッケージに記載されている量よりもやや少な目に与えておいて、食べきると新しいものに交換すると良いでしょう。
栄養バランスを整えるためには、ボレー粉やカトルボーンを使います。ボレー粉はカキの殻をカトルボーンはイカの甲をそれぞれ粉にしたもので、どちらもカルシウムやミネラルの補給に効果的です。
さらに副食として、コマツナやチンゲンサイ、ニンジンなどの野菜を。カノコスズメはリンゴやバナナなどの果物も好みますが、水分の多いものは避けるようにしてください。
その他カノコスズメにNGな食べ物は、ホウレンソウやネギ類です。チョコレートなどカフェインが含まれるものも絶対に与えないようにしましょう。
◆カノコスズメのトイレについて
残念ながら、カノコスズメにトイレの場所を覚える習性はありません。
放鳥時に排泄物で部屋を汚されることもありますが、汚れた場所は早めに拭き取るようにしましょう。うっかり放置してしまうと、排泄物が固まって取りづらくなってしまいます。
◆カノコスズメのお手入れについて
カノコスズメは、水浴びで自分のお手入れをしてくれます。水浴びは、身体を清潔に保つだけでなく、体温調節やストレス発散、運動不足の解消にも役立つとても大切な習慣です。水浴び容器を用意するだけなので、飼い主は楽ちんですね。
健康維持には日光浴も大切ですが、直射日光が当たる場所では熱中症や日射病の危険があります。朝の陽射しのやわらかい時間帯や、カーテン越しに日光浴ができる場所に出してあげましょう。
カノコスズメ飼育の注意点
カノコスズメに限りませんが、小鳥の飼育で事故が起こるのは、ほとんどが放鳥時だといわれています。
閉まっている窓に激突してしまったり、カーテンのレースに引っかかったり、家具の隙間に足を挟んだり。防ぎきれない事故もありますが、トラブルが起きたときにすぐに気が付けるように放鳥時は常に愛鳥を見守りましょう。
また放鳥する前には、窓やドアが閉まっていることを必ず確認してくださいね。
カノコスズメに関するまとめ
シンプルながら個性的な模様がかわいいカノコスズメは、初心者にも飼いやすい種類の小鳥です。
臆病なので手乗りにはなりにくいですが、繁殖させてヒナから手乗りに育てる楽しみ方も。あまりポピュラーではない品種なので、入手には大型のペットショップかブリーダーに相談してみてくださいね。
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