1.動物の冬眠とは?
1-1.動物が冬眠する理由
1-2.冬眠の時期
1-3.冬眠中の動物の様子
2.冬眠する動物一覧 7選
2-1.クマ
2-2.リス
2-3.コウモリ
2-4.カメ
2-5.ハリネズミ
2-6.ハムスター
2-7.カエル
3.ペットのハムスターやハリネズミを冬眠させてはいけない理由
3-1.餓死をしてしまう
3-2.寿命が短くなる
3-3.冬眠させない環境をつくること
動物の冬眠とは?
冬眠は、動物が厳しい冬を生き延びるための戦略といえます。
どうして冬眠が戦略として成り立つのか、まずは、冬眠の基本知識について解説します。
◆動物が冬眠する理由
動物が冬眠する主な理由は、冬の食糧不足を乗り越えるためです。
冬になると作物が育ちにくくなるほか、狩りをしようにも寒さで体が思うように動かず、獲物をとり逃すことが増え、食糧不足に陥ってしまうのです。
食料が不足すると、動物はエネルギーを節約するため、本能的に体温や心拍数を下げて活動を抑制します。
実は、「冬眠」とは眠り続けることではなく、この活動抑制状態のことを指しているのです。
この冬眠により、動物たちは限られた栄養源で長期間生き延びられるようになります。
◆冬眠の時期
冬眠の時期は明確に決まっている訳ではなく、その年の気温や、食糧の量によって変動します。
多くの動物は、気温が低下し始めて食料が不足する秋の終わりから冬眠に入る傾向にあります。
そして、冬眠は春が来て気温が上昇し、食料が豊富になるまで続けられることが一般的です。
◆冬眠中の動物の様子
冬眠中は「持続的冬眠」と「中途覚醒」を繰り返すことで知られています。
眠り続けるイメージが強い冬眠ですが、実際には完全に動かないという訳ではなく、時には少しの時間だけ目覚めることもあるのです。
目覚めた動物は体温を上げて調節したり、必要に応じて排泄や栄養摂取を行います。
「持続的冬眠」の長さは、動物にもよりますが4〜45日と言われており、やはり普段の睡眠と比較するとかなり長い時間眠っていることがわかります。
冬眠する動物一覧 7選
冬眠する動物たちは種類が多く、それぞれにユニークな特徴があります。
ここでは、代表的な冬眠する動物たちを一覧でご紹介します。
それぞれの動物がどのように冬眠を行い、どのような環境で生活しているのかを見ていきましょう。
◆クマ
クマは冬眠する動物の代名詞というイメージが強いですが、実は研究者たちの間でクマの冬眠を冬眠としていいのか長らく議論されてきたといいます。
というのも、先述の解説とは異なってクマは唯一、中途覚醒のない冬眠をするからです。
冬眠中のクマは心拍数を減らし、エネルギー消費を最小限に抑えてはいるものの、ほかの冬眠中の動物と比較して体温の低下はそこまで大きくなく、まるで単に眠っているかのように見えるのも大きなポイントです。
実際に体温の低下が少ないことで周囲の物音ですぐに目覚め、身を守ることができるようになっています。
また、中途覚醒がないということは、クマは冬眠中に食事や排泄を一切行いません。
春が来るまでの半年近くの間、冬眠に備えて蓄えた脂肪をエネルギー源として使用し、目覚めた時には体重の15〜37%を失っているというから驚きです。
さらに、妊娠中のメスのクマは冬眠中でも出産の時期が近づくと目覚め、出産し、食事を摂取しないのにも関わらず授乳まで行います。
クマの冬眠は非常にユニークで、にわかに信じがたい特徴でいっぱいですね。
◆リス
リスも冬眠する動物として知られていますが、実は冬眠するのは「シマリス」という種類のみです。
冬が近づくとクマが大量に食事をし始めるのに対し、シマリスの食事量は変わりません。
その代わり、巣穴に通じる場所に1〜2m程度の深い穴を掘り、そこを食料庫として活用します。
なかには10Lものどんぐりが貯めてあったという記録もあるくらい、せっせとたくさんの食料を集め、約200日にもおよぶ長い冬眠に備えるのです。
そして、リスの冬眠には中途覚醒が多いという特徴があります。
連続した長い眠りではなく、時折目覚めては倉庫へ行って食料を摂取することで、体力を維持しながら厳しい冬を生き延びます。
とはいえ冬眠中のリスは体温を低下させてエネルギー消費量を抑えているので、1回の食事量は決して多くはありません。
◆コウモリ
コウモリは恒温動物なので本来冬眠する必要はありませんが、四季のある日本に生息するコウモリは食糧難を避けるため、冬眠することで知られています。
コウモリの冬眠場所としては洞窟や樹洞が一般的ですが、種によって様々で、なかには人間の建物内で冬眠する場合もあるので注意が必要です。
冬眠中のコウモリはほとんど仮死状態になるのが特徴的です。
体温は外気温近くまで低下し、心拍数は活動時の10分の1になり、呼吸は1分に1回程度と極端に少なくなります。
コウモリのなかには1時間も呼吸停止する種もいるそうです。
ほとんど中途覚醒もなくそんな状態で約180日を過ごし、気温が上昇する春先にはまた元気に動き出すのですから不思議ですよね。
◆カメ
爬虫類であるカメは変温動物なので、寒くなると体温を保てなくなります。
他の動物が自ら体温を下げるのに対し、カメは外気温とともに体温が下がることで、自然と冬眠状態になるのです。
そして野生のカメは一般的に、気温が15℃を下回る11月〜3月下旬まで冬眠します。
冬眠場所は池の底沼や川辺に溜まった落ち葉の中、岸辺の穴の中など、カメの暮らしている環境によってさまざまです。
とくに、水中で皮膚呼吸をしながら冬眠するのは、他の動物にはないカメならではの特徴といえるでしょう。
◆ハリネズミ
野生のハリネズミは、冬眠する種類とそうでない種類に分かれます。
たとえば、日本でよく見かけるヨツユビハリネズミは本来冬眠しない種類ですが、寒さによって本能的に冬眠状態に入ることがあるようです。
ハリネズミは冬眠する場合、冬に近づくにつれ食事量を増やして脂肪を蓄え、エネルギーを温存します。
冬眠期間は種類や地域によって異なりますが、寒くなり始める秋の終わりから春まで続くケースが一般的です。
◆ハムスター
野生のハムスターは、厳しい冬を乗り越えるために冬眠することがあります。
気温が10度程度に下がると活動が鈍くなり、さらに4度程度になるとほとんど動かなくなって冬眠に入ります。
ハムスターの冬眠期間は他の動物に比べると短く、数日から1週間程度が一般的です。
一方、ペットとして室内で飼育しているハムスターの動きが鈍くなっているときは、疑似冬眠と呼ばれる低体温症で、本来の冬眠とは異なります。
もしも疑似冬眠の兆候が見られたら、すぐに温めて仮死状態から回復させてください。
わずかな温かさやお腹の動きがあれば、生きている証拠です。
部屋を暖めることはもちろん、ペットヒーターなどを用いてハムスターの体自体を温めてあげましょう。
ハムスターが疑似冬眠から目覚めたら、人肌に温めた砂糖水を少量ずつ与えてエネルギーを補給させたうえで、すぐに動物病院へ連れて行ってくださいね。
◆カエル
あまりイメージにはありませんが、野生のカエルも冬眠に入ります。
カエルはカメと同じく変温動物なので、寒い季節は体温が下がり、体の機能が低下します。
食糧難の冬に自然と冬眠状態になることで、エネルギー消費を抑えて生き延びるのです。
日本のカエルは、気温が10℃以下になると冬眠するといわれています。
冬眠を始めたカエルはおよそ4か月間、土の中や落ち葉の下でじっと春を待ちます。
他の冬眠する動物と比べて、カエルの冬眠は独特です。
多くのカエルは冷たい地表近くで冬眠し、厳しい真冬の寒さに耐えられることがわかっています。
また、暖かい日があれば一時的に活動を再開することもあり、カエルは変温動物ながら環境の変化に柔軟に対応できる生き物といえそうです。
ペットのハムスターやハリネズミを冬眠させてはいけない理由
ペットとして飼われるハムスターやハリネズミは、野生とは異なる環境で生活しています。
冬眠する動物だからといってこれらの小動物を冬眠させることは、非常にリスクが高いです。
ここではペットを冬眠させることの危険性と、その理由を詳しく解説します。
◆餓死をしてしまう
ペットのハムスターやハリネズミが冬眠に入ると、餓死するリスクが高まります。
野生のハムスターやハリネズミは冬眠前に十分な食料を蓄えますが、ペットとして飼育されている場合、常に適量のエサをもらっているので野生下と同じように食料を蓄えることが困難です。
十分な栄養が蓄えられていないと、冬眠中にエネルギー切れで命を落とす可能性があります。
◆寿命が短くなる
ペットのハムスターやハリネズミを冬眠させると、寿命が短くなるリスクもあります。
冬眠は自然界では一般的な現象ですが、ペットとして飼育される場合、冬眠によってかえって体力の消耗を大きくさせ、健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。
ペットの場合は冬眠に必要な条件が整っていないともいえますが、そもそも冬眠させる必要がないともいえます。
冬場でも部屋を適温に保ち、毎日決まった量のエサを与えることができるのですから、冬眠させる理由がありません。
◆冬眠させない環境をつくること
冬眠させる理由がないとはいえ、ハムスターやハリネズミは本来冬眠する動物なので、野生本能が出てきてしまう恐れがあります。
ペットのハムスターやハリネズミの健康を保つためには、冬眠させない環境を整えることが重要です。
まず、適切な温度管理が欠かせません。
室温を一定に保ち、寒さを感じさせないことで冬眠を防げます。
気温に合わせてペットヒーターなどのグッズを活用し、寝床やケージの環境を整えてあげることも大切です。
また、十分な栄養と水分を補給することも欠かせません。
繰り返しになりますが、冬眠の最大の原因は食糧難です。
そのため、冬眠を防ぐためにはペットの活動量に応じて適量の餌をあげることが重要なのです。
まとめ
いかがでしたか。この記事では冬眠する動物の種類や、ペットのハムスターやハリネズミを冬眠させてはいけない理由について解説しました。
冬眠と一口に言ってもいろんなスタイルがあり、非常に興味深かったですね。
また、なかには「ハムスターやハリネズミを飼ってみたいけど、冬眠してしまわないか心配」と思っていた方もいるかもしれません。
しかし、温度調節や栄養チャージなど、ハムスターやハリネズミが冬眠しない環境を整えてあげれば問題ありません。
むしろ健康を考えると、冬眠させないことが非常に大切です。
この記事を参考にして、ぜひ動物の冬眠について詳しくなってくださいね!
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