1.ハムスターの頬袋の役割
2.ハムスターが頬袋に食べ物を入れる理由
2-1.野生のハムスター
2-2.ペットのハムスター
3.頬袋の中の食べ物は腐る?
3-1.ご飯の与え方や掃除の仕方を変える
3-2.頬袋の中身を手で押し出す、首の後ろを掴む
3-3.綿棒でかき混ぜる
ハムスターの頬袋の役割
まずは頬袋の概要と、役割についてご説明します。
頬袋とは一部の哺乳類でみられる、顔の両側の口腔内にあるポケットのことです。
ハムスター、リスといったげっ歯類の一部、ニホンザルといった霊長類の一部、コアラといった有袋類の一部が持っています。
ハムスターの頬袋は伸縮性が特に高く、食糧を詰め込むことで肩甲骨のあたりまで大きく膨れます。
平均的には、顔の大きさが2~3倍に見えるほど詰め込むことができます。
量としては、個体によって差はありますが体重の半分以上の食べ物を入れることができます。
ゴールデンハムスターには、ヒマワリの種を200個ほど詰められる子もいるそうです。
頬袋の役割としては、食べ物を詰め込み、巣まで安全に運び、貯蔵をすることです。
一言で表現するならば「食べ物を運ぶかばん」のようなものですね。
頬袋をもつ動物は、前足を使って食べ物を詰め込んだり、詰め込んだものを取り出したりします。
ハムスターが頬袋に食べ物を入れる理由
ハムスターが頬袋に食べ物を入れるのはどうしてなのでしょうか?
その理由についてご紹介していきます。
◆野生のハムスター
野生の環境下では、ハムスターは地下の巣穴で生活をしています。
そのため、地上で手に入れた食べ物や、寝床作りに使用する牧草や木くずを詰め込んで巣に持ち帰ります。
野生では食べ物が常に豊富に得られるとは限らないので、貯蔵の役割も重要となります。
一度口の中にいれた食べ物を吐き出すことは汚いのではないか?と思われがちですが、ハムスターにとってはマーキングの役割があります。
自分のにおいがつくことで安心できるといわれています。
巣まで運ぶ間に食べ物が分解されないように、唾液の分泌を抑えることもできるようです。
野生の状況下では、天敵から逃げる際や命の危機を察知した際には、身体を軽くして逃げることに徹するために頬袋に詰め込んだものをすべて吐き出すこともあります。
◆ペットのハムスター
ペットで飼われているハムスターも集団で生活をしている場合は、他のハムスターに食料を取られることを防ぐために食べ物を頬袋の中に詰めっぱなしにする傾向が強いと言われています。
そのため嗜好性の高い食べ物を与えると、長期にわたって食料を入れっぱなしにする可能性があります。
また本能として巣箱の中に床材を運んだり、お気に入りのご飯を持ち帰って貯めこむために頬袋を使用する子もいます。
頬袋の中の食べ物は腐る?
ハムスターが頬袋の中に入れた食べ物は腐ってしまう心配はないのでしょうか?
頬袋の中の食べ物は1日程度入れっぱなしにしている状態ならば、腐る心配はありません。
しかし、何日間も入れっぱなしにしている場合は腐ってしまう恐れがあります。
ハムスターは通常では巣などの安心できる場所で、前足を使って器用に頬袋を押し出し、中身を取り出します。
しかし、詰め込みすぎが原因で自分で取り出せなくなってしまう場合があります。
また、興味のあるものを頬袋に入れてしまう習性から部屋の中のゴミを詰めてしまう恐れもあります。
それによって、食べ物が頬袋の中で腐ってしまうことがあります。
対処法として3つの方法が挙げられます。
◆ご飯の与え方や掃除の仕方を変える
ハムスターが自ら食べ物を出さない場合は、安心してご飯を食べられる環境ではないと感じているためと考えられます。
具体的には、こまめにケージを掃除しすぎて巣箱の中にため込んだ食べ物を片付けてしまう等です。
これにより、ハムスターは食べ物を貯蔵してもすぐに取られてしまうという不安を抱えてしまいます。
そして頬袋から食べ物をなかなか出さなくなってしまいます。
掃除の間隔や巣箱の中身を片付ける頻度を変更して、給餌皿に常に食べ物がある環境を作るとよいでしょう。
◆頬袋の中身を手で押し出す、首の後ろを掴む
頬袋の中身を吐き出しやすくする方法です。
ハムスターは食べ物を頬袋から吐き出す際に前足を使って後ろの方から押し出します。
頬袋をつまんで、優しく数回ほぐすようにしましょう。
強く押し出してしまうと頬袋が傷ついてしまうので、絶対に力を入れないように注意してください。
数回に分けて、位置を変えながらマッサージするように行ってください。
中で固まっている食べ物がほぐれることで吐き出しやすくなります。
また、頬袋に沿って背中側(首の後ろ)にある皮をつまんで軽く持ち上げることでも吐き出しやすくなります。
マッサージをする方法でうまくいかない場合は、一度こちらの方法を実施してみてください。
皮が引っ張られることで頬袋の中身が動くので食べ物が出やすくなります。
ただし、ハムスターの正しい持ち方ではないため持ち上げる時間は3秒程度にしてください。
長時間持ち続けることでハムスターにストレスを与えてしまいますので、様子を見ながら注意をして行ってください。
◆綿棒でかき混ぜる
こちらの方法は基本的には飼い主さんではなく獣医師が行う方法となります。
頬袋の中に直接綿棒を入れてかき混ぜることで食べ物を出します。
ハムスターが嫌がる方法で怪我の危険もあるため、飼い主さんが行う場合には必ず獣医師の指導の下で行ってください。
頬袋の中の食べ物が腐ることで次にご紹介する「頬袋脱」の原因にもなってしまいます。
飼い主さんは日頃から「ハムスターが頬袋に食べ物を入れすぎていないか?何日も入れっぱなしにしていないか?」を観察しましょう。
頬袋が口から飛び出す「頬袋脱」とは
続いて「頬袋脱」という現象についてご説明します。
◆どんな現象なのか
頬袋が反転をすることで口腔内から脱出してしまう現象を「頬袋脱」といいます。
脱出したままの頬袋は乾燥をし壊死してしまう恐れがあります。
口からピンク色の頬袋が大きく飛び出して見えるため、すぐに発見できます。
頬袋脱はゴールデンハムスターよりもドワーフハムスターの方が発生しやすいです。
これは頬袋の構造の違いが理由となっています。
ゴールデンハムスターの頬袋の内側には微細な毛が生えています。
そのため餌を出す際に頬袋にくっつきにくく、頬袋が反転をしにくい構造となっています。
これに対してドワーフハムスターの頬袋の内部には微細な毛が生えていません。
そのため餌を出す際に餌が頬袋にくっつきやすく、反転や脱出が起こりやすいです。
急に発生することも頬袋脱の特徴として挙げられます。
発生するとハムスターは頬袋を口に押し込んだり引っ張ったりという行動を繰り返します。
一度頬袋が正常な位置に戻ったように見えても、しばらく経つと再び飛び出していることもあります。
飼い主さんは注意深く観察を行う必要があります。
◆原因
頬袋脱は頬袋粘膜の炎症が原因で発生します。
その炎症の原因としては2つあります。
①腫瘍や感染による炎症
②食べ物の摂取による炎症
口腔内で溶ける食べ物、やわらかい食べ物、刺激の強い食べ物の摂取が原因で炎症が起こります。
食べ物を長期間詰めっぱなしにすることでも炎症が起こりやすくなります。
◆治療
損傷が軽い場合は、頬袋の腫れをおさえて綿棒などを使って正常な位置に戻します。
損傷が激しい場合や腫瘍や化膿が原因である場合は、麻酔をかけて手術によって頬袋を切除することが最良とされています。
頬袋は食べ物の貯蔵や運搬の役割があるのに切除してしまってよいのか?と心配になる飼い主さんもいらっしゃると思います。
しかし、頬袋は切除をしてもしばらく経過をすると再生をするので問題ありません。
頬袋脱が発生してから時間が経過してしまうと損傷が激しくなってしまいます。
それに伴って治療も難しくなってしまうので、発見をしたら早めに動物病院に行って相談や治療をしましょう。
◆予防
原因の②で挙げたような食べ物を与えないようにしましょう。
また、詰めっぱなしにする傾向の強い嗜好性の高い食べ物を与えすぎないことも大切です。
ご飯を与えた後は、頬袋に詰め込みすぎずにしっかりと食べているかを確認しましょう。
まとめ
今回は、頬袋の役割や仕組みについてご紹介をしてきましたが、いかがでしたか。
頬袋が何のためにあるのか?仕組みはどうなっているのか?ハムスターはなぜ頬袋に食べ物を入れるのか?と疑問に思っていた方の参考になれば幸いです。
頬袋はハムスターにとって機能的な役割がある反面、食べ物の詰め込みすぎや詰めっぱなしが原因で頬袋脱が発生していまう恐れがあります。
飼い主さんは、日頃から与える食べ物に気を付けたり頬袋の状態をこまめにチェックしたりハムスターのことを気にかけてあげましょう。
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