月ウサギの正体は?どうして月にウサギがいると言われるの?

2022.09.08

月ウサギの正体は?どうして月にウサギがいると言われるの?

子供のころに「月にウサギさんが住んでいる!」という話を聞いたことがある人がとても多いと思います。まだ純粋な子供のころ“本当に月にウサギが住んでいる”と信じていた方も多いのではないでしょうか。 でも実際に、満月がキレイに見える夜には餅をつくウサギのような模様がみえるので、 もしかしたら本当に住んでいる…?といまだに思うかもしれません。 もしあの模様が「ウサギ」であればとんでもなく大きいウサギが住んでいることになるのですが…あの模様がなぜ「餅つくウサギ」として現代の日本で語り継がれているのか、それがいつ頃からなのか、などを詳しく知っているかたは意外と少ないのではないでしょうか。 今回は少しマニアックな記事となりますが、月に住むウサギについて調べて解説していきます。


月にウサギがいるといわれている理由

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子供のころに月にはウサギがいるという話をどこかで聞き、「どうして月にはウサギさんがいるの」とお父さんやお母さんに聞いた覚えがある方も多いと思います。何を隠そう、私もその一人でした。

“月にうさぎがいる”といわれる理由は諸説ありますが、インドで昔からある物語の「ジャータカ神話」が起源とされております。
その後、日本にもその物語が伝来され「今昔物語集」に収録されることとなり、日本にも広く伝わったとされています。

「今昔物語集」と聞いて、結構昔だったよな?…と皆さん想像できると思いますが、
時は遡ること“平安時代”にできた説話集です。
平安時代は794年からその約400年続いた時代ですが、今昔物語集は平安後期に成立したと推測されています。※諸説あり

そうなると日本でも約1,000年前から「月にウサギがいる」と考えられていたことになりますね。

ただこれはあくまでも月にウサギがいる起源でして「餅をつくウサギ」がいる起源ではないのです。それではいつから月に餅をつくウサギがいると語り継がれたのでしょうか。


餅つくウサギの起源は中国?

月にウサギがいる起源はインドからでしたが、餅をつくウサギがいると解釈されるキッカケとなったのは中国であるとされています。

昔の中国では月にいるウサギが餅つきの道具である杵とうすを使い、不老不死の薬を作っていると考えられていました。いったい誰がこんな突飛もないことを考え付いたのですかね。

その話が後程、日本にも伝来しいつのまにか“不老不死の薬を作るウサギ”が“餅をつくウサギ”に変化し、定着したとされています。

日本で杵とうすを使った餅つきは、実は平安時代から行われていました。
お正月を健康に迎えるために、年末に実施する風習がこの頃からあったそうです。

とはいえ平安時代では教育機関が充実していたわけではなく識字率も低かったですし、書物の流通も全然していなかったので、広まったといえどごく一部のものに限られていました。一般の人にも広く知られるようになったのは江戸時代の頃といわれております。

月のウサギの歴史も古いですが、餅つきの歴史も古いですね。
既に餅つき文化があったので、月で杵とうすをウサギが使っている…餅つきをしているウサギとなったのかもしれませんね。

今では月の研究も進んでおりますが、
昔の人からすると情報が不足しているので、まさに「空に浮かぶ未知の物体」だったわけです。なので色々な想像が飛び交っていたのかもしれませんね。


ウサギに見える月の模様の正体は?

この話は全然夢がない話なので、お子さんには絶対に話をしないでほしいのですが
月の模様の正体は残念ながらただの岩石です。

「月の海」と呼ばれていますが、マグマが吹き出し固まった部分が地球から見えると黒っぽくなっています。
マグマが固まった部分は「玄武岩」という種類の岩石で鉄を多く含み、色が黒っぽくなっています。
月でマグマが噴火していたのははるか昔で何十億年前の話ですが、もしマグマがまた噴火するようなことがあれば月の模様が変わってしまうかもしれませんね。


世界各国で違う?月の模様は何にたとえられている?

うさぎ 餅つき

日本に住んでいれば、月の模様=餅をつくウサギと誰しもがイメージすると思いますが、実はこれは世界共通ではありません。
世界中の国や地域でイメージされている月の模様は全然違っています。

【世界中の月の模様一覧】

動物系

日本・中国・韓国 → ウサギ ※中国ではカエルにたとえられることもあり
南ヨーロッパ → カニ
アラビア → ライオン
南アメリカ → ロバ・ワニ
インド → ワニ

人間系

東ヨーロッパ → 女性の横顔
中南米 → バケツで水を運ぶ少女
北アメリカ → 本を読む女性
ドイツ → 薪をかつきあげる男性
インドネシア →編み物をする女性
ニュージーランド →女性

これもほんの一部であり、他の国々でも違うものにたとえられていたりします。
同じ月を見ているはずなのに、なぜこんなにも月の模様を違うように見ているのでしょうか。

◆なぜ世界各国で月の模様にたとえられているものが違う?

月の模様のたとえられているものが世界各国で違うのには2つ理由があります。

①月の模様のたとえが“国々の文化”や“神話”に影響を受けている
日本では月の模様を餅をつくウサギにたとえられていますが、その理由はインドから伝来した神話が伝わり、その後中国での考えが合わさった結果が現代にも伝えられているお話をしましたね。
実は世界中でも同じようなことが起きております。

●ドイツ(薪を担ぎ上げる男性)
ドイツでは月の模様が「薪を担ぎ上げる男性」にたとえられています。
ドイツの最大の宗教はキリスト教ですが、キリスト教では安息日(働くことが禁止されている日)に薪を拾ってはいけないという教えが由来であると考えられえています。

今でもキリスト教を信仰している人が多い国では安息日があり、店や交通機関が止まる国もあるそうです。

●ニュージーランド(女性)
ニュージーランドでは「女性」にたとえられえています。こちらはマオリ族のとある女性が月に向かい暴言を吐いたところ、月の神の怒りを買ってしまい月へ連れ去られてしまい、一生月に住んでその罪を償わされている、と言われております。
今でも何か悪いことをしたら「月に連れ去られるぞ!」みたいなことが言われたりしているかもしれませんね。

全部の国にこのような神話があるわけではないようですが、身近なものにたとえられている傾向にありそうですね。

②月の見え方は世界各国で違う
私たちが住む地球は毎日グルグルまわっているのは皆さんご存じですよね。
地球は太陽の周りをグルグル回りながら、地球自信もグルグル回っております。

月は地球の周りをグルグル回っている星ですが、常に同じ面を地球に向けています。
なので我々は地球にいる限りは月の裏側を見ることできません。

どこの国いても同じ月の模様を見ているのですが、住んでいる国によって月の見え方(模様の見え方)が微妙に変わります。
厳密にいうと、世界各国で月が良く見える時間帯の地球の位置が違くなります。

先述の通り、地球はグルグル回っていますので時間が経つにつれて月の模様の位置がずれて見えます。
例えば日本でも夜20時に見る月と夜中の3時に見る月では、模様の位置がずれて見えます。
そしてご存じのとおり、世界には“時差”がありますよね。
日本が20時の時に時差が違う国では違う時間になりますよ。なので、世界中でその国の夜20時に月を見た際に模様の位置は一致しません。

ウサギに見える日本ではよく月を見る時間帯に月の左側に模様が集中していますが、
ライオンに見えるアラビアではちょうど日本の月の模様が180度回転している状態となります。
世界各国で月が良く見える夜の時間帯の模様の位置が変わるので、モチーフとなるイメージも違うものにたとえられています。

これらの2つのことが大きくは理由で世界各国では月の模様のモチーフがかわっています。


昔から日本で愛されていたウサギ

今ではペットして飼われているウサギですが、それは明治時代になってからのこと。
月の模様のモチーフになるほどのウサギですが、今昔物語集以外の昔話にも登場します。

◎イナバノシロウサギ
月の模様のモチーフとなっているウサギ。モチーフとなった理由は海外から伝来された説話などが起源とされていますが、日本の色々な昔の書物でウサギが登場しております。

日本最古の書物である古事記にもウサギが登場しております。
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか、「イナバノシロウサギ」です。

古事記の中ではお調子者のウサギが覚サメを騙したところ皮をはがされてしまったが、大国主命(おおくにぬしのみこと)に助けられ、その後恩返しするといったエビソードで出演しております。
大国主命は他の兄弟と八上比売(やかみひめ)という美しい女性を取り合いましたが、
イナバノシロウサギを助けた心優しき大国主命に「八上比売と結婚するのはあなただ」と予言し、その後見事に大国主命と八上比売は結ばれることとなります。

この話からも「縁結びの神」とウサギが祀られる神社も全国にいくつかあるそうです。

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◎かちかち山
かなり昔からある話とされておりますが、現在言い伝えられている形は室町時代の末期ごろとされています。悪さをしていたタヌキをウサギが知恵を使って懲らしめる話となっております。

色々なお話の中でウサギは知恵のある動物として描かれイタズラ好きだったり、とんちをきかしたヒーローとして描かれることが多いですね。

ウサギの色々な特徴から縁起物となることも多いです。
「跳躍力」から困難なことも乗り越えらる象徴、「耳が大きい」ことから情報が集まることで商売繁盛の象徴、子供をたくさん産むことから子宝の象徴とし、縁起物として扱われることが多くあります。

そんな縁起物のウサギですが、明治時代からペットとして飼われる機会が多くなりました。
当時はあまりのブームになり、「うさぎ税」というもの課されるまでに。
当時の金額で1円/月でしたが、同時代の公務員の給料が10円にもならない時代でしたのでかなり高額です。


まとめ

月の模様・見え方は世界各国で違い、各々の土地にまつわる文化などから模様のモチーフがきまっていることがわかりましたね。
日本の月の模様は外国から昔伝わった話が元となったとされていますが、それ以外に現代に伝わっている日本の昔話でもウサギが登場し、愛されていましたね。

もしインドや中国から物語が伝来していなかったら、月の模様のモチーフがウサギでなかったかもしれませんが、日本でも昔から愛されている動物でしたので、それでもウサギになったかもしれませんね。

お子さんなどに「なんで月にウサギがいるの?」と質問されることがあったら、
ぜひ昔からウサギが人気者だったことを教えてあげてくださいね。

また、もし海外旅行で日本以外の土地にいくことがあれば、夜空を見てみていつもと違ってみえる月の模様を楽しんでみても良いかもしれませんね。
ウサギに見えていた模様が、ほかの模様に見えるかもしれませんね。



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