ハムスターの食欲がない? 考えられる原因と予防法は?

2024.10.05

ハムスターの食欲がない? 考えられる原因と予防法は?

「あれ?餌が全然減っていない……」飼っているハムスターの食欲がないと心配になりますよね。 ハムスターの食欲がないのは健康状態と、ストレスが大きく関わっています。正しい対応をしてハムスターの食欲の回復を促すために、この記事ではハムスターの食欲がない原因、食欲がない場合の対応の仕方、食欲不振の予防策をまとめました。


ハムスターの食欲不振の主な原因

ジャンガリアンハムスター

本来、ハムスターは食欲旺盛な動物です。
ハムスターの食欲がない場合、主な原因は大きく分けて4つに分かれています。

ひとつずつ見ていきましょう。

◆健康上の問題

ハムスターの食欲がない理由の1つとして病気によるものが考えられます。
病気の場合、外傷や内臓疾患による痛みや、胃腸の動きが悪くなることによる食欲不振が多いです。

ハムスターに多いのが以下の病気です。


ハムスターは腫瘍になりやすい動物です。特に1歳6カ月を過ぎるとシニア期に入り、腫瘍の発生率が高くなります。
腫瘍はあらゆる箇所に発生し、特にお腹部分に発生することが多いです。
初期の段階ではほとんど症状が現れないため、普段からの観察が重要となります。

・頬袋の病気
ハムスターは頬袋に食べ物をため込む習性があるため、与えた餌によっては頬袋が傷ついたり、食べ物が頬袋からはりついたりして炎症を起こしやすくなります。

他にもハムスターの頬袋が口から出てきてしまう頬袋脱という病気もあります。
頬袋の病気の予防をするためにも、潰した乾燥とうもろこしなどの尖った食べ物や、さつまいもなどの頬袋に、くっつきやすい食べ物を与えない方がよいでしょう。

・不正咬合(ふせいこうごう)
歯のかみ合わせが悪くなる病気です。
ハムスター、リスなどのげっ歯類は歯が一生伸び続けるのですが、歯のかみ合わせが悪くなると歯が削れずにどんどん伸びて行ってしまいます。
歯が伸びすぎた結果、食べ物が食べにくくなり、元気と食欲の低下を招く恐れがあります。

不正咬合の予防は、金網ケージを使わない、かじれるおもちゃを与えることです。
飼っているハムスターが高齢でなければ普段の食事に固めのペレットを取り入れるのもおすすめです。

・胃腸のトラブル
胃腸の動きの悪くなり、食欲が低下します。
ハムスターの便は本来、乾燥してコロコロしていますが、やわらかい便、下痢をしている場合は異常です。
水分量の多い食べ物の食べ過ぎや、ストレスによって抵抗力が低下することで発症します。
また、抵抗力が低下した結果、健康な状態であれば細菌やウイルスに感染してしまう場合があります。

予防としては水分の多い食べ物を食べさせすぎない、ハムスターにとって適切な環境を与えて極力ストレスをためさせない等があります。

◆環境の変化

ハムスターは環境の変化に非常に敏感です。
環境の変化に非常に敏感なのは、ハムスターの生態が関係しているからです。

野生のハムスターは巣穴を作って暮らしています。
巣穴の中は温度変化があまりないので、気温差が10度以上あると適応できずハムスターにとってストレスに感じてしまいます。
そのため、一定の気温や湿度を保つのが求められます。

また、ケージの中の床材を取り換える際、すべてを取り換えるのはハムスターにとってよくありません。
なぜなら、ハムスターは縄張り意識が強く、自分のニオイがあることで安心する生き物だからです。
ケージの中を掃除して、床材を取り換える際は古い床材を少し残しておいて、ハムスターのニオイを完全になくさないようにしましょう。

◆食事の問題

一時的な食欲の低下の場合、一つの可能性としてはハムスターが食事に飽きている可能性があります。
わたし達がずっと同じものを食べていると飽きてしまうのと同じです。

餌を変えた場合、急に餌のにおいや味が変わって戸惑っている場合も考えられます。
これまで食べていたエサも混ぜて与えると食べる場合があります。なお、餌をあげる際、餌に人のニオイがつくのを防止するためにおたまを使うのがおすすめです。

他には加齢によって、若い頃に食べられていた硬いペレットが食べられなくなります。
ハムスターが1歳半くらいになると、噛む力が弱くなっているため、ふやかしたペレット等の柔らかい餌をあげましょう。

◆心理的な要因

ハムスターはストレスにかなり弱く、デリケートな動物です。
わたし達が思っている以上にちょっとしたことでストレスを感じやすく、胃腸の機能低下を引き起こして食欲低下を引き起こす場合もあります。

ハムスターのストレスに関係する主な要因は以下の6点です。
・気温湿度
・音
・光、明るさ
・他のペットの存在 
・ニオイ
・飼い主からの過度なスキンシップ

飼い主の関わり方でハムスターのストレスを軽減させられる点も多いので、ハムスターとの関わり方を見直してみましょう。


食欲がない時のチェックポイント

ハムスターの食欲がないと不安になりますよね。
ここでは、ハムスターの食欲がないときのチェックポイントをお伝えします。

◆体に異常がないか

ハムスターの食欲がない原因が健康上の問題の場合、原因となる病気によって体に現れる異常は異なります。

①ハムスターの体にしこりがないか
ハムスターの体に、しこりなどができていませんか。体表にできたしこりは早く気付きやすい一方で、体内にできたしこりは気づきにくいのです。

②ハムスターの頬が腫れているように見える
ハムスターの頬が腫れているように見える、ハムスターの口から嫌な臭いがしたら、頬袋の炎症を疑いましょう。見慣れないものが口から出ていれば、頬袋脱の場合もあります。

③歯が通常より長く伸びている、または欠けている

④口元によだれが多い、見慣れないものが口から出ている
歯が通常よりも長く伸びていて、口元によだれが多いと不正咬合などの歯の病気が原因も考えられます。

⑤肛門あたりが濡れている
お尻の肛門あたりが常に濡れている状態であれば、ウエットテイル(下痢)の可能性があります。かなりひどい場合、下半身がずぶぬれに見えるようになる場合もあります。

◆飼育環境の見直し

ハムスターを飼育するのに適した温度は20度~25度 、湿度は40%~60%です。
27度以上では、「元気がない」「食欲がない」といった症状が現れる場合があるので、ハムスターがいる部屋の室温が27度以上になっていないか確認してください。

ケージの大きさがハムスターに合っていないのもストレスの原因になります。
飼っているハムスターの種類がゴールデンハムスターの場合、最低でも幅45センチメートル以上、高さ30センチメートル程度の大きさのケージを選びましょう。


食欲不振が食事原因の場合

ハムスターの食欲がないのは、食事が原因の場合も考えられます。
与えている食事はハムスターにとって適切な食べ物かチェックしてみましょう。
また、食欲を刺激する方法も紹介しているので参考にしてくださいね。

◆餌は適切か

与える餌の量は、ハムスターの体重の5~10%の量を目安にしましょう。
たとえば、100gのゴールデンハムスターの場合、餌の適量は5~10gとなります。
おやつを与える場合は、食事量の10%が適量とされています。

一見そこまで汚く見えない餌であっても、腐敗している場合があります。
古くなった餌を与えるのは体調不良を招き、ハムスターの食欲がない原因に繋がるので絶対にやめましょう。

また、古くなった餌を放置すると、ハムスターが食べてしまうだけでなく、雑菌が繁殖しやすく病気になりやすくなるおそれがあるので新しい餌と交換しましょう。

◆水分補給

ハムスターの食欲不振と水分不足は関係があります。
とはいえ、食欲がないのを予防するのにたくさん水分を与えればいいかというと、そうではありません。

ハムスターの副食に取り入れられる生野菜や果物は8割以上が水分です。生野菜や果物の食べ過ぎは、水分摂取が多すぎると下痢を引き起こす原因になります。

下痢を引き起こすことで食欲不振につながるので、生野菜や果物の与えすぎは間接的にハムスターの食欲不振を招いてしまいます。

◆食欲を刺激する方法

ペレットをすりつぶしたり、ふやかしたりすると食べ物のにおいで食欲が回復する場合もあります。
他にもブロッコリーなどの生野菜を刻む、ペレットに乾燥野菜のふりかけをかけるのもおすすめです。


食欲不振が病気原因の場合

ゴールデンハムスター

急に環境の変化があったわけでもなく、食べ物を変えたわけでもないのに食欲がない……。
病気の可能性が高いでしょう。

動物病院に連れて行ったら、獣医師に必要な情報を伝えなくてはなりません。
病院でどんなことを伝える必要があるか見ていきましょう。

◆受診のタイミング

ハムスターは体調の悪さを隠す生き物。
ハムスターの様子がおかしいと気づいたら、至急、動物病院に連れて行きましょう。

様子を見ようとするのはおすすめしません。
なぜなら、ハムスターの病気の進行はわたし達が思っている以上に早いからです。
下手に様子を見ようとするのは、ハムスターの食欲がない原因が分からないままにしておくのと同じことなのです。

◆獣医師に伝えるべき情報

獣医師は普段のあなたのハムスターの状態をよく知りません。
そのため、5W1Hにそって、以下の情報を正確に獣医師に伝えましょう。

・環境に変化がなかったか(ゲージの引越し、多頭飼いをはじめた等)
・どれくらい前から食べなくなったのか
・糞や尿の量
・水分は摂取しているか
・ハムスターの様子(ぐったりしている等) など

ほかにも獣医師から聞かれたことに的確に答えられるように、普段の様子と比較し、おかしいと気づいた時点で、記録をつけておきましょう。


食欲不振を予防するためにできること

ハムスターの食欲がないのには、健康状態、食事、飼育環境などによるストレスが大幅に関係していることが分かりました。
ここからはハムスターの食欲不振を予防するために飼い主ができることをまとめました。
 

◆健康管理

定期的に体重測定、運動量、しぐさ、便の状態、食事の量など普段からの観察が大切です。
普段から観察をしていればちょっとした異変に気付きやすくなるので、早めに対応しやすくなります。
異変の原因が分かれば、その後の対応も正しい対応がしやすくなります。

◆ストレス発散させる

ハムスターはストレスにかなり敏感な生き物のため、ストレスによる体調不良を引き起こすことも珍しくありません。
また、ハムスターの食欲がない原因がストレスだったということもあります。

かじり木のおもちゃを用意し、かじらせるのもストレス発散の1つです。
他にも回し車を与えるなど十分運動できるようにしてあげてくださいね。

◆適切な飼育環境にする

ハムスターにとって快適な空間の維持のために、部屋の室温と湿度も大事です。
ハムスターがいるケージを置く部屋の室温は20度~25度 、湿度は40%~60%にしましょう。
ケージが狭すぎるのもストレスになるので、十分な広さのあるケージを選びましょう。

他にもハムスターのケージに布を被せておいて、なるべく薄暗く静かな環境を維持してあげてください。
また、1つのケージで飼育するハムスターは1匹にしましょう。

1つのケージで多頭飼いが良くないのは、ハムスターは縄張り意識が強いのは関係しています。
自分の縄張りの中に他のハムスターがいるのはストレスに繋がるためです。
例え、多頭飼いができると言われているロボロフスキーであっても例外ではありません。


まとめ

ハムスターの食欲低下は健康状態、食事、飼育環境などによるストレスが関係することが分かりました。

ハムスターの食欲がないのに気づいたら、まずは動物病院に連れて行き、原因が分かったら原因に応じた対応をしましょう。
普段から観察をしていると異変に早く気付きやすくなるので、適切な対応がしやすくなります。

ハムスターにとってストレスを極力感じさせないためにも、飼い主はハムスターとのかかわり方や飼育環境を見直すのが大切です。

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