1.うさぎの歯の特徴を知りたい!
1-1.うさぎの歯の本数
1-2.うさぎの歯は伸び続ける
2.うさぎの歯の病気
2-1.不正咬合(ふせいこうごう)
2-2.切歯や臼歯の過長
うさぎの歯の特徴を知りたい!
小動物のなかでもペットとしてもポピュラーなうさぎですが、実は世界には91種類のうさぎがいると言われています。
ペットとして飼われているうさぎは、ウサギ目ウサギ科に属するアナウサギが家畜化されたものです。
身体が小さなネザーランドドワーフや垂れ耳が特徴的なロップイヤーといった種類の名前は、品種名となります。
そんなうさぎの一番の歯の特徴として「一生歯が伸び続ける」という性質が挙げられます。
他の身近な動物で「ネズミ」も一生歯が伸び続ける動物に当てはまりますが、このような共通点から「うさぎはネズミと同じ仲間」と思われることもあります。
実際に一昔前は、この「歯が伸び続ける」という特徴の共通点から、うさぎもネズミと同じ「げっ歯目」という分類に属していました。
しかし実際にはうさぎとネズミとでは「歯の生え方(構造)」に違いがあるということで、ある時にネズミのように切歯が1対の仲間を「げっ歯目」、うさぎのように切歯が重なっている仲間を「重歯目」と分類するようになります。
さらに、その呼び方すらも進化し、近年では「げっ歯目」が「ネズミ目」、「重歯目」が「ウサギ目」と呼ばれています。
ここでは、生物分類にも影響を与えている「うさぎの歯」の特徴についてご紹介していきましょう。
◆うさぎの歯の本数
うさぎには、前歯にあたる「切歯」と奥歯にあたる「臼歯」の2種類の歯が生えています。
これらの歯は、上顎に16本、下顎に12本で、基本的なうさぎの歯の本数は28本です。
うさぎの上顎と下顎とで生えている歯の本数に違いがある理由は、「うさぎの上顎の臼歯は下顎に比べて1本多いこと」「2本の切歯が2重に生えている(裏側に小さな歯が生えている)」からです。
うさぎの切歯(人間の前歯中央2本にあたる歯)は固い牧草を噛み切る役割、臼歯(人間の奥歯)は食べ物をすりつぶして飲み込めるようにするという役割があります。
◆うさぎの歯は伸び続ける
うさぎの歯は、生後1ヶ月の間に乳歯から永久歯に生え変わってしまうため、飼い主さんがお迎えする頃には、既に永久歯が生え揃った状態です。
そんなうさぎの歯は、「常生歯」と呼ばれる一生伸び続ける歯で、月に約1cm、年間で10~12cmもの長さ生涯にわたり伸び続けていきます。
そのため、うさぎは主食として繊維質の多い固めの牧草を食べたり、木のような固いものを齧ったりしながら、日頃から歯を摩耗させ、伸びすぎを防いでいかなければいけません。
もしも、うさぎが繊維質の少ないものばかり食べたり、固いものを齧らなかったりしていると、歯はどんどん伸び続けていきます。
歯が伸びすぎてしまうと、餌が食べられなくなったり、口が閉じられなくなってしまったりすることがあり、うさぎの健康状態にも大きく影響します。
うさぎの歯の病気
うさぎは、一生歯が伸び続ける動物特有の「歯の病気」に注意してあげる必要があります。
うさぎにとって歯の病気は、健康状態にも大きくかかわってくるため、気づいたらすぐに受診しなければいけません。
そのためには、病気を知り、日頃からチェックすることで、早期発見につなげることが重要です。
ここでは、「歯が伸び続ける」という性質を持つうさぎがかかりやすい歯の病気について解説していきましょう。
◆不正咬合(ふせいこうごう)
「不正咬合(ふせいこうごう)」とは、上の歯と下の歯が正常に咬み合わない状態、いわゆる「咬み合わせが悪い」状態ということです。
不正咬合には、遺伝など「先天的」な理由によるもの、または、柔らかいものばかり食べていたり、事故で歯が欠けたりするなどの「後天的」な理由で発症するものがあります。
うさぎは固いものを噛むことで歯を削り、歯が伸びすぎるのを防いでいますが、不正咬合の場合、うまく咬み合わせることができないため、均等に歯を削ることができません。
うさぎが不正咬合になると、餌を上手く食べられなくなることにより「体重が減少する」「胃腸の働きが悪くなる」といった症状、また、歯が伸びすぎて口が閉じられなくなることにより「よだれで皮膚炎を起こす」といった症状を引き起こす場合があります。
このように、不正咬合は、うさぎが大きく体調を崩す原因となるため、日頃から飼い主さんがしっかり様子を観察するとともに、獣医師に定期的な検診をお願いするとよいでしょう。
なお、万が一、うさぎの歯ぎしりが酷くなったり、よだれの量が多くなったりといった変化を感じたら不正咬合の可能性が考えられます。速やかに受診するようにしましょう。
◆切歯や臼歯の過長
うさぎが不正咬合などにより歯がうまく削れない状態になると、切歯や臼歯は伸び続け、過長な状態になります。
なお、歯が過長すると、次のような問題が生じます。
うさぎの歯を健康に保つには
ここまでお話ししてきたように、うさぎの歯を健康に保つことは、うさぎの健康維持や寿命にとってとても重要なことです。
しかも、うさぎの歯は日々伸びていくので、毎日の生活のなかでの十分なケアが欠かせません。
では、日常生活のなかでできる歯のケアには、どのようなことがあるのでしょうか?
ここでは、うさぎの歯を健康に保つ方法について解説していきます。
◆齧れるものを与える
うさぎは、牧草など繊維質の多いものを食べたり、木の皮や根など植物の固い部分を齧ったりしながら、しっかりと歯をこすり合わせることで削っていきます。
うさぎの歯を健康に保つため、最も重要なのが「主食」です。
うさぎというと、うさぎ専用のペレットやニンジンなどの野菜をイメージされるかもしれませんが、うさぎの主食は「牧草」。あくまでもペレットや野菜は副食と考えてください。
牧草のなかでも、特にうさぎの歯のケアを考えた主食としておすすめなのが、繊維質の豊富な「イネ科の牧草」です。
毎日、繊維質の多いイネ科の牧草を十分な量摂取できるよう、ケージのなかに常備し、うさぎが好きなときに食べられるようにしてあげましょう。
また、うさぎが齧りやすい固さの「齧り木」が市販されています。
うさぎは、齧り木のような固いものを齧ることで歯を削ったり、ストレスを解消したりするため、ケージ内に小動物用の齧り木などを入れておいてあげてください。
このように、うさぎの歯を健康に保つ方法は「齧ること」です。
うさぎの歯が健康に保てるよう、うさぎが安全なものを好きなだけ齧れる環境を整えてあげましょう。
◆定期的な検診を受ける
生きものが常に健康な状態でいるためにも、定期的に検診を受けることはとても大切です。
特に、うさぎのようなエキゾチックアニマルを診察してくれる病院は少なく、お迎えする際には「病院を探しておくこと」とともに、もしものときにすぐに相談できるよう「お迎えしてすぐに受診してみること」をおすすめします。
そして、安心して診てもらえる病院が見つかったら、定期的な検診を受けるようにすると、もしものときにも安心です。
もちろん、うさぎにとって過ごしやすい環境を整えてあげるとともに、飼い主さんが、日頃のふれあいを通して歯を気にしてあげることが、うさぎの歯の健康を守るのに最もよい方法です。
たとえば、うさぎの食べる量や行動の変化は、飼い主さんが一番よく分かるでしょう。
また、歯ぎしりやよだれが増えていないかどうかなども、常にうさぎを観察している飼い主さんだからこそ気づけること。
しかしながら、プロの目で見てもらえたら、さらなる早期発見につながります。
このように、うさぎの歯を健康に保つには、日頃からのケアはもちろんのこと、良くない変化に早く気づける環境づくりが必要です。
まとめ
今回は、うさぎの健康を左右するといっても過言ではない「歯」の仕組みと特徴についてお話ししてきました。
「うさぎの歯は常に伸びる」とか「うさぎは不正咬合になりやすい」という話しを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際に、うさぎには一生歯が伸び続けるという特徴があるとともに、歯の伸びすぎを防ぐのに適した習性があります。
そのため、うさぎをお迎えする際は、このようなうさぎの特徴を理解し、その習性に合わせた生活環境を整えてあげることが、うさぎの歯の健康を維持するためにもとても重要です。
また、飼い主さんが、日頃からうさぎの様子を観察、点検し、変化に気づいてあげることも大切です。
そうとはいえ、無理に口のなかをチェックするようなことをする必要はありません。
うさぎの主食は「イネ科の牧草」とはいっても、当然、それぞれのうさぎには好き嫌いもあります。そのときは代替ものを与えてあげるなどで対応すればよいこと。
見守りにエネルギーを注ぎすぎることは、飼い主さんにとっても、うさぎにとってもとてもストレスになります。
あくまでも、自然に見守ってあげましょう。
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