1.ザリガニはどんな生き物
1-1.ザリガニはエビ?カニ?
1-2.ザリガニの種類
2.ザリガニ飼育で必要な用品
2-1.水槽
2-2.隠れ家
2-3.底砂
2-4.エサ
2-5.掃除道具
3.ザリガニの飼育方法
3-1.水槽の立ち上げ
3-2.ザリガニの導入
3-3.日頃のお世話・お手入れ
3-4.ザリガニの脱皮
3-5.冬のザリガニ飼育
4.ザリガニ飼育の注意点
4-1.放流しない
4-2.むやみに繁殖しない
【掲載:2022.06.05 更新:2022.12.15】
ザリガニはどんな生き物
ザリガニはザリガニ下目のザリガニ上科とミナミザリガニ上科の生き物の事を指します。ザリガニ下目には他の種類も存在しますが、そちらは海水に生息する生き物のため今回は説明を省略します。
ザリガニは流れの緩い淡水域に生息しています。アメリカザリガニの影響で汚いところに生息している印象が強いですが、あまりにも汚い場所では生きることができません。それどころかニホンザリガニのように綺麗な水域でしか生きられないザリガニも多く存在します。
ザリガニの多くは雑食性です。野生では、水草や水生生物、その卵などを食べています。
アメリカザリガニも雑食性で、日本固有の魚や水草を食べてしまいます。そのせいで生態系が崩れる事が懸念されています。
先ほど少し出てきたニホンザリガニは基本的に広葉樹の落ち葉を食べていますが、雑食性でもあり小さな生き物を食べたりもしています。
◆ザリガニはエビ?カニ?
ザリガニはエビだと思いますか?カニだと思いますか?見た目はエビに近いですが、名前には「カニ」とついて立派なハサミもあります。
正解は、「ザリガニはエビに含まれる生き物」になります。なんだか曖昧な答えですが、これには理由があります。
カニ、エビ、ザリガニは十脚目という甲殻類の1つに属しています。十脚目のうちカニ下目とヤドカリ下目以外の下目に属するのがエビになります。これだけだとザリガニはエビの仲間になりますが、十脚目はクルマエビ亜目とエビ亜目に分かれていて、ザリガニ、カニ、ヤドカリはエビ亜目に該当します。
大きく分けるとカニやヤドカリも「エビ」という事になり、「ザリガニはエビに含まれる生き物」ということになります。
◆ザリガニの種類
ザリガニの種類の種類は多く592種類にも及びます。日本に生息しているザリガニは3種類で、そのうち1種類が在来種で絶滅危惧種に指定されているニホンザリガニです。ヤマトザリガニと呼ばれることもあります。
ニホンザリガニは北海道と北東北にのみ生息しています。水温が20℃以下の綺麗な水域に生息し、巣穴の中に潜んでいます。アメリカザリガニと比べると成長が遅く、繁殖が可能になるまで5年ほどかかります。寿命は10年ほどでアメリカザリガニの約2倍もあります。
日本で一番よく目にするのはアメリカザリガニだと思います。元々はウシガエル用のエサとして持ち込まれたものが、脱走して日本中に生息するようになったと言われています。
原産国はアメリカ合衆国南部で、現在は日本以外の国にも外来種として生息しているザリガニです。
水質汚染に比較的強く、雑食性のため爆発的に増え2023年に特定外来生物に指定される事になっています。
飼育下では、意図的にカロチンを抜いたエサ(アジやサバなど)を与え続けると体色が青くなります。自然界では見られない色ですので飼育している方は試してみると面白いかもしれません。
日本に生息する最後の種類はウチダザリガニです。冷たい水域に生息しており、イナス33℃という水温で生息できる驚異的な寒冷耐性を備えています。高温に関しても水温30℃程度なら1週間ほど生きることができます。
耐塩性も備えており、汽水域での生息可能なザリガニです。
寿命は10年程とニホンザリガニと同じぐらいですが、産卵数が3〜8倍も違い100〜500も抱卵します。
既に特定外来生物に指定されており、無許可での飼育、譲渡は不可能です。
最後に紹介するのはフロリダハマーというザリガニです。
こちらのザリガニは、品種改良されたザリガニで非常にきれいな青色の体色をしています。
品種改良で体色を青くしているため、エサは特に気にする必要はありません。
2002年ごろに大ブームが起きたザリガニで、当時はメス1匹で数万円したほどです。
残念ながらこちらも特定外来生物に指定されており飼育することができません。
ザリガニ飼育で必要な用品
◆水槽
プラスチック製の透明な虫かごは、ぶつけてしまった時などの衝撃でひび割れてしまったり、ザリガニのはさみで傷がついてしまったりすることがあるのであまりおすすめしません。
ザリガニは共食いをするので、基本的には1匹ずつの飼育がよいでしょう。
単独で飼育する場合は、30~40cm幅の水槽がおすすめです。
もし複数のザリガニを飼いたい場合は、2匹で60センチの水槽程度のスペースが欲しいところです。
ザリガニは動きこそ機敏ではないですが、障害物を上るのは得意な生き物です。
水槽の中に入れた隠れ家などに上り、飼育ケースから脱走することもあります。脱走防止のため飼育ケースは高さのある物を選びましょう。蓋をするのも有効です。
◆隠れ家
ザリガニは穴を掘って潜る性質があります。ザリガニを飼育する場合は隠れ家を用意してあげましょう。
隠れ家にはショップで購入できる流木や、瓦、小さいサイズの植木鉢などを用意するとよいでしょう。
◆底砂
ザリガニのバランスのとり方は少し特殊で、触角の根元を砂の中に入れてバランスを取ります。
水槽に底砂がないと、ザリガニの負担になりますので、底砂を入れてあげた方がよいでしょう。
バクテリアの住処にもなるので水質の安定にもつながります。
ショップに行くとザリガニ用の砂も販売しているようですが、粒が細かく掃除する時に一緒に吸い取ってしまう事があるため、気になる方は砂利タイプの物を使うといいでしょう。
◆エサ
ザリガニは雑食性なので、色々な物を食べます。飼育下では水量も多くないので、変なものを与えると水質悪化を招きます。
与えるエサはザリガニ用の人工飼料や冷凍赤虫などがおすすめです。人工飼料は栄養バランスも良くおすすめです。
ザリガニは水草を食べてしまうので、レイアウトとして植えている場合は注意してください。
◆掃除道具
水替えをする時に底にたまっている、食べ残しなどの汚れを取るのに使います。
汚れを放置すると臭いや水質汚染の原因になるので、1週間に2回程度掃除を行います。
アクアリウム専門店では水槽用掃除ポンプも販売していますので、そちらを使うとさらに汚れが取りやすくなります。
ザリガニの飼育セットと掃除道具を購入すればすぐに飼育を始めることも可能です。
ザリガニの飼育方法
今回紹介する飼育方法は、アメリカザリガニのように飼育が容易なザリガニの飼育方法です。
ニホンザリガニのように飼育が難しいザリガニでは専用の設備が必要になります。
◆水槽の立ち上げ
水槽を置く場所は直射日光が当たらない、温度変化の少ない場所に置きましょう。特に夏場は水温の急上昇に注意してください。
最初に底砂を水槽に敷きます。この時商品によっては底砂を洗う物もあるので、購入した底砂の説明を確認してください。底砂は1cmぐらいあれば大丈夫です。
その後隠れ家を入れ、カルキを抜いた水を入れます。水深は、ザリガニが水で隠れる程度で大丈夫です。
ザリガニが自分で呼吸することができるように石や流木で足場を作ってあげましょう。
エアレーション無しで水を多く入れすぎると酸欠になる可能性があるので注意が必要です。
エアレーションをしてある場合は、水槽の上の方まで水を入れても大丈夫です。
ザリガニは強い生き物ですが、安全に飼育するためにはカルキを抜いた水を使った方が良いです。
水道水にはカルキ(塩素)が含まれています。
ザリガニやお魚など水生生物はカルキに対する抵抗力が弱いので、体調を崩してしまうことがあります。
市販のカルキ抜き剤でカルキを抜いた水を使うようにしましょう。
水を入れた後は、必要であればレイアウトを施してください。レイアウト完成後水槽の立ち上げは完了です。
◆ザリガニの導入
水槽の立ち上げが終わったら、ザリガニを水槽の中に入れます。この時1つの水槽にザリガニを多く入れると、喧嘩や共食いの原因になるので注意してください。
基本は1水槽1ザリガニです。
ザリガニを入れるときは水質を合わせましょう。
見た目の違いはほとんどないかもしれませんが、新しく用意した水槽の水と今まで住んでいた水とでは水温、水質共に違うものになります。
ゆっくりと水温、水質を近づけることを、水合わせと言います。この水合わせをしないとザリガニの負担になってしまうので注意します。
水合わせの方法は ザリガニを小さな容器に水ごと移動させます。その後容器を水槽に浮かべて30分程放置します。これで水温を合わせます。
その後、ザリガニが入った容器の水を3分の1ほど減らし、減らした量と同じ量の水を水槽から容器にゆっくりと注ぎ、10分程待ちます。
今まで住んできた水に新しく住む環境の水を入れることで少しづつ慣らしていきます。
この作業を3回ほど繰り返しましょう。
水合わせ後ザリガニを水槽の中に入れます。
◆日頃のお世話・お手入れ
日頃のお世話は主にエサやりと水換え・掃除です。
エサは1日1〜2回食べ残しが無いように与えます。与えすぎるとエサが水を汚すので注意してください。ザリガニはエサを飲み込むのではなく齧って食べます。そのためどうしても食べこぼしがで水が汚れます。
水換えは1週間に2回ほど行います。掃除するときは底に沈んでいるゴミも一緒に取り除くようにします。
水換えする量は3分の1程度で大丈夫です。この時、入れ換える水と水槽の水の温度を合わせるようにします。
入れ換える水の温度合わせは水槽の置いてある近くに置いておけば大丈夫です。3〜4時間ぐらい置いておけば大丈夫です。
水温合わせをすることにより、ザリガニへの負担を減らすことができます。
◆ザリガニの脱皮
ザリガニの飼育を続けていくと、エサを食べなくなる時があります。原因は水温が高すぎる、水質汚染などもありますが、脱皮が近づくとエサを食べなくなります。
ザリガニなどの甲殻類は脱皮をすることで体がどんどん大きくなっていきます。
ザリガニの脱皮は非常にデリケートで脱皮に失敗すると死んでしまいます。エサを食べなくなる前に、体色が黒っぽくなるのは脱皮前の合図です。この時に水が汚れている場合は水換えを行います。既にエサを食べていない場合は、水の汚れを確認し汚れがひどい様でしたら交換します。問題ない場合はエサを与えず静かに見守りましょう。多頭飼いしている場合は他のザリガニに襲われる可能性があるので隔離しておきましょう。
ザリガニの脱皮はサイズによって頻度が異なります。一般的には2週間〜半年に1度と言われています。期間の幅が広いですが、これはサイズによって脱皮頻度が異なるためです。
大きなサイズでは半年に1度程度ですが、小さな個体では頻繁に行い2週間に1度のペースで行います。
脱皮後のザリガニはソフトシェルと言われる状態で非常に柔らかいです。この状態もデリケートですので水換えは控えましょう。また、脱皮で出た殻はザリガニが食べますのでそのままにしておきましょう。食べ残した場合は取り除きましょう。
◆冬のザリガニ飼育
自然界ではザリガニは冬になると冬眠をします。ここで問題になるのが飼育下でザリガニを冬眠させるべきか否かという事です。
ザリガニは水温が10度を下回ると冬眠に入るといわれていますが、室内では水温が安定して10度以下になることは無いと思います。中途半端な状態になってしまいますが、これでザリガニが弱るという事はありません。
冬眠をさせない場合はヒーターを導入したり、室温を10度以上に安定させた場所で飼育すれば日頃のお世話と変わりなく飼育することができます。
冬眠させる場合は、屋外に出したほうが安定します。置き場所は日光が当たらない場所で水量を多くしたり、落ち葉を入れたりします。冬場は水の蒸発に注意してください。減っていたら足し水をします。水替えは不要です。
冬眠明けは3月の終わりごろです。冬眠に成功すれば元気なザリガニの姿を見ることができます。
ザリガニ飼育の注意点
◆放流しない
現在ザリガニはニホンザリガニ、アメリカザリガニ以外の外来ザリガニは、特定外来生物に指定されています。アメリカザリガニも2023年に特定外来生物に指定されます。外来生物の放流は外来生物法の違反になり、懲役や罰金が科せられます。
現在飼育可能なアメリカザリガニは爆発的に増え、環境適応能力が非常に高く日本のあらゆる場所で繁殖してしまっています。これは日本の生態系を破壊してしまい、日本の在来種の住処をなくすことになります。
私1人ぐらい放流してもバレないだろうという安易な行動が、日本の生態系を崩壊させることにつながります。
飼育者は責任をもって飼育してください。
勘違いする人も多いですが、ザリガニを採取した場所で繁殖したザリガニ放流も違反行為です。
◆むやみに繁殖しない
アメリカザリガニは爆発的に増えます。1回の産卵で最大1000個近くの卵を生みます。
もちろん全てが孵化するわけではないですが、かなりの数が孵化します。
孵化した何百匹を飼育できますか?多くの人は無理だと思います。もし繁殖をする場合は、絶対に生まれすぎた稚ザリガニの処理の方法を考えてください。残酷なようですが、これも飼育者の務めです。放流は先に記述した通り厳禁です。
処分方法は色々ありますが、あえて多頭飼いして共食いさせて数を減らしたり、他の生物のエサにする、殺処分などです。
最後まで責任をもって飼育しましょう。
アメリカザリガニは2023年に特定外来生物に指定されることが確定
前述しましたが、アメリカザリガニは2023年に特定外来生物に指定されることが確定しています。日本にいるザリガニはニホンザリガニ以外全て特定外来生物に指定されることになりました。特定外来生物に指定されることにより輸入、放流などが禁止になります。飼育は禁止になるわけではありませんので安心してください。
詳しいことはこれから決まっていく様なので注目しておくとよいでしょう。
まとめ
ザリガニの種類や飼育方法をご紹介しました。ザリガニは格好良く、丈夫で飼育も容易ですが、非常に増えやすいというデメリットもあります。増えないように単独で飼育などの方法をとって飼育を楽しみましょう。
繁殖する場合は増えすぎた個体をどうするか繁殖する前に考えてから飼育を始めましょう。
– おすすめ記事 –
・【アクア事業部監修】グッピーは産卵する?卵胎生という繁殖方法について。稚魚の育て方は? |
・【アクア事業部監修】メダカのビオトープを作ろう!容器の選び方や必要な道具、水草の種類など解説 |
・【アクア事業部監修】ミナミヌマエビは飼育しやすい?特徴を紹介 |
・【アクア事業部監修】バジェットガエルの特徴は?飼い方のポイントや注意点を紹介 |