ハムスターが水を飲まないけど大丈夫?飲まない原因、水分補給させる方法は?

2021.10.19

ハムスターが水を飲まないけど大丈夫?飲まない原因、水分補給させる方法は?

ハムスターは水を飲む量が少なくても大丈夫な動物です。しかし「お迎えした子が水飲まない」「急に水を飲まなくなった」という場合は飼い主さんも心配ですね。ハムスターは、水分を適切に摂取できていないとどうなるのでしょうか。この記事ではハムスターが水を飲まない原因、水分不足で起こること、水分補給をさせるための対策についてまとめました。


ハムスターの生態

ハムスターはほかの動物よりも水を飲む量が少なく、ケージに設置した水飲み器(給水器)の水はほとんど減りません。

給水器にたっぷり水が入ったままだと「あまり水を飲んでいないけど大丈夫?」と心配になってしまうこともあります。

しかし、ハムスターに食欲もありおしっこや糞がきちんと出ているなら、あまり心配する必要はありません。ハムスターの体は、少しの水分を補給するだけで生きられる仕組みになっているからです。

◆野生での暮らし

野性のハムスターは、ほとんど水を飲まない、または全く水を飲まずに生きています。

これは、野生のハムスターがシリアやシベリアといった乾燥地帯に住んでいることに関係しています。

彼らの住む環境は飲み水が十分に得られないので、草や葉、果物や昆虫に含まれる水分、草に付く夜露などから少しずつ水分を補給しているのです。

ハムスターの体は、ごく少量の水分しか補給できなくても生きられるよう、おしっこの量を調整して体内の水分を維持する機能が発達しています。

動物の尿は腎臓で作られますが、腎臓に集められた水分をろ過した後、不要な成分は尿として排出され、必要な成分は再吸収して体内へ送り返されます。こうしてハムスターは、生き物が暮らすには厳しい自然環境に順応しているのです。


ハムスターの水分補給量はどのくらい?

ハムスター

飼育下のハムスターも、食べ物に含まれる水分から必要最低限の水分が補給できていれば、特に水を飲まなくても生きていくことができます。

ただ、ペットのハムスターは野生下と違って水分の少ないペレットを主食としているので、それだけでは体に必要な水分が補給できません。そのため飲み水や水分を含んだ食べ物も用意して水分を補給させる必要があります。

では、ハムスターにはどれくらいの水分を与えればよいのでしょうか。

◆一日の水分補給量

ハムスターの一日に必要な水分補給量は、体重の10%程度といわれています。体重には個体差がありますが、ゴールデンハムスターなら10〜15cc、ドワーフハムスターで5〜10ccくらいが目安です。

小さじなら1~3杯分に相当する量ですね。こうして目安を知ると、改めてハムスターの水分補給量はかなり少ないことがうかがえます。

なお、与える水は水道水を使うのがベターです。ミネラルウォーターはカルシムなどのミネラルが含まれるので、ハムスターには適していません。

◆最低水分補給量

ハムスターの水分制限の限界ははっきりしていませんがいくら「水を飲まなくても生きられる」といっても、全く水分摂取できない状態が続けば脱水で死んでしまいます。

水を全く飲んでいないように見えても、食欲があって糞や尿が確認でき、衰弱している様子がなければ、最低限の水分は摂取できていると考えられます。

◆これ以上は危険な水分補給量

水分の過剰摂取も危険です。気温、年齢などによってもハムスターが求める水分量は変化しますが、下痢をする、あきらかにおしっこの量が増える、といった異変が起こる場合は水分のとり過ぎが考えられます。

水分のとり過ぎの原因になりやすいのは、野菜や果物の食べ過ぎです。野菜や果物を大量に与えると、ハムスターは与えられるままに食べて容易に下痢を起こします。下痢は衰弱の原因につながるので、水分の与え過ぎには気を付けましょう。

また多飲多尿がみられるなら、ハムスターに多い腎臓病や糖尿病の可能性も疑われます。この場合は獣医師に相談が必要です。


水分不足になるとどうなる?

ハムスターが水分不足になると、脱水症状や食欲不振、「尿路結石」にかかりやすくなります。

特にハムスターは、尿中に含まれるカルシウムが結晶化して尿路結石ができやすいので、日頃から尿量を維持してカルシウムの排出を促す必要があります。水分不足になると尿量が減って、カルシウムが溜まりやすくなってしまうのです。


水を飲まない理由

ハムスターが水分不足にならないよう、ケージ内には常に水を用意し、好きなときに水分補給できる状態にしておきます。

ところが給水器を設置しても、すべてのハムスターが水を飲んでくれるとは限りません。飼い主さんとしてはちょっと心配ですよね。ハムスターが水を飲まない理由は、以下のケースが考えられます。

◆野菜や果物から水分をとっている

野菜や果物は8割以上が水分です。野菜や果物をよく食べるハムスターは、すでに水分が十分に補給できているため水を飲まない可能性があります。

◆給水器から水が飲めない

給水器の水が全く減らない場合は、以下に挙げるような原因があって水が飲めていないことも考えられます。

  • 給水器の存在を認識していない、使い方を知らない
  • 給水器に不備があって水が出てこない
  • 給水器の高さがハムスターに合っていない
  • ノズルが詰まって水が出にくくなっている

◆個体差による

水分のとり方には個体差があり、なかには全く水を飲まなくても平気な子もいます。

◆体調が悪い

今まで水を飲んでいたのに急に水を飲まなくなった場合は体調不良が考えられます。その場合は飼い主さんがハムスターに水分を与え、動物病院を受診して原因を調べてもらう必要があります。

◆ストレス

環境の変化などが原因でストレスを感じているときは、怖がって水を飲みに行こうとしない場合もあります。


ハムスターに水を飲ませる方法

ハムスターに水を飲ませる方法

ハムスターがあまり水を飲まなくて心配な場合は、以下の対処法を試してみましょう。

◆給水器をチェックする

給水器に問題があって水が飲めないというケースは意外に多いです。ハムスターが給水器に触れているのに水が一向に減らない場合は、給水器をチェックしてみましょう。

まず、給水器の高さがハムスターの飲みやすい場所に設置されているかチェックし、ハムスターに合っていないようであれば場所、高さ、角度などを調整します。

また、給水器が故障しているため水が出にくくなることもあるので、ノズルの先を指で押して水がきちんと出てくるか、ノズルの先にあるボールを押すと空気が入って水の中に気泡が上がるか、よく確認してみましょう。

ノズルの中に汚れが詰まって水が出にくくなることもあるので、給水器は1~2日に1回は水を取り替え、こまめに内部を掃除して清潔に保ちます。

◆水飲み器を変える

給水器が故障している、給水器がケージやハムスターのサイズに合わないという場合は、新しい物に買い替えることもおすすめします。

ハムスター用の水飲み器にはボトル型、置き型、陶器製の食器などがあります。ケージのサイズから考えると、ハムスターには場所を取らないボトル型がおすすめです。

食器は水が飲みやすいですが、ハムスターの体がびしょ濡れになるようなら、あまりおすすめはできません。

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◆水飲み器の使い方を教える

「おうちに迎えたばかりのハムスターが給水器の使い方を知らない」「買い替えた給水器の水の飲み方が分からない」という場合は、飼い主さんが給水器の使い方を教えてあげるといいですね。

ハムスターが給水器のそばにいるときを見計らって、給水器のノズルの先を指で押し、水が出ることを教えてやります。指に付けた水の匂いをかがせたり、ハムスターの口元に水を付けたりして給水器に興味を持たせましょう。

水が出ることを繰り返して教えてやり、ハムスターが給水器の使い方に気付けば徐々に自分で水を飲むようになります。

◆野菜・果物、ゼリーを与える

給水器で水を飲む気配がない場合は、野菜・果物、ゼリーで水分を補給させましょう。

ハムスターに与える野菜または果物の適量は一日5g以下です。主食ではなく間食として少量与えましょう。

気をつけたいのは野菜や果物の食べ過ぎ、水分が多い野菜・果物による下痢です。水分が多いレタスやきゅうり、スイカなどはなるべく控え、キャベツ、ブロッコリー、にんじん、りんごやバナナなどを与えるとよいでしょう。

また果物は糖分が多く、食べ過ぎは肥満や糖尿病の原因につながるので、野菜メインで水分補給させることをおすすめします。

なお、すみやかに水分補給させたいときは小動物用のゼリーを食べさせるのが効果的です。みずみずしくて口当たりが良く、体に必要な栄養素も配合されているので体調不良で水が飲めないハムスターにもおすすめできます。

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◆シリンジで与える

高齢、体調不良などで水が飲めなくなったハムスターには、シリンジを使って強制的に水を飲ませることも考えましょう。

シリンジは注射針の付いていない注射筒のことで、動物病院で取り扱っているほかペットショップなどでも購入できます。シリンジがない場合は、スポイト、スプーンを使って水を飲ませてもよいでしょう。


まとめ

ハムスターがあまり水を飲まないのは、原産地が乾燥地域にあるからなのですね。水をほとんど飲まなくても元気なら、あまり心配する必要はありません。ただし水分が不足すると尿路結石などを引き起こすので、体に必要な水分は補給させる必要があります。水を飲まない子にも給水器を用意し、毎日新鮮な水が飲めるようにしてあげてくださいね。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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