インコの羽の「クリッピング」とは?必要性やメリットデメリットを紹介

2020.11.18

インコの羽の「クリッピング」とは?必要性やメリットデメリットを紹介

インコを飼っている方ならば、クリッピングという言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。 インコのクリッピングとは、一体どのようなことを指すのでしょう。 必要性やメリットデメリットも気になるところです。 そこでこの記事では、インコのクリッピングの意味や必要性、メリットデメリットなどを詳しくまとめました。

クリッピングとは?

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クリッピングとは、故意にインコの風切り羽の先端をカットすることです。
自由に飛び回ることができなくなるため、主に飼育鳥の脱走防止や手乗りなどの目的で行います。

◆インコの風切り羽とはどこを指す?

クリッピングをするのは、羽の中でも風切り羽という部位です。
風切り羽は、翼を広げた一番外側の羽です。
クリッピングは、この風切り羽の先端を2~3枚カットします。
カットする枚数や深さによって、どのくらい飛べるかが異なります。

◆どのくらいカットする?

カットするのは、外側の2~3枚です。
あまり奥まで切ってしまうと、全く飛べなくなってしまいます。
全く飛べないとは落下などの事故につながるため、多少は飛べるようにしておくことが理想です。

◆外側一枚だけ残すのは危険

見栄えの問題などで、風切り羽の一番外側1枚をカットせず残すことがありますが、これはおすすめできません。
羽は一枚だともろいため、ぶつかったりした際に根元から折れて出血をしてしまう事故の報告も少なくありません。
翼の根元には血液が通っているため、折れてしまうと最悪出血多量で死に至る危険性もあります。
クリッピングの際、羽の外側一枚だけを残すことは危険ですので避けるようにしましょう。

◆痛みはない?

クリッピングをする羽の先端には、神経や血液が通っていないため痛みを感じることはありません。
しかし、奥の方は血液が通っているためカットをすることで痛みや出血を伴います。
クリッピングをする際には、様子をみながら先端を少しカットします。

◆クリッピングは一度すればいいの?

クリッピングは一度行っても、定期的に羽が生え変わるため放っておくと飛べるようになってしまいます。
インコの換羽期は4~6カ月周期で訪れます。
そのため、換羽期を見逃さず、新しい羽根がある程度生えてきたら再度クリッピングを行います。
万が一自由に飛べるようになってしまった場合には、再度行うと強いストレスに繋がるため、諦めてそのままにすることをおすすめします。


クリッピングのメリット

インコのクリッピングには、どのようなメリットがあるのでしょう。
ここでは、インコのクリッピングで得られるメリットについて紹介します。

◆脱走防止

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インコの事故で一番良く聞かれるのが「脱走」です。
窓を開けっぱなしにしたまま放鳥をしてしまい、外に飛んで行ってしまったという事故は少なくありません。

一度外に出てしまうと、インコはパニックに陥り自分の位置が分からなくなってしまいます。
そのため、いくら飼い主が呼んでも帰ってくることは難しく、野生化での生き方を知らないインコは命を落としてしまうことが多いでしょう。
戸締りに気を付けていても、家族が帰宅するのにドアを開けた瞬間や、放鳥に気づかず窓を開けてしまったなど、インコの脱走トラブルは後をたちません。
そこで、インコの脱走防止に効果的な方法がクリッピングです。
羽をカットしてある程度飛ぶことを制限することで、万が一脱走をしても遠くまで飛ぶことができななくなり、捕獲がしやすくなります。

◆手乗りにしやすい

特に小型~中型インコは活発な性格が多く、室内を縦横無尽に飛び回ります。
そのため、以下のようなトラブルをよく耳にします。

・遊ぶ時間が終わってもケージに入ってくれない
・高いところに止まって帰ってこない

など、飼い主さんとしてもイライラすることがありますよね。
鳥だから飛ぶのは仕方がないと分かっていても、一緒に遊んだり決まった時間にはケージに入れたい、そんな方にクリッピングはおすすめです。

ある程度飛ぶことを制限することができるので、逃げ回られる心配がなく、スキンシップやコミュニケーションをとりやくすることができます。
自由に飛べないことは手や肩に乗せやすいので、手乗りにしたい場合にも適しています。
また、懐かせることが目的の場合、雛のうちはクリッピングをして飛ぶことを制限し、人に懐いたところで換羽時にクリッピングを止め、飛べるようにするという方法もあります。
手乗り崩れをしてしまう可能性もありますが、基本的に一度懐いたインコは同じように接していれば崩れてしまうことはありません。


クリッピングのデメリット

クリッピングをすることは、インコにとってどのようなデメリットがあるのでしょう。
ここでは、クリッピングで起こりうるデメリットを紹介します。

◆運動不足

小型~中型のインコは、特に活発に飛び回る種類が多いように感じます。
そのため、飛べないことは運動不足になり、結果肥満に繋がってしまいます。
もともと大空を飛んでいたインコは、家の中だけの生活でも十分運動不足に陥りやすく、飛べないとなると更に状況は悪化します。
クリッピングをした際には、糖質や脂質の少ないエサを与えるなどして、体重管理に気を配る必要があります。

◆ストレス

インコはもともと捕食される生き物ですので、苦しまないよう強い痛みやストレスを感じた際には絶えることをせず、命を落としやすい体質をしています。
そのため、今まで自由に飛んでいたインコの羽を切ってしまうと、強いストレスを感じます。
今まで何不自由なく歩行していた人間が、ある日突然できなくなってしまったことと同じように感じるかもしれません。

強いストレスを感じたインコは、自傷行為である自咬みや毛引き症を発症したり、食欲不振や下痢などを引き起こし、最悪命を落としてしまう危険があります。
クリッピングを行う際は雛のうちから行い、一度飛ぶことを覚えてからは行わないことをおすすめします。

◆事故

クリッピングをすると、飛ぶことよりも歩いての移動がメインになります。
結果、気付かずに踏んでしまうという事故が多く報告されています。
また、多少飛べるようにしておくと、調理中の鍋に飛び込んでしまったり、飼い主の後を追ってドアに挟まってしまうなどの事故も少なくありません。
クリッピングを行った場合、インコの行動を良く観察し、どのような危険性があるか、どのようにすれば安全かを把握して生活をすることが必要不可欠です。


クリッピングをするなら雛のうちから行う!

クリッピングを行う場合、まだ飛ぶことを知らない(上手に飛べない)雛のうちから行うことが重要です。
ペットショップなどで購入する時からクリッピングをしておけば、自由に飛ぶことを覚えないため、さほどストレスに感じることがありません。

◆成鳥をクリッピングしたい場合

「飛び回って手が付けられないので、クリッピングをしたい」
「懐いてくれないので、手乗りにするためにクリッピングをしたい」

インコを飼っていると、上記のような理由からクリッピングをしてみたいと考える方も少なくないでしょう。
しかし、一度自由に飛ぶことを覚えてしまったインコにクリッピングをすることはおすすめできません。
飛ぶことを覚えてしまったインコがクリッピングによりいきなり飛べなくなることは、私たちがいきなり歩けなくなるのと同じくらい負担やストレスがかかります。

◆成鳥をクリッピングすることで起こりうる危険性

それまで自由に飛ぶことができた成鳥をクリッピングしてしまうことは、時に命を落とす危険性すらあるため、あまりおすすめできません。
飛ぶことが当たり前だったインコが急に飛べなくなってしまうと、それを学習することは困難です。
結果、高い場所から落下してしまうなど事故の原因に繋がります。

また、今まで飛べたとに飛べなくなることは、インコにとって強いストレスに繋がります。
インコは捕食される生き物であるため、強い痛みや苦しみを感じた際、絶えることをしない作りになっています。
クリッピングをされたストレスから、自傷行為の一環である毛引き症や食欲不振などを引き起こし、最悪の場合命を落としてしまうこともあります。
症状が出たからといっても、切ってしまった翼が元に戻るには半年ほどの期間を要します。

以上のことから、一度自由に飛ぶことを覚えてしまったインコには、クリッピングはおすすめできません。


クリッピングはしたほうが良いのか

クリッピング

クリッピングはインコが生きるためには必要ありません。
しかし、脱走防止や人に懐かせたい場合には効果的でしょう。
また、中型や大型の鳥に関しては足が発達しているため、自由に飛び回ることができなくてもあまりストレスを感じることはありません。
クリッピングを行うか否かは、飼い主さんの生活環境、インコの性格や体質などとよく相談して決断しましょう。


クリッピングは虐待なのか

特にインコを飼育していない方の中には、「羽を切ってしまうのは虐待である」との意見も耳にします。
果たしてクリッピングは虐待になるのでしょうか。
確かに鳥は飛べることが当たり前であり、それをできなくしてしまうことは鳥本来の生き方を奪うという考え方もできます。

しかし、中型や大型のインコやオウムは、あまり活発に飛び回ることはせず、足で器用に歩いたり物を持ったり、遊んだりすることができます。
小型インコであっても、カットする場所や本数を調節することで、多少は飛べるようにすることができます。
飛べることを学習した鳥をクリッピングすることは、可哀そうに思えますが、ひな鳥のうちからクリッピングを行うことで、このくらいしか飛べないものだと学習させることができます。

クリッピングには賛否両論があり、どちらの意見も間違っているとは言い切れません。
虐待であると感じる方、そうでないと感じる方、どちらの意見も間違いではありません。
どちらにせよ、インコがストレスなく人間社会で生きやすい方を選ぶことが大切です。


まとめ

インコのクリッピングとは、インコの風切り羽をカットすることです。
主に脱走防止や手乗りにするために行います。
クリッピングをすることには、それぞれメリットデメリットがあるため、飼い主さんは必要か否かを良く考えて判断するこ必要があります。
また、クリッピングは鳥に対する虐待であるとの意見もあり、それを完全に否定することはできません。
時と場合によって、クリッピングは必要であるとも、必要がないともいえるのです。
クリッピングを検討している方は、本当に必要なのか、クリッピングをした後はどのようなケアをすれば良いのかなど、実行をする前に今一度良く考える必要があります。



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