1.カクレクマノミは「クマノミ」という魚の一種
3.カクレクマノミはイソギンチャクと良いコンビ
3-1.イソギンチャクとはどんな生物?
3-2.毒を持つイソギンチャクに、カクレクマノミが寄り添える理由とは?
6.カクレクマノミを飼いたい!飼育時の注意ポイントとは?
6-1.小さ過ぎる水槽はNG
6-2.水温を適温に保つ
6-3.安定した水質で生活させる
6-4.照明も取り入れたい
6-5.相性を考えた混泳をさせる
6-6.イソギンチャクは無理に入れなくてもOK
6-7.カクレクマノミの病気についての知識も必要
【掲載:2021.09.11 更新:2024.06.26】
カクレクマノミは「クマノミ」という魚の一種
カクレクマノミは、「クマノミ」という魚の一種です。
クマノミは、太平洋やインド洋などのサンゴ礁に分布し、日本でも沖縄や九州あたりの温暖なエリアの海水に生息しています。
クマノミには、30ほどの種類があり、代表種となるのが「クマノミ(ナミクマノミ)」です。
そのほか、
「ハマクマノミ」
「ハナビラクマノミ」
「トウアカクマノミ」
「セジロクマノミ」
などが日本で見られるクマノミの仲間の主な種類です。
ディズニー映画の影響もあって、日本では「クマノミ」というと、「カクレクマノミ」を思い浮かべる人も多いかもしれません。
カクレクマノミは、日本をはじめ、世界的にも有名な海水魚です。
カクレクマノミの外見にはバリエーションがある
カクレクマノミは、オレンジをベース色に白いバンド模様が縦に3箇所、それを縁取るような細い黒がアクセントとなった外見をしています。
パッと見た瞬間に鮮やかなオレンジ色に惹きつけられます。
明るい印象の外見がとても魅力的です。
また、「オレンジ+白いバンド模様+黒線」というノーマルタイプ以外に、「通常とは違う外見に!」という目的で品種改良されたカクレクマノミもいます。
バリエーションがたくさんあり、同じカクレクマノミとは言っても、かなり印象が異なるものもあります。
●「イレギュラーバンド」…白い部分がまばら
●「ブラックオセラリス」…黒をベースに白いバンド模様
●「プラチナオセラリス」…体全体が白く口先がオレンジ
●「スノーフレークオセラリス」…白のバンド部分が広く、縁がぎざぎざ
●「ミッドナイトオセラリス」…全体的に黒く、模様がない
ノーマルタイプのカクレクマノミは、市場にも多く出回っているため、入手は簡単で価格も安く設定されていることが多いです。
販売されている場所によって価格帯は幅がありますが、1000~2000円前後で買えるでしょう。
しかし、品種改良された珍しい外見をしているタイプは、売っていたとしてもノーマルタイプよりも高額です。
5000円前後から、高ければ10000円ほどにもなることもあります。
カクレクマノミはイソギンチャクと良いコンビ
海水中で生きるカクレクマノミは、イソギンチャクとまるでコンビのような深い関係です。
カクレクマノミとイソギンチャクの関係性について見ていきましょう。
◆イソギンチャクとはどんな生物?
まず、知っておきたいのは、イソギンチャクとはどんな生物かということです。
イソギンチャクと言えば、細長い形状のものがいくつもゆらゆら揺れている印象を持っている人もいるかと思います。
海底の岩の上にいるヒラヒラしたイソギンチャクを見ると植物のように見えるかもしれませんが、実は動物です。
普段は、スイスイ泳ぐわけではないので、意外に感じますよね。
しかし、イソギンチャクには「足と吸盤」の両方の機能を持つ“足盤”があり、時速数センチ程度という遅いスピードでわずかながら動いています。
◆毒を持つイソギンチャクに、カクレクマノミが寄り添える理由とは?
イソギンチャクの触手には、獲物をとらえるための毒があります。
この毒針に刺されると、普通の魚たちはしびれて捕食されてしまいます。
普通の魚は、イソギンチャクに毒があると分かっているため、むやみに近づきません。
イソギンチャクに毒があると聞くと、カクレクマノミがどうして近づけるのか不思議ですよね。
カクレクマノミの体表面には、イソギンチャクと同じ構成の粘液があります。
それが耐性となるため、カクレクマノミはイソギンチャクの毒には反応しません。
つまり、普通の魚は触れただけでアウトなイソギンチャクの毒も、カクレクマノミにとっては寄り添えるほどなんともないものなのです。
オスからメスに…!?カクレクマノミは性転換できる
カクレクマノミは集団でひとつのイソギンチャクに寄り添いながら生活しています。
一般的に、最も大きな体格のメス、次に大きいのがオス、そのほかが幼い魚たちです。
基本的にこのようなグループごとに生活をしているカクレクマノミ達ですが、原則的にひとつのグループのなかに「オス・メス」の組み合わせのカップルは1組だけしかいません。
そのため、メスが死んだ場合、カップルがいなくなり、子孫が途絶えてしまう危機が…。
メスがいなければ子孫を残せないという危機に、カクレクマノミ達は同じグループ内で解決しようとします。
そこで行われるのがグループ内で次に大きかったオスの「メスへの性転換」です。
カクレクマノミは、オスからメスへと転換できる「雌雄同体魚」という面白い特徴を持っているのです。
カクレクマノミってどんな性格?
「クマノミ」にはいくつもの種類がありますが、中でも一番人気なのがカクレクマノミです。
映画のキャラクターのモデルになり知名度が高いことも影響しているでしょう。
そのほか「飼育しやすい」性格も人気の理由です。
数あるクマノミのうち、カクレクマノミはどちらかと言うと穏やかな性格をしています。
「カクレクマノミ」の名前からイメージできるように、怖いときに身を守るように“隠れる”という習性があります。
基本的には温和系なのですが、臆病なことから敵が出現すると攻撃的になることもあるようです。
カクレクマノミを飼いたい!飼育時の注意ポイントとは?
カクレクマノミは、初心者でも飼いやすいと言われている海水魚です。
とは言え、飼う前に注意ポイントとして知っておきたいこともいくつかあります。
◆小さ過ぎる水槽はNG
カクレクマノミは、成魚になっても4~11センチ程度です。
それほど大きくならないため、「小さい水槽で飼えるのでは?」と思われがち…。
しかし、小さ過ぎる水槽はカクレクマノミの飼育環境としてはおすすめできません。
なぜなら、「水質がすぐに悪くなる」「狭い環境でストレスを溜めてしまう」という理由があるからです。
初めてカクレクマノミを飼うなら、60センチの水槽がおすすめです。
何匹かを混泳させることもできるでしょう。
◆水温を適温に保つ
水温は、冷たすぎるのも温かすぎるのもよくありません。
カクレクマノミが快適に暮らせるのは、24~28℃くらいと言われています。
日当たりの良過ぎる部屋では、夏の水温は30℃を上回ることもあるでしょう。
逆に、暖房をつけていない冬の水温は20℃を下回ることも考えられます。
部屋でエアコンをつけておくだけでも水温の上昇や下降を防げますが、あまりにも大雑把な管理では、カクレクマノミの体調が崩れてしまう原因となります。
水温計を準備し、正しい温度を測りながらの水温管理が大事です。
水槽のある部屋は冷暖房管理をするとともに、水槽用のヒーターとクーラーで水温を安定させてあげましょう。
◆安定した水質で生活させる
カクレクマノミの健康のためには、水質を安定させることが大事です。
水質安定のためのアイテムを用意しておきましょう。
たとえば、ろ過装置になる「フィルター」。
エサや糞尿で水質が悪くなるため、フィルターを設置すれば汚れにくくなります。
水を換える頻度を減らすのに役立ちます。
タンパク質を取り除くために「プロテインスキマー」もおすすめです。
水槽内の老廃物の除去ができ、水質を維持しやすくなるでしょう。
また、天然のろ過装置にもなる「ライブロック」という天然の岩も水質安定のために準備しておくといいかもしれません。
ライブロックは、水槽のなかを自然の雰囲気を演出してくれるアイテムのひとつですが、実はろ過能力も期待できます。
ただし、これらのアイテムだけで水質を綺麗に長期間保てるわけではありません。
水を汚れにくくするための補助的な役割をするものと理解しておきましょう。
「水槽の大きさ」「水の汚れ具合」などによっても水換えの頻度は異なりますが、だいたい2週間程度のサイクルを目安にしておくといいかもしれませんね。
◆照明も取り入れたい
カクレクマノミを「綺麗な姿に癒されたい」という理由で鑑賞魚として飼う人も多いかと思います。
カクレクマノミの鮮やかなオレンジ色と白の配色がより際立つように、照明を準備しておくのもいいでしょう。
また、照明は「観賞のため」だけでなく、カクレクマノミがのびのびとした環境で生活するのにも役立ちます。
照明をあてることで昼夜のリズムがしっかりと取れ、カクレクマノミの健康にもプラスに働きます。
◆相性を考えた混泳をさせる
水槽の中に種類の違う魚が泳ぐ姿が見られるのは楽しいですよね。
ただ、混泳させるときには、相性のことを考えておきましょう。
幼少期のカクレクマノミは少し臆病で穏やかな性格ですが、成長するにともない縄張り意識が備わってきます。
単独で生活していれば縄張り意識が芽生える心配はあまりありません。
ただ、同じ水槽にほかの魚がいると闘志を燃やすこともあります。
自分の縄張りを守ろうとピリピリするので、お互いに攻撃性が高まりケンカがヒートアップするとケガをすることもあるでしょう。
小型ヤッコは、カクレクマノミと比較的相性が良いと言われています。
◆イソギンチャクは無理に入れなくてもOK
カクレクマノミと共生関係にあるイソギンチャクですが、水槽には無理に入れなくても大丈夫です。
イソギンチャクを同じ水槽に入れるメリットは、お互いに支え合っている関係性を間近で見られることかもしれません。
しかし、それ以上に「イソギンチャクの飼育は難しい」というデメリットの方が大きいでしょう。
イソギンチャクはとてもデリケートな体質で、汚れた水質や水温の変化、光が不十分などの理由で体調を崩すことも多いです。
そのため、初めて飼育する人には難易度が高い生物と言われています。
カクレクマノミを飼ううえで必ずしも必要ではないため、飼育できる自信がないときにはイソギンチャクは入れない方がいいかと思います。
◆カクレクマノミの病気についての知識も必要
カクレクマノミが発症する主な病気について頭の片隅に入れておきましょう。
まずは、「白点病」と言われる病気です。
体のあちこちに白い点のようなものが現われる病気です。
水温が激しく変化すると起こりやすいため、季節の変わり目には注意が必要です。
また、「トリコディナ病」もカクレクマノミの代表的な病気です。
トリコディナ病は免疫が低下しているときにかかりやすく、皮膚に白い膜のようなものが見られるようになります。
これらの病気は、早めに症状に気づけることで処置しやすくなります。
毎日、カクレクマノミを観察すれば、体の異変に気づきやすいでしょう。
まとめ
鮮やかなオレンジ色で自由に泳ぐカクレクマノミを見ていると、どこか日常を忘れさせてくれる癒しがありますよね。
性格も基本的には穏やかですから、初心者にも飼いやすい海水魚と言えるでしょう。
ただ、飼いやすいとは言え、飼い主さんとして注意ポイントを押さえておくことをおすすめします。
水質や水温に配慮して飼うことで、長生きもできる鑑賞魚ですが、水の管理が悪いと体調を崩しやすいところがあります。
これから大事な家族になるカクレクマノミ。
大切に育てるためには、カクレクマノミがどんな魚なのか、改めて知ることで愛着も湧いてきます。
カクレクマノミとの新生活を楽しく幸せなものにしてくださいね。
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