1.オカヤドカリはどんな生き物?
1-1.オカヤドカリの生態
1-2.オカヤドカリの寿命
1-3.オカヤドカリは天然記念物に指定されている?
2.オカヤドカリの入手方法
2-1.野生のオカヤドカリを捕まえてもいい?
2-2.ペットショップで購入できる?
3.オカヤドカリの種類
3-1.オカヤドカリ
3-2.ムラサキオカヤドカリ
3-3.コムラサキオカヤドカリ
3-4.ナキオカヤドカリ
3-5.オオナキオカヤドカリ
4.オカヤドカリの飼育に必要なグッズ
4-1.水槽
4-2.蓋
4-3.ヒーター
4-4.隠れ家
4-5.床材
4-6.餌皿
4-7.水入れ
4-8.貝殻
4-9.観葉植物
4-10.流木
4-11.海水・比重計
4-12.カトルボーン
5.オカヤドカリのえさは何を与える?
5-1.オカヤドカリは雑食性
5-2.動物質・植物質色々与えてみる
5-3.ポップコーンは副食として
6.オカヤドカリに与えてはいけないもの
6-1.ほうれん草
6-2.ネギ類
6-3.農薬野菜
7.日常のメンテナンス、お世話
7-1.餌やり
7-2.水
7-3.掃除
7-4.霧吹き
8.オカヤドカリ飼育の注意点
8-1.長期間床材に潜っていても掘り出さない
8-2.むやみに触らない
8-3.オカヤドカリの近くで殺虫剤を使わない
【掲載:2022.07.05 更新:2022.11.30】
オカヤドカリはどんな生き物?
◆オカヤドカリの生態
オカヤドカリとはヤドカリ下目・オカヤドカリ科・オカヤドカリ属に属するヤドカリの総称です。沖縄などの熱帯域に広く分布し、和名の通り成体は海岸付近の陸上で生活します。日本では、その中の一種C.cavipesに「オカヤドカリ」の和名が当てられています。
野生のオカヤドカリは浜辺に生えているアダンやヒルガオなどの植物の近くで暮らし、昼間は石の下などに隠れています。水棲のヤドカリと同様に卵から稚ヤドカリまでの期間を海中で生活しますが、その後の脱皮でヤドカリの姿になり陸上生活を始め、大型になるにつれて内陸部へ活動域を広げます。水棲のヤドカリと比べて足やハサミが太く頑丈になっていることも特徴です。
貝殻の中に水を貯めており、これを使って鰓呼吸をしています。
◆オカヤドカリの寿命
オカヤドカリの寿命はとても長く10年以上は生きます。大切に飼育すれば30年以上生きる個体もいるようです。
◆オカヤドカリは天然記念物に指定されている?
日本に生息しているオカヤドカリの全ての種は、1970年に小笠原諸島における個体数の減少を受け、国の天然記念物に指定されました。その後、1972年に沖縄県が日本に返還されたことで南西諸島に生息しているオカヤドカリも天然記念物の指定を受けています。
オカヤドカリの入手方法
◆野生のオカヤドカリを捕まえてもいい?
オカヤドカリは天然記念物に指定されているため採集は禁止されています。
ペットショップで売られている個体は国から特別に許可を得た業者が採集しているもので、それらを飼育することは違法ではありません。
◆ペットショップで購入できる?
オカヤドカリの入手方法はペットショップで購入するのが一般的です。ネット上にはオカヤドカリを専門に扱うサイトも存在するので、そちらでお気に入りの個体を探すこともできます。
市場に出回っているオカヤドカリはほぼ全てがムラサキオカヤドカリとナキオカヤドカリで、ごく稀にオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリ、オオナキオカヤドカリの3種が混ざっていることがあるとされています。
オカヤドカリの種類
◆オカヤドカリ
種類としてのオカヤドカリは生息地がほかの種とかなり違うので、業者の採取に混ざることが少なく滅多に出回りません。乾燥した環境に適応していて、内陸部などによく見られるようです。
◆ムラサキオカヤドカリ
体色が紫色のオカヤドカリです。小さなうちは様々な色の体色ですが、大きくなるとほとんどの個体が紫色になります。
ナキオカヤドカリと同様に鳴くことが知られています。
◆コムラサキオカヤドカリ
名前のコムラサキの字は漢字で書くと濃紫と書きます。幼体は赤い色をしていて、大きくなると濃い紫色になる大型の種類です。
◆ナキオカヤドカリ
様々な体色を持ちますが、大きくなるとほとんどが茶色っぽくなります。危険が迫るとガリッともゴリッとも言えるような音をたてることから、鳴くオカヤドカリとして有名です。
◆オオナキオカヤドカリ
かなり大型に成長するオカヤドカリです。オカヤドカリの眼柄は平たい形をしているのですが、この種とヤシガニだけは円柱状の眼柄を持っています。
オカヤドカリの飼育に必要なグッズ
◆水槽
オカヤドカリは夜間はよく動き回る生き物なので、水槽はできるだけ大きなものを使いましょう。
素材はプラスチック、ガラスどちらでもかまいませんが、プラスチック製のケースはオカヤドカリの足やハサミがケースに傷をつけてしまいます。ガラス水槽は傷つけられる心配はありませんが、角にシリコンが使われているものはオカヤドカリがそこを登って脱走する恐れがあります。
◆蓋
脱走や乾燥を防ぐために蓋はあったほうがいいです。乾燥を防ぐためには網の蓋よりもアクリルやガラスの蓋を使ったほうが良いでしょう。
◆ヒーター
オカヤドカリは熱帯域に生息する生き物なので、冬場は容器の中を暖かくしてやる必要があります。温度が20度を下回ると活性が下がってくるので、爬虫類用のパネルヒーターを飼育容器の側面に貼り付けて中を温め、断熱材で熱を逃がさないようにしましょう。
パネルヒーターは通常容器の底に敷いて使いますが、オカヤドカリの場合は容器の底に敷くと床材が乾燥しやすくなり、オカヤドカリにダメージを与えてしまいます。
◆隠れ家
オカヤドカリは野生では日中を石の下などに隠れて生活しているので、飼育下でも隠れ家は必須です。ペットショップに売られている爬虫類用のシェルターなどを使って、隠れるところを作ってあげましょう。ただし素焼き素材のシェルターは、オカヤドカリの体がくっつくと水分を奪ってしまう恐れがあるので避けましょう。
◆床材
オカヤドカリの床材として売られているものは、サンゴ砂、ヤシ殻マット、ゼオライトなどがあります。サンゴ砂は保水力が高く通気性も良いので、オカヤドカリの飼育に向いています。
オカヤドカリは土に潜って脱皮をするので、最低でも15cmほどの深さの床材を敷いてやる必要があります。粒の大きさは細かいほうが潜りやすいようです。
床材は湿らせて使用します。オカヤドカリが穴を掘っても崩れたりしないような、適度な湿り気を保つとよいのですが、あまり濡らしすぎると雑菌が繁殖し、オカヤドカリが死んでしまうこともあるので注意しましょう。
◆餌皿
オカヤドカリは一度に沢山の餌を食べるような生き物ではないので、餌皿はあまり大きくなくても大丈夫です。ひっくり返されないように重くしっかりとしたものを使いましょう。
◆水入れ
水道水に添加されている塩素はオカヤドカリにとって有害なので、必ず一日以上汲み置きしたものを使います。また、市販のカルキ抜きを使って塩素を抜いてあげても構いません。
飲料水も必要なのですが、オカヤドカリは貝殻の中に少量の水を蓄えています。これにより柔らかい腹部が乾燥するのを防ぎ、陸上での鰓呼吸を可能としています。オカヤドカリは貝殻の中の水が古くなったり減ってくると交換や補給をするので、水入れはオカヤドカリの全身もしくは半身が浸かる程度の広さのものを用意します。
オカヤドカリは大きさの割に力が強いため、ある程度の重さと安定した形状のあるものがよいです。深い容器にするときは、枝などで外に出るための足場を作ってあげましょう。
◆貝殻
オカヤドカリは柔らかい腹部を乾燥や外敵から守るために貝殻を身に着けています。成長するにつれて貝殻は窮屈になるため、オカヤドカリは常に新しい貝殻を探しています。多頭飼育している場合、他の個体の着ている貝殻を気に入って奪い取ろうとすることがあるため、飼育容器の中には沢山の貝殻を入れておくようにします。貝殻は飼育容器に入れる前に、よく洗って煮沸消毒しましょう。
貝殻は基本的にオカヤドカリが入っている貝殻よりも殻口が少し大きめのものを選びます。個体ごとに好みの貝殻は違うので、様々な色や形の貝殻を入れておきます。
オカヤドカリの体は右巻きの貝殻に対応していて左巻きの貝殻には入ることができないので、必ず右巻きの貝殻を選ぶようにしましょう。
塗料で色をつけた貝殻が売られていることもありますが、オカヤドカリはカルシウム補給のために背負っている貝殻を少し割って食べることがあるため、飼育容器に入れるのはあまりお勧めしません。
◆観葉植物
飼育容器の中にガジュマルやアダンの苗を入れておくと、見た目もよいですしオカヤドカリの餌や遊び場にもなります。オカヤドカリに悪影響があるので、農薬が使われていない苗を選びましょう。
オカヤドカリは幹に上ったり葉を食べたり千切ったりするので、多頭飼育している場合は短期間で葉っぱを丸裸にされてしまいます。余裕があるなら複数の鉢を購入し、ローテーションするといいでしょう。
鉢植えを入れる場合はオカヤドカリが土をほじくってしまうので、土を掘られないように工夫する必要があります。
◆流木
流木はオカヤドカリの遊び場になります。オカヤドカリは木登りが得意で高いところを好むので、立体的なレイアウトにしてあげると喜びます。
◆海水・比重計
オカヤドカリは海水を好む生き物です。無くても飼育はできますが、あったほうが活発に動きます。脱皮前のミネラル補給にもよく、脱皮失敗のリスクを減らすためにも与えたほうがいいです。
塩分が濃すぎてもオカヤドカリには害になるため、人工海水を使う場合は比重計を使って適切な濃度の海水を作りましょう。塩分が濃くならないように、減った海水に水を足すときは必ず真水を足すようにしてください。
◆カトルボーン
脱皮前後のカルシウム補給のために、カトルボーンを飼育容器に入れておきましょう。ペットショップで小鳥用のものを購入してもいいですし、運が良ければ浜辺で拾うこともできます。
オカヤドカリのえさは何を与える?
◆オカヤドカリは雑食性
オカヤドカリは雑食性の生き物で、野生では浜辺に漂着した魚や虫の死骸、落ち葉やアダンの実などを食べています。飼育下でも同じように動物質、植物質偏りなく与えましょう。同じ餌を与え続けていると、全く食べなくなってしまったという例もあるようです。
◆動物質・植物質色々与えてみる
動物質の餌としてはまず魚類が挙げられます。アジ、サンマ、イワシなど食卓にのぼる魚で充分ですが、どちらかというとタイなどの白身魚を好んで食べます。乾燥シバエビや熱帯魚用のクリルは長持ちするので、あると重宝します。
植物質の餌は、リンゴ、ナシ、カキなどの果物、サツマイモ、ニンジン、レタス、トウモロコシなどの野菜をよく食べますが、酸味の強いものや辛みの強いものは食べないようです。
◆ポップコーンは副食として
どこの情報にも、オカヤドカリの好物はポップコーンと紹介されています。人間用のものでも食べますが、スナック菓子のポップコーンは塩で味付けされているため控えたほうがよいです。オカヤドカリ専用のポップコーンも売られているので、そちらを与えたほうが良いでしょう。
オカヤドカリに与えてはいけないもの
◆ほうれん草
ほうれん草に含まれているシュウ酸は、カルシウムの吸収を阻害する効果があります。オカヤドカリにとってカルシウムは、甲殻を作るのに必要となる重要な栄養素なので、シュウ酸が多く含まれているほうれん草は与えないほうがいいです。
◆ネギ類
ネギやタマネギなどの野菜を与えると、他の小動物と同様に中毒になる恐れがあります。
◆農薬野菜
農薬がかかった野菜はオカヤドカリにとって毒です。無農薬の野菜を与えましょう。
日常のメンテナンス、お世話
◆餌やり
オカヤドカリは夜行性なので、餌は夜に与えます。夕飯に使った肉や野菜を与えることもできます。
◆水
水入れは汚れやすいのでこまめに掃除し、新鮮な水に換えてあげましょう。
◆掃除
オカヤドカリには気に入った餌を持ち運ぶ習性があるので、食べ残しが散らばります。フンや食べ残しは放っておくとカビが生えるので、こまめに取り除くようにします。
◆霧吹き
飼育容器の中が乾燥しすぎていると、オカヤドカリは呼吸ができなくなって死んでしまいます。オカヤドカリにかからないように床材にこまめに霧吹きをして、一定の湿度(約50~70%)を保つようにしますが、濡らしすぎてもオカヤドカリの害になるので気を付けましょう。
オカヤドカリ飼育の注意点
◆長期間床材に潜っていても掘り出さない
オカヤドカリは脱皮のために土に潜ります。小さな個体でも1ヶ月、中サイズの個体では半年程潜っていたという例もあり、かなり長い間潜っていることがあるので、最低でも半年は土を掘り返したりせずにそっとしておいてあげましょう。むやみに掘り出すと脱皮失敗につながり、死んでしまう恐れがあります。
◆むやみに触らない
オカヤドカリはとても臆病で、飼い主が水槽の前を歩いたり大きな音をたてたりすると、驚いて貝殻に隠れてしまいます。手に乗せたり触ったりすると強いストレスを受けて自分のハサミや足を千切ってしまうことがあるので、できるだけ触らないようにしましょう。
◆オカヤドカリの近くで殺虫剤を使わない
オカヤドカリなどの無脊椎動物は薬品にとても弱いので、飼育容器の近くで殺虫剤を使ったりすると、死んでしまう恐れがあります。
まとめ
オカヤドカリの生態や飼育用品などをご紹介しました。オカヤドカリは臆病で繊細な生き物ですが、うまく飼育するととても長生きしてくれます。長く付き合うつもりで、大切に飼育しましょう。
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