1.うさぎは何歳頃から高齢といえる?
3.うさぎ介護の心構え
3-1.おうちでの介護が必要
3-2.毎日の経過観察が大切
3-3.悩み事や相談は解決する
4.うさぎを介護するための環境整備
4-1.静かでゆったりした環境
4-2.生活しやすいレイアウト
4-3.衛生的な環境
4-4.飼い主さんのきもち
うさぎは何歳頃から高齢といえる?
個体差がありますが、うさぎさんの老化の始まりは一般的には5歳くらいからと言われています。歯科疾患などの持病がある子だと少し早い傾向があるようですが、7歳くらいになると十分にご年配のうさぎさんだといえるでしょう。5歳を超えたあたりからそろそろシニアに差し掛かっていると考えたほうがいいのですね。
5歳を超えたあたりからの体調や様子の変化は老化によるものかもしれません。大きな病気になってしまう前に、早め早めの治療、対策をしていくことが大切です。
それではうさぎさんがどのような状態になったら介護が必要になってくるのでしょうか。
介護が必要なうさぎの状態
うさぎさんたちは、犬や猫に比べると、いろいろなところでデリケートです。
特に、食べ物をお腹(盲腸)の中で発酵をさせているうさぎさんは、しっかり食べてしっかり排泄することがとても重要です。なので、食べられなくなってきたとき、人の手が必要となってきます。
また、足腰が弱ったり、真っ直ぐ立てなくなってしまったりとうまく動けなくなってきてしまった、うまく排泄できなくなってしまった時にも、人の手によるお手伝いが必要になってきます。
うさぎ介護の心構え
どんな動物さんに対しても同様なのですが、飼い主さんたちに是非お願いしたいのは「うさぎさんたちも、飼い主さんも、笑顔であるように」ということです。できるだけ、楽しく、明るく、幸せな一緒の時間を長く過ごせるようにしたいものですからね。
そして、うさぎさんたち自身の状態をそのまま受け入れることも、大切です。歳をとったうさぎさんたちは以前できたことができなくなってしまうことは確かなのですが、うさぎさんたち自身は、その状況を受け入れて一生懸命生きています。人間がそれを支えてあげるのを介護と呼ぶのです。
◆おうちでの介護が必要
辞書によると、「介護」という言葉は「高齢者・病人などを介抱し、日常生活を助けること」とされています。介護というのは日常の生活をサポートすることそのものなのですね。うさぎさんが毎日を気分よく穏やかに過ごせるようにすることが介護の目的です。
◆毎日の経過観察が大切
食べものの好みが変わってきた、長時間遊ばずにすぐに寝転がるようになってしまったり、よろけるようになった、うんちが小さくなってきた、お尻が汚れてきた、盲腸便が残っているようだなどの変化があれば、それが何かのサインかもしれません。しかし、それが病気の兆候なのか、老いによるものなのかをご家庭で判断するのは困難です。気になる症状が出始めたらまず、病院での診察を受けた方が安心です。
また、老化は少しずつ進みます。毎日見ているうさぎさんの変化にはどうしても気づきにくくなってしまいますので、1ヶ月に1度など写真を撮って以前の様子と比較してみるなどすると緩やかな変化にも気付きやすくなりますよ。
◆悩み事や相談は解決する
お家での介護生活が始まりますと、慣れないうちは悩み事がたくさん出てきてしまうと思います。そのような内容も、できればかかりつけの動物病院などに相談してください。そのような疑問は早め早めに解決しておいたほうが、複雑化してしまったりするリスクを減らすことができます。是非、プロの力を借りて、できるだけ負担の少ない楽しい介護ができるようにしてみてください。
うさぎを介護するための環境整備
うさぎさんを介護するためには、うさぎさんが安心できる、リラックスして心地よく過ごせる環境を作ってあげる必要があります。歩いたり、移動したりということが以前よりもうまく行かなくなってしまったうさぎさんたちがあまり労力をかけずに生活を営めるようにしつらえてあげる必要があるのです。人間も歳をとったときには家の中を改装したりしますよね。それと同じイメージで、うさぎさんにとって快適な環境を考えてあげなくてはなりません。
◆静かでゆったりした環境
うさぎさんのリラックスのためには、まず、静かなことが重要です。音に敏感なうさぎさんにとって、ストレスの少ない静かでゆっくりとした環境を作ってあげてください。
◆生活しやすいレイアウト
若い時と違ってひとつひとつの動きがゆっくりになってしまったうさぎさんにとって、小さな段差や餌入れの高さなどが大きな障害になってしまうことがあります。人間のご老人が階段の一段一段をよっこいしょ、と登り、食器棚のちょっと高いところのものを取るのが辛いと思うのと同じように、日常のちょっとした動作が不自由になってきてしまっているのです。状況を見てスロープを作ってあげたり、段差を解消してあげたりするとよいでしょう。
また、床にも注意が必要です。元気な頃のような踏ん張りが効かなくなったうさぎさんには滑りやすい床はとても危険なものとなります。大きめの隙間の空いているスノコなどへも足が引っかかりやすくなってしまい注意が必要なため、床材なども再検討してあげるようにしてください。
まっすぐ立っていられなくなってしまう、ぐるぐるまわってしまうなどうまく動けなくなってしまううさぎさんたちが多くみられます。そのようなときでもうさぎさんたちは日常生活をできる限り自力でしようとすることが多いので、うさぎさんの様子を見ながら最適な環境づくりをしてあげる必要があります。もたれかかることのできるクッションやソファーのようなものをつくってあげてもいいですね。
体温調節もうまくなくなってしまいますので、ヒーターや保温用のパネル、温湿度計の導入なども検討されてもいいかもしれません。
◆衛生的な環境
からだに目立った不自由はなくとも、高齢のうさぎさんたちにとって、毛繕いは大きな負担となってしまうためにあまりできなくなってしまいます。そうなりますと、毛並みはボサボサになり、薄汚れたような状態になってしまいます。
体に不自由があればおしっこなどで体が汚れやすくなってしまいますので、そのようなときは硬く絞った濡れタオルやペット用のウェットシートなどで拭いてあげると良いでしょう。
体を拭いてあげるついでに、血行促進のための軽いマッサージなどしてあげてもいいですね。お世話をする度に、体の向きが変わるようにしてあげたり、同じ場所に同じ体制で寝続けるようなことがないようにしたりと気を配ってあげなければなりません。長時間の圧迫によって起こる血行不良の改善はこまめにしてあげる必要があります。褥瘡が起きてしまうのも心配ですが、あまりに同じ姿勢でいると、それ以外の姿勢に体が対応できなくなってしまい、心臓などに大きなダメージを与えてしまうことがあるため気を付けてあげなければならないのです。
◆飼い主さんのきもち
介護が必要なうさぎさんは、飼い主さんたちを必要としています。そんなうさぎさんたちには愛情をもって接することが大切です。しかし、同時に飼い主さんには心理的な負担もかかってしまうことも避けられません。
どんどんと衰えていってしまう大切な家族を見ていると不安や焦りも感じてしまいますが、家族を大切に思うのと同じように、どうかご自身のことも大切にされてください。
気持ち的に入れ込みすぎてしまったな、などと思ったときは事務的に対応するようにしてみるのもいいと思います。できるだけ長く、うさぎさんに幸せな時を過ごさせてあげたいと思われるのであれば、ときにはそういう時も必要なのです。お互いが笑顔でいられることが一番大切です。それも愛情の一つであることは確かですので、ご自身をも、大切にしてくださいね。
食事の介護
うさぎさんは草食動物です。
草食動物は、常に食べ続けているのが基本の体や消化システムを持ちますので、長期間食べない時間があると危険です。食べなくなったうさぎさんの体調は急激に悪化してしまい、死んでしまうことも多いのです。
◆食欲が大事
食べる気持ちがある子であれば、できるだけ自力で食べる努力をしてもらえるようにするのが良いでしょう。食べたい気持ちも食欲もあるのに、食べ物を口に運ぶのが難しくなってしまって自分では食べられない場合もおおいので、一粒ずつ口元に持っていけば自分で食べてくれることもあります。
うまく噛めなくなってしまっているような子であればペレットをふやかしてあげると効果的ですし、香りも良く生野菜や生の牧草など食欲をそそるような食べ物であれば積極的に食べられる子もいます。
とにかく自分で食べられることが大切です。あの手この手で、食欲を引き出してあげましょう。
体の機能が問題で、お尻に口を近づけられなくなってしまったことから盲腸便も食べられなくなっているような場合もあります。そのようなときは、出てすぐの盲腸便を口元に持っていってあげると食べることができますよ。
◆うさぎ用介護食の作り方
うさぎさん用の粉末状の介護食も市販されています。そちら利用することもできますし、普段好きで食べていたペレットなどをふやかしたものも利用できますよ。
ペレットを少しだけふやかして柔らかくしたものや、簡単に潰れる程度までふやかして一口サイズのお団子状にまるめたもの、そのなかにサプリメントや刻んだ野菜、すりおろしたリンゴなどを練り込んだもの、など皆さんそれぞれいろいろな工夫をされているようです。盲腸弁を混ぜて与えているなどという話も聞きます。
一口サイズのお団子、といっても手で丸めるというよりは、細く伸ばしたかたちにしたものを切ってつくったり、ビニール袋を利用して絞り出して作ったり、といったやり方が手軽ですね。毎日、毎食のことですので、ご自身にやりやすい方法を探し出していただければ、と思います。
体が不自由なうさぎさんたちは水分摂取量が不足してしまいがちですので、効率よく水分を取れる方法としても、ふやかしご飯は優れていると言えますね。
◆強制給餌について
「強制給餌」という言葉は恐ろしげですが、単純に、お口の中に食べ物を入れて食べさせてあげることを指します。注射器(シリンジ)などに食べ物を緩めにふやかしたりして流動状にして詰め、前歯の後ろあたり、口角のあたりからそのシリンジをお口に差し込んでお口の中に食べ物を入れてあげる、というお食事の与え方です。慣れてくると早く食べさせてよ、と要求してくることもありますし、ちゃんと楽しみに、美味しく食べてくれますよ。
ただ、少しでも自力で食べる意欲があるのであれば、できるだけ自分で食べさせてあげてください。それが生きる活力につながります。そして、それだけでは足りない分は強制給餌をでたべてもらう、などと併用できる限りはしてあげたいところです。
排泄の介護
下半身に麻痺が出てきてしまったうさぎさんなどでは、排泄がうまくできない、もしくは自力では不可能になってしまう場合があります。このような場合は、排泄に関しても介護が必要になってきてしまいます。
尿が出ない場合は「圧迫排尿」といい、膀胱あたりを圧迫してあげることによって、排尿を促すやり方があります。毎日、定期的にこれを行うことによって、おしっこを出させてあげる必要が出てくる子もいます。力加減や場所、やり方などは動物病院でしっかり教わってみてくださいね。慣れると結構楽しくできると思います。
まとめ
大切な家族であるうさぎさんも、歳をとってしまうといろいろなところが悪くなってしまい、介護が必要になるケースが多くみられるようになってきました。それもすべて、うさぎさんたちが健康に長生きできるようになったからこそ、起きてくる問題です。
うさぎさんたちとの時間が少しでも長く、そして幸せなものであるように、うさぎさんも飼い主さんも笑顔であれるように、できる限り悔いの残らない「生活」を最後まで送りたいものですね。やはり一番大切なことは、楽しく共に過ごせる時間を大切にすることなのだな、と改めて、思い直しました。ご家族の大切な時間が少しでも良いものでありますように、と願っております。
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