1.セキセイインコが吐く理由
1-1.吐き戻し
1-2.嘔吐
2.セキセイインコの嘔吐の理由
2-1.感染症
2-2.食餌や生活環境
2-3.腫瘍によるもの
2-4.誤飲や金属中毒によるもの
セキセイインコが吐く理由
セキセイインコが吐く理由は大きく分けて2種類あります。
1つは発情期による吐き戻し、もう1つは感染症などによる嘔吐です。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
見分け方についても紹介していきます。
◆吐き戻し
吐き戻しは、セキセイインコの発情期に起こる求愛行動の1つで、オスのセキセイインコによく見られますがメスにも起こる現象です。
初めての発情はセキセイインコによって個体差はありますが、早い場合は生後3か月、遅くとも生後6か月ほどから始まりますので、その頃からより一層注意深く観察することが重要です。
つがいで飼っていないから発情は起こらないのでは?と思っている飼い主さんもいるかと思いますが、セキセイインコの発情の対象は様々で、飼い主さんや止まり木・おもちゃなどにも発情し、吐き戻しをすることがあります。
吐き戻しが嘔吐と異なる点は2つあり、1つは首の振り方です。
嘔吐は首を左右に振りますが、吐き戻しの場合は首を縦に振ります。
そして、吐き戻しと嘔吐の決定的な違いは、吐き方です。
嘔吐は吐いたものを周囲にまき散らしますが、吐き戻しは1ヵ所にまとめて吐くことが多いです。
いずれにせよ、私たち人間よりはるかに小さい生き物であるセキセイインコにとって吐くという行為はとても体力を消耗する行為です。
発情期の吐き戻しを繰り返すことによって、病気に繋がることもあります。
一度、セキセイインコなどの鳥類を診察することのできる獣医師さんに診てもらって、発情を抑制してもらうのも良いでしょう。
◆嘔吐
嘔吐は先ほどもお伝えした通り、首を左右に振りながら吐しゃ物を周りにまき散らします。
「今日はおとなしいな?元気がないな?」と思っていると急に吐く場合もあるようですが、吐いたところを見ていなくても、ケージの周辺や愛鳥の顔周り・頭のてっぺんが汚れていたら、嘔吐である可能性が高いです。
セキセイインコの嘔吐の原因は様々ですが、ここでは
・感染症によるもの
・食餌や生活環境によるもの
・腫瘍によるもの
・誤飲や中毒によるもの
についてそれぞれ見ていきたいと思います。
セキセイインコの嘔吐の理由
◆感染症
セキセイインコがよく発症する感染症の1つが、メガバクテリア症です。
マクロラブダス症とも呼ばれ、真菌(カビ)の1種であるメガバクテリアに感染することで発症する病気です。
主な感染経路は母から子へのエサの吐き戻しで、幼鳥期に発症することが多いのですが、感染したからと言って必ずしも発症するわけではないので、飼い主さんが感染していることに気付かず、幼鳥のセキセイインコがそのまま成鳥になってしまうこともあります。
メガバクテリア症は早期発見・早期治療がとても重要で、発症前に抗真菌剤を投与することで完治する可能性もあるので、セキセイインコのヒナをお迎えした場合にはまず動物病院を受診することをおすすめします。
もう1つ、セキセイインコがよく発症する感染症として、そ嚢炎があります。
そ嚢(そのう)とはエサを一時的に保管する食道の一部で、そこに生息する細菌や真菌(カビ)が異常に繁殖することで起こる病気です。
嘔吐以外の症状は下痢・体重減少・口臭などで、治療は原因菌によって異なりますが、真菌に対しては抗真菌剤、細菌に対しては抗生物質を投与し治療します。
◆食餌や生活環境
セキセイインコは体が小さく、飛ぶために少しでも体を軽くする必要があるので栄養を蓄えておくことができません。
そのため毎日の食餌で栄養が偏ってしまうと栄養失調に陥り、免疫力の低下から嘔吐を引き起こす様々な病気の発症に繋がります。
セキセイインコは、種子を主食とする穀食性の動物です。
ペットとして飼育されているセキセイインコの主食はシードとペレットの2種類あり、シードとはヒエ・アワ・キビなどの穀物のことで、ペットショップなどでは4~5種類ほどのシードがミックスされたものが販売されています。ペレットとはいわゆるドッグフードのような総合栄養食のことです。
以前はシードを中心とする食餌でしたが、近年はペレットへの切り替えが推奨されています。
ペレットはセキセイインコに必要な栄養素がバランス良く含まれており、食餌全体の7割以上がペレットであれば、補助的な栄養(野菜やボレー粉)は必要ないと言われています。
しかしセキセイインコを含むオウム目の鳥類は、他の鳥類に比べ味覚細胞が多くいわゆるグルメだと言われています。
また、セキセイインコは初めての食べ物に対しての警戒心が強いため、成鳥になってシードからペレットへの切り替えをしようとしてもなかなか上手くいかないことが多いようです。
好き嫌いせず何でも食べてくれるように、幼鳥の頃から色々な食餌に慣れさせておきたいですね。
その他にも、生活環境の変化によるストレスが嘔吐の原因となる場合があります。
引っ越しや新しい小鳥をお迎えするなど、今までの生活がガラッと変わることでセキセイインコにストレスを与え、体調を崩し嘔吐のきっかけになることがあります。
ただセキセイインコは本来群れで生活する鳥類なので、新しい小鳥との相性が良ければ、1羽飼育による孤独・退屈からくるストレスが和らぐ場合もあります。
鳥同士の相性をよく見て、同じケージで飼育するか別々に分けて飼育するか見極めると良いでしょう。
また、セキセイインコは温度変化に敏感な動物です。
季節の変わり目は特に体調を崩しやすいので注意が必要です。
羽を膨らませてうずくまるようなしぐさをしている時は、セキセイインコの体温が低下している状態なのですぐにケージの温度を上げる必要があります。
ペット用のヒーターなどで、30度以上に上げてあげましょう。
◆腫瘍によるもの
腫瘍とはガンやできものと呼ばれているもので、人間と同じように良性と悪性があります。
胃などの消化器官やその他の臓器に腫瘍ができると、胃が圧迫され嘔吐を引き起こします。
セキセイインコに発生する確率が高い腫瘍としては精巣腫瘍・卵巣腫瘍が挙げられ、精巣腫瘍は3歳以上のオスのセキセイインコによく見られます。
はっきりとした原因は分かっていませんが、発情を抑制することが予防につながると言われています。
また腫瘍の摘出手術はセキセイインコの小さな体にとってとてもリスクが高いため、投薬による内科療法が行われることがほとんどです。
◆誤飲や金属中毒によるもの
セキセイインコは好奇心旺盛な動物です。
放鳥中に洋服のボタンをちぎって飲み込んでしまったり、遊んでいるうちに壊れてしまったおもちゃの欠片を飲み込んでしまうことで嘔吐が起きる場合もあります。
また、観葉植物にもセキセイインコにとって有害になるものがあり、嘔吐を引き起こすものとしてはパンジーやスイセン、チューリップなどがあります。
放鳥中は愛鳥から目を離さず、観葉植物や誤飲の原因になりそうなものは他の部屋に移すようにしましょう。
金属中毒に関しては、あまりピンとこない飼い主さんもいるかもしれませんが、日常生活で何気なく使っているものに含まれる金属が、実はセキセイインコにとってはとても危険で命に関わる中毒症状に陥る可能性が高いものがあります。
例えば、鉛はカーテンや釣りの重りとして使用されています。
レースカーテンの裾に施された線状の重りには鉛の粒が使用されており、放鳥中にセキセイインコがかじって飲み込んでしまうことがあります。
他にも亜鉛はメッキ加工として使用されているものが多く、ケージやおもちゃの鈴などにも使用されています。
こちらは鉛と違い、セキセイインコが舐めたり経年劣化によってメッキが剥がれ摂取してしまうということが多いです。
銅も中毒症状を起こす金属の1つで、主に電源ケーブルに使用されています。
ケーブル類は通常塩化ビニルなどで覆われているため銅線が露出することはありませんが、セキセイインコがケーブルをかじってしまうと摂取する恐れがあります。
中毒症状は進行が早く命の危険性も高いため、一刻も早い動物病院での受診・治療が大切です。
ちなみに治療にはキレート剤という解毒剤が投与されます。
セキセイインコが吐いた時の対処法
愛鳥が突然エサを吐いてしまった!
一刻も早く病院に連れていくべきなのか、その前に何かできることはないのか、飼い主さんは驚き、戸惑うと思います。
ですが、まずは落ち着いて冷静に現状を把握しましょう。
先ほども申し上げた通り、セキセイインコが吐く理由は「吐き戻し」と「嘔吐」の2種類があります。
愛鳥の様子を見て、そのどちらか判断しましょう。
吐き戻しはセキセイインコの求愛行動の1つですので、すぐに動物病院を受診する必要はありません。
ただ、発情を繰り返す場合は病気に繋がる恐れもありますので、発情を抑制するために動物病院を受診すると良いでしょう。
嘔吐の場合、動物病院を受診する前にやるべきことがあります。
それはケージ内の温度を上げることです。
ペット用のヒーターなどを使い30度くらいに上げましょう。
保温することはとても重要で、この処置を適切にできるかどうかでその後が変わると言っても過言ではありません。
また、セキセイインコが落ち着いて安静に過ごせるように、小さなケージに移したりケージに布をかけ薄暗くしたり、止まり木を外すのも良いでしょう。
セキセイインコが植物や金属を誤飲した場合は、どのような物を誤飲したのかメモをしておくとスムーズに診察が行われるでしょう。
セキセイインコの嘔吐に関するまとめ
セキセイインコが吐く原因や対処法についてご紹介いたしました。
セキセイインコはたとえ体調が悪くても、飼い主さんの気配を感じたり姿を見たりすると元気にふるまってしまう健気な動物です。
そんな愛鳥にいつまでも元気に長生きしてもらうためにも、日頃からの体調管理や観察、飼い主であるあなたの「いつもと様子が違うな?」という直観力が、病気の早期発見・早期治療に繋がります。
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