うさぎの足ダン(スタンピング)はどんな気持ちを表す?病気の原因になることも

2022.07.22

うさぎの足ダン(スタンピング)はどんな気持ちを表す?病気の原因になることも

うさぎ用語でおなじみの「足ダン」は、後ろ足で床を踏み鳴らす行為のことです。そのダン!という大きな音は人のほうが委縮してしまうほど強烈ですよね。足ダンはうさぎに欠かせない習性なのですが、騒音や足の病気などトラブルの原因につながるので、あまり頻繁に足ダンをさせてはいけません。今回の記事では、足ダンの原因、関連して起こる病気、やめさせ方について紹介していきます。

【掲載:2020.11.10  更新:2022.07.22】


うさぎの「足ダン」とはどんな行動?

足ダンとは、うさぎが後ろ足で地面を強く踏み鳴らす、うさぎ特有の仕草です。

正しくは「スタンピング」といいますが、足で床をダン!と踏み鳴らすので足ダンと呼ばれています。スタンピングより語呂がいいこともあり、飼い主さんの間では足ダンという呼び方が定着しています。

◆足ダンのやり方は

うさぎがスタンピングをする時は、前足や体は動かさず後ろ足だけを床に打ち付けて音を鳴らします。前足を固定してふんばり、小さくジャンプして後ろの両足をダンと叩きつけることが多いです。

1回だけすることもあれば、何回か繰り返すこともあります。また興奮している時は、何かにとりつかれたように数十分間、中には半日くらいスタンピングを続けるケースもあります。

夜行性に近いため、人が寝ている時間帯に起きてスタンピングすることも。これはちょっと困りものですね。

◆どんな音がする?

スタンピングの音は、足ダンと呼ばれるように「ダン!」と聞こえることが多いのですが、踏み鳴らす強さ、床の素材によっても異なります。

たとえば、ケージに敷いたすのこの上、フローリングの上だと響いて「ダン!」「パン!」など鋭い音がします。かわいらしい小動物なのに強烈な音を出すので、初めて聞く人はびっくりしてしまうかもしれません。また、軽く踏み鳴らす程度なら「トン」「スタッ」と小さな音になります。

うさぎは後ろ足の筋肉が発達して脚力が強いため、床を足で叩きつけて大きな音を出すことができます。

野生のうさぎは土や草むらといった柔らかい地面の上で過ごしているので、仲間に聞こえるよう力いっぱい地面を叩きつけています。

飼育されているうさぎは天敵に襲われる可能性が低くなりましたが、その習性はしっかり受け継いでいます。

◆足ダンする子としない子がいる

どのうさぎも同じように足ダンするわけではありません。頻繁にスタンピングする子とめったにしない子がいます。中には「長くうさぎを飼育しているけど、うちの子が足ダンしているのを見たことがない」という飼い主さんもいます。

一般には、のんびりした子より神経質な子、感情の起伏が激しい子のほうがスタンピングしやすいようですが、暮らしている環境によっても状況は変わってきます。


うさぎが足ダンする理由

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では人間社会で暮らしているペットのうさぎは、どのような状況で足ダンをするのでしょう。スタンピングの主な理由を挙げました。

◆警戒している時

ペットのうさぎも、やはり警戒している時にスタンピングすることが多いです。

大きな物音が聞こえたりほかの動物を見かけたりした時、ドン!ドン!とスタンピングをすることがあります。音に動じない子もいる一方で、打ち上げ花火や雷の音、風の音が聞こえると怖がってスタンピングする子も多いようです。

また、人間には何も聞こえていないのにスタンピングして飼い主を不思議がらせることも少なくありません。

警戒している時はパニックになりながら力いっぱいスタンピングすることも多く、警戒の対象物が消えるまで、または興奮が冷めるまで延々続く場合もあります。

◆不愉快な気持ちになった時

うさぎは、苦手な音が聞こえた、嫌なにおいがした、嫌なことをされた時など、不快感や怒りを示すためスタンピングすることも多いです。

<うさぎが嫌がるシチュエーションの例>

・人が大きな声を出した時
・カサカサした音、くしゃみ、食器のカチャカチャという音が聞こえた時
・爪切りされた後、薬を飲まされた後
・通院用のキャリアーを見せた時 
・食事が気に入らない時

「ちょっと何の音?」「やめてよ」「気に入らない」など苦情を言っている感じなのでしょうね。長時間繰り返すことはなく、その場でタンタンッと人に伝えるような感じです。

◆催促している時

空の食器を振り回す子、ケージの扉をガシャガシャ鳴らす子は珍しくありませんが、中には飼い主に催促している時、呼びたい時にスタンピングを利用する子もいます。

<催促のスタンピングをする理由>

・食事の時間になったのに、食器にえさが入っていない時
・トイレが汚れたままになっている時
・遊びたいのに人がかまってくれない時
・夜中に寂しくなって人を呼びたい時

催促のスタンピングは、イライラや不満が原因になっていることが多いです。また、飼い主が気付くまでしつこくスタンピングする子もいます。

◆嬉しい時

うさぎは、嬉しい時に足ダンすることもあります。

楽しいとその場でジャンプしたりブゥブゥ鼻を鳴らしたりすることが知られていますが、遊んだり走り回ったりしている最中にテンションが上がって思わず足を踏み鳴らすことも。特に、若くて活発なうさぎにしばしばみられます。

警戒している時のスタンピングは体をこわばらせているのに対し、イキイキして見えるので機嫌が良くてやっているということは一目でわかるはずです。


うさぎの足ダンは病気の原因になる?

スタンピングを頻繁におこなうと足に負担がかかり、病気や怪我を引き起こしやすくなります。スタンピングが原因で起こる病気や怪我には、どのようなものがあるのでしょうか。

◆ソアホック(足底皮膚炎)

足ダンを頻繁にするうさぎは、ソアホック(足底皮膚炎)に注意が必要です。

ソアホックとは足の裏に起こる、うさぎ特有の皮膚病です。症状に応じて足底潰瘍、飛節びらんとも呼ばれます。

うさぎの足の裏には皮膚を守る肉球がありません。そのため、足の裏の毛が薄くなると皮膚がむき出しになり、炎症が起こりやすくなります。かかとにできやすいのが特徴です。

初期は脱毛と皮膚の赤みだけですが、進行すると脱毛が広がって潰瘍やびらんを起こし、化膿や痛みを伴うようになります。

ソアホックの原因は硬い床、不衛生な飼育環境、肥満などとされ、スタンピングをすれば必ずソアホックになるわけではありません。

ただ頻繁にスタンピングするとかかとに物理的な衝撃が加わって、ソアホックのリスクが高まってしまいます。

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◆骨折

うさぎは犬や猫に比べ骨が薄くてもろく骨折しやすい動物です。床に足を叩きつけただけで自分の足を骨折させてしまうことがあります。

特に、硬い床で力いっぱいスタンピングすると骨に強い衝撃がかかるので、フローリングやコンクリートの上で放し飼いしている場合は注意が必要です。

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うさぎの足ダンをやめさせる方法

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スタンピングは、声が出せないうさぎの貴重なコミュニケーション手段です。しかし、スタンピングが激しいと騒音やソアホック・骨折などのトラブルにつながるので、好き放題にさせるのは好ましくありません。

スタンピングをしている原因を見つけ、原因に合わせた対策を取っていきましょう。

◆足ダンの原因を見つける

まずは、うさぎを観察してスタンピングする理由を探ります。うさぎが感じている「不快な理由」を取り除けばスタンピングはおさまります。

急にダン!という音を聞くと飼い主のほうがオロオロしてしまいますが、やみくもに叱ったりなだめたりするのはNG。うさぎはたいてい興奮しているので、聞く耳を持ちません。

むしろ嫌な気持ちになってしまうことがあるので、周辺を見まわして冷静に原因を探し出すことに努めてください。

◆うさぎが嫌がるものを取り除く

神経質な子、スタンピングしやすい子がいる場合は、なるべく静かで刺激の少ない環境を提供してあげましょう。

音、におい、ケージの汚れなどが原因でスタンピングしている場合は、それらを取り除きます。テレビや話し声の音量を下げる、窓を閉めて外の騒音を遮断する、ケージを掃除する、などの対処はすぐにしてあげてください。

どうしてもスタンピングの原因がわからない時は、ケージに布をかけて暗くし、静かな部屋に移してみましょう。落ち着ける環境を作るとおさまることもあります。

◆甘え・わがままならすぐに応じない

単にかまってほしくて人を呼ぶためのスタンピングなら、急いで応じる必要はありません。

うさぎは経験から学習する能力が高いので、人がその都度言いなりになっていると「足ダンすれば言うこと聞いてくれる」と判断し、スタンピングする習慣が定着してしまいます。

要求にいつも応じていると、うさぎは自分のほうが上だと思って人をこき使うようになります。ですから、甘えやわがままによるスタンピングは無視しておきましょう。しても無視されることに気付けば、自然にやらなくなるはずです。

◆無理に爪切りや抱っこをしない

爪切りや抱っこが嫌いな子は、抵抗して足ダンすることがあります。お手入れも必要ですが、怪我や信頼関係の低下につながるので、あまり機嫌の悪い時に無理強いするのはやめましょう。

病院に行くのが嫌で怒っている場合はやむを得ません。そのような時は、おやつなどで気を紛らわせて連れて行くのもひとつの手です。

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◆床に足ダン対策をしておく

騒音やソアホック・骨折を防止するため、ケージ内や室内の床には柔らかく厚みのあるマットを敷くこともおすすめします。

放し飼いの場合は、部屋の床にコルクマット、ジョイントマットなど衝撃を緩衝する素材を敷くのが効果的です。敷く時は、うさぎが端をかじらないようにきっちり敷き詰めるとよいでしょう。

また、ケージ内でスタンピングするとすのこの音が響く場合は、すのこの上にわらマットを敷くか、すのこの下に小さいマットを置いてすのこが揺れないよう固定するのもおすすめです。お風呂用のバスマットをカットして敷くと簡単に対策できます。

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<プラスチックのすのこの下にお風呂用マットを敷いて足ダン対策>

金属製のすのこはガシャンと音が響きやすく、ソアホックも起こしやすいので、プラスチック製の足にやさしいすのこにするといいですよ。


うさぎの足ダンに関するまとめ

うさぎが足ダン(スタンピング)する原因、やめさせる方法などについてまとめました。

うさぎはおとなしそうに見えて、意外に怒りっぽく自己主張が激しい動物です。キレやすい子だとしょっちゅうスタンピングをするかもしれません。しかしながら人間と快適に共存するならスタンピングはそれほど必要ない習性といえるでしょう。

不安や不満からすることが多いので、うさちゃんの足ダンぐせが気になる場合は飼育環境を見直すこともおすすめします。ぜひ今回紹介した情報をお役立てください。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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