ハムスターは衣装ケースで飼える?実は衣装ケースはデメリットも多い

2022.02.11

ハムスターは衣装ケースで飼える?実は衣装ケースはデメリットも多い

ハムスターの飼い主さんの間で注目されているのが「衣装ケースを少し改造してケージの代用にする」という方法です。良いアイデアと思う反面、ハムスターを衣装ケースで飼って問題ないのか気になる方もいるのではないでしょうか?今回の記事では、ハムスターを衣装ケースで飼うことの問題点、適切なケージで飼育することが必要であることを説明していきます。

ハムスターを衣装ケースで飼うことは可能?

衣装ケース

ハムスターは市販のハムスター専用ケージで飼育することが基本ですが、衣装ケースや水槽などの代用品で飼育している飼い主さんもいらっしゃいます。衣装ケースや衣装ボックスでハムスターを飼うことは可能です。中には上手に飼育している方もいらっしゃいます。

ただ、衣装ケースはハムスターを飼育する目的で作られていないことから、ケージの代用にすることはおすすめしません。

この記事では、衣装ケースでハムスターを飼うデメリットに目を向け、ハムスターが快適に過ごせるケージの選び方を考えていきます。

◆衣装ケースでの飼い方は?

衣装ケースを代用している飼い主の皆さんは、どのようにしてハムスターを飼育しているのでしょうか。

中のレイアウトはケージとほぼ同じです。衣装ケースの底に床材を敷き、ケージを利用する時と同じように巣箱、エサ入れ、回し車などを設置してハムスターを飼育することができます。

ただ、衣装ケースはふたをすると空気穴がなくハムスターが酸欠になってしまうので、最初に空気穴を作って換気できるようにする必要があります。

空気穴を作る方法としては、ドリルやキリで衣装ケースに小さな穴を開ける、ふたの一部を切り取ってバーベキュー用の金網を結束バンドで取り付ける、などが一般的です。

給水器や回し車は吸盤で取り付けるほか、側面に穴を開けて取り付けると安定して使いやすくなります。上級者になると、100均のプラスチックケースや板などを使って衣装ケースの中に部屋を作ったり、衣装ケースを積み重ねて2階建てにしたり、とケージの自作を楽しむ方もいらっしゃるようです。

◆メリットはいくつかある

衣装ケースを代用にすることにはデメリットがあるのですが、いくつかのメリットもあります。

衣装ケースでハムスターを飼育するメリット

  • ハムスター専用ケージより広い
  • 値段が安い
  • 自分好みに改造できる
  • 軽くて掃除や移動が楽にできる
  • 遮音性があり、回し車の音が気にならなくなる

一番のメリットは、衣装ケースの方が広いので「ハムスターがきゅうくつな思いをしなくてすみ、のびのび過ごせる」というところでしょう。

ハムスター専用のケージは幅45~60cmくらいのものが一般的ですが、衣装ケースは奥行きが50~75cmくらいあります。ケージより一回り大きいので、ハムスターにとっては十分にゆったり過ごせるサイズとなります。

また、ハムスター用にするにはDIYが必要ですが、材質が柔らかいので改造しやすいこと、安いので気軽に挑戦できるところも魅力に感じられるようです。

◆やめたほうがいい

衣装ケースには衣装ケースなりのメリットもあるのですが、ハムスターの飼育に使うのはやめたほうがいいでしょう。

衣装ケースは衣類や小物などを収納するための生活用品です。動物を入れて管理する用途での安全性は保証されていないため、ハムスターの飼育中に思わぬ事故が起こる可能性があります。

実際には、衣装ケースで爬虫類や金魚、カブトムシなどを飼育している方もいらっしゃいますし、衣装ケースでハムスターをずっと飼っている方もいらっしゃいます。

衣装ケースでハムスターを飼い始めるのは「小さなケージでハムスターを飼うのはきゅうくつそう」と感じたり、ハムスターがそわそわして出たがる様子を見て「もっと広いケージでのびのびと飼ってあげたい」という飼い主さんの想いがきっかけになることが多いです。

しかしハムスターの習性を考えると、やはりハムスター仕様に設計された安全なケージで飼育してあげることが最善の方法といえるのではないでしょうか。


ハムスターを衣装ケースで飼育するデメリット

衣装ケースでハムスターを飼育する際のデメリットをチェックしてみましょう。

◆ふたをすると窒息の危険性がある

衣装ケース、は通気性のないプラスチック製のケースにふたが付いた用品です。ふたをして中で生き物を飼うと、生き物が窒息を起こす危険性が出てきます。

ふたを開ければ窒息の心配はなくなりますが、ハムスターならよじ登って脱走してしまうでしょう。衣装ケースでハムスターを飼う場合は必ず空気穴を作ってから、ふたをきちんと閉めた状態で管理する必要があります。

◆改造に手間がかかる

衣装ケースを改造するには、少しコツと手間も必要です。そのためDIYが苦手な人、改造が面倒な人には衣装ケースでの飼育は向いていません。

改造にあたっては、プラスチックが切れるのこぎりやニッパー、穴を開けるためのドリルなども必要になります。普段からDIYをしている人は問題ないかもしれませんが、工具を持っていない人は購入する必要がありますし、不慣れだと改造にも時間がかかります。

また、切り口や穴は後でハムスターが直に触れる可能性があるので、触れて怪我をしないよう、丁寧にやすりをかけてなめらかに仕上げる必要もあります。

衣装ケース自体は安価ですが「実際に作業をしてみたら手間や出費が意外と大きかった」と感じることも多いのです。

◆掃除が行き届かない

衣装ケースはケージと違って側面に扉が付いていません。そのため、掃除をする時は天面のふたをはずし腕を入れて作業を行うことになるので、ケージよりも掃除がしにくくなります。

また、ペット用の飼育ケースは掃除や洗浄が簡単にできるような設計になっており、パーツが分解できたり底のトレイが外せたりできます。一方、衣装ケースは分解できないのですみずみまで掃除が行き届かず、不衛生になりやすいという弱点ががあります。

そしてハムスターにとっても、掃除する人の手が自分の上から覆いかぶさってくることは気持ちの良いものではありません。外敵に捕獲される状況と似ているため、衣装ケースの上から手をつっこむとハムスターは恐怖を感じます。

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◆脱走の危険性がある

衣装ケースでハムスターを飼育する際、問題になりやすいのがハムスターの脱走です。ふたをしっかり閉めていてもハムスターが衣装ケースをかじってすき間を作り、そこから出て行ってしまうことがあります。

ハムスター用のケージは、硬くて頑丈なポリスレン、アクリルやガラスなどで作られていますが、衣装ケースは軽くて柔らかいポリプロピレンなどが使われています。「衣装ケースはつるつるしているので、かじらないだろう」と油断しがちですが、ハムスターなら側面に開けた小さな穴を目ざとく見つけてかじり、穴が広げて脱走してしまうことがあるのです。

また、衣装ケースのデザインによっては底に溝やコロが付いていてプラスチックに出っ張った部分が生じ、その角をハムスターが噛んで穴を開けてしまうこともあります。

特に体の大きなゴールデンハムスターは力が強く、飼い主さんが改造した部分を噛んで破壊してしまうこともあるので注意が必要です。

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◆温度管理が難しい

衣装ケースは風通しが悪く中に空気がこもりやすいため、夏は温度と湿気がこもりやすくなります。冬は逆に、空間が広いために内側の空気が温まりにくく、保温が難しくなることがあります。

ハムスターは高温多湿、低温に弱いため、衣装ケースで飼育する場合は徹底した温度管理が必要となってくるのです。

◆中の様子が見えにくい

ケージはガラスやアクリルなので透明度が高いのですが、衣装ケースは半透明なので外からハムスターの様子がはっきり見えません。

ハムスターの観察をするためにふたを開けないといけないので手間もかかりますし、ハムスターもその都度ストレスを感じてしまいます。

◆ケガをする危険性がある

衣装ケースにはハムスターにとって危険なポイントがいくつかあります。

まず、ハムスターがプラスチックをかじることで口の中や口の周りに傷が付き怪我に発展することもあるので、衣装ケースのようなかじりやすいプラスチック製品を使うこと自体が良くありません。

また、ふたに金網を取り付けるとハムスターが伝って天井まで登る可能性が出てきます。ハムスターが天井でうんていして落下し、大ケガをするケースは意外に多いものです。また、衣装ケースの底に溝がある場合は、ハムスターが足を引っかけて転倒することもあります。

◆場所を取る

衣装ケースはケージよりも大きいので、部屋に置いてみると意外に場所を取ります。もし複数のハムスターを1匹ずつ飼育する場合には衣装ケースの数が増えるので、それだけスペースを占領することになります。


ハムスターのケージの条件

衣装ケースの材質や構造に目を向けてみると「ハムスターが安全に暮らせる住まい」とはいえないことが分かります。

では、ハムスターが快適で安全に暮らせるケージはどのようなものになるのでしょうか。条件をおさらいしてみましょう。

ハムスターのケージの条件

  • ハムスターの大きさに合った、十分な広さがある
  • 安全性が高い
  • 通気性が良い

くわえて、上からではなく前面の扉を開けてお世話できるもの、パーツが分解でき掃除しやすいものがのぞましいです。そして、これらの条件を兼ね備えているのは、ペット用品のメーカーが販売しているハムスター専用のケージになります。

もしも市販のケージが小さいと感じる場合は、ハムスターの体の大きさとケージのサイズがあっていない可能性もあります。ロボロフスキーやジャンガリアンなどのドワーフハムスターは幅45cm、ゴールデンハムスターは幅60cmを選ぶとよいでしょう。

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◆おすすめケージ①シャイニー45(SANKO)

シャイニー45

天井が高く、すっきりとしたフォルム。大きな正面扉で、隅々まで視界が届く開放的な飼育ケースです。天井と側面にパイプジョイントを装備しています。ハムスターパイプ(別売)の他、パイプジョイントに接続できる用品の取り付けが可能で、ハムスターの行動範囲が広がります。

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開放感のある幅45cmのクリアケースに、給水ボトル・食器・ホイールがセットになった、ハムスター飼育キットです。前面扉と背面は丈夫なガラスでハムスターがかじる心配もありません。ドワーフハムスターにおすすめ。

◆おすすめケージ②ルーミィ60 ベーシック(SANKO)

ルーミィ60 グランスペース クリアー

クリアーでお部屋に馴染むゆとりある大きい空間のハムスター飼育キット。
ワイドでビッグな横幅約60cmサイズ。

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体の大きなゴールデンハムスターのほか、モルモットやハリネズミも飼育できる幅約60cmでワイドサイズ。すっきりしたデザインで、お好みのレイアウトが楽しめます。


まとめ

ケージは衣装ケースより小さいので、ハムスターがかわいそうだと思われるかもしれません。しかしハムスターが安全で快適に過ごせるケージを選べば、大きな衣装ケースを代用しなくてもハムスターはストレスを感じることがなくなります。かわいいハムスターに元気に長生きしてもらうためにも、是非専用のケージで飼育することをおすすめします。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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