ハムスターの爪切りは必要?知っておきたい爪の伸びすぎ防止対策は

2021.07.15

ハムスターの爪切りは必要?知っておきたい爪の伸びすぎ防止対策は

普段はあまり意識することのないハムスターの爪事情。うっかりすると爪が伸びすぎて、大変な状態になる可能性があるのです。そもそもハムスターの爪はとても小さくて、爪切りや爪の手入れが必要なのかわかりにくいですよね。今回は、飼い主さんが気になるハムスターの爪切りの問題、爪の伸びすぎを防止する方法についてまとめました。


ハムスターの爪切りは必要?

ハムスター 爪切り

ハムスターの爪は切ったほうがいいのか気になりますよね。結論から言うと、通常は爪切りをする必要はありません。伸びすぎた時に爪を切る程度で大丈夫です。

◆ハムスターの爪の特徴

ハムスターのかわいらしい手足はチャームポイントのひとつといえますが、その手足を見ると、指の1本1本に細い爪が生えていますね。

ハムスターの指は前足に4本、後ろ足に5本ずつあります。そして、それぞれの指に「かぎ爪」と呼ばれる、内側に向かって湾曲した爪が生えています。

爪には指に力が入りやすくなるよう補助する役割があり、爪が生えているおかげで動物は力いっぱい走ったり、物をつかんだりできています。かぎ爪は草食動物に多くみられ、地面を掘るために役立っています。

ハムスターが前足で物をつかんだり地面を掘ったり、走ったり高い所へ登ったりと活発に動き回れるのも、引っかかりやすい形状のかぎ爪を持っているからなのです。

◆爪は自然にすり減るもの

ハムスターの爪は、人やほかの動物と同じように一生伸び続けています。ただし、活動する時に爪が物とこすれて自然に削れるため、爪が伸びすぎてしまうことはありません。

野生のハムスターは地面に大きなトンネルを掘って巣穴を作り、毎日5km以上の距離を走ります。毎日掘ったり走ったりするので、爪は自然にすり減っていきます。

一方、飼育下にあるハムスターはケージの中で暮らしているので野生種よりも活動範囲が限られます。そのためなかなか爪がすり減らせず、爪が伸びすぎてしまうことがあるのです。

特に、高齢や体調不調のハムスターは運動量が減るため自然に爪が伸びやすくなります。

◆爪が伸びていると危険?

ハムスターの爪を伸ばしたままにするのは良くありません。

爪が長いと、爪が地面やケージの壁などに当たって歩きにくくなってしまいます。また、自分の体や目をうっかり傷つけてしまう可能性もあります。

伸びすぎた爪は内側にカーブしてフックのような形になるため、爪が物に引っかかりやすくなってとても危険です。爪が折れる、転倒によるケガが起こる、といったトラブルが起こりやすくなります。

◆長さの目安

ハムスターの爪は、どれくらいの長さに保てばよいのでしょう。

爪の長さは、品種によっても異なりますが2㎜前後が正常範囲といえます。

手足を見て爪が目立つ、歩く時にカチャカチャ音がするようなら、伸びすぎている可能性があります。また、爪がアルファベットの「C」のようにくるんと曲がっているのは明らかに伸びすぎです。

伸びっぱなしの爪はハムスターの生活を不便にしてしまうので、時々指元をアップで見て爪の長さをチェックしましょう。


ハムスターの爪の長さを保つ方法

ハムスターの爪は伸びてから切って短くするのではなく、日頃から爪が伸びないよう対策をとることが大切です。爪が自然に削られるような飼育環境を用意してあげましょう。

◆素焼きを置く

ハムスターの爪をすり減らすためには、ケージ内にざらざらした素材の置物を設置するのが効果的です。プラスチックのようなつるつるした素材に囲まれていると、どうしても摩擦が少なくなるため爪が伸びやすくなります。

ハムスターのケージには、素焼きの巣箱やプレートなどを設置するとよいでしょう。その上を移動するたび爪が自然にこすれ、ゆるやかに爪をすり減らしていくことができます。

素焼きは通気性が良く肌触りがひんやりしているので、夏は暑さ対策にもひと役買ってくれますよ。

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◆砂浴び、砂遊びをさせる

ハムスターには砂浴びをする習慣があるので、砂浴びをさせて爪をすり減らすのも効果的です。ゴールデンハムスター、ロボロフスキーハムスター以外の品種は、被毛の汚れやダニを落とすためによく砂浴びをします。

少し大きめの容器に砂浴び用の砂を入れて「砂場」を作り、時々その中で砂遊びをさせるのもよいでしょう。ハムスターは掘るのが好きなので、砂を掘り続けることで自然に爪がすり減っていきます。ハムちゃんのストレス解消にもなって一石二鳥ですね。

◆運動させる

若いハムスターは活動量が多いので爪が伸びることは少ないです。高齢、体調不良でじっとしているハムスターは別ですが、健康なのに爪が伸びているならば、運動不足かもしれません。

回し車でしっかり運動させるか、時々ケージから出して散歩させるとよいでしょう。

毎日回し車で走れば、爪が適度にこすれて伸びすぎが防げます。回し車で遊んでいる気配が少ないようであれば、今置いてある回し車が体に合っていないことも考えられます。買い替えると走ってくれることがあるでしょう。

ちなみに「回し車の内側に紙やすりを貼ってハムスターを走らせる」という裏技も見かけますが、紙やすりはハムスターの皮膚や被毛を傷める可能性があるのでおすすめできません。

「こまかい目の紙やすりなら問題ない」という声もあります。ただし、工具である紙やすりの上を小動物が何キロも走るのは心配です。安全のためにも、ペットに合った道具の使用をおすすめします。


ハムスターの爪の切り方

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ハムスターの爪が伸びていることに気付いた場合は、自然にすり減るのを待たず、なるべく早めに爪を切ってあげましょう。

爪は自宅で切ることもできます。ただし、ハムスターの指や爪は小さく切るのが少し難しいうえ、たいていのハムちゃんは爪切りを嫌がって暴れるので、コツと慣れが必要です。

失敗すると、深爪をして出血する、誤って指を傷つけてしまう、といったトラブルが起きてしまいます。安全に爪切りを終えるためにも、ハムスターの爪に適した器具を使い、しっかり保定(動物が動かないよう、体を押さえて固定すること)して爪切りにのぞみましょう。

◆必要なグッズ

必要なものは小動物用の爪切りです。

一般的なハサミ、人間や犬猫用の爪切りは使わないようにしましょう。ハムスターの爪を切るには刃の部分が大きすぎて非常に危険だからです。

まゆ毛カット用の小さなハサミでも切れますが、刃が爪専用ではないため製品によっては力の入れ具合や切れ味に違和感があるかもしれません。やはり小動物用の爪切りを使うのが一番安心です。

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◆保定方法

ハムスターの爪は素早く的確に切ることが大切です。ハムスターは保定しないと動き回って爪切りできないので、しっかりと体をつかんで動きを封じ込めましょう。

ハムスターの保定は、首筋の後ろの皮を寄せてつかむ方法が一般的です。爪を切る時は、手のひらでハムスターの体を後ろから包みこむように持ち、頬袋の下、脇の下を指で支えるようにつかむと体が固定しやすいでしょう。

ハムスターが万歳して仰向けになっている状態にしたまま、もう片方の手で爪切りを使って爪を切っていきます。

そのほか、うつ伏せまたは仰向けの体勢のハムスターを背中からタオルでくるみ、足首を持って爪を切っていく方法もあります。

ハムスターがおとなしくしていれば1人でも爪切りできますが、ハムスターを保定する人と爪を切る人の2人がかりでおこなったほうが確実です。

拘束する時間が長くなると嫌がって、飼い主さんとの信頼関係が崩れてしまうので、なるべく手短に済ませましょう。保定や爪切りが難しいと感じた場合は、無理に続けず中断することをおすすめします。

◆どの程度切るか

爪は、よく確認しながら1本ずつ丁寧に切っていきます。まとめて切るのはケガにつながりやすいので絶対にやめましょう。

ハムスターの爪は根元から血管と神経が通っているので、血管と神経が通っていない先端だけを切るようにします。血管や神経を切ると出血や痛みを伴うので、くれぐれも深爪には注意しましょう。

血管は、爪を光に透かした時によく見えます。切る場所は、血管ギリギリの所ではなく血管から離れた所、爪の先端だけを切るようにするのがポイントです。

もし出血した場合は、ティッシュなどで指を押さえ血が止まるまで待ちます。また、ペットの爪の出血を止める「止血剤」があれば、出血を抑えることもできます。

止血剤もなく数分経っても出血が止まらない場合は、動物病院に相談することをおすすめします。


爪切りが難しい場合は獣医師に相談

家庭でハムスターの爪が切れない場合は、遠慮なく動物病院に相談しましょう。獣医師は動物の爪切りに慣れているので、ハムスターの爪を手際よく切ってくれます。

爪切りの費用は動物病院によっても異なりますが、1回500~1,000円くらいが相場です。

ただハムスターにとっては、切る人が誰であっても体を固定され爪を切られることが大きなストレスになります。少しでもスムーズに爪切りを済ませるためにも、信頼できる獣医師、ハムスターの診察が得意な獣医師にお願いするとよいでしょう。


まとめ

ハムスターの爪は自然にすり減るので、人やほかのペットのように定期的に切る必要はありません。ただ、油断していると伸びすぎになるまで気付かないということも。爪の伸びすぎを防止する対策をとることが大切です。ハムスターの爪切りは家庭でもできますが、切るのが怖い方は獣医師に切ってもらうことをおすすめします。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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