1.ハムスターもアレルゲンの一種
1-1.動物アレルギーとは
1-2.ハムスターアレルギーについて
2.ハムスターアレルギーの治療法とは
2-1.根本的な治療法はない
2-2.アレルギー科を受診する
2-3.極力ハムスターに接触しない
3.ハムスターをお迎えする前に確認しよう!
3-1.飼い主のアレルギー検査
3-2.いざという時に預かってくれる身内はいるか
ハムスターもアレルゲンの一種
アレルギーは日本の国民病といわれ、日本人の約3割の人がなんらかのアレルギーを持っているといわれています。
アレルギーといえば、花粉症、ハウスダストやダニなどによるアレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどがよく知られますが、そのほかに特定の動物がアレルギーの原因になる「動物アレルギー」があります。また、ペットのハムスターがアレルギーを引き起こすことも分かっています。
以前は、ハムスターでアレルギーが起こることはあまり知られていませんでした。しかし、ハムスターのペットブームが来てから飼っている人の間でアレルギー患者が増え、ハムスターによるアレルギーが注目されるようになったのです。
ハムスターを飼っている人に原因不明の咳、鼻水やくしゃみなどの症状がみられるならば、それはハムスターが原因になっているかもしれませんね。
◆動物アレルギーとは
動物アレルギーは、動物の被毛、フケ、唾液や糞尿などがアレルギーの原因となり、動物に接触することがきっかけで発症するアレルギーです。
特に、犬や猫、小鳥、ウサギ、モルモットやハムスターといった、被毛や羽毛のある生き物を飼育している人に起こりやすく、特にイヌアレルギー、ネコアレルギーが多くみられます。また、ハムスターもアレルギーを起こしやすく、ペットにしている人にアレルギーが増えてきているのです。
アレルギーは、免疫機能が特定の物質に反応を起こして自分の体を攻撃してしまう病気で、アレルギーの原因になる物質は「アレルゲン」と呼ばれています。
動物の皮膚や唾液などのアレルゲンには、アレルギーの原因になる「抗原」が付着しています。そして、ペットと接触した人の体内に抗原が侵入すると、免疫機能が抗原を危険な異物だとみなし、その抗原を攻撃するための「抗体」を作ります。
すると、以降はその動物に接触する度に抗体が反応し、かゆみ、鼻炎、ぜんそくなどの症状を引き起こす化学伝達物質を放出するようになります。これが動物アレルギーです。
一度動物アレルギーになってしまうと、アレルゲンになる動物と一緒にいる時にアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、じんましん、目のかゆみなどの症状が起こるようになります。
また、まれなケースですが、動物アレルギーになった人がアレルゲンとなる動物に接触した際には、全身の激しいアレルギー症状を伴う「アナフィラキシーショック」を起こすこともあります。アナフラキシーショックは短時間で重篤な症状を引き起こし非常に危険なため、特にアレルギー体質の人は十分に注意しなければなりません。
◆ハムスターアレルギーについて
ハムスターアレルギーは、イヌアレルギー、ネコアレルギーに比べ、気管支ぜんそく、アナフィラキシーショックが起こりやすいという特徴があります。
アレルゲンになるのは、ハムスターの体から出たフケ、唾液、糞尿などです。これらは細かい粉塵となって空気中に浮遊するため、ハムスターと一緒にいる人は空気と一緒にアレルゲンを吸入しやすくなります。その際、抗原が気管支に取り込まれることで炎症を起こし、気管支ぜんそくを発症することが多くなってしまうのです。
ハムスターを飼ってから初めて気管支ぜんそくになる人もいますし、気管支ぜんそくのある人がハムスターを飼うことでぜんそくが悪化するケースもみられます。
また、近年はハムスターを飼っている人にアナフィラキシーショックが増えていることも注目されています。
アナフィラキシーショックは、ハムスターにアレルギーを持つ人がハムスターに噛まれた時に多発しています。ハムスターが噛んだ傷口からハムスターの唾液が血液に混入し、その血液が全身を循環することでアレルギー反応を引き起こしてしまうのです。
ハムスターに噛まれるとすぐにアレルゲンが全身に行き渡るため、噛まれて数分から数十分で全身に強いアレルギー症状が起こります。アナフィラキシーショックは、短時間で呼吸困難、意識障害、急激な血圧低下などを引き起こし、最悪の場合は心肺停止に至ることもあるので非常に危険です。
ハムスターは、個体差はあれど本能的に噛む癖があります。噛まれたことで急にアレルギー反応が起こる場合もあるので、ハムスターのお世話をする際は注意しなければなりません。
ハムスターアレルギーの治療法とは
ハムスターを飼っている人で次に挙げる症状がみられる場合は、ハムスターアレルギーが疑われます。
・咳
・息苦しい感じ
・くしゃみ、鼻水
・目のかゆみ
アレルギーは放置していると重症化することがあるので、症状に気付いたら早めに適切に対処しましょう。
◆根本的な治療法はない
実は、ハムスターアレルギーには根本的な治療法がありません。アレルゲンに接触しない限りは症状が出ないので「飼育をやめる」という選択が一番の治療法となります。
ただし、飼い主さんがアレルギーになったからといってハムスターの飼育を簡単に放棄することはできませんよね。アレルギーは完全には治せませんが、対症療法で症状を緩和させることは可能なので、責任を持ってハムスターを最後までお世話しましょう。
◆アレルギー科を受診する
アレルギーが疑われる場合は自己判断せず、アレルギー科、アレルギー疾患に対応している医療機関を受診し、原因を明確に突き止めましょう。原因がハムスターだけにあるとは限らず、ほかのアレルゲンが重複してアレルギー症状が出ている可能性もあるためです。
病院では、血液検査(RAST)、皮膚検査(パッチテスト)、吸入誘発試験などを実施することで、アレルギーの有無、どんなアレルギーを持っているのかが判別できます。
アレルギー検査の対象となるアレルゲンは200種類ほどあり、全てのアレルギーについて検査してもらえるわけではありません。医師にはハムスターを飼っていることを必ず伝え、ハムスターの抗体を検査してもらいましょう。
◆極力ハムスターに接触しない
ハムスターアレルギーのある人がハムスターを飼い続ける場合は、極力アレルゲンに接触しないことが課題となってきます。
ハムスターのフケや糞尿などの粉塵が空間に浮遊することがアレルギーにつながるので、ハムスターは限定された空間で飼育し、広範囲にアレルゲンが広がることを防ぎましょう。
まず、ハムスターのケージはアレルギーのある人の個室や寝室には置かないようにします。また、ケージを設置している部屋は特に念入りに清掃や換気をおこない、アレルゲンの除去に努めます。空気清浄機を利用するとさらに効果的です。
そして、ハムスターのケージは定期的に清掃して衛生的に保ちます。掃除し過ぎるとハムスターにストレスがかかりますが、フケ、被毛、糞尿がケージに蓄積すると飼い主さんのアレルギーが悪化するので、きちんと掃除をしましょう。
アレルギーのある人がハムスターのお世話をする場合は、マスクや手袋をしてアレルゲンへの接触を避けましょう。ハムスターの手乗り、頬ずりといった密なコミュニケーションは我慢ですね。ハムスターと触れ合った後は必ず手もよく洗いましょう。
ハムスターをお迎えする前に確認しよう!
ハムスターはアレルギーを起こしやすい動物なので、ハムスターの飼育を検討している方は、ハムスターをお迎えする前にアレルギーについて確認しておくことをおすすめします。
◆飼い主のアレルギー検査
ハムスターの飼育を予定している人は、事前に検査を受けてアレルギーの有無を把握しておくのが安心です。
アレルギーの有無、どんなアレルギーを持っているかを知ることで、ハムスターの飼育が可能か、どんなアレルゲンを避けるべきかが明確になり、アレルギー発症や重症化を防ぐことができます。
また、アレルギー検査を受ける際は、ハムスターだけではなく飼育に必要になるチップ(樹木)やエサ(リンゴ、バナナ、ナッツなど)など、アレルゲンになりうる項目についても検査を受けておくと、より安心できます。
◆いざという時に預かってくれる身内はいるか
飼い主さんのアレルギーが重度の場合は、ハムスターを飼育し続けることが難しくなります。ハムスターの飼育ができなくなる場合を考え、いざという時に預かってくれる、引き取ってくれる身内の人を見つけておきましょう。
知り合いで難しい場合は、動物の里親をマッチングするサイトなどで新しい飼い主さんを探すという方法もあります。
【おまけ】ハムスターにもアレルギーはあるのか
ここまでは、私たち人に起こるハムスターアレルギーについて説明しました。あわせて、ハムスター自身に起こるアレルギーについてもふれておきます。
ハムスターの中にも、人間と同じようにアレルギーを起こす個体はいます。ハムスターに多いのは、ウッドチップ、おがくずによるアレルギー性皮膚炎です。木くずから作られるウッドチップ、おがくずはアレルギーを起こしやすく、これらを床材に使ったケージで暮らすハムスターにしばしばアレルギーがみられます。
ハムスターのアレルギー性皮膚炎はおなか、耳、顔などに脱毛、皮膚の赤み、激しいかゆみを伴うのが特徴です。もし、ハムスターにこれらの症状がみられたらすぐ動物病院を受診して治療を受けましょう。
ハムスターのアレルギーも、アレルゲンになる物との接触を避けることで発症を抑えることができます。ウッドチップやおがくずにも床材としてのメリットがありますが、ハムスターの床材にはアレルギーの心配がないペーパーチップ、コーンチップを選ぶのがおすすめです。
また、ハムスターの中には特定の食べ物に対して食物アレルギーが出る個体もいます。おやつでアレルギーが起きている可能性が高いのですが、何を食べてアレルギーが起きているのか特定するのは難しいので、おやつを控えて主食のペレットを食べさせることがアレルギーの回避につながります。
いずれにしても、ハムスターの体調に異変がみられた時にはアレルギーも疑って動物病院を受診しましょう。
まとめ
今回は、ハムスターを飼う人に増えているハムスターアレルギーについて説明いたしました。
アレルギーに縁のなかった人でも突然ハムスターアレルギーになることがあるので油断は禁物です。ハムスターアレルギーは気管支ぜんそく、アナフィラキシーショックが起こりやすく、軽い症状で済まないこともあります。
ハムスターを飼っている人が「アレルギーかも?」と違和感をおぼえたら、すぐに病院へ行きましょう。
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