フクロモモンガに日光浴は必要?紫外線不足で病気になることはあるの?

2022.02.09

フクロモモンガに日光浴は必要?紫外線不足で病気になることはあるの?

野生のフクロモモンガは、ニューギニア諸島などの森林に生息し、木の上で生活しています。 夜行性の動物であるフクロモモンガを、ペットとして家庭で飼育する場合、「日光浴」は必要なのでしょうか?  この記事では、フクロモモンガと日光浴について解説します。

【目次】
1.フクロモモンガの生態・環境
 1-1.フクロモモンガはどんな生き物?
 1-2.野生ではどんなところに住んでいる?

2.適度な日光浴は健康にいい
 2-1.くる病や骨粗しょう症の予防
 2-2.フクロモモンガにも「くる病」や「骨粗しょう症」が起こる
 2-3.野生のフクロモモンガは日光浴をしているの?

3.ペットのフクロモモンガを日光浴させる方法
 3-1.時々日が当たるところに連れていく
 3-2.小動物用のランプを使う

4.小動物用ランプを使うときの注意点
 4-1.サーモスタットを併用して温度管理をする
 4-2.火事にならないように注意する

5.フクロモモンガの健康のためにはバランスの良い栄養補給も大切
 5-1.フクロモモンガ専用のフードがおすすめ

6.フクロモモンガは寒さに弱いので暖かい環境で飼育してあげよう

7.フクロモモンガの様子に異変がみられたら動物病院へ
 7-1.フクロモモンガに対応している病院は少ない

8.まとめ

フクロモモンガの生態・環境

フクロモモンガ

◆フクロモモンガはどんな生き物?

フクロモモンガは、哺乳綱二門歯目フクロモモンガ科フクロモモンガ属に分類される哺乳類です。
カンガルーやコアラなどの仲間で、有袋類(ゆうたいるい)です。
一方、名前が似ている「モモンガ」(アメリカモモンガや二ホンモモンガ)は、げっ歯目リス科の動物です。
現在、ペットショップで見かける「モモンガ」は、「フクロモモンガ」か「アメリカモモンガ」のいずれかだと思います。
どちらも名前に「モモンガ」と付きますが、違う種類の動物だったのですね。

◆野生ではどんなところに住んでいる?

野生のフクロモモンガは、オーストラリア北部から南東部、インドネシア、ニューギニアの島々の森林に住んでいます。木に空いた穴(樹洞)を巣穴にして、木の上で生活し、花の蜜、樹液、果実、昆虫などを食べています。
社会性が高く、オスを中心に6~10匹ほどで群れを作って生活しています。夜行性の動物です。

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適度な日光浴は健康にいい

◆くる病や骨粗しょう症の予防

「くる病」とは、骨が正常に硬くならず、弱い骨(薄い骨や曲がった骨)となり、骨折しやすくなる病気です。原因は、骨の生育に必要な「カルシウム」や「リン」が、骨に十分に沈着しないことだと言われています。なお「くる病」とは、主に子供において使われる病名で、大人の場合には「骨軟化症」と呼ばれます。
「骨粗しょう症」とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
体内でカルシウムやビタミンDなどの栄養素が不足すると、「くる病」や「骨粗しょう症」に代表される骨の病気(代謝性骨疾患)になることがあります。動物は、日光に含まれる紫外線によって体内で「ビタミンD」を合成します。ビタミンDには、カルシウムの吸収を促進する作用があります。したがって、適度な日光浴をすると、骨の病気の予防に繋がります。また「うつ病」や「認知症」などの予防にもなると言われています。
(病気の予防には、日光浴だけでなく、バランスの良い食事も大切です。また、過剰な日光浴は、皮膚がんなどの原因になる場合がありますのでご注意下さい。)

◆フクロモモンガにも「くる病」や「骨粗しょう症」が起こる

フクロモモンガにおいても、「くる病」や「骨粗しょう症」などの骨の病気は、比較的よく見られます。その主な原因としては、栄養バランスの偏りや、不適切なフードを与えていることなどがあるようです。(例:果物、野菜、ナッツなど、副食ばかり与えている。)
では、フクロモモンガでは、日光浴をしないことによる紫外線不足が、骨の病気の原因になるのでしょうか?
残念ながら、まだ、はっきりしたことはわかっていません。というのも、フクロモモンガは元々が夜行性であるため、日光浴不足の影響について、現時点では十分な科学的根拠がないようです。将来、研究が進んでいくことに期待したいと思います。

◆野生のフクロモモンガは日光浴をしているの?

 日中に比べると量は少ないですが、夜間でも、微量の紫外線は存在しています。フクロモモモンガは、夜間活動しているときには、木の上で微量の紫外線を浴びていると思われます。また、巣穴の中で休んでいるときにも、微量の紫外線が届いているでしょう。したがって、フクロモモンガをペットとして飼育する場合も、一日中、真っ暗な室内で過ごすよりは、時々は日光浴をした方が、より野生下に近い環境といえるのではないでしょうか。


ペットのフクロモモンガを日光浴させる方法

日光浴

◆時々日が当たるところに連れていく

ペットとしてフクロモモンガを飼育する際、時々はケージを明るいところに移動させましょう。ただし、フクロモモンガは警戒心が強く、繊細でデリケートな動物です。屋外の大きな音や、直射日光でストレスを与えないように気を付けましょう。窓際のカーテン越しに、やわらかな光を浴びさせましょう。住宅の窓ガラスには、紫外線をカットする効果が高いものもあります。窓を開けた方が、紫外線がよく届くかもしれません。但し、窓を開ける場合には、フクロモモンガが脱走しないように十分に注意して下さい。
また、部屋の蛍光灯からも微量の紫外線が出ています。日光浴が難しい場合は、蛍光灯の明かりが付いた部屋で過ごさせても良いでしょう。

◆小動物用のランプを使う

紫外線は、波長の違いによって,UV-A、UV-B、UV-Cの3つに分けられます。その中でも、カルシウムの吸収を促進する「ビタミンD」の合成に関与するのは「UV-B」です。よって、「UV-B」のランプを使用すると、日光浴と似たような効果が得られると考えられます。

<紫外線の種類>
・UV-C…大気層(オゾンなど)で吸収され、地表には到達しない。
・UV-B…大部分が大気層(オゾンなど)で吸収されるが、一部が地表へ到達する。皮膚や目に有害。UV-Bが皮膚に当たると、皮膚の7-デヒドロコレステロール(コレステロールの一種)との化学反応が起こり、体内でビタミンDが合成される。
・UV-A…UV-Bほどは有害でないものの、長時間浴びた場合、健康への影響が心配される。

小動物用ランプには、いくつかの種類があります。後述する通り、主に保温目的で用いられる「赤外線ランプ」という製品もあります。「紫外線」と「赤外線」は、名前は似ていますが、全く異なるものです。製品の使用目的を間違えないようにして、正しく使用しましょう。ネットで購入する際にも、商品説明をよく読んでから購入するとよいですね。


小動物用ランプを使うときの注意点

◆サーモスタットを併用して温度管理をする

フクロモモンガにランプを使用する場合、ケージ内の温度が上がりすぎてしまうことが心配です。温度が上がりすぎた場合、フクロモモンガには逃げ場がありませんから、命に関わります。事故防止のため、「サーモスタット」を併用して温度管理をしましょう。サーモスタットとは、適切な温度管理を行うための器具です。あらかじめ設定した温度に到達すると、自動的にスイッチをOFFにすることができます。

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【こんな時におすすめ】
・昼夜の温度差でペットの体調が心配。
・こまめな温度管理が大変。
・暑くなりすぎていないか心配。
デジタルサーモ300が、ヒーターのON/OFFをコントロールすることで、快適温度を保ちます。

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◆火事にならないように注意する

ランプなどの電気器具を使用する場合は、くれぐれも火事には気を付けて下さい。過去には、ペットの関係する火災事故の例として、ペットが電気コードをかじり、断線して発火したという事例も報告されています。フクロモモンガは、げっ歯類のように歯が伸び続ける動物ではないので、物をかじることはそれほど多くありません。しかし、フクロモモンガが、ランプの電気コードをかじる可能性が全くないとは言い切れません。電気コードは、ケージの外側の手の届かない場所に配置するか、電気コード用のカバーを付けるなどした方が安心ですね。


フクロモモンガの健康のためにはバランスの良い栄養補給も大切

◆フクロモモンガ専用のフードがおすすめ

病気の予防には、バランスの良い栄養補給も大切です。フクロモモンガの主食には、必要な栄養がバランスよく含まれた、フクロモモンガ専用のフードをおすすめします。なお、副食には、新鮮な野菜、果物、おやつなどがあります。

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ほのかな甘みと栄養を備えた、フクロモモンガの食生活を支えるベースフード

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フクロモモンガは寒さに弱いので暖かい環境で飼育してあげよう

フクロモモンガは、寒さに弱い生き物です。飼育に適した温度は、25℃前後と言われています。冬は、ヒーターや赤外線ランプなどの機器を活用して保温し、サーモスタットで温度管理をしましょう。保温機器には、ケージ全体を温めるタイプのものと、部分的に温めるタイプのものがありますので、お部屋やケージの環境に合わせて選ぶとよいですね。
また、フクロモモンガは暖かい地域に生息する動物ではあるものの、暑さにも弱いです。夏は、エアコンや扇風機を使用し、必要に応じて冷却グッズを併用するとよいと思います。
季節に合わせて、フクロモモンガに快適な環境を用意してあげて下さい。

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赤外線放射で暖める電球型ヒーター。タテ・ヨコ自在にレイアウト可能。便利な中間スイッチ付。
・赤外線放射で暖める
目に見えない赤外線がペットのカラダをじんわり暖めます。 わずかな光しか出さないのでペットの睡眠を妨げません。
・保温球の表面に特殊コーティング
割れにくく、破損時の飛散を防ぎます。
・ペットの安全を考えた保護コイルとスチール製カバー
あやまってかじってしまったり、熱源に触れるのを防ぎます。

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フクロモモンガの様子に異変がみられたら動物病院へ

◆フクロモモンガに対応している病院は少ない

フクロモモンガは「エキゾチックアニマル」の一種です。治療に対応している動物病院は、まだそれほど多くありませんので、急な病気のときは心配ですね。できれば、フクロモモンガを飼い始める前に、近隣に対応している動物病院があるかどうか調べておきましょう。普段から、フクロモモンガの様子をよく観察し、いつもと違う症状が出ているときは、早めに動物病院に連れて行き、診察を受けましょう。


まとめ

フクロモモンガは、「くる病」や「骨粗しょう症」などの骨の病気になることがあります。主な原因としては、栄養バランスの偏りなどがあると言われています。フクロモモンガは元々、夜行性の動物ですから、日光浴をしないことによる紫外線不足が原因で、骨の病気になるのかどうかは、よくわかっていません。しかし、野生下では、木の上や巣穴でも少しは紫外線を浴びているはずですから、適度に日光浴をさせた方が、より野生に近い環境といえるでしょう。
フクロモモンガに日光浴をさせる場合も、ストレスを与えないように十分注意し、直射日光には当てないようにしましょう。小動物専用の紫外線ランプも市販されています。
また、病気予防のためには、日光浴だけでなく、栄養バランスの取れた食事も大切です。栄養バランスに配慮したフクロモモンガ専用フードを与えるのがおすすめです。
フクロモモンガは寒さに弱いため、ヒーターや赤外線ランプを使用して保温します。その際には、温度管理や火災事故に十分注意して下さい。
この記事を、これからのフクロモモンガとの暮らしに生かしていただければ幸いです。



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SONAERUわんにゃん

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元保護猫の白茶トラ「ダニエル」と生活しています。 ライターの他に、ペット保険の仕事もしています。 2級愛玩動物飼養管理士の資格あり。 趣味は、猫の「切り絵」作りです。


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