【掲載:2021.03.01 更新:2024.01.31】
ハムスターの歯の構造
ハムスターの歯をまじまじと見たことがある人は少ないのではないかと思います。
ハムスターは何本の歯を持っているかご存知でしょうか。
上あごと下あごの切歯が2本ずつ、上あごの大臼歯が左右に3本ずつ、下あごの大臼歯が左右に3本ずつ、合計16本の歯を持っています。
「ハムスターの歯」として印象が強い、発達している前歯は切歯にあたります。
ハムスターは切歯を使って硬いものを削ったり、割ったりします。
食べ物の長さを食べやすいように短くして口の中に入れます。
そして大臼歯を石臼のように使って食べ物をすりつぶすことで摂食をします。
切歯の表面のエナメル質にはミネラルが沈着しているため黄色くなっていますが正常です。
奥歯は白色になっています。
犬歯や小臼歯は持っていないため、前歯と奥歯の隙間が大きく開いています。
下あごの切歯は上あごの切歯の3番以上の長さがあります。
冒頭でもお伝えした通り「常生歯」と呼ばれており、歯を伸ばす細胞が歯根に密集しているため常に伸び続けます。
なお奥歯である大臼歯は伸び続けません。
基本的にはハムスターの歯が伸びすぎてしまうことはありません。
しかし不正咬合という状態になることで伸びすぎてしまう場合があります。
ハムスターの歯の不正咬合について
不正咬合(ふせいこうごう)とは上下の歯がきちんと咬み合っておらず正しく嚙むことができない状態です。
ハムスターの歯は骨に緩く結合しているため、上下の切歯がお互いに異常な方向から力をかけることで咬み合わせがおかしくなってしまいます。
ハムスターでは先天性で咬合不良であることは稀です。
金属製ケージの金網をかじることや外傷による切歯の破損が原因であることが多いです。
この他にもカルシウム不足、柔らかい餌ばかり摂取をすること、老化による歯茎の衰弱も原因として挙げられます。
咬み合わせが悪くなることで口が閉じられなくなってよだれが垂れたり、歯肉から出血する場合があります。
また次にご紹介をする過長歯の大きな原因となっています。
ハムスターの過長歯について
過長歯(かちょうし)とは切歯が長く伸びた状態です。
基本的には、餌を食べるときに上下の切歯が当たることで削れるため歯が伸びすぎるといった問題が起こりません。
しかしペットとして飼われているハムスターは、柔らかい餌を食べることが多く歯が伸びすぎてしまうことがあります。
先ほどお伝えした通り、不正咬合になり上下の歯が咬み合わなくなることで伸びすぎてしまうケースもあります。
特に上あごの切歯は湾曲が強いため、円を描くように伸び続けてしまうことがあります。
湾曲して口の内部に向かって伸びた切歯は口腔内を傷つけたり刺さってしまう恐れがあり、大変危険です。
過長歯は折れやすくなるためどこかに引っかけた際に折れてしまう場合があります。
折れた切歯が伸びなくなってしまったり、傷口から菌が入ったり、歯根に感染を起こす恐れがあります。
また過長歯の影響で餌が食べにくくなることで、衰弱してしまう恐れもあります。
ハムスターに餌を与えても喜ばなくなったり、餌を食べにくくしている場合や、与えた餌が減っていない場合には過長歯を疑いましょう。
ハムスターの歯が伸びたらどうする?
ハムスターの歯が伸びていることに気づいた際にはどうしたらよいのでしょうか?
基本的には伸びた歯を定期的にカットするしかありません。
しかしハムスターの歯には神経が通っているためカットが難しいです。
正しい知識がない状態で飼い主さんがカットすることはあまりおすすめできません。
歯が伸びすぎていると感じた際には早急に動物病院に連れて行って、処置を受けましょう。
歯をカットする頻度はハムスターの歯の状態によります。
短い場合は2週間ごと、長い場合は2か月ごとが目安となります。
また歯をカットする際に麻酔をかけて行う方法と麻酔をかけないで行う方法とがあります。
それぞれの方法にメリットとデメリットがあります。
麻酔をかけてカットを行う方法では、麻酔をかけることに対してのリスクがあります。
しかし短い時間で正しく短く歯をカットすることができます。
逆に麻酔をかけないでカットを行う方法では、ハムスターが暴れることで怪我をしたり歯が割れてしまうリスクがあります。
場合によっては誤って歯でなく舌をカットしてしまう恐れもあります。
しかし麻酔をかけることによってハムスターの身体に負担がかかるリスクはありません。
歯をカットする頻度や麻酔の有無については獣医師さんと相談をして決めましょう。
歯をカットした後は、カット前のようにハムスター自ら餌をカットして小さくすることができなくなります。
飼い主さんは、ペレットや種子類の餌を割り砕いて食べやすいサイズにしたり、野菜を小さくカットして与えてください。
ハムスターの歯の伸びすぎ予防法
続いて、ハムスターの歯が伸びすぎることを予防する方法をご紹介します。
◆日頃から歯の状態をチェックする
まずは第一に飼い主さんが「ハムスターの切歯が伸びているか?」の確認を普段から行うことが大切です。
日頃から歯の長さをチェックすることで正常な状態を把握しましょう。
歯のチェックをするにはハムスターの首の後ろの皮膚を指でしっかりと挟んで持ち上げます。
ハムスターが身動きをとれなくなることで歯が見やすくなります。
しかしこの持ち方はハムスターにとってストレスがかかりやすいので、短時間で確認をするようにしましょう。
ハムスターの体調が悪そうな時には、くれぐれも無理をさせないようにしてください。
◆かじり木を使用する
ハムスターは本能的にものをかじる習性があります。
全くものをかじらせないようにすることはとても難しいです。
そのため、かじってもよいかじり木を与えることで歯が異常な伸び方をしてしまうことを防ぎます。
かじり木はハムスターによって好みが違います。
最初に与えたかじり木を気に入っていない様子が見られる場合は、違う素材のかじり木を与えてみましょう。
また、かじり木以外にも木製の小屋やおもちゃ等をかじることもあります。
ケージ内に配置する「かじってよいもの」を増やすことをおすすめします。
◆飼育環境を見直す
先ほどご紹介した通り、歯が負けてしまうような金網をかじることで変な方向に歯が伸びてしまう恐れがあります。
金網素材のケージを使用している場合は今一度ハムスターの様子を観察してください。
頻繁に金網部分をかじっている様子が見られる場合は、アクリルやガラスでできている水槽タイプのケージに替えましょう。
天井部分だけに金網が使用されているタイプのケージを使用している場合はケージ内のレイアウトを見直しましょう。
ハムスターが天井に届かないように、ケージ内部の物の配置を変えることをおすすめします。
また、ハムスターがものをかじるのはストレスが溜まっている場合であることが多いです。
ストレス発散のために、回し車やトンネルを多く設置して遊ばせてあげましょう。
散歩をする頻度を高くすることもおすすめです。
◆与える餌を見直す
柔らかい餌を頻繁に食べることで歯が伸びやすくなってしまいます。
ハードタイプのペレット、ヒマワリの種、クルミといった硬い餌は切歯をよく使用して食べるため、歯の伸びすぎを防ぐことができます。
種子類はカロリーが高いものが多いので与えすぎには注意してください。
基本的に硬めのペレットを与えるようにし、柔らかい餌は少量だけ与えるようにしましょう。
まとめ
今回はハムスターの歯について、構造や病気等をご紹介をしてきましたが、いかがでしたか。
ハムスターの歯が伸びた時にどうしたらよいのか?伸びないようにどう予防したらよいのか?疑問に思っている方の参考になれば幸いです。
人間と同様にハムスターも歯に疾患がある場合には食事を楽しめなくなってしまいます。
飼い主さんは、日頃からハムスターの歯の健康チェックを行うようにしましょう。
また、ハムスターが歯の病気になった場合に治療をした後には、飼い主さんの協力が必要不可欠となります。
与える餌そのものや、与え方等を工夫してサポートしてあげましょう。
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