うさぎは骨折しやすい!原因、折れやすい部位、予防法、後遺症について

2021.12.02

うさぎは骨折しやすい!原因、折れやすい部位、予防法、後遺症について

うさぎは活動的な動物ですが、実は些細なことで骨折しやすいってご存知でしたか?犬や猫に比べて骨が細く、骨折はうさぎに多い疾病のひとつになっています。この記事では、うさぎを飼育する時に知っておきたいうさぎの骨折の原因、骨折しやすい部位、予防対策などについてまとめました。

【目次】
1.うさぎの骨は折れやすい?その理由は?
 1-1.ほかの動物と比べて骨が繊細

2.うさぎの骨が折れる原因
 2-1.ジャンプの着地失敗
 2-2.ケージやすのこに足を引っかける
 2-3.部屋んぽ中に事故にあう
 2-4.抱っこや保定で負荷をかける
 2-5.人間に踏まれる
 2-6.高齢化、骨粗しょう症も原因に

3.どの部位の骨折が多い?

4.このような時はすぐ受診を
 4-1.骨折に伴う症状
 4-2.治療

5.骨折が原因で体に障害が残ることも…

6.うさぎの骨折を防ぐためにできる工夫
 6-1.ケージ内の段差をなくす
 6-2.マットを敷く
 6-3.うさぎを高い所に登らせない
 6-4.正しい抱っこの仕方を学ぶ
 6-5.爪の伸びすぎに注意する
 6-6.びっくりさせない
 6-7.健康な体を作る

7.まとめ


うさぎの骨は折れやすい?その理由は?

うさぎの骨は折れやすい?

うさぎの外傷で特に多いのが骨折です。ジャンプ力が強く活発に動くうさぎですが、実は些細なことで骨折しやすいので飼育する時は注意が必要です。

◆ほかの動物と比べて骨が繊細

うさぎの骨は薄くて軽いという特徴があります。

体重に対する骨の比率は犬や猫で14%前後となっていますが、うさぎはその約半分の7~8%しかありません。小鳥も骨格が細いのですが、うさぎも変わらないくらい繊細な骨を持っているのです。

このようにうさぎの骨が薄くて軽いのは、骨を軽量化することでより高く跳躍したり速く走ったりするためです。

うさぎは跳躍力に優れ、高さ60cmくらい、水平なら1mくらいは楽に飛び越えることができます。また野生のうさぎ(大型)なら時速80kmくらいまでスピードが出せるほど、走るのもとても早いです。

高い運動能力を持っていることは、ペットのうさぎが遊んでいる様子を見てもうかがい知ることができますね。このように活動的な動物でありながら骨は繊細なため、骨折には十分に注意しなければならないのです。


うさぎの骨が折れる原因

では、うさぎはどのような時に骨折しやすいのでしょうか。

うさぎの骨は、落下や衝突などで体に衝撃が加わった時にすぐ折れてしまうことがあります。残念ながら人の不注意で起こっているケースも少なくはありません。

◆ジャンプの着地失敗

うさぎの骨折の原因で多いのは、ジャンプの着地失敗です。高い所から飛び降りて着地した時、足に強い衝撃がかかって骨が折れてしまうことがあります。

うさぎが高い所から飛び降りて骨折することもあれば、抱っこされていたうさぎが暴れて落下して骨折してしまうこともあるのです。

うさぎは骨が細いうえ、足の裏にはクッションの役目をする肉球がありません。そのため硬い床に着地した時に、足の裏から強い衝撃をもろに受けてしまうのです。

◆ケージやすのこに足を引っかける

ちょっとしたすき間に足を引っかけ、足を引き抜こうとした時の動きで骨が折れることもあります。

多いのはケージに敷いてあるすのこのすき間、ケージの金網に足が引っかかったり挟まったりするケースです。その時にうさぎがびっくりして暴れると、足や腰の骨に強い負担がかかることがあります。

◆部屋んぽ中に事故にあう

部屋んぽ(うさぎがケージから出てお部屋を散歩すること)の最中に骨折や脱臼などのけがをすることも少なくありません。

部屋んぽ中に起こりやすいのは、カーペットに爪が引っかかる、つるつるしたフローリングで足が滑る、ドアに挟まれるといった事故による骨折です。

部屋は人にとっては安全な環境でも、うさぎには危険がいっぱいということもあります。またうさぎは好奇心が旺盛なので部屋を冒険して、飼い主さんが予期しないようなけがに巻き込まれることも少なくありません。

◆抱っこや保定で負荷をかける

抱っこしている時、お世話をするために保定(体を固定すること)している時にうさぎが嫌がって暴れると、その反動で骨折してしまうこともあります。

うさぎは筋肉が強靭なため、暴れて体をひねったり蹴り上げたりするだけで自分の骨に負荷がかかり、容易に骨折してしまうことがあるのです。

うさぎを飼い始めると、ふれあいのためにうさぎを抱っこするほか、爪切りや投薬、受診などをする目的でうさぎの体を保定する機会がたびたび訪れます。

おとなしくじっとしてくれる子もいれば、中には慣れていなくて力いっぱい抵抗してくる子もいます。うさぎのために抱っこや保定をすることも重要ですが、むやみに体を固定するのは危険だということも知っておかなければなりません。

◆人間に踏まれる

人がうっかりうさぎの脚先を踏んで骨折させてしまうということもあります。これは、うさぎに限らず犬や猫にも起こり得るアクシデントです。

人がうさぎの足を踏んでしまうのは、体が小さくて足元にいても視野に入りにくいためでしょう。うさぎはすばしっこいため、いないと思っていたのに急に足元に来ていることもあります。また、なついているうさぎが飼い主さんの足の周りをぐるぐる走り回って、うっかり踏んでしまうことがあるかもしれません。

もちろん、人の不注意で骨折させるのは決して良いことではありません。うさぎのいるお宅では、うさぎがどこにいるか意識しながら慎重に行動したほうが良さそうです。

◆高齢化、骨粗しょう症も原因に

うさぎも人と同じで加齢によって骨が弱くなり、骨折しやすくなります。また病気や食生活が原因で起こる骨粗しょう症も骨折を招きます。


どの部位の骨折が多い?

骨折

うさぎは全身の骨が薄くて細いのですが、特に次の部位で骨折が起こりやすくなっています。

  • 脊椎(背骨)
  • 前肢骨…橈尺骨(足首から膝までにある骨)
  • 後肢骨…脛腓骨(すねにある骨)、大腿骨(ももにある骨)

また、このなかでも腰椎を含む脊椎、脛腓骨の骨折が特に多くみられます。


このような時はすぐ受診を

骨折は見た目で明らかにわかる場合と骨折しているかどうかわからない場合があります。いずれにしても適切な治療が必要になるので、異変に気付いた場合はすぐ受診することがのぞまれます。

◆骨折に伴う症状

このような症状があれば骨折や脱臼などの外傷が考えられます。

  • 左右の脚の向きが違う
  • 歩き方が違う
  • 脚をひきずる、片脚を浮かせている
  • 元気がない
  • 体が動かない
  • 排泄障害や失禁がみられる
  • 食欲が低下する

◆治療

骨折の治療は、部位、骨折の状況によって異なります。軽症の場合は自然治癒も可能ですが、重症の場合は外科的治療や長期間の療養が必要となります。

骨折の治療は大きく分けると、手術をしてピンやプレートで骨を固定する方法、ギプスやバンテージで患部を固定し骨がくっつくまで動きを制限する方法などがあります。

解放骨折などで傷口から細菌に感染すると、炎症を起こして死に至る可能性も出てきます。うさぎが骨折したらすぐ動物病院を受診しましょう。


骨折が原因で体に障害が残ることも…

うさぎが骨折をしても、治療によって骨がくっついて元通りになれば、再び元気に過ごせるようになります。

ただし骨折の状況によっては後遺症が残り、体の機能や歩行などに支障が出る場合もあります。

後遺症の中でも注意したいのは、脊椎の骨折で起こり得る「脊髄損傷」です。「脊髄」は脳からつながる中枢神経で、体の感覚や知覚を司っています。

脊髄は脊椎の中を通っており、脊椎を骨折した際に脊髄が損傷すると、脳からの指令が伝達されなくなります。そのため、下半身麻痺、失禁、排泄障害といった障害が一生残ってしまうのです。

後遺症があっても飼い主さんのケアで幸せに暮らすことはできますが、やはり大変な目には合わせたくないものです。うさぎが健康に過ごせるよう、事故やけがを防ぐ対策はしっかりと行いましょう。


うさぎの骨折を防ぐためにできる工夫

うさぎの骨折を防ぐためにできる工夫

うさぎを飼育する時は、うさぎが骨折しやすい動物であることを念頭に置き、うさぎが安全に過ごせる飼育環境を用意してあげましょう。

◆ケージ内の段差をなくす

うさぎは高くない段差でも、つまずいたり飛び降りた時に骨が折れたりすることがあります。特に、高齢のうさぎなど筋力の低下している子は骨折しやすいので注意が必要です。

ケージの出入口、ロフト、トイレはなるべく段差をなくすか小さくし、スムーズに昇り降りできるようにしてあげましょう。

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◆マットを敷く

マットを敷くと、うさぎが滑って転んだり足の裏に衝撃がかかったりするのを防ぐことができます。

部屋んぽをする部屋やケージ内にマットを敷く場合は、柔らかくてクッション性があり、うさぎが動き回りやすいタイプを選びましょう。

その際、ループ状になっているカーペットやタオルなどは、爪が引っかかる可能性があるので、フラットなマットを敷くことをおすすめします。

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◆うさぎを高い所に登らせない

危ないので、うさぎを高い所に登らせないように注意します。

遊ぶ部屋にうさぎが登れそうな家具や家電、箱などがある場合は、うさぎが登らないようレイアウトを変更すると安心です。

また、好奇心の強い子は冒険して高い所や狭いすき間へ行こうとするので、うさぎが遊んでいる時にはよく観察し、危険な場所に行かせないようにしましょう。

◆正しい抱っこの仕方を学ぶ

うさぎが抱っこを嫌がって暴れると危険なので、家族の皆さんで正しい抱っこの仕方を学んでおくことも大切です。

人の胸など高い位置で抱っこをせず、座って膝の上などの低い場所でうさぎを抱っこします。うさぎが安心するよう、うさぎの脚とお腹は人の体に引き寄せておくのが良いでしょう。

もし暴れたら蹴り上げて骨折する可能性があるので、お尻からそっと床に下ろしてあげましょう。

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◆爪の伸びすぎに注意する

うさぎの爪はこまめに切って適度な長さにしておきます。爪が長いと引っかかって骨折したり、爪が折れてしまったりする可能性があります。

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◆びっくりさせない

うさぎは繊細でパニックを起こしやすい動物です。驚いてパニックを起こした時に猛ダッシュしたり、興奮して力いっぱいスタンピング(足ダン)をしたりして、それが骨折につながることがあります。

うさぎがパニックを起こさないようにするためにも、音や光の刺激が少ない環境で飼育し、大声を出したりほかの動物を近づけたりするのは避けましょう。

◆健康な体を作る

私たち人の体はカルシウムをしっかり摂取することで骨を丈夫にすることができます。しかし、うさぎは残念ながらカルシウムを積極的にとることができません。

うさぎはカルシウムの代謝の仕方が特殊で、カルシウムを大量に摂取すると高カルシウム尿症や尿路結石などを起こしやすくなるためです。

ですから、うさぎの骨を守るためには筋力を維持して骨折しにくい体を作ることが重要となります。カルシウムのとり過ぎには注意しながら、規則正しい食生活と適度な運動で、筋肉と骨を健康に保つことを心がけましょう。

極端にカルシウムを制限すると骨がもろくなります。ペレット、牧草(チモシー)には適切な量のカルシウムが含まれているので、偏食を防いで規則正しい食事を心がけましょう。


まとめ

うさぎは骨折をしやすい動物です。また、骨折の原因はうさぎの飼育環境や扱い方にあることが少なくありません。うさぎのけがは飼い主さんの注意で十分に予防できます。うさぎが落下や転倒などで骨折しないよう、安全な環境を用意してあげてくださいね。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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