1.ベタとは?
1-1.見た目の特徴・オスメスの違い
1-2.原産国・生息地
1-3.闘魚と呼ばれる理由
1-4.特徴・性格
1-5.寿命
ベタとは?
◆見た目の特徴・オスメスの違い
ベタはスズキ目キノボリウオ亜目オスフロネムス科に属する淡水魚です。ベタは体色やヒレの美しい魚で、観賞魚として非常に人気が高く、品評会が開かれるほどです。
また、その美しさから、品種改良によりさらに見た目が美しくなっています。
・トラディショナル
一般的に広く認知されており、比較的安価で最も流通量が多い品種です。「ベールテール」と呼ばれる長いヒレを持ち、カラーパターンも豊富です。入門種と言えます。
・クラウンテール
各ヒレのレイが突出して伸長したタイプです。ヒレを開いた様が、王冠に見えることから、この名がつきました。
・プラカット
現地語でプラ(魚)、カット(噛む)と呼ばれ、闘魚に用いるために長年改良されてきた品種です。比較的原種に近い形質をもっています。そのためか、非常に丈夫で飼いやすいタイプです。闘争心も非常に高く、他の品種のベタと争うと、圧倒することが多いです。
・スーパーデルタ
尾ビレの開度が120~180度未満の個体です。カラーバリエーションが多く、値段もハーフムーンより安価なことが多いため、求めやすさから人気が高い品種です。
・ハーフムーン
名前の通り、まるで半月のように尾ビレが180度に展開するタイプです。現在のショーベタ(コンテストクラス)のスタンダードであり、その美しさから幅広い人気があります。
ベタはメスよりもオスの方がヒレが長いという特徴を持ちます。 また、メスと比較すると攻撃性が非常に高く、多種との混泳だけでなく、ベタのオス同士の混泳は厳禁とされています。
メスのベタのヒレは一般的に短くて、長さは頭部と同じかそれ以下です。 メスの腹ビレは、櫛に似た形状のものがよく見られます。
◆原産国・生息地
ベタの原産は、タイのメコン川流域原産の熱帯魚です。大きな川から水溜りまで生息しています。ベタはタイの国魚に選ばれているほど国民的な魚です。ショーベタは改良種のため、本来野生には存在しない魚です。タイやインドネシアなどのファームで繁殖させた個体が日本に流通しています。
◆闘魚と呼ばれる理由
オスが縄張りを持つ種で、縄張り内に入る他個体を威嚇、攻撃する性質があります。飼育下でも、オス同士を混泳させると喧嘩を始めてしまうことから、2匹のオス同士を戦わせる遊戯のために飼われるようになりました。品種改良の結果、より気性が荒い、強い品種ができていきました。「闘魚」、「シャム闘魚」と呼ばれる由来です。また2匹を個別に瓶などに入れ、近づけると互いに背ビレや尾ビレ、エラを最大限まで広げて体を震えさせて威嚇し合います。これを「フレアリング」と言います。よりヒレが大きくなるよう、定期的にフレアリングさせるケースもあります。
◆特徴・性格
ベタにはラビリンス器官という呼吸器官があり、空気中から直接酸素をとることができます。 そのため、他の熱帯魚よりは水中の溶存酸素濃度を気にする必要はありません。
ベタは人をしっかり認識するため、水槽に人が近づいてきたり、水槽を覗き込むと、こちらをじっと見つめてくる姿も観察できます。さらに慣れてくると、水槽に入れた手のひらに乗ってきたり、ツンツンと口で突いてくれることも珍しくありません。闘魚という名前のイメージと違い、とても人懐っこい性格です。
◆寿命
ベタの寿命には諸説あります。市販のベタだと寿命は1年、繁殖させたベタで寿命は2年から3年くらいです。市販のベタの寿命が短いのは、ある程度育ったものが売られているからです。だいたい、6か月~1年のものになります。ベタは病気に強いですが、コップなど水量が少ない環境では2年以内に死ぬことがあります。 ギネスだと最長で5年ほど生きた記録があります。 ベタの寿命を全うさせてあげるためにも、極力ベタに負担やストレスがかからないよう、快適な環境で育てることが大事です。
ベタは老化すると、あまり動かなくなり、ヒレなどにハリがなくなる、身体が骨ばってくる、尾ビレが下がってくる、泳ぎが下手になるなどの特徴が見られます。その場合は、沈む餌をあげることで負担を減らしてあげ、是非寿命を全うさせてあげましょう。
ベタの値段
基本的にベタの価格が上がる条件には、「有名ブリーダーが育てている」ことと、「ワイルド(野性種)」という2つが考えられます。ベタは品種によって価格が幅広い魚です。最も安価なのはトラディショナルと言われるもので、一般に広く飼育されている品種です。
赤や青、プラチナホワイトなど単色の人気が高いトラディショナル種ですが、赤や青であれば1,000円以下のものが多く、プラチナホワイトも1,500~2,000円ほどで購入できます。
次に、徐々に人気を集めており、王冠のような尾ひれから名前が付いたクラウンテール種です。色に関わらず、1,000円以下のものから高くて3,000円ほどまでであり、それほど高価ではありません。
尾ビレが大きく美しい品種であるスーパーデルタテールは1,000円台前半から4,000円ほどです。
スーパーデルタテールよりさらに尾ビレが大きく広がった人気のハーフムーン種は、1,000円台後半から10,000円台まで、少し高価なものが多いのが特徴です。
ベタの飼育環境(必要なグッズ)
ベタがコップやガラスボトルなど小さな容器で飼育ができるのは、エラ呼吸だけでなく空気中からも酸素を得られるからです。
しかし、容器が小さくなればなるほど水質管理が難しくなり、ベタの寿命を縮める原因にもなるため、初めての方は最低でも20cmキューブ水槽ほどの大きさの容器でベタの飼育を始めましょう。
水量でいうと、6~8L以上がおすすめで、10L程度あるのが理想です。ベタは浅めの水位を好むので、30cm水槽なら7割程度の水位でも10L以上となり、余裕をもって飼育できます。
ベタは勢い余って容器の外に飛び出すことが多い魚なので、フタはあったほうが安心です。蓋を閉めると密閉されてしまうような場合は、蓋と容器の縁に隙間を開けて、空気の通り道を作りましょう。フタはメダカ用のネットのようなものでも構いません。
直射日光の当たるところや、クーラーの風が直接当たるところなど、温度変化の激しいところには置かないでください。冬場はあたたかい部屋に置くか、ヒーターを使用して保温しましょう。ベタ専用のヒーターも販売されていますので、水量に合ったワット数のものを飼育容器に設置します。
ベタの適水温は28~32℃なので、基本的には30℃前後に保つのが理想です。
水温計も設置しておくと、ヒーターに異常があった場合ひと目で気付くことができるので安心です。ベタは水質に気を付ければ、ろ過装置などの特別な機器が無くても飼育できる、初心者におすすめの熱帯魚です。
ベタを飼っている水槽が多少大きければ、水草を入れるのもよいでしょう。特に、発情したオスは水面に泡巣をつくります。泡巣が作られやすくなるよう、アマゾンフロッグピットなどの水面に浮かぶ水草を入れてあげましょう。水面に浮いているので、ベタの遊泳を邪魔したりヒレを傷つけることもありません。
ベタの飼い方
◆基本的なお世話について
エサは毎日1回〜2回程度与えてください。ベタ専用のフードがあるため、基本的にそれで問題ありません。ベタは肉食のため、エサはベタフードの他、冷凍アカムシやイトメ(イトミミズ)を好んで食べます。しかし、ベタは消化器官の弱い魚のため、エサを与えすぎると消化不良で便秘になることがあるので気をつけましょう。寿命を縮める原因となります。水換えは、3日に1回程度、水量3分の1程度の水換えをしてください。
◆かかりやすい病気について
ベタに寿命を全うしてもらうためにも、病気には充分気をつける必要があります。
・尾ぐされ病・口腐れ病
いずれも「カラムナリス菌」が原因です。ベタの免疫力が正常なら発病しません。症状が進行すると、組織が壊れ、ボロボロになります。治療法としては塩水浴と薬浴が挙げられます。
・水カビ病
水カビは水中に常在している真菌類で、これがベタに寄生することで発症します。外傷が生じると、発症リスクが高くなります。症状が進行すると呼吸困難になります。治療は薬浴で行います。
・ウーディニウム病
「ウーディニウム」が寄生することで発症する病気で、「コショウ病」とも呼ばれています。ベタの体に白色をベースにやや黒色を帯びた小さな斑点が現れ、コショウを振りかけたような見た目になります。治療は塩水浴と薬浴で行います。
・白点病
原因は「ウオノカイセンチュウ(イクチオフチリウス)」と呼ばれる繊毛虫に寄生されることです。ベタの免疫力が正常であれば発症しません。症状としては、ベタの体に白色の斑点が現れて体を擦り付けるように泳ぐ、などが挙げられます。治療法としては塩水浴と薬浴が挙げられます。
・松かさ病・ポップアイ
「エロモナス・ハイドロフィラ」と呼ばれる細菌による感染症です。松かさ病は鱗が逆立ち、松ぼっくり(松かさ)のような見た目になる症状が、ポップアイは眼球が魚体から突出する症状が出ます。魚病薬を用いた薬浴で行いますが、その際に塩水浴を並行すると効果的です。
・腹水病
ベタの腹部に水が溜まって腹部が膨張し、ほとんど動かなくなってしまう症状が出ます。消化不良が原因の場合が多いです。エサを与える時間や回数などを見直しましょう。
・ストレス症状(ヒレが切れる、小さな穴が開く)
ストレスを感じるとヒレに異常が出ることがあります。その場合、ベタが現在の飼育環境にストレスを感じている可能性が高いので、環境の見直しが必要です。水温の変化を少なくする、水質を適切な状態で保持する、照明時間のサイクルを一定にするなどが挙げられます。また、水草を入れてあげると、ストレス軽減に役立ちます。
いずれの病気も寿命を一辺に縮めるやっかいな病気です。毎日よく観察して、ちょっとした変化にも気づくようにしてください。
ベタ飼育の注意点
ベタを数年にわたり寿命が来るまで飼育するには、ベタの特徴をよく知り、飼育環境や病気に注意する必要があります。ストレスを与えるような環境での飼育や、水質の悪い状態での飼育は、寿命を縮める原因となります。
まとめ
これまで見てきたように、ベタは人懐っこく、繊細な魚です。その色や形の美しさから、観賞魚としての人気が高い一方で、コップで飼えるという間違った情報が出回りがちです。きちんと飼えば、寿命まで何年も一緒に過ごす大切な癒しのパートナーとなってくれます。寿命まで3年程度というと、短く感じるかもしれませんが、ベタにとっては長い人生となります。愛情をいっぱい注いであげてください。
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