1.メダカの屋外飼育のメリットとデメリット
1-1.屋外飼育のメリットについて
1-2.屋外飼育のデメリットについて
2.メダカの屋外飼育方法
2-1.メダカの屋外飼育に使用する飼育グッズ
2-2.メダカの種類選び
2-3.水温と水質の管理方法
2-4.メダカと一緒に飼える生き物と水草
4.メダカが屋外飼育で丈夫に育つ理由
4-1.日光浴の効果
4-2.天然餌の利便性
4-3.自然風の役割
4-4.季節感覚の影響
4-5.屋外飼育の注意点
メダカの屋外飼育のメリットとデメリット
メダカは池や小さな川、田んぼといった水の流れが緩やかな場所に住んでいます。
本来、家庭でメダカを飼育する場合でも、本来の生息地に近い環境で飼育するのが望ましいはずです。
とはいえ、人工的なメダカの屋外飼育には、メリットともにデメリットもあります。
ここでは、メダカを屋外飼育するメリットとデメリットについてご紹介していきましょう。
◆屋外飼育のメリットについて
屋外では、日光が当たったり、雨が降ったり、風が吹いたりなど、自然な環境を作ることができます。
そのため、室内飼育で必要なろ過フィルターやエアレーションなどの設備は必要なく、お世話も「餌やり」と「必要に応じた水換え」とメンテナンスに手間がかかりません。
さらに、屋外飼育のような日光によく当たる環境ではメダカが丈夫に育ち、繁殖しやすくなったり、メダカの体色が濃く・鮮やかになったりするなどのメリットもあります。
しかも、繁殖によりメダカの数が増えても、屋外飼育であれば飼育スペースの確保がしやすくなるでしょう。
◆屋外飼育のデメリットについて
自然な環境で飼育できることが屋外飼育のメリットではあるものの、季節や気象条件により水温が激しく変動したり、台風、大雪など荒天により水位や水質に影響したりするなど、メダカの飼育環境に大きく影響する場合があります。
そのようなときは、その都度、水槽を適切な場所に移動するといった対策が必要です。
また、屋外飼育の場合は、メダカが鳥やネコなどの外敵に襲われる可能性も高くなることから、防獣ネットなどで水槽を覆うなどの対策も必要になります。
さらに、近年では、メダカの窃盗被害も増えているため、高級なメダカを屋外飼育する際は、防犯対策も必要です。
メダカの屋外飼育方法
メダカには、屋外飼育に向いた種類や屋内飼育に向いた種類がいます。
また、メダカの飼育グッズにも、屋外飼育向きのもの、屋内飼育向きのものがあります。
このように、メダカを屋外で安全に飼育するためには、屋外飼育に向いたものを選び、正しい飼育方法を理解しておくことが重要です。
ここでは、必要な飼育グッズから屋外飼育向きのメダカの種類など、メダカの屋外飼育するために知っておきたいポイントについて解説します。
◆メダカの屋外飼育に使用する飼育グッズ
メダカを屋外飼育するには、次のようなグッズが必要です。
飼育容器(水槽やメダカ鉢など)
屋外飼育では、太陽光や四季の気温の変化にも耐えられる飼育容器を選ぶ必要があります。
例えば、水槽、睡蓮鉢やメダカ鉢、発泡スチロールの箱などがおすすめです。
なお、飼育容器に水草などを入れてメダカを飼育する場合は、深めの容器にすると良いでしょう。
餌
メダカは雑食の魚で、ケイソウなどの「植物プランクトン」、ミジンコなどの「動物プランクトン」、赤虫などの「昆虫」といったさまざまなものを餌としています。
屋内・屋外飼育にかかわらず、メダカに与える餌として次の4種類があります。
●人工餌:市販されている「メダカの餌」
●生餌:ミジンコ、ボウフラ、赤虫、イトミミズなど
●水生植物:ミジンコウキクサ、アオウキクサ、カボンバ、アナカリスなど
●グリーンウォーター:汲み置きして日光に当てることで植物プランクトンが大量に繁殖した水
水草
メダカの飼育容器には、水草や水生生物を入れてあげるとよいでしょう。
メダカの飼育容器に水草や水生植物を入れることで、光合成により酸素の供給ができたり、水を綺麗にしたりする効果が期待できます。
なお、飼育容器に入れる水草には、育てやすいといわれている「アナカリス」「マツモ」「ホテイソウ」などがおすすめです。
底砂
メダカの飼育容器に底砂を入れると、水草が根を張りやすくなったり、水質が安定しやすくなったりするメリットがあります。
さらに、色の濃い底砂を敷くとメダカの体色が濃くなる傾向があり、体色が濃いことがよいとされる品種の飼育容器には、色の濃い底砂がおすすめです。
なお、飼育容器に入れる底砂としておすすめのものに、「メダカ用ソイル」「赤玉」「田砂」「大磯砂」などがあります。
水質調整剤
メダカに最適な水質は、弱酸性~弱アルカリ性の軟水~中程度の硬水といわれています。
水質調整剤とは、水道水を簡単にメダカにとって最適な水質に調整することができる薬剤。使い方も簡単で、とても便利です。
なお、市販のメダカ用の水質調整剤には、うるおい成分やビタミン・ミネラルを含んだものまで、メダカの健康に有効な成分が含まれているものもあります。
水温計
メダカの屋外飼育で注意が必要なのが、水温です。
メダカが生存可能な水温の目安は2~38℃くらい、適温は25~28℃くらいといわれています。
特に、屋外飼育の場合、冬場の水温は低くなりすぎたり、夏場の水温は高くなりすぎたりすることがあり、場合によってはメダカが死んでしまうこともあるので注意しましょう。
このような状況を避けるためにも、メダカの飼育容器には水温計を設置し、適切に温度管理ができるようにします。
◆メダカの種類選び
屋外飼育に向いているメダカは、病気や寒さに強く、初心者でも育てやすい品種といえます。
一般的に、丈夫なメダカといわれているのは「黒メダカ」「楊貴妃メダカ」「白メダカ」といった品種です。
黒メダカ | 体色はグレー~こげ茶、黒。改良品種の原種でとても丈夫。 |
楊貴妃メダカ | 体色は鮮やかな朱赤色。丈夫で繁殖しやすい。 |
白メダカ | 体色は白色、乳白色。丈夫で繁殖しやすい。 |
◆水温と水質の管理方法
メダカを健康の状態に保つために重要になるのが、水温の調整です。
メダカは適応できる水温の幅が広く、とても丈夫な魚といえますが、1日の温度差が10℃以上になると弱ってしまう傾向があるため注意してください。
また、あまりに水温が高くなると水中に溶け込む酸素の飽和度が下がり、水中の酸素量が減ってしまいます。
そのため、メダカの健康を維持するためにも、飼育容器内は一定の水温を保ってあげることが重要です。
さらに、メダカを健康に育てるためには、適切な水質の管理・維持も重要です。
適切な水質を維持するためには、「水換え」は欠かせません。
水換えは、メダカから排出されるアンモニアや硝酸などの有害物質を除去するための作業で、基本的には1週間に1回くらいのペースで行います。
ただし、水換えのペースは、メダカの成長具合、飼育容器内の水量、季節や気候などによって調節していきましょう。
◆メダカと一緒に飼える生き物と水草
メダカと一緒に飼えるのは、生息地が近かったり、似た生息環境で育っていたりする生き物たちです。
たとえば、「ドジョウ」や「ヌマエビ」、「貝類」、ネオンテトラのような「淡水で生息する小型の熱帯魚」などが挙げられます。
特にドジョウは、残った餌を食べてくれるメンテナンスフィッシュになりますよ。
さらに、メダカの飼育容器には、水草が不可欠です。
水草は、水質を調整したり、餌の代わりになったりするほか、身を隠したり、直射日光から身を守ったり、卵を産み付けたりする場所にもなります。
メダカと相性の良い水草として、「ホテイソウ」「マツモ」「アナカリス」のような丈夫で寒さに強い水草が挙げられます。
また、「姫睡蓮」や「ミジンコウキクサ」などは、屋外飼育向きの水草です。
屋外飼育時のトラブルとその対策
屋外飼育だからこそ必要になるのが、外敵や天敵からメダカを守る対策です。
メダカにとっての外敵・天敵とは、ネコやハクビシン、カラスなどの鳥類、カエルやヘビ、ヤゴなど、メダカを食べる生き物です。
なかでも特に厄介なのが、ヤゴです。飼育容器に産み付けられた卵から孵化すると、メダカを食べ尽くしてしまうこともあります。
これらメダカを食べる生き物への対策には、「固定できる蓋や網」「防獣・鳥・虫ネット」「忌避剤」などが有効です。
ホームセンターなどで入手できるので、屋外飼育の場合はしっかりと対策をしましょう。
さらに、近頃では人間による盗難も増えているといわれています。
特に、希少性の高いメダカを屋外飼育する場合は、飼育容器は簡単に出入りできない場所に置く、防犯カメラを設置するなどの対策が必要です。
メダカが屋外飼育で丈夫に育つ理由
メダカを屋外飼育することで、色の濃いメダカに育ったり、病気をしにくい丈夫なメダカに育ったり、繁殖力が上がったりするといわれています。
それは一体、なぜなのでしょうか?
ここでは、メダカを屋外飼育すると丈夫に育つなどのメリットがある理由について、ご紹介していきます。
◆日光浴の効果
メダカを屋外飼育する最大のメリットは、日光に当たれること。
メダカにとって日光浴がよい理由は、紫外線を浴びることでビタミンAやDが生成され、骨の形成を促したり、免疫力を高めたりする効果が期待できるためです。
メダカが丈夫に育つ、大きな理由の一つといえるでしょう。
◆天然餌の利便性
日光は、メダカ自体に有効なだけでなく、水質にとっても有効です。
日光が当たることで、飼育容器内の水に植物性・動物性のプランクトン、アカムシ、ボウフラなどが発生し、「グリーンウォーター」と呼ばれる天然餌が作られます。
うまくグリーンウォーターが形成されると、餌を与える必要がないほど恵まれた環境になります。
◆自然風の役割
屋外飼育では、水中に酸素を送る「エアポンプ」は必要ありません。
それは、自然の風が水面を揺らし、酸素を供給してくれるからです。
◆季節感覚の影響
生き物は、昼夜や季節の変化を感じることで、ホルモンの分泌を促したり、体内のリズムを整えたりしています。これは、メダカにとっても同じです。
メダカも季節感覚を得られることで、丈夫で長生きできると考えられます。
◆屋外飼育の注意点
メダカにとって、屋外飼育には多くのメリットがあります。
しかしながら、ほぼ自然のなかで生活するということは、気温や気候の変化に対して十分に気を付けてあげなくてはいけない、ということでもあります。
たとえば、台風やゲリラ豪雨が予想されるときは、あらかじめ風雨を避けられる場所に飼育容器を移動したり、猛暑日のような気温が上がることが予想されるときは、直射日光が当たらない日陰に飼育容器を移動したり、カバーをしたりするなどの対策は必須です。
たとえ屋外飼育のメダカは丈夫だといっても、水温や水質の管理、天候の悪化などへの備えは十分にしておきましょう。
ビオトープ式の飼育方法
ビオトープとは、生命を意味する「Bio(ビオ)」と場所を意味する「Tope(トープ)」組み合わせた造語で、「生きものが暮らす場所」を指す言葉です。
「水草の浮いた睡蓮鉢にメダカが泳いでいる」のを見たことはないでしょうか?
これが、いわゆるメダカのためのビオトープです。
メダカのためのビオトープを作るには、睡蓮鉢のような底の深い飼育容器を準備し、底砂を敷き、そこに水草を植えて水を張り、水温や水質が落ち着いたら、メダカを入れます。
はじめは、数匹程度がおすすめです。
ビオトープ式での飼育は、お世話に手間がかからないだけでなく、繫殖力が上がるなどのメリットがあります。
また、グリーンウォーターができることで、さらにメダカにとって過ごしやすい環境になることが期待できます。
まとめ
今回は、「メダカは屋外飼育できるのか?」「屋外飼育するにはどうしたらよいのか?」といったことを中心にご紹介してきました。
そもそも、メダカは池や田んぼ、小川など流れの緩やかな水場に生息する生き物です。
当然、自然の環境で生活できる方が良いでしょう。
とはいえ、メダカの屋外飼育の場合、人間が環境を整えることになるため、メダカの特性を知り、それに合った環境を作ってあげる必要があります。
メダカが泳ぐ姿は、見ていてとても癒されます。
是非、メダカにとって良い環境を整えてあげてください。
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