1.シリケンイモリとはどんな生き物?
1-1.生息地、生態
1-2.特徴
1-3.見た目のバリエーション
3.シリケンイモリの飼育に必要なもの
3-1.ケージ、水槽
3-2.敷砂
3-3.フィルター
3-4.浮島などレイアウト用品
4.シリケンイモリの飼育方法
4-1.エサの与え方
4-2.温度管理
4-3.必要なお世話
5.シリケンイモリ飼育の注意点
5-1.脱走を防ぐ
5-2.掃除はきちんとする
5-3.エサを与えすぎない
5-4.毒に注意
ペットショップで「シリケンイモリ」という生き物を見たことはあるでしょうか? 活発に動く、普通のイモリとはちょっと違う見た目のイモリです。ユーモラスな表情で水の中を泳いだり、陸地を歩いたり。
こんな子がうちにいていつも眺められたらなぁと、思われる方もいるのではないでしょうか。一人一人の模様も違っていますので、この子がすごくすてき! なんて恋に落ちる方もいるかもしれません。
シリケンイモリとは聞き慣れない名前ですが、いったいどんな生き物なのでしょうか。
シリケンイモリとはどんな生き物?
日本の固有種であるイモリの一種で、沖縄諸島に生息しています。
本州でよくみられるのはアカハライモリですが、シリケンイモリはもう少し暖かい地域のイモリなこともありアカハライモリよりも暑さに強いため飼育しやすいと言われていますよ。
他の魚との混泳も可能なことから、アクアリウムの主役として求められる方も多い生き物です。見出し
◆生息地、生態
シリケンイモリは奄美大島とその周辺の島、沖縄本島、渡嘉敷島などに生息しているイモリで、その地域では非常にポピュラーなイモリです。本州でポピュラーなのはアカハライモリとなります。
森林や草むら、側溝、山地や平地にも生息し、陸上活動している個体も多いと言われています。陸地に上がる傾向の強いイモリなのですね。とはいえ、半水棲種であるため、水場の存在は必須です。
寿命はアカハライモリと同じくらいで20年近いと言われており、飼育下でも10年以上生きることが珍しくない動物です。
◆特徴
シリケンイモリは漢字で「尻剣井守」といわれるのですが、これは、繁殖期の雄の尾が剣のような形をしていることから名付けられました。英語でもSword tail newtと呼ばれています。
体長は10cm以上になりますので、大きく感じる方も多いかもしれませんが、性格はおっとりしていながら活動的なため、鑑賞に向いている種類と言うことができます。
◆見た目のバリエーション
背中側は基本的には黒いのですが、黄斑と呼ばれる黄色い斑点が入る個体が多く、これが金粉をまぶしたようだと言われたりしています。また、オレンジの斑点や、オレンジ色の線が入っている個体もあり、斑点の数や大きさもばらつきがあったり、無地の個体までいるため、見た目のバリエーションがかなりあります。
お腹側は橙色や赤色で、不規則に黒い斑点のある個体もいますが、これは毒を持っていることを示す警戒色だと言われています。
シリケンイモリは陸棲?水棲?
シリケンイモリは半水棲種です。
水場だけでもダメ、陸だけでもダメな生き物ですね。
イモリの中では陸に上がりやすいほうだと言われていますが、それでも、陸だけでは生活できません。
シリケンイモリの飼育に必要なもの
シリケンイモリは水場も陸地も必要な半水棲の生き物ですので、いわゆる「アクアテラリウム」のような環境が最適です。水槽に水を張って、水草を植えたり陸地を作ったりという環境のことですね。
底砂を使って陸地を作るよりも浮島や流木、石などを利用して陸地部分を作ると水の量を多めに確保できるので、水の環境を安定させるのに有効です。
◆ケージ、水槽
水が汚れやすいため、十分な水量を確保できる45cm以上のスペースがある入れ物が良いと考えられています。プラケース、衣装ケース、水槽などで飼育が可能ですが、イモリは木や壁をスイスイと登ってしまうため、とても脱走が上手な生き物ですので、きちんと蓋をするなど脱走対策を十分にしておきましょう。
本格的に飼育したい場合は鑑賞性の高さから水槽が最適と考えられます。鑑賞が目的ではない時は蓋がしっかりしていて安価なプラケースが脱走の心配等もないため適しています。
◆敷砂
特に必要はありませんが、レイアウトを美しくするためには有効です。また、敷くのであれば、あまり厚くなりすぎないようにしましょう。厚く敷いてしまうと、掃除もしにくく、水の流れも悪くなってしまい水質が悪化しやすくなってしまうためです。重いタイプの砂を使うと掃除がしやすいという利点があります。
◆フィルター
通常の飼育であれば、濾過用品は必要ありませんが、底砂などを使ってしっかりレイアウトをしていたりするとこまめな水換えが難しくなるため、濾過装置が必要になってきます。イモリは強い水流には弱いため、水流が弱くなるように工夫してあげなくてはなりません。
◆浮島などレイアウト用品
水草などは、繁殖に取り組まない限りは必要なものではありませんが、アクアテラリウムを楽しむための大きな要素です。本格的に取り組みたいときは、水草をいろいろ考えていくのもとても楽しいと思います。そこまでではないけれども、草も欲しいというような時が、水面や水中に浮いているタイプの水草を利用してみると底砂も必要なく、手軽に楽しむことができます。イモリは水草に卵を生みつけますので、繁殖を考えている場合は水草の設置が必要となってきます。
陸地を作るために使うのは亀用の浮島などが利用できます。掃除のしやすさや水量の確保、簡便さ、見た目、どれをとっても優秀です。
また、流木や枯葉などを用いて隠れ場所などを作ってあげるとストレスが少ない生活を送ることができるようになります。
シリケンイモリの飼育方法
シリケンイモリは比較的飼育しやすい生き物と言われていますが、実際の飼育のやり方はどのようなものなのでしょうか。
◆エサの与え方
餌には、冷凍アカムシやコオロギ、レッドローチ、メダカなどのほかに、イモリ用の人工餌が市販されています。生き餌の方がよく食べるため、生き餌で飼育するのがベストですが、保存や取り扱いも面倒で、コストもかかるため、通常の飼育であれば人工餌での飼育をお勧めします。
幼体であれば毎日の給餌が必要ですが、成体であれば、1日おきから週に2回程度がいいと考えられています。満腹になれば食べませんので、イモリとのコミュニケーションをしっかりとって、適量や適切な間隔を判断していきましょう。
また、数日であれば餌を与えなくても問題ありません。
◆温度管理
シリケンイモリは沖縄諸島に生息しているイモリなので、亜熱帯に住んでいるイモリということになります。そのため、冬眠などはしません。自然の環境に合わせ、冬眠しないように飼育するようにしましょう。なので、夏場には必要ありませんが、冬場にはヒーターが必要になってきます。水だけではなく、暖突やパネルヒーターなどの空間も温められるような設備も用意しましょう。
◆必要なお世話
日常のお世話としてしては、給餌の他に温度管理、衛生管理をしていく必要があります。
温度については暑さに強いとはいえ、夏場の極端な高温を避ける必要もありますし、冬場の低温も避けてヒーター等の調整も必要です。屋外で飼育するような場合も暑くなってしまわないかどうか、ひえすぎてしまわないかどうか気にかけて対策あげる必要があります。
衛生管理としては、濾過装置などを設置していたとしても、定期的な水換えが必要です。両生類の排泄物は水に溶けるアンモニアのため、濾過では除去できない汚れがあるためです。2週間に一度程度、半量の取り替えをするくらいが一般的です。
シリケンイモリ飼育の注意点
シリケンイモリを飼育する際に重要なのは、脱走を防ぐこと、掃除を怠らないこと、餌を与えすぎないことが大切です。
◆脱走を防ぐ
イモリは壁をすいすいと登っていくことができる生き物です。しかし、人間の住環境には十分な水がありませんので、脱走はほぼイコールで乾燥による死を招いてしまいます。
シリケンイモリに限らず、飼育動物が屋外まで脱走してしまい、野外で住み着いてしまいますと、重大な遺伝汚染を起こしてしまう可能性もありますので、十分に注意が必要です。
◆掃除はきちんとする
水換えや掃除が不十分な時は、他の両生類と同様に病気になってしまいます。皮膚呼吸をする生き物なので、水が汚れるとその汚れを吸収してしまって中毒になってしまうのです。両生類の飼育時に一番多く起きてしまう疾患ですが、水換えをしっかり行なっていれば防ぐことができます。発症してしまうと治すのは大変なので、水質管理はとても大事になってきます。
◆エサを与えすぎない
餌の与えすぎは水質悪化の一番の原因です。きちんと様子を見て食べ切れる量を給餌するようにしましょう。夏場は活発になりよく食べるのですが、冬場には代謝も落ちますし、食欲や活力も落ちるなど、状況により食欲は変化しますので、十分な観察が必要です。
◆毒に注意
シリケンイモリの皮膚には微量のテトラドトキシンが含まれます。これはフグ毒と同じ成分の猛毒ですが、微量のためほとんど問題ありません。しかし、念のために、触れた後には必ず手を洗うようにしましょう。
まとめ
シリケンイモリは沖縄諸島原産のイモリで、暖かい地域の生き物なので、飼育するなら冬眠させないように注意をする必要はありますが、暑さにも強く、穏やかで長寿でかわいらしく、飼いやすい生き物です。
半水棲であり、飼育するときには陸地と水場を作る必要があります。また、水質の悪化に弱いため2週間に1度、半分ずつくらい水を換えてあげる必要があります。
乾燥に弱く、飼育環境を出てしまうと乾燥により死んでしまう可能性が高いため脱走には特に注意が必要です。
両生類初心者におすすめできるシリケンイモリは、繁殖もそれほどむずかしくありません。寿命が長いぶん、健康に飼育して、世代を継いで永く飼育していくことを目的にするのも楽しそうですね。
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