ハムスターがよくひっくり返るのは理由がある?対処法、注意点は

2021.09.01

ハムスターがよくひっくり返るのは理由がある?対処法、注意点は

ハムスターの仕草は可愛らしくて、ずっと見ていても飽きませんよね。そのひとつに、ころんとひっくり返る動作があります。ハムスターはよくひっくり返りますが、それにはさまざまな理由があります。この記事ではハムスターがひっくり返る理由、よくひっくり返る時の対処法について説明していきます。


ハムスターがひっくり返るのはなぜ?

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ハムスターはちょこまかとよく動き、時々ひっくり返ったり尻もちをついたりしますよね。

ハムスターが仰向けにひっくり返った時は、ケガをしないか、ちゃんと起き上がれるか気になることもあります。しかし、ハムスターは受け身を取って倒れるのであまり心配はいりません。

これは、ハムスターが本来狭い巣穴に住んでおり、狭いトンネルを器用にくぐるため体の柔軟性が発達しているからです。ひっくり返っても自力で上手に起き上がることができます。

ひっくり返る場合、自分の意志でひっくり返る場合と、意図していない時にひっくり返ってしまう場合があります。

もしひっくり返ることがあっても、ふだん元気に過ごしているなら問題はありません。しかし何かトラブルがあってひっくり返ってしまう場合は、その原因を取り除くことが必要になります。


ハムスターがひっくり返る理由

ハムスターがひっくり返る主な理由は以下の6つです。

◆驚いている

ハムスターは何かにとても驚いた時反射的にひっくり返ります。本当に驚いた時は、口を開けて大きなリアクションをし、コントのように思い切りずっこけることもあります。

個体の性格によっても差はありますが、ハムスターは全般に繊細で臆病な動物です。また、聴覚や嗅覚が非常に発達しているため、人が気にならないような音、においにも敏感に反応します。

そのため、大きな物音がした時、強いにおいをかいだ時に驚くと反射的に体が硬直し、後ろにひっくり返ってしまうのです。

◆身体能力による

ハムスターがひっくり返りやすいのは、体の構造や体型に原因があります。ハムスターは手足と尻尾が短く体のバランスが良くないため、ちょっとした反動で後ろにひっくり返りやすいのです。特に幼いハムスターはよく転びます。

バランスを崩してひっくり返るハムちゃんの動画です。

ハムスターの仲間であるネズミは長い尻尾を持っていて、尻尾で体のバランスを取ったり、木の上から落ちそうになった時に尻尾を木に巻き付けて落下するのを防いだりします。

対して、ハムスターは地下に巣を作って生活しているため、高い所に登る必要がなくなって、尻尾が退化し短くなりました。お尻に丸くて短い尻尾がちょこんと生えているだけです。(チャイニーズハムスターは例外で、長い尻尾を持っています。)

ハムスターは、長い尻尾がないため体のバランスが取りにくく、二本足で立っている時、運動している時、特に高い所から降りる時にはポテッとひっくり返ることが出てきてしまうのです。

体が柔らかいハムスターならではの、こんな特技も。後ろにのけぞる力が強くて体が一回転し、きれいにバク転が決まるハムちゃんもいるようです。

◆身を守るため

ハムスターは、怖い目や不快な目にあった時、相手に抵抗するため、自分の身を守るためにひっくり返ります。「怖い」「触るな」「やめて」と全身で訴えているのでしょう。

あまりなついていないハムスターは、人に手でつかまれたりケージの中をのぞかれたりした時、ひっくり返ってしばらく動かなくなることがあります。飼い主さんがその様子を見たら、死んだふりをしているのかと思うかもしれません。

もしもひっくり返った時にハムスターが「キー、キー」と鳴き声をあげていれば、とても怖がっている可能性が考えられます。

また、ハムスターが「ジー、ジー」と濁った鳴き声で鳴きながらひっくり返っている場合は怒っている状態です。「噛むぞ」と威嚇して相手に口を向けていることがあるので、うっかり手を出して噛まれないよう注意しなければなりません。

そのほか、多頭飼いをしている場合はハムスター同士がけんかをして、弱いほうのハムスターが降参したことを伝えるため、ひっくり返って腹を見せることもあります。

◆自分の匂いを付けるため

ハムスターはマーキングするため、周りの物に背中をこすりつけてにおいを付けます。その際に体がひっくり返ることがあるのです。

ハムスターは縄張り意識から、ケージ内の物に自分のにおいを付けようとします。背中は面積が広く効率よくにおい付けができるので、このような行動が見られます。

におい付けは多くの動物に見られる自然な行為です。オスの犬がマーキングのためにおしっこしたり、オスのうさぎがあごのにおいを物にこすりつけてまわるのと同じです。ハムスターがにおい付けをするのも特に問題ありません。

ちなみにジャンガリアンハムスターなど砂浴びをする品種は、砂に体をこすりつける時にひっくり返ることもあります。

◆病気やケガ

病気やケガ、足腰が弱っていることが原因で体のバランスが取れなくなると、転びやすくなります。

高齢期のハムスターは筋力が低下して転びやすくなります。これは加齢による現象なので、ある程度は仕方がありません。

心配なのは、病気やケガによって転倒しやすくなるケースです。体のバランスをつかさどる中枢神経や三半規管に問題がある、どこかケガをしていてうまく立てない、といったケースが考えられます。

ふらつく、クルクル回る、ひっくり返った後に起き上がれないといった症状がある場合は、動物病院で検査を受ける必要があります。すぐ受診して原因を見つけましょう。

◆寝る時にひっくり返っているのは?

ハムスターには寝相の悪い子も多く、時にユニークな寝姿は私たちを和ませてくれます。ひっくり返って寝ている、仰向けで寝ているのを目にすることもありますが、これはどのような理由があるのでしょうか。

お腹をさらけ出して気持ちよさそうに寝ているなら、飼育環境に安心しきっていることが考えられます。動物にとってお腹は急所なので、ハムスターも含め動物はお腹を守るように丸まって寝ることが多いのです。それなのに無防備な姿で寝ているならば、自分の居場所が安全だと認識していてリラックスしていることが考えられます。

また、夏は丸まって寝ると体に熱がこもって暑いので、熱を発散させるため仰向けになって伸びきった状態で寝ている可能性もあります。


頻繫にひっくり返ってる時の対処法

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ハムスターが頻繁にひっくり返り、異常だと感じられる場合は、原因に合わせて対処する必要があります。

◆ストレスの要因を取り除く

普段の様子を見ていて、ハムスターが外部の刺激に反応しやすいようなら、周辺環境にあるストレスの要因を極力取り除き、リラックスできる環境を用意してあげましょう。

ハムスターは特に大きな音が苦手なので、ドアや引き出しの閉まる音、人の足音、テレビの音量など生活音でハムスターを驚かせている可能性があります。

ケージはなるべく静かな場所に設置し、ケージの近くでは急に大きな物音を出さないよう、そっと行動することを心がけましょう。

◆むやみに驚かさない

ハムスターがひっくり返るほど驚く時は、心身にとても強いストレスがかかっています。度重なるストレスは衰弱の原因につながるので、ハムスターと接する時はなるべく驚かさないようにすることも大切です。

人との間にあまり信頼関係が築かれていないと、ハムスターは人を怖がります。飼い始めの頃は、むやみに触ったりつかんだりせず、少し距離を置いて見守ったりおやつでコミュニケーションを取ったりして、飼い主さんとの距離を縮めることから始めましょう。少しずつ人に慣れてくると、人を怖がってひっくり返ることもなくなります。

ハムスターが驚いてひっくり返る時のリアクション、死んだふりをしたようにフリーズするところは、飼い主さんからしたら面白いと感じる光景かもしれません。

ポテッと転ぶので見た目はあまり緊迫感がないかもしれませんが、ハムスターは驚かされて強いショックを受けています。ハムスターがかわいそうなので「ハムスターの面白い瞬間が見たい」などの理由でわざと驚かせるのは控えましょう。

◆安全なレイアウトを

ハムスターがひっくり返った時、落下した時にケガしないよう、ケージ内は安全なレイアウトを心がけましょう。

ゆったりしたケージの中に床材をたっぷり敷き、床はふかふかの状態にしておきます。高い所から降りるのは得意ではないので、事故を防ぐためにも金網、はしごなどハムスターがよじ登れるパーツは設置しないことが好ましいです。

高齢期、病気のあるハムスターは、足がもつれて転倒しやすいので、ひっくり返った時置物に体をぶつけないよう、配置を計算して回し車やおもちゃなどを設置しましょう。

◆適切に温度管理をする

夏に、ハムスターがひっくり返って寝ることが増えたなら、暑くて熱を逃そうとしているかもしれません。

飼育環境の温度をこまめに確認し、風通しを良くする、冷房をかけるなどしてハムスターが涼しく過ごせるようにしてあげましょう。

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◆受診する

頻繁にひっくり返るようになった場合は注意が必要です。食欲がない、元気がない、動きがおかしい、などほかの症状がないかよく観察してください。今までと様子が違う場合は病気やケガが考えられるので、早めに動物病院を受診しましょう。


まとめ

ハムスターがひっくり返るのは日常茶飯事です。ひっくり返っても心配ないケースが多いですが、頻繁にひっくり返るようになった場合は何か問題が潜んでいる可能性があるので注意が必要です。ひっくり返ることがストレスになる場合もあるので、ハムスターが心おだやかに長生きできるよう、ハムスターを尊重したふれあい方、適切な飼育環境を心がけるようにしましょう。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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