野生のインコはどこにいる?日本で見られる野生のインコとは

2023.07.19

野生のインコはどこにいる?日本で見られる野生のインコとは

インコといえばペットの鳥の代表とも言える、私たち日本人にも身近な動物です。 インコはオーストラリアやアフリカに生息する野生の鳥の仲間ですので、本来は日本の自然界では見られないはずですが、近年日本でも”野生のインコ"が見られるようになりました。 今回は、なぜインコが日本の自然界で見られているのか、その原因や現状と、日本で見られる野生のインコたちの特徴や習性などについて紹介します。


インコってどんな鳥?

野生のセキセイインコ

インコと聞くと、こちらの写真のようなカラフルな羽が特徴的な「セキセイインコ」を思い浮かべる方が大半を占めるのではないでしょうか。
ペットの鳥として最もメジャーな種類と言えるほど、人気のある種類ですね。

インコは、鳥類オウム目インコ科に属する鳥たちの総称で、ボタンインコ、コザクラインコ、ルリコンゴウインコなど、約330種の鳥たちが属しています。

日本でもペットとして、または動物園や花鳥園の人気者として馴染みのあるインコですが、野生のインコはいったいどこで見られるのでしょうか。

◆原産地と分布

野生のインコ分布

インコの仲間の原産地はこちらの写真の緑の丸がある辺り、アフリカからインドネシア、オーストラリアや南アメリカなど比較的暖かい地域です。

場所ごとに見られる種類をいくつか紹介します。

【アフリカ】
コザクラインコやボタンインコなど

【南アジア】
ワカケホンセイインコ、ダルマインコなど

【オーストラリア】
セキセイインコ、ナナクサインコなど

【インドネシア】
クラカケヒインコ、オオバタンなど

【ニューギニア島周辺】
オオハナインコ、ゴシキセイガイインコなど

【南アメリカ】
ルリコンゴウインコ、コガネメキシコインコなど

こちらはあくまで原産地となり、現在の分布となるとこちらの地図にも変化があります。

既にご存知の方も多いかもしれませんが、ある理由から日本でも野生のインコとして「ワカケホンセイインコ」が見られるようになっています。

また、セキセイインコも元々はオーストラリアに生息する鳥でしたが、現在では南極、北極、アラスカなどの寒さが極端に厳しい地域以外のほぼ全域に分布しているとも言われています。

近年テレビなどでも取り上げられることもある「ワカケホンセイインコの野生化」について詳しくご紹介していきましょう。


日本にいる野生のインコは『ワカケホンセイインコ』

野生のワカケホンセイインコ

現在日本国内で確認されている野生のインコといえば『ワカケホンセイインコ』だと思います。

ペットとして飼っていたインコが逃げ出したら、きっとすぐに死んでしまうのだろう…
そんな風に考えがちですが、実際に野生化している現実を見るとインコの生命力はとても凄いのだと分かりますね。

◆ワカケホンセイインコの分布

ワカケホンセイインコの本来の生息地は、インドやスリランカで、大きな木のウロ(中が空になっている部分)を好みねぐらにするようです。
ウロを持っている木は自然の野山よりは公園や街路樹に多いことから、都心を中心とし人の住んでいるエリア付近で見られることが多く、日本での分布も関東地方を中心とした名古屋などの都市部となっています。
特に東京近郊の公園を中心としたエリアに多く見られるようです。

◆ワカケホンセイインコの食事

餌は穀物が中心です。

そのほかに野菜類、木々や草の種・新芽の花びら・蜜や果物を食します。

◆ワカケホンセイインコの特徴

ワカケホンセイインコは、鮮やかな緑の羽をベースに、首の周りに黒い輪を掛けたような模様があるところがポイントと言えます。

ワカケホンセイを漢字で書くと『輪掛本青(わかけほんせい)』となり、まさにこの2つの特徴を由来とした名前であることが分かりますね。
他にもこの特徴から『ツキノワインコ』と呼ばれることもあるそうです。英語では『Ring Necked Parakeet』という名前で呼ばれています。

ちなみに首の周りの黒い輪はワカケホンセイインコの成長のオスに見られ、メスには黒い輪がないのです。
オス・メスの区別がつきやすく、面白いですね。

体調は約40cmの中型インコに分類されます。寿命は20~30年ととても長生きです。

緑色の鮮やかな羽毛と真っ赤なくちばし、長い尾羽と美しい特徴を持つインコですが、興奮すると瞳が点目になるという一面も持ち合わせています。


なぜワカケホンセイインコは日本で見られるのか

野生化したワカケホンセイインコ

現在ワカケホンセイインコが日本で見られる理由は、ペットとして輸入したワカケホンセイインコが輸送途中に脱走したり、ペットとして迎え入れたものの飼育の大変さから飼い主が飼育放棄してしまったという過去に関係があります。

ワカケホンセイインコが自然界に出た後も、日本の気候や周囲環境に適応してしまったことや、野生化したと言えるほど繁殖・定着してしまったことで、今日の様な状況になりました。
他にも、日本の都心には天敵であるタカなどの猛禽類が生息していないというところも、繁殖を助長してしまったと言えます。

日本鳥類保護連盟のデータによると、1960年代より野生化が始まり、1969年から東京都23区の西南部で野生化し、数百羽の規模で繁殖、棲みついているそうです。
ワカケホンセイインコは日本の中では、都市環境のほうが生息地として適しているということで、現在は東京・埼玉・神奈川が主な生息域としています。

2022年頃の報道では、2,000~3,000羽のワカケホンセイインコがいると伝えられていたようです。

◆ワカケホンセイインコが野生化したことによる問題点

ワカケホンセイインコの野生化による問題点を4点あげてみたいと思います。

①その場で全員で大きな声で鳴くことによる【騒音被害】
②その場に留まることで電線下の路上、またはマンションの各部位、住宅の屋根やベランダ等に大量の糞をする【糞害】
③糞による【環境汚染・農作物被害】
④樹洞を利用するの在来種の鳥への影響や【生態系破壊】

ワカケホンセイインコは、群れを成して飛び、声も大きいことから、巷では『気持ち悪い』『迷惑だ』と思われてしまっているようですが、中にはワカケホンセイインコが懐いて可愛いと思う人たちもいて、餌付けをしている人も見られます。

しかし、野生のワカケホンセイインコを見かけても絶対に餌は与えてはいけません。
人間から食べ物を貰ったと認識すれば、今以上に人間に近づく可能性もありますし、餌をきっかけにそれまで餌と認識していなかったものも『食べていい物』という風に変わり、最悪の場合農作物への被害も広がる恐れもあります。

今のところ生態系や農作物に大きな影響を及ぼす『特定外来生物』の扱いではありませんが、、ワカケホンセイインコが在来種の鳥類(ムクドリなど)の営巣場所を奪うなど、生態系への悪影響も懸念されています。

餌付けすることで、結果としてさらに個体数が増えることになるので、今後私たちがそのような行為を続ければ、いずれ外来生物に指定される可能性も十分にあります。

在来種の鳥や、農作物を守るという意味でも、むやみな保護や餌付けはやめるべきと言えます。


まとめ

今回は野生のインコはどこで見られるのか、そして特に日本で近年よく見られるワカケホンセイインコについて書いてみましたがいかがだったでしょうか?

今後本来生息しているはずのない野生のインコを増やさないようにするには、飼い主が責任をもってペットの飼育をするということに尽きると思います。

野外への放鳥は厳禁ですし、インコをペットとしてお迎えする際には、生涯面倒を見ることを念頭にお迎えしましょう。
また、飼育方法をきちんと理解することも大切です。

安易な放し飼いをしないということも、不注意によるインコの野生化の歯止めにつながっていくと思います。

ワカケホンセイインコについては、今後さらに農業被害が増えてしまえば、駆除の対象になってしまいます。

それを防ぐためにも、これ以上の増殖を抑えるために、たとえワカケホンセイインコが可愛くて餌を与えたくても、餌やり、えさ台の設置は控えてくださいね。

実際のところ人間の不手際や人間の都合で、野生化してしまったインコ達に罪はありません。



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