1.野生のデグーの生息環境
2.デグーに砂浴びをさせたほうがいい？
2-1.身体の汚れを落とす
2-2.ストレス発散
2-3.運動不足解消
4.デグーの砂浴びの注意点
4-1.常設しない
4-2.市販の砂浴び用の砂を使用する
4-3.適度に新しいものへ交換する
5.デグーが砂浴びをしないときは？
5-1.砂の種類を変えてみる
5-2.砂入れの形を変えてみる
5-3.環境を変える
5-4.砂以外のものを代用する
野生のデグーの生息環境
野生のデグーは、チリのアンデス地方に生息しています。アンデスの中でも標高1,200~2,000mほどの乾燥した岩場や崖の多い環境で生活していると言われ、昼間は高温でも夜になると0℃近くまで気温が下がることがあるとても過酷な環境です。
飼育下では寿命が6~8年ですが、野生のデグーの寿命は1~2年ほどと言われています。そのことからもいかに自然界での生活が過酷なものか想像できますね。
デグーは比較的暑さには強いですが、多湿には弱く、また、寒さにも弱い動物です。特に多湿な日本の夏や、気温が大きく下がる冬には体調を崩しやすくなるので対策が必要です。
過酷な環境はデグーだけでなく、デグーが食べる食物にも影響を与えます。デグーは完全な草食動物ですが、生息地であるアンデス高原の乾燥した岩場は不毛で栄養豊富な植物が生い茂る場所とは到底言えません。ですが、デグーはその環境にもうまく適応しており、粗食に強い動物です。逆を言えば、栄養価が豊富な種子や、糖分の多い果実などを大量に与えてしまうと上手く消化できずに病気の原因となってしまいます。
デグーに砂浴びをさせたほうがいい？
よく、砂浴びは人間で例えるとお風呂に入るようなものと言われていますが、デグーが砂浴びをする効果は身体を清潔に保つというものばかりではありません。実はその他にもデグーが砂浴びをする理由はたくさんあります。
◆身体の汚れを落とす
ケージの中で生活しているとどうしても排泄物や食べかすがついて汚れてしまいます。特にデグーはトイレを覚えないため、ケージの至る所で排泄します。まわし車で運動している最中にもしてしまうほどです。そのため、汚れは手足だけでなく身体中に広がってしまいます。デグー自身も手で毛繕いをしますが、落としきれない汚れは砂に擦りつけることによって落とすことができます。
また、デグーは人間と違い身体に汗をかかない動物ですが、それでも皮脂の分泌や被毛の生え替わりは日常でおこなわれています。そういった不要なものを落とすためにも砂浴びはとても効果的な行動なのです。
◆ストレス発散
自分では手の届かない場所がムズムズするとき、身体を転がして擦りつける行動自体にストレスを発散する効果があります。特にケージの中で一日の大半を過ごすデグーにとっては同じ環境が長時間続くため、メリハリの少ない状態になってしまいます。そんな時に普段ケージにないような素材が置かれるとデグーの好奇心を誘い、視覚や嗅覚、触覚など、様々な感覚器が刺激されます。ストレスは、直接的な違和感を解消することだけでなく、五感が程よく刺激されることによっても発散されるのです。
◆運動不足解消
野生のデグーは、地面の比較的浅いところに巣穴を掘って生活しています。そのため土を掘る作業を本能的に好みます。砂浴び用の砂を深めの瓶に入れてあげると中に入って掘るような行動をとることがあります。これもデグーにとっては回し車でできる身体の使い方とは違った良い運動になっているのです。砂が飛び散るからと嫌がらず、思う存分掘らせてあげて下さい。
飼育されているデグーは食べることや寝る場所の確保に何の心配もいりません。しかし、一見、何も不自由のない生活のようでも長く続くと心身に弊害をもたらすこともあるのです。生きるために運動し、試行錯誤し、働くといった行動そのものがどの動物にとっても重要なことなのです。
デグーに砂浴びをさせる頻度
砂浴びの目的がデグーの身体を綺麗にするためでしたら、頻度は週3~4回あれば十分でしょう。しかしこれは、ケージ内が清潔に掃除されているときの場合です。デグーはとても綺麗好きな動物です。1日に何度も砂浴びをしたがる個体もいますので、デグーと相談して決めるのが良いでしょう。
また、砂浴びの目的が遊びや運動でしたら毎日させてあげると喜びます。
デグーの砂浴び方法
デグーに砂浴びさせる際に思わぬトラブルを招かぬよう、いくつかポイントをおさえておきましょう。
◆常設しない
砂浴びを頻繁にさせたいからといって砂浴びケースをケージ内に常設することはお勧めしません。常設することで、砂の上にエサを持ち込んで一時的に保管しようとする個体がいます。通常は砂がついていてもうんちと一緒に排泄されるのですが、何らかの原因で上手く排泄されずに腸に詰まってしまい、最悪の場合、腸閉塞の原因となることがあります。
また、砂浴びの砂をトイレとして好んで活用してしまう個体もいます。綺麗にするための砂が糞尿で汚れてしまっては本末転倒ですよね。
◆市販の砂浴び用の砂を使用する
海岸の砂や、ガーデニング用など、砂は意外といろんなところで手に入るものです。ですが、砂浴びさせるための砂は必ずペットの砂浴び専用に販売されているものを使用しましょう。
屋外にある砂には様々な菌やゴミがついています。感染症の原因となってしまうこともありますので、絶対に使用しないでください。
◆適度に新しいものへ交換する
身体が砂に触れるとつい排泄が促されてしまうものです。すくって取り除ける汚れはその都度取り除いて下さい。しかし、目に見えない汚れは段々と蓄積していくものです。見た目は綺麗でも雑菌が繁殖していることもありますので、常設していない場合でも最低で月に2度ほどは砂を入れ替え、容器を洗うようにして下さい。
デグーが砂浴びをしないときは？
ほとんどのデグーは砂浴びが大好きで、砂を用意すると好んで容器に入っていきます。しかし、中にはなかなか砂浴びをしなかったり、砂浴び用の容器に近づこうとしない個体もいます。
原因はその個体の性格や飼育環境によっても異なりますので、よく観察して何が原因となっているのかを見つけてあげましょう。
◆砂の種類を変えてみる
砂浴び用の砂といっても、商品によって砂の粒の大きさや匂い、素材など特徴が違うものです。砂浴び用の入れ物に入ってもすぐに出てきてしまう場合には砂が気に入らないことも考えられます。その場合にはいくつか砂の種類を用意してみると良いでしょう。また、数種類の砂を混ぜたものが気に入るケースもありますので、単品で使用して気にいるものがなければ、混ぜて与えてみましょう。
◆砂入れの形を変えてみる
一般にデグーの砂浴びはとても大胆で、砂を四方へまき散らかしてしまいます。そのため砂浴び用のケ容器は入り口が広いボトルタイプで十分な深さがあり、ある程度重みのあるものがおすすめです。
しかし、中には高低差があるものを怖がったり、砂場の広さを重視する個体もいます。高低差を気にするようであれば容器の外側にステップをつけて様子を見ましょう。
また、ある程度の広さを確保すると、土を掘るような行動をしているうちに砂浴びの楽しさを見つけたりすることもできます。砂浴び用のプラケースを用意して中に砂を入れてみるのも効果的です。
◆環境を変える
砂浴びをするときのデグーは無防備になります。そのため安全が確保されている環境でなければ到底砂浴びをしたいとう気持ちにもならないでしょう。デグーが安心して砂の上で転がれるよう、落ち着ける場所であるか、近くに騒がしいものがないか、猫のような捕食する動物を同室に入れていないか、などもチェックしてみて下さい。
また、砂浴び用の砂を直射日光の当たるところに置いて温めたり、逆に涼しい環境で冷たくしてみるなど、室内の気温のバランスを見て温度を変えてあげることもメリハリになって砂浴びのきっかけを助けてくれます。
◆砂以外のものを代用する
身体の汚れを取るものは砂だけではありません。どうしても砂浴びをしてくれない場合には思考を変えて他のもので代用してみるのも良いでしょう。しかし、知識がない状態で試すのは危険を伴います。代用するものはデグーにとって害のない天然素材のもにして下さい。
ケージの床が網状タイプであれば床材を敷いた別のプラケースに入れてみましょう。動いたり穴を掘ったりする行動は、砂遊びと同じような効果があります。
ハウスに床材を入れると、より自分の好みにあった形にしようと、せっせと形を作ります。その作業の工程が自然と毛についた汚れを取ったり、良い運動にもなります。
また、飼い主さんにベタ慣れしているデグーであれば、飼い主さんに優しく撫でてもらうことが大好きな子がほとんどでしょう。普段のスキンシップの際に乾いたタオルで包んで撫でるだけでもある程度の汚れは取れます。また、歯ブラシの先でブラッシングしてもらうのを好む個体もいます。急に歯ブラシをかざすと怖がってしまいますので、まずは歯ブラシに恐怖心を抱かせないように少しずつ慣らし、気にしないようになったらブラシの先で優しく首元や脇の下をブラッシングしてみて下さい。きっと気に入ってくれますよ。
以上のことからも、何を試しても砂浴びをしないデグーは、そもそも普段の環境が砂浴びで得られる効果を満たしているために、あえて砂浴びをする必要がないということも考えられます。
とはいえ、そのようなケースは稀でしょうから、まずは飼育している環境を様々な視点から見てみることが大切です。
まとめ
砂浴びは、デグーにとって身体を清潔にする以外にもメリットがたくさんあります。日頃の管理に積極的に砂浴びを取り入れましょう。
なかなか砂浴びしないデグーには、砂浴びの目的と得られる効果を知って、問題点を見つめると対策が考えやすくなりますよ。
– おすすめ記事 –
| ・【ハリネズミのケージ選び】どんなタイプがいい？おすすめは？ |
| ・モルモットには種類がいっぱい！見た目だけじゃない、品種ごとの違いを解説します |
| ・ハムスターが回し車で遊ぶ理由は？夜中の騒音を静かにするには？ |
| ・フェレットの種類や特徴、飼い方について紹介！必要なグッズは？ |
