犬の噛む力の強さはどれくらい?
◆小型犬の噛む力の強さ
実は、小型犬、中型犬、大型犬を分類する明確な定義はありません。そのため、団体によって分類方法が異なりますが、多くは体重が10kg未満の犬を小型犬とする場合が多いです。
さらに4kg未満は超小型犬と分類されますが、ここでは超小型犬も小型犬の分類に入れて考えます。
小型犬は、チワワ、マルチーズ、ポメラニアン、ダックスフンド、パピヨン、シェットランドシープドッグ、トイプードルなど。今や室内犬の代表的な犬種ですね。他には、シーズー、キャバリア、ヨークシャーテリアなども有名です。
これらの小型犬の噛む力の強さは、なんと100kgほどもあります。あんなに体が小さいのに噛む力は100㎏もあるなんて、驚きです。
◆中型犬の噛む力の強さ
同じ犬種でも分類方法や体重によって小型犬に分類されたり、中型犬に分類されたりということもあります。例えば、柴犬は小型犬に分類されることもありますし、中型犬の場合もあります。
ここでは、体重11kg以上25kg未満の犬を中型犬と分類します。
中型犬は、ブルドッグ、ビーグル、日本スピッツ、、ウィペット、ボーダーコリー、バセットハウンド、アメリカンコッカースパニエル、北海道犬、甲斐犬などです。
中型犬の噛む力の強さは100kg~160kgほどで、小型犬よりもさらに噛む力が強くなります。体が大きい分、口の大きさも大きくなるので、当然噛む力も強くなると考えられます。
◆大型犬の噛む力の強さ
体重25kg以上の犬を大型犬に分類します。
大型犬は、ゴールデン・レトリバー、サモエド、シベリアンハスキー、セント・バーナード、ボクサー、ダルメシアン、ドーベルマン、ジャーマンシェパード、秋田犬などです。
いかにも強そうな犬種が並んでいますが、噛む力の強さは小型犬や中型犬よりさらに増して160kg以上。その中でもジャーマンシェパードは特に噛む力が強く、なんと200kgもあります!こんな力で噛まれたら、人間はひとたまりもありませんね。
ジャーマンシェパードは警察犬としてよく知られている犬ですが、犯人を見つけたら噛みついて絶対に離さない場面を思い出します。あの噛む力が200㎏もあるとすれば、犯人はもう逃げだすことをあきらめたほうがよさそうです。
◆犬の噛む力の強さの正体
ところで、犬の咬筋(こうきん)をご存知でしょうか?犬の上顎骨と下顎骨は顎関節でつながっていますが、それを支えているのが咬筋です。
咬筋はそれほど大きな筋肉ではないものの、非常に収縮力が強く、犬が獲物を噛んで離さないための大切な筋肉です。犬の身体の中で最も強靭な筋肉でもあるのです。
犬の噛む力は、この強い咬筋によって支えられています。
もとは動物などを狩猟、捕獲していた犬にとって、噛む力の強さは必要不可欠なものでした。体の小さい小型犬といえども、本気で噛まれたらケガをしてしまいますね。
犬の噛む力の強さは動物界で何位?人間は?
犬の噛む力についてはだいたい分かりましたが、犬以外の他の動物たちの噛む力はどれくらいなのでしょうか?犬の噛む力の強さは、動物界の中では強いほうなのでしょうか?
他の動物たちの噛む力の強さも調べてみました。
◆最も噛む力が強いのは「クロコダイル」
アメリカで放送されたあるテレビ番組があります。生物学者として有名なブレディ・バー教授が動物の噛む力の強さを調査したもので、邦題は「バー教授の最も危険な調査隊」です。
その調査によると、現存する生き物の中で最も噛む力が強いのは、クロコダイルの2,268kgでした。次いで、カミツキガメ(ワ二ガメ)455kg、ハイエナ454kg、ライオン313kg、ホホジロザメ303kg、オオカミ184kg、犬(ロットワイラーで計測)149kgという順番でした。
また、他の調査によるランキングを見てみると、1位はやはりクロコダイルで同じですが、他に、カバ1,000kg、ホッキョクグマ800kg、ワニガメ400-455kgなどがありました。
計測をしている動物としていない動物がいるので、犬の噛む力が動物界で何位だとはハッキリ言えませんが、上位にランクインしていないことは確かです。
◆大型の動物は噛む力が強い
上の結果を見てみると、動物界には犬よりも噛む力が強い動物がたくさんいることが分かります。噛む力の数値を見ても圧倒的に犬よりも強い力ですね。
噛む力が体の大きさに比例するとは言い切れませんが、上位にランクインしている動物たちは、かなり体の大きな動物たちでした。
ちなみに現存しない生物として挙げられていたのは、海の中の生物としてメガロドン(古代に生息した巨大なサメ)が噛む力20tで最強。陸上ではティラノサウルスが、6t~10tと推定され、恐竜の中で最強でした。
ここまでくると、私たちの想像を絶するほどの噛む力ですね。
◆人間の噛む力はどれくらい?
これまで犬や動物の噛む力を見てきましたが、ここでは私たち人間の噛む力の強さを考えてみましょう。
人間の噛む力を測定した結果があります。20~30歳の健康な男性42名を対象に、噛みしめる時に奥歯にかかる力を測定したものです。
こちらの結果によると、最小は27.5kg、最大は100kgと、かなり個人差がありますが、平均すると59kgほどです。
また、別の団体の測定結果もあります。これは、20代の男性150名を対象に、歯を食いしばった時にかかる力を測定したものです。
測定によると、右側前歯にかかる力15.66kg、犬歯にかかる力27.74kg、そして奥歯にかかる力は66.90kgでした。
上の2つの測定結果はどちらも若い男性のもので、平均すると60~70㎏ほどでしょうか。女性や子ども、高齢者はこれよりも数値が低いと考えられます。
一般的には人間の噛む力は40~60㎏で、歯を食いしばった時には70㎏ほどの力と言われています。だいたい自分の体重と同じくらいの噛む力があるのです。
例えば60kgの体重の男性なら噛む力は60kgほど、40㎏の体重の女性なら噛む力も40㎏ほどと考えられます。
ただ、年齢や個人差はかなりありますし、例えばスポーツ選手や力士などは、さらに噛む力が強いです。
動物たちの噛む力は生き延びるため
今回、犬の噛む力、他の動物や人間の噛む力を調べてみて、改めて動物の噛む力の威力に驚きました。
ほとんどの野生動物は狩りによって獲物を確保し、それを食べることで生き延びてきました。自分の力で獲物を確保できないということは、即刻死につながることを意味します。
狩りをする時は噛んで相手に打撃を加え、捕った獲物を食べる時は、歯で食いちぎって食べる。相手に打撃を与える時も、食べる時も、絶対に必要となるのが動物の噛む力の強さだったのでしょう。
動物の噛む力は、動物が生きていく上で非常に大切な働きであると同時に、生き延びるためになくてはならないものといえます。
犬は人間を噛まない?
犬の噛む力は人間以上の強さでしたが、犬は人間を本気で噛んだりしないのでしょうか?
犬と人間の歴史は非常に古く、約1万2000年前にはすでに犬と人間は共に暮らしていたことが分かっています。
速く走ることができる犬たちは、狩猟の時には人間のために大いに役立ってくれたことでしょう。また犬たちも人間から食料を得ることができ、自分たちで獲物をとり続けなくてもよいという利点がありました。
このようにして、長い時間をかけてお互いの信頼関係を築いてきたのです。
その後、ペットとしても、犬たちは人間を癒してくれるかけがえのない存在となってくれています。
犬たちの噛む力を考えれば、その気になれば人間を傷つけることなど簡単なことでしょう。現に、世界中で犬が人間を傷つけたという事件はいくつも起こっています。もともと狩猟をしていた犬は、本能的に襲うという習性を持ち合わせているので、何かの拍子に噛んでしまうということは当然起こりうることです。
それを防ぐには、正しいしつけをすることが非常に重要です。
正しくしつけをし、犬が飼い主を主人と認めれば、犬は非常に従順で利口な動物です。飼い主と犬との信頼関係が培われれば、犬たちはいつでも私たちを助け、また癒してくれるのです。
まとめ
今回調べて分かったことは、以下のことでした。
・動物界にはもっと噛む力が強い動物がたくさんいるので、動物界では犬の噛む力は上位ではない
・人間の噛む力は動物に比べるとかなり弱い
・動物の噛む力は、生き延びるために必要なものである
・犬と仲良く共存するには、信頼関係と正しいしつけが大切である
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