亀やハ虫類飼育のサルモネラ菌感染対策!人が発症するとどうなる?ペットの除菌は出来る?

2022.11.14

亀やハ虫類飼育のサルモネラ菌感染対策!人が発症するとどうなる?ペットの除菌は出来る?

亀などハ虫類は様々な菌を持っています。ペットとして飼うにあたって心配なのが、サルモネラ菌によって引き起こされるサルモネラ症ですよね。この記事では「感染した時の症状」「サルモネラ菌の対策」「亀のサルモネラ菌は除菌できるのか」について解説していきます。

【目次】
1.サルモネラ菌を持っている動物(ペット)は多い
 1-1.カメ類(ミドリガメなど)
 1-2.トカゲ類(イグアナなど)
 1-3.ヘビ類
 1-4.犬・猫・小動物
 1-5.観賞魚

2.亀や爬虫類はサルモネラ菌を保有していても症状が出ない

3.亀・ハ虫類からヒトへのサルモネラ菌感染経路
 3-1.亀やハ虫類と接触する
 3-2.亀やハ虫類の飼育箱を洗浄した際

4.サルモネラ症とはどんな病気?
 4-1.人にサルモネラ菌が感染した場合の症状

5.ペットからのサルモネラ菌感染を防ぐための対策
 5-1.亀や爬虫類に触った後は石けんで手指を洗う
 5-2.重症化しそうな人がいる家庭は飼わない
 5-3.サルモネラ菌が怖いから逃して良い?

6.亀やハ虫類からサルモネラ菌を除菌できる?

7.まとめ


サルモネラ菌を持っている動物(ペット)は多い

亀類、ハ虫類の多くがサルモネラ菌を保有していると説明しましたが、他に家で飼えるペットではどんな動物がサルモネラ菌を保有しているのでしょうか。

◆カメ類(ミドリガメなど)

ペットとして飼われている亀でポピュラーなのがミドリガメです。厚生労働省ホームページによると、日本国内の亀からサルモネラ菌に感染した症例のほとんどがミドリガメでした。国内で飼われているカメ類のサルモネラ菌保有率は18%と言われています。

亀は子どもたちが身近で親しみやすい動物ですので、亀と触れ合った後の手洗いを必ず行うように指導してあげてください。

◆トカゲ類(イグアナなど)

最近ペットとして人気の高いトカゲ類もサルモネラ菌を保有していることが多いです。国内で飼われているトカゲ類のサルモネラ菌保有率は75%で亀類よりも高い数値です。

◆ヘビ類

こちらもペットとして最近人気が高まってきているヘビ類。ヘビ類のサルモネラ菌保有率は非常に高く90%でした。サルモネラ菌は生肉や卵の殻の表面などによく潜んでおり、それらを食べるヘビがサルモネラ菌の保菌率が高いのは仕方ないことかもしれません。

◆犬・猫・小動物

亀やハ虫類だけではなく、インコなど鳥類もサルモネラ菌を保有しています。
また犬猫や小動物(ほ乳類)にもサルモネラ菌がいることがあります。しかし犬猫や小動物たち(ほ乳類)は亀やハ虫類と違い、サルモネラ菌に感染してしまうと急性胃腸炎の症状が出てしまいます。

サルモネラ菌に感染した人と同じく、ペットが嘔吐・下痢・食欲不振の症状やいつもより元気がない場合はすぐに動物病院を受診して下さい。亀などと同居している場合はそれも伝えましょう。
また亀やハ虫類の水槽内、鳥かごなどに犬猫や小動物が直接触れることのないように管理してあげましょう。

◆観賞魚

まだ日本ではほとんど無いようですが、海外では観賞魚からサルモネラ菌に感染した事例もあります。観賞魚に直接触ることは普通無いでしょうが、亀のお世話同様水槽の水換えの時などは注意が必要です。観賞魚のお世話をしたあとも、石けんで手指をしっかり洗いましょう。

特に亀・爬虫類・観賞魚の、水換えのときは食品を扱う台所は使用しないようにしましょう。


亀や爬虫類はサルモネラ菌を保有していても症状が出ない

亀

感染源となる亀やハ虫類がサルモネラ菌に感染している場合は症状が出るのでしょうか。

まずミドリガメなどのカメ類、ハ虫類は腸管にサルモネラ菌がいることがほとんどです。亀やハ虫類の糞便中のサルモネラ菌を検査したところ保菌率が50~90%という非常に高いものでした。
必ずと言っていいほど亀類やハ虫類はサルモネラ菌を保有している、と考えて良いでしょう。
しかし人と違い、亀やハ虫類はサルモネラ菌に感染したからといって、特別なにか症状が出るわけではありません。

飼育するうえで厄介なのは、見た目では亀たちがサルモネラ菌を保有しているのか分からないところです。
亀や爬虫類に限りませんがペットの世話をしたり触れ合った後には、必ず石けんで手指をしっかり洗いましょう。


亀・ハ虫類からヒトへのサルモネラ菌感染経路

亀や爬虫類の腸管にサルモネラ菌がいることが分かりましたが、亀たちからどうやって人に感染するのでしょうか。

◆亀やハ虫類と接触する

ペットとして飼っている亀や爬虫類と触れ合いたくなるのは当然ですね。しかし、どんなに亀たちが可愛くてもサルモネラ菌のことを忘れてはいけません。亀や爬虫類と触れ合って手にサルモネラ菌が付いたまま何か食べたり、手を口に入れてしまうと感染します。

亀や爬虫類の腸管にサルモネラ菌がいるということは、亀たちの糞尿にサルモネラ菌が潜んでいるということです。当然、その糞尿から亀たちの水槽内や体表にもサルモネラ菌が付着します。

つまり亀や爬虫類を飼育している水槽自体に常にサルモネラ菌がいる、と考えて亀・爬虫類と触れ合った後は必ず石けんで手を洗いましょう。

◆亀やハ虫類の飼育箱を洗浄した際

飼育箱・水槽を洗浄してきれいな環境を亀や爬虫類に提供するのも、飼い主として欠かせない義務です。

しかし先述したように亀などの飼育箱・水槽自体にサルモネラ菌がいると考えて、十分に注意して洗浄しなければなりません。亀たちの飼育箱などを洗う時は、台所など食品を扱う場所で排水したり洗浄することはやめましょう。

飼育箱などを洗浄する時は亀たち専用のスポンジを用意し、人間の食器用のスポンジとは絶対に同じにしないように気をつけて下さい。


サルモネラ症とはどんな病気?

22902945

サルモネラ症とはサルモネラ菌の感染によって、主に胃腸炎症状が引き起こされる病気です。動物から人へ移る「動物由来感染症」に指定されています。サルモネラ菌が体内に入り6~72時間の潜伏期間を経て、急な発熱・腹痛・下痢・吐き気や嘔吐といった症状が出ます。

症状が現れた場合には独断で市販薬を使用したりせずに、すぐに医療機関を受診し医師に亀・爬虫類を飼っている、もしくは触れ合ったことを伝えて下さい。

◆人にサルモネラ菌が感染した場合の症状

食中毒の菌として知られているサルモネラ菌ですが、亀などの爬虫類が感染源となり人へ感染することもあります。特に免疫機能が低下している高齢者や小児が、サルモネラ菌に感染すると症状が重く出るケースがありますので注意が必要です。

通常は胃腸炎症状が出ますが、高齢者がサルモネラ菌に感染した場合はまれに菌血症や急性脱水症状が出て重症化する場合があります。子どもの場合だと、けいれん、意識障害、菌血症の症状により重症化することがまれにあります。

厚生労働省ホームページによると、日本では生後27日の乳児が亀からサルモネラ菌に感染し胃腸炎の症状が出たケースもありました。海外ではカメ類やハ虫類を感染源とした菌血症、敗血症、髄膜炎が確認されており、死亡事例まであります。


ペットからのサルモネラ菌感染を防ぐための対策

亀に触れる

ここまで読んで「亀や爬虫類って怖い!」と思った方もいるかもしれません。しかし亀や爬虫類が悪いわけではなく、対策を怠りサルモネラ菌に感染することが怖いのです。そもそもサルモネラ菌は自然界に広く生息している細菌です。

◆亀や爬虫類に触った後は石けんで手指を洗う

亀や爬虫類には触らないようにする、も対策の1つですがペットだった場合そうもいきませんよね。

亀だけでなく動物と触れ合った後や、飼育箱の洗浄後はすみやかに石けんで手指を洗うことを徹底しましょう。特に子どもは亀など動物を触った後にそのまま物を食べたり、指を口に入れたりしてしまうのでご家庭等で大人の方がしっかり指導してあげてください。

◆重症化しそうな人がいる家庭は飼わない

通常、人がサルモネラ菌に感染しサルモネラ症を引き起こした時の症状は急性胃腸炎でした。しかし免疫機能の落ちている乳幼児や高齢者がサルモネラ症を発症するとまれに重症化する、と先述しましたね。

海外では死亡例も出ています。米国ではサルモネラ症を防ぐために、1975年から約10センチ以下のミドリガメなどのカメ類の販売を禁止しています。

可愛いから飼いたいという気持ちも分かりますが、家族の健康を守ることも大切です。感染して重症化してしまいそうな家族がいる場合は、新たに飼う事はやめたほうが良さそうです。

◆サルモネラ菌が怖いから逃して良い?

そもそもペットを逃がすことは動物愛護法により禁止されています。人に飼われていた動物が自然界で生き残ることは難しいですし、生き残ったとしても生態系を崩す恐れがあります。
飼う前にその動物についてしっかり調べてから飼いましょう。もしどうしても手放さなければいけない事情がある場合は里親を見つけるなどして、最後まで責任を持ちましょう。

また、ミドリガメは2022年に制定された外来生物法改正案という法律でも自然に逃がすことを禁止されています。
「元の場所に返した」も「逃した」扱いになってしまうため注意しましょう。


亀やハ虫類からサルモネラ菌を除菌できる?

「亀やハ虫類からサルモネラ菌を除菌・除去すれば良いのでは?」と思った方も当然いらっしゃると思います。結論から言うと、残念ながら完全にサルモネラ菌を亀たちから除去することは、現在のところできません。

抗生物質を亀に投与しサルモネラ菌を除菌できるかという実験がされましたが、一時的にサルモネラ菌の排出を防げたものの完全に亀の体内からサルモネラ菌を除菌することは出来ませんでした。

しかし亀たちの飼育環境下におけるサルモネラ菌の増殖を抑えることは可能です。

基本は飼育水槽内を清潔に保ってあげることです。水槽内の水質は悪化しやすく、サルモネラ菌が増殖するだけでなく亀たちの健康を害することにも繋がります。こまめに水質をチェックして清潔にしてあげましょう。

また餌でもサルモネラ菌の増殖を抑えることができます。キョーリンのカメプロスは餌で水が汚れにくく、配合されているひかり菌の働きによりサルモネラ菌や大腸菌の増殖を抑えてくれます。

●おすすめ商品
カメプロス 200g

“ひかり菌”と茶葉の効果で水の汚れと臭いを抑えるカメの総合栄養食です。

商品詳細を見る

まとめ

亀や爬虫類から人などにサルモネラ菌が感染した場合、免疫機能が低下していると重症化してしまうことをお伝えしました。触れ合った後や飼育箱・水槽の洗浄後はしっかり石けんで手指を洗うことを徹底し、安全に亀や爬虫類を飼育していきましょう。また、飼う前に本当に最期まで飼いきれるのか考えてからペットをお迎えしましょう。



– おすすめ記事 –

・爬虫類(トカゲ、ヤモリ、ヘビ、亀)はなぜ脱皮をするの?その理由を知りたい!
・爬虫類初心者におすすめの種類10選とそれぞれの魅力を紹介。飼うには覚悟必須?
・日本にいるトカゲを知りたい!野生の個体を捕まえて飼うことはできる?
・初心者にお勧めの飼いやすい亀をご紹介!水棲・陸棲どちらを選ぶ?


focebookシャア
ツイート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
PetSmileすもーる部

PetSmileすもーる部

小動物大好きPetSmileすもーる部です。小動物にまつわるエピソードやお役立ち情報を発信します♪


記事に関するお問い合わせはこちら