1.ハムスターに目やにがあるの?
2.ハムスターの目やにの原因
2-1.目にゴミが入った
2-2.目が傷ついた
2-3.アレルギー
2-4.アンモニア等の刺激によるもの
3.ハムスターの目やにが病気によるものである可能性も
3-1.結膜炎
3-2.角膜炎
3-3.マイボーム腺腫
3-4.白内障
3-5.逆さまつげ
3-6.眼窩膿瘍
3-7.呼吸器疾患などの症状のひとつとして
3-8.全身性疾患の症状のひとつとして
ハムスターに目やにがあるの?
手のひらに乗るほど小さいハムスター。そんなハムスター君たちはその目ももちろん、とても小さいものです。
そんなハムスター君の目からなにか出ているのに気づくと、最初は驚いてしまうかもしれません。しかし、ハムスターも人間と同じ哺乳類の一種なので、その目も基本的には同じような機能を備えていて、傷がついたりゴミが入ったり、病気になったりすると人間と同じように涙が出たり、目やにが増えたりしてきてしまいます。
目やに、というのは、目に入ってしまった異物を免疫機能や涙などの働きで洗い流した後のゴミ、排除されるべきものが集まって排出されたものです。
涙で洗い流したゴミがまた目の中に戻ってきて悪さをしたりしないように、そのゴミを体から出した物質でくるんで捨てたものが目やにです。なので、目やにの中には埃や細菌、汚れなどやそれらを排除するために働いた物質や細胞などが含まれています。
他の動物と同じように、正常なハムスターでも普段から少量ずつ目やにが出ているのですが、それが目に見えて増えてきてしまうようなら何らかの異常があると考えられます。
ハムスターの目やにの原因
では、ハムスターの目やにの原因についてお話しいたします。
ハムスターに目やにが出るとはいえ、目の病気だけが原因ではありませんので、注意が必要です。
目やにが増えてしまう原因としてハムスターで主なものは次のようなものがあります。
◆目にゴミが入った
ハムスターの眼球は角膜の領域がとても広く、とても「黒目がち」です。その上にハムスターの眼は眼窩(頭骨にある、眼球が入るための穴)に入り切っておらず、ちょっと飛び出たような形をしているので、ハムスターの目はゴミがとても入りやすい形をしているといえます。
また、ハムスターは体が小さいため、敷料から近いところで生活していますし、敷料の中に潜り込むようなことも多いため、とても埃やゴミが入りやすい生活をしているといえます。
そのように目にゴミが入った時、目は涙でゴミを洗い流し、そのゴミを分泌物で包んで排出します。つまり、目やにが出てくるのです。
◆目が傷ついた
ハムスターは前述のように、「黒目がち」なため、目が傷ついてしまうこともとても多い生き物です。
ハムスター自身が自分で引っ掻いたり擦ってしまったりしたり、どこかに擦ってしまったりしたときに目を傷つけてしまったり、目に入ったゴミが角膜を傷つけてしまったり、ハムスター同士の喧嘩によって目が傷ついてしまったりした時にも目やにが増えてきてしまうこととなります。
これは、目を修復しようとしたり保護したりしようとするハムスター自身の目の機能によるもので、修復や保護のために細胞が多量に分布してくることによって起こります。
◆アレルギー
何らかの原因でアレルギーを起こしてしまっているハムスターは、人間の花粉症と同じように目にも症状が出てしまう事が多く、涙が出て、目やにが増えるなどの症状を起こしてしまいます。
特に、敷料に対するアレルギーを起こしているハムスターはこのような症状が強く出てしまいがちです。
◆アンモニア等の刺激によるもの
ケージ内の環境によって引き起こされてしまう目やにもあります。
ハムスターのケージの掃除が行き届いていない、暑かった、換気が悪いなどのとき、ハムスターがした尿から発生してしまうアンモニアがハムスター自身の目を刺激してしまうほどの濃度になってしまう事があり、そのようなときに涙や目やにが増えてしまう事があります。
ハムスターの目やにが病気によるものである可能性も
ここまでは環境や一時的な状況によるハムスターの目やにの原因を挙げてきましたが、それ以外にもハムスターがかかってしまっている病気の症状として現れてくる目やにもあります。
◆結膜炎
ハムスターのみならず、一般的に多い疾患性の目やにの原因は「結膜炎」です。
結膜とは、目の白い部分、つまり「白目」の部分になりますが、ここに細菌が感染してしまうと「細菌性結膜炎」となり、炎症性の反応が生じてしまうため、目やにが多く分泌されるようになってきます。
ひどいときでは寝て起きると目やにで瞼がくっついてしまって開かなくなるなどの症状が現れてくることもあります。
◆角膜炎
眼球が眼窩に収まっておらず、突出した形になっているハムスターは角膜(=黒目の部分)を傷つけやすい生き物と言えます。
上述のような「目に傷がついた」場合、ハムスターでは角膜に傷がいてしまう事が多く、ここから炎症が起こってしまうと「角膜炎」となってしまいます。
◆マイボーム腺腫
「マイボーム腺腫」はハムスターに多い病気です。
この病気は「マイボーム腺」と呼ばれる瞼の内側にある涙の蒸発を防ぐための油分を分泌する腺からの分泌がうまくいかなくなってしまうことで起こるもので、マイボーム腺から分泌されるはずの分泌液がうまくマイボーム腺から出ていく事ができずに溜まったままになって大きくなってしまう症状のことです。これが腫瘍化してしまうこともあるのですが、多くはこの分泌不良によって起こっています。
「マイボーム腺腫」を起こしてしまうと、マイボーム腺が炎症を起こしたり大きくなってしまいます。これによりうまく目が閉じなくなったり、異物感が起きたりしてしまうため、ハムスター自身が気にして擦ってしまったり、乾燥してしまったりするため、目やにが増えてくることになります。
また、ハムスターではこのマイボーム腺や睫毛の毛根部に細菌感染を起こすことがあり、その場合は「麦粒腫」などと呼ばれる疾患となり、こちらも目やにが増えてくる疾患となります。
◆白内障
犬や人と同じように、高齢のハムスターであれば、白内障がみられる事があります。
白内障とは、目の中のレンズである水晶体が加齢性の変化等により白濁してくる症状で、視界が霞んだり、視力が低下したり、光を眩しく感じたりするようになってきてしまうもので、最終的には失明まで至ってしまうこともありますが、ハムスターはそもそもあまり視力に頼らずに生きていますので、基本的には積極的な治療の必要はありません。
◆逆さまつげ
稀ではありますが、ハムスター自身が小さい頃からずっと目やにがよく出る、などの症状の時は、ハムスターのまつ毛の一部が目の外側ではなく、内側に向かって生えてしまっている「眼瞼内反症」がある可能性があります。
目に向かって生えてしまっている睫毛が眼球を擦ったりしてしまうため、ハムスターの眼球を慢性的かつ継続句的に傷つけてしまうことで炎症が生じてしまい、目やになどの症状を引き起こします。
◆眼窩膿瘍
上顎の虫歯や破折(折れたり割れたりすること)、歯周疾患などにより、歯根の細菌感染が発生すると眼窩(=眼球が入っているべき頭蓋骨の穴)にまで膿の袋が広がってしまい、眼球が押し出されてくるような状態になってしまう事があります。このようなときにも目やにが増えてきます。
◆呼吸器疾患などの症状のひとつとして
ハムスターが呼吸器疾患を起こしてしまっているときにも目やには分泌されてきます。
ハムスターの呼吸器疾患でも人間の風邪と同じように、咳や鼻水のほかに目やにが出てくることがあるのです。鼻水と目やにが同時に出てきている時は呼吸器に疾患がある事が考えられます。
◆全身性疾患の症状のひとつとして
ハムスターは全身の症状が悪くなると目やにを大量に分泌します。
全身状態が悪いハムスターは涙を流したり、結膜炎を起こしてしまったりするのです。このような状態のハムスターには明らかに目やにだけではない異変が多く現れていると思われます。
ハムスターに目やにが出た時の対処法
ハムスターの目やにの原因についてお話ししてきましたが、目やにが出ているときにはどのように対処したら良いのでしょうか。
●継続的に多くの目やにが出てきているような時
●目やにが鼻水やくしゃみと一緒に増えてきたとき
●眼球が変形した・突出してきたなど左右対称でなくなってきた時
●調子が悪そうな様子が見られる時
●しきりにに目を気にして掻いているような時
●目やにの量が多いとき
などはすぐに病院にかかったほうがいいと思われます。
体の小さなハムスターは重篤な状態になるまでが早い事があり、早めの受診が重要となります。
しかし、寝起きにちょっとだけでている目やにだったり、ハムスター自体があまり気にしていなかったりするようであれば、まずはおうちでケアしてあげるのもいいかと思いますが、その場合でも1週間程度はよく観察すると安心です。観察期間中にハムスターに上記のような様子が見えた場合には受診が必要と考えられます。
◆ハムスターの目やにの取り方
目やにが少しなのであれば自然にとれてきますので無理に取る必要はありませんが、取るときは綿棒やティッシュなどを湿らせて、優しく、ふやかすように拭き取ります。
ハムスターの目やにを取る時の注意点
ハムスターの目やにを拭き取るために綿棒などを湿らせるものとして、水道水や汲み置きの水などを使うと目に染みてしまう、細菌に感染する、炎症などを起こしてしまうなどの可能性があり、反対にハムスターの状態を悪化させてしまうことがあります。それらを避けるためには生理食塩水などを使うと良いと思われます。人間も目に水が入ると痛いのと同じですね。
生理食塩水を手作りする方法もあるのですが、病院や薬局で人工涙液などを入手して使うと適切な滅菌などがしてありますので、最も簡単で安全です。
ご自宅でハムスターの目やにをとったときは、1週間程度は再発や悪化がないかを注意深く観察しましょう。数日以上目やにが出続けるようなら病院の受診をお願いします。
また、上述のように、ハムスターの目やにの発生にはアレルギーやゴミ、アンモニア等の影響も考えられますので、目やにが出ているような時は敷料・床材の交換やケージの掃除を早急にすることもお勧めいたします。
まとめ
ひとくちに「ハムスターの目やに」、と言ってもちょっとゴミが入ったことから全身性疾患の発露まで、様々な理由がありました。
目やにはひとつの病気のサインとして人間や動物の医療でも注目される兆候です。
小さい小さいハムスター君であるからこそ余計にしっかり、目やには出ていないか、量は多すぎないか、続けて出てきていないかなどを日常から継続的に観察することで、病気の早期発見につなげることができますので、普段から気をつけていただけるとよいですね。
ちょっとした変化でもおかしいな、と思ったらすぐに病院に連れていくと、大きな病気を見逃さずに済みます。小さなハムスター君と少しでも長く、幸せな時間を紡ぐ事ができるよう、早めのケアを、お勧めいたします。
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