1.ハムスターの習性
1-1.野生では単独行動
1-2.夜行性
1-3.縄張り意識が強い
2.ハムスターはなぜ共食いする?
2-1.ケンカによる共食い
2-2.親が子どもを食べてしまう共食い
【掲載:2021.05.31 更新:2022.08.26】
ハムスターの習性
まず簡単にハムスターの習性を見ていきましょう。ペットとして飼われている姿ではなく、野生で生活している様子をご紹介します。
◆野生では単独行動
ハムスターは野生の中では基本的に単独行動です。人間では考えられないことかもしれませんが、子どもをつくるときだけ異性と一緒にいて、オスは子育てをせずに他の場所へ行ってしまいます。
◆夜行性
ハムスターは昼間ずっと寝ていて、夜に活動します。人間が寝ている間に回し車をカラカラと走り回っていることが多いのは夜行性だからです。そのため、無理に人間の生活リズムに合わせた不規則な生活をさせてしまうとすぐに体調不良になってしまいます。
◆縄張り意識が強い
種類によりますが、多くのハムスターはとても縄張り意識が強く、気性が荒いです。ハムスターには臭腺があり、自分の縄張りにニオイを付けることができます。そうすることで自分の縄張りを認識し、自分の縄張りに入ってきた敵は同じハムスターであっても徹底的に追い出そうとします。
ハムスターはなぜ共食いする?
ハムスターの共食いには大きく分けて2種類あります。
ケンカによる共食いと親が子どもを食べてしまう共食いです。
◆ケンカによる共食い
●原因:縄張り争い
ハムスターの共食いで多いのが、縄張り争いの末の共食いです。ハムスターの性質として、「縄張り意識が強くて気性が荒い」と説明しましたが、飼い主様がハムスター同士の争いを気にすることなく多頭飼いをしているとケンカが発生します。
ハムスターのケンカは優しいものではなく、命を懸けた本気の勝負です。普段の可愛らしい見た目からは考えられないくらい、歯を剥き出しにしながらキーキーと声をあげて相手を威嚇します。他の動物では仲良くじゃれあっている様子が見られますが、ハムスターはあまりじゃれあうことなく、本気で噛みついたり血だらけになったりする殺し合いのケンカをします。
もちろん野生でも縄張り争いが発生しますが、野生ではケンカに負けた方は逃げることができます。しかし、同じケージでの多頭飼いでは逃げる場所もないので、ケージ内を永遠と追いかけまわされます。そのため死ぬまでケンカが発生し、負けた方が殺され、しまいには食べられてしまいます。
◆親が子どもを食べてしまう共食い
●原因①:飼い主様が与えているエサが合っていない
ハムスターがエサを食べていない、もしくは残してしまう場合はエサが合っていない可能性があります。必要な栄養が摂取できておらず、自分の生存のために産んだ子を食べてしまいます。
また、エサの量が少ない場合も共食いは発生するので、飼い主様はしっかりとハムスターの反応を見ながらエサの質や量を考える必要があります。
●原因②:子どもを厳選するため
ハムスターは出産してすぐにへその緒を食べて赤ちゃんを胎盤から切り離します。その際に赤ちゃんが鳴けば正常、鳴かなければ弱っている(死んでしまっている)と判断しています。
ハムスターは元々、少ない食料を食い繋いで生存してきた種ということもあり、しっかりと生きていけると判断できた赤ちゃんのみに栄養を与えます。その遺伝を受け継いで、弱っている子どもを見かけると親が食べてしまうのです。
●原因③:人間のニオイが赤ちゃんについたため
ハムスターは自分の子どもをニオイで判断しています。赤ちゃんが可愛いからといってむやみに触ってしまうと、飼い主様のニオイがついてしまい、母親は自分の子どもだと判断できなくなってしまいます。自分の知っているニオイのハムスター以外は全員敵とみなす習性から、自分の子どもだと気づかないうちに食べてしまうのです。
●原因④:ストレスを感じたため
ハムスターは元々周りの状況に敏感な反応を示す動物ですが、妊娠中から出産後にかけてさらに敏感になります。出産したあとのハムスターが何かの原因でストレスに感じることがあれば、その衝動から子どもを食べてしまうことがあります。飼い主様がいきなりケージを移動させたり、敷物を変えたりすることもハムスターにとってはストレスに感じる原因となるので、必要最低限のお世話にとどめておきましょう。
ペットショップでは共食いは起こらないの?
ハムスターを多頭飼いしている方の多くが「ペットショップでも同じケージに何匹も入れて飼育しているから」という理由で飼育しているようです。しかし、縄張り意識が強いハムスターは基本的には多頭飼いできません。
ペットショップで多頭飼いができている理由は、「子どものハムスターを飼育しているから」です。ではなぜ子どもハムスターの多頭飼いは問題ないのでしょうか?
ハムスターは縄張り意識が強い動物ではありますが、子どものうちはまだその意識が薄く、穏やかな性格をしています。ハムスターは生後2か月ほどで縄張り意識が芽生えてくるので、飼い主様のもとで飼育され始めるタイミングから単独飼育が必要になってくるのです。
また、同じ親から生まれた兄弟がケージに入れられていることが多く、お互いのニオイに生まれつき慣れているということも要因となります。ハムスターにとってニオイを知っていることは共に生活している仲間という認識になるので、警戒心が薄いのです。
共食いを予防・対策するには
ハムスターが共食いを行う理由を知っていただけたと思いますので、ここでは共食いをさせないための対策方法を紹介します!
◆単独飼育
そもそも共食いは他のハムスターと同じケージ内に入れなければ起こりません。単独での生活が本来のハムスターの生態になるので、共食い防止のためにも単独飼育を行いましょう。
ただ、繁殖させる場合はずっと単独飼育することは不可能ですよね。その場合は、交尾の時だけ同じケージに入れ、交尾が終了したら別々のケージで飼育するようにしましょう。同じケージに入れている間は注意深く観察し、少しでもケンカをしそうな雰囲気であればすぐに別々のケージに移すようにしてください。
どうしても別々のケージが用意できない、広いケージで飼育したい、という方はそれぞれが縄張りを作りやすいような環境作りをしてあげましょう。柵などで仕切りを設けたり、ケンカが起きてもすぐに逃げられるようなスペースを作ったりするなど、工夫を凝らしてケンカを防止しましょう!
◆エサを十分に与える
ハムスターが出産後、子育て中は特にエサの栄養バランスに気を使いましょう。普段あげているエサよりも高カロリー、高たんぱくなエサだと理想的です。ハムスターのエサとしてはペレットをよく与えている方が多いと思いますが、野菜や昆虫、植物の種なども栄養が含まれているので、時々エサの種類を変えてあげると良いですよ!
エサが豊富かつ栄養バランスが整っていると、ハムスターは安心して子どもを育てることができるので、エサをあげられないから自らの子どもを食べるという悲しい行動を取らなくて済みます。
◆必要な場合以外は触らない
母親以外のニオイがついた赤ちゃんは食べられてしまうので、飼い主様はむやみに赤ちゃんに触らないようにしましょう。ケージを移す作業などでやむを得ず赤ちゃんを持ち上げる必要がある場合は、手袋をしてニオイがつかないような工夫をしましょう。
また、赤ちゃんに触らないようにするだけでなく、子育て中はケージ内の掃除もなるべく控えましょう。突然自分が子育てをしている縄張りを荒らされると、ハムスターは不安に感じ。ストレスが募ります。そのストレスから子どもを食べてしまうこともありますので、お世話をするときはエサや水、トイレの砂の交換を行う程度で問題ありません。
ハムスターが怪我してしまったら
ハムスターの強力な武器は「大きな歯」です。その歯で相手に噛みつき、出血させて倒します。興奮状態のハムスターは飼い主様にも嚙みついてきますが、その力はとても強く、なかなか離してくれません。噛みつかれた部分からは出血していることも多く、噛み跡もしっかりとつきます。
もし万が一、ケンカなどでハムスターが怪我をしてしまった場合、どのように対処したら良いでしょうか?
ハムスターは体が小さい分、体内の血液量も少ないです。出血が確認できた場合、人間には少量の出血に見えたとしても、ハムスターにとっては大出血を起こしているかもしれません。そのため、まずは止血することを優先しましょう。
ハムスターに使用できる消毒液や傷薬が販売されているので、綿棒を使って薬を塗り、応急処置をしましょう。ハムスターが薬を塗った部分を舐めてしまわないようにしばらく注意してみてあげてください。病院が開いている時間であればハムスターを連れて行き、獣医さんに診てもらうようにしましょう。
多頭飼いができるハムスターはいるの?
ほとんどの種類のハムスターは多頭飼いに向いていませんが、一部の種類は多頭飼いをしても共食いが起こるリスクが低いと言われています。
その代表例が「ロボロフスキーハムスター」です。ロボロフスキーハムスターは世界最小のハムスターで、全長5㎝・体重20gほどしかありません。よく飼育されているゴールデンハムスターが全長15㎝・体重100gほど、ジャンガリアンハムスターが全長8㎝・体重40gほどなので、かなり小さくて軽いことが分かりますね。
ロボロフスキーは他の種類よりも縄張り意識が低く、ケンカになることが少ないと言われています。ただ、ケンカになったときは他の種類と同じようにどちらかが死ぬまで噛み続けるので、共食いが全く起こらないというわけではありません。
もしどうしても多頭飼いをしたい場合は、子どもの頃から飼育することでお互いのニオイを覚えさせて警戒心を減らしておきましょう。また、広いケージに3匹以上で飼育をするとストレスが軽減され、上下関係が生まれにくくなるとも言われています。もちろん共食いのリスクが最も低いのは別々のケージで飼育をすることなので、ロボロフスキーを飼育するときでもケージを分けて飼育することをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ハムスターの多頭飼いは必ずしもケンカや共食いが発生するとは限りませんが、共食いする可能性があることは知っていないといざケンカが起こったときなどに対策できません。
ハムスターが共食いをする場面は「ケンカ(縄張り争い)」と「子育て中」です。特に子育て中の共食いは様々な原因があるので、飼い主様はハムスターの習性を理解しておきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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