ハムスターのおしりがいつもと違う!その原因と対処法

2024.02.04

ハムスターのおしりがいつもと違う!その原因と対処法

ハムスターのような小さな動物は、少しの異変でも早めに気づいてあげることが重要です。 たとえば、おしりの様子がいつもと違うと感じた場合にも、内臓の異常や腫瘍など大きな病気が隠れていることがあるため、日ごろから「ふつうの状態」を知っておきましょう。 では、おしりにどのような異変が起こると病気の可能性があるのでしょうか? 今回は、ハムスターのおしりに起こる異変の原因とその対処方法についてご紹介していきます。


ハムスターのおしりの異常①腫れている

後ろを向いているハムスター

ハムスターのおしりに見られる症状のひとつが「腫れ」です。
ハムスターのおしりのあたりには腸や生殖器などの臓器があるため、腫れがある場合は、「腸や生殖器の異常」などが考えられます。
特に、ハムスターのような小さな動物の場合、腸の異常が命に係わることもあるため、日々、おしりを観察し、早めに腫れに気づいてあげることが大切です。
ここでは、ハムスターのおしりが腫れている場合に考えられる「腸の異常」と「生殖器の異常」についてご紹介していきます。

◆原因

【腸の異常】

ハムスターに起こりやすい腸の異常として、「腸閉塞」「脱腸」などがあります。

・腸閉塞
ハムスターの場合、便秘でもおしりの腫れが出る場合があります。
便秘の原因が、エサや異物などが腸に詰まって起こる「腸閉塞」だった場合、早めの対応が必要です。
おしりが腫れているのに加え、フンが確認できないような場合は、速やかに獣医師さんに相談しましょう。

・脱腸
ハムスターのおしりから赤いものが出ている場合は、「脱腸」が考えられます。
多くの場合、脱腸は下痢が続いた状態から発症する場合が多く、脱腸が確認できた場合は腸を乾燥させないよう濡れタオルなどで湿らせながら、速やかに獣医師さんに相談しましょう。
なお、脱腸とともにお尻の腫れが見られる場合は、腸閉塞や腸重積を起こしている可能性があります。
特に、腸重積は命に係わる重い病気です。早急に受診しましょう。

【生殖器の異常:オスの場合】

オスのハムスターの精巣は体の大きさに比べて大きいため、「おしりが腫れている」ように見えて病気と間違えることがあります。
特に、ゴールデンハムスターにその傾向があるようです。
とはいえ、「精巣炎」や「腫瘍」のように病気が原因で精巣が大きくなる場合もあります。

・精巣炎
「精巣炎」は、細菌感染が原因で起こる病気です。
精巣炎になると精巣が腫れ、さらに、ハムスターのおしりも腫れたようになります。
精巣の周りが荒れていたり、形が変わっていたりする場合は精巣炎を疑い、早めに受診することをおすすめします。
いち早く違いが確認できるよう、日頃の状態をよく確認しておきましょう。

・精巣腫瘍
ハムスターは、比較的腫瘍のできやすい動物です。
精巣内に腫瘍ができると、精巣が肥大し、おしりが腫れたように見えることがあります。
1歳以上のハムスターは腫瘍ができる確率が上がるため、おしりの腫れが見られたら、速やかに獣医師さんに相談しましょう。

【生殖器の異常:メスの場合】

メスのハムスターにおしりの腫れが見られる場合、があります。
メスの場合、おしりの腫れは病気につながる場合が多いので、気になったら速やかに受診することをおすすめします。

・子宮内膜炎
「子宮内膜炎」は子宮が炎症を起こす病気で、その炎症により外陰部が腫れ、ハムスターのおしりが腫れたように見えることがあります。
さらに、子宮内膜炎が悪化すると、子宮内に膿が溜まり「子宮蓄膿症」を起こしてしまう可能性があるため、注意しましょう。

・膣脱
ハムスターは、加齢による筋力の低下が原因で「膣脱」を起こすことがあります。
膣脱は、膣がはみ出てしまう病気で、そのままにしておくと感染や粘膜が壊死してしまう可能性があるので、早めに受診しましょう。

・子宮(卵巣)腫瘍
子宮(卵巣)内に腫瘍ができると、おしりが腫れたように見えることがあります。
おしりの腫れとともに、陰部からの出血や膿を確認したら、早めの受診が必要です。

◆対処

精巣がおしりの腫れに見えたり、便秘でおしりが腫れているように見えたりする場合もあるため、日頃から、ハムスターのおしりの様子や便の様子を観察しておくことが重要です。
また、ハムスターの感染症や誤飲・誤食を防ぐためにも、常にケージ内をきれいに保つように心がけましょう。
もしも、明らかにおしりが腫れている、さらに、脱腸・膣脱、出血、膿など他の症状も見られるような場合は、できるだけ早く受診してください。


ハムスターのおしりの異常②濡れている

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ハムスターのおしりが濡れている場合、原因の多くは「下痢」です。
ハムスターにとって、下痢は命に係わる症状のひとつであり、さらに、おしりやしっぽが濡れるほどの下痢は「ウェットテイル」と呼ばれ、命に係わるとても危険な状態といえます。
では、ハムスターに下痢の症状が見られた場合、どうしたらよいのでしょうか?
ここでは、ハムスターが下痢を起こす原因と対処法についてご紹介します。

◆原因

ハムスターに下痢の症状が出る場合の主な原因には、次のようなものがあります。

・ストレス
ハムスターにとって、環境の変化や騒音があったり、室内の温度・湿度の管理やケージ内衛生管理ができていなかったりする環境はストレスです。
ハムスターが長時間ストレスに晒されると、下痢など身体的な症状となって現れることがあるので注意しましょう。

・ウイルス・細菌・寄生虫などの感染症
ケージ内の衛生環境が良くない状態は、ウイルス・細菌・寄生虫といった感染症のリスクが高まります。
特に、トイレはいつも清潔にしておくことを心がけ、床材も1~2週間に1回は交換するようにしましょう。

・不適切な食事
ハムスターは、野菜や果物を多量に与えたり、水分の多いものを食べさせたりすると、下痢の症状が出ることがあります。
さらに、アレルギーを起こす食物や「ネギ類」「ナス科のもの(トマト・ジャガイモなど)」「乳製品」など、中毒などを引き起こすためハムスターに与えてはいけない食物などを食べさせないように注意しましょう。

◆対処

ハムスターのおしりが濡れた状態になってしまうことを防ぐには、適切な環境と食事を与えてあげるのが一番です。
しかしながら、ハムスターにおしりが濡れるなどの下痢症状が出てしまった場合は、室内を適温にし、ストレスがない環境を整えて、消化の良いエサを与えて様子を見ましょう。
もしも、1日2日様子をみても良くならなかったり、かえってひどくなってしまったりする場合は、脱水を防ぐために可能な限り水分を与えながら、速やかに獣医師さんの診察を受けてください。


ハムスターのおしりの異常③赤くなっている

>歩いているジャンガリアンハムスター

ハムスターのおしりが赤くなっている場合に考えられる原因は、「病気」または「性差」によるものが考えられます。
また、単におしりが赤くなっているだけでなく、「濡れているか」「乾燥しているか」「毛が抜けたり、皮膚が見えたりしていないか」など、他の症状を確認することも重要です。
ここでは、ハムスターのおしりが赤くなる原因と対処法についてご紹介します。

◆原因

ハムスターのおしりが赤くなっている場合に考えられる原因には、次のようなものがあります。

・精巣(オスの場合)
オスのハムスターの場合、「精巣」によっておしりが赤く見える場合があります。
また、オスのハムスターの精巣は成体に近づくにつれて大きくなり、暖かい環境ではさらに大きくなる傾向があります。
もしも、赤みの箇所が2か所ある場合は、精巣の可能性が高いです。

・脱腸
肛門辺りが赤く見える場合、「脱腸」している可能性が考えられます。
特に、下痢や便秘の症状がある場合で、肛門のあたりに赤いものが見えている場合は、脱腸の可能性が高いです。

・皮膚炎
ハムスターがおしりのあたりに皮膚炎を発症すると、その部分に抜け毛や湿疹、肌の赤みやフケが出るなどの症状が現れます。
なお、皮膚炎を起こす原因としては、アレルギー症状や細菌感染などが考えられます。
たとえば、食物や牧草などのアレルギーがある、または、トイレの衛生環境が悪くてケージ内がジメジメしていたり、下痢などで常にハムスターのおしりが濡れていたりする場合は、皮膚が炎症を起こしてしまっている可能性が高いです。

◆対処

ハムスターのおしりが赤くなることを防ぐには、「常に清潔な環境を保つこと」と「アレルゲンとなるものを特定し、それを与えないこと」が大切です。
特に、脱腸の場合は、獣医師による手術などの処置が必要になります。
ハムスターのおしりに赤みがあったり、その他、皮膚に別の症状が現れたりした場合は、速やかに獣医師さんに相談しましょう。


ハムスターのおしりの異常④できもの

ハムスターのおしりに「できもの」ができた場合に考えられるのは、「かさぶた」「湿疹」「腫瘍」などです。
その他に、「膣脱」や「脱腸」など粘膜が突出してしまっていることも考えられます。
ハムスターはできものができやすい動物で、良性のものはもちろん、悪性の腫瘍である可能性もあるので注意が必要です。
ここでは、ハムスターのおしりにできものができた場合の原因とともに、その対処法についてご紹介していきます。

◆原因

ハムスターのおしりにできものができている場合の主な原因には、次のようなものがあります。

・かさぶた
ケージや巣箱などに尖った部分があったりすると、ハムスターが引っかけてけがをし、出血して、「かさぶた」ができてしまうことがあります。
他の部分に抜け毛など別の症状がなく、小さな傷であれば問題ありません。
しばらく注意してみていてあげましょう。

・湿疹
ハムスターのおしりにできものができている場合、皮膚炎からくる「湿疹」であることが考えられます。
さらに、抜け毛があったり、かゆがっていたり、フケが出ていたりする場合は、皮膚炎を起こしていると考えられます。
酷くなる前に、獣医師さんに相談しましょう。

・腫瘍
ハムスターにも腫瘍ができます。
腫瘍には、ウイルス感染が原因で発生するものもありますが、特に原因がなく発生するものもあり、これを防ぐことは難しいといえます。
さらに、腫瘍のなかには「良性」のものと「悪性」のものがあり、見た目ではどちらか判断することはできないため、獣医師による診断が必要です。
腫瘍の場合は、1日でも早い対応が必要になるため、「何かできている」と感じたら、速やかに受診しましょう。

◆対処

ケガが原因のできものは避けることができます。
たとえば、かじり木や巣箱をかじった跡が尖っていたりしないか、ケージが折れていたりめくれていたりしないかなど、常にケージ内を観察することが重要です。
また、細菌やウイルスへの感染を防ぐためにも、ケージ内を清潔に保ち、ハムスターに適した環境を作ってあげましょう。
そうとはいえ、防ぐことのできない病気もあります。
日頃からハムスターを観察し、異変を感じたらすぐに獣医師さんに相談しましょう。


ハムスターのおしりの異常⑤血が出ている

歩いているハムスター

ハムスターのおしりのどの部分に「出血」があるよって、原因は変わってきます。
そのため、どこから出血しているかを見極めることが重要です。
ここでは、ハムスターのおしりが出血している場合の部位ごとの原因と対処法についてご紹介していきます。

◆原因

ハムスターのおしりから出血がみられる場合の主な原因には、次のようなものがあります。

【皮膚にみられる場合】

おしりの周りで出血している場合は「皮膚炎」を起こしている可能性が考えられます。
皮膚炎は、下痢が続くなど、常におしりが濡れている状態が続いていたりすると起こりやすい症状です。その他、細菌感染などでも起こります。
出血がみられるようであれば、早めに獣医師さんに相談しましょう。

【おしっこやうんち、肛門にみられる場合】

血尿や血便がみられる場合、「膀胱炎」や「尿道炎」などの病気である可能性が考えられます。

・膀胱炎
「膀胱炎」は、膀胱に細菌が入ることで起こります。
膀胱炎を起こすと、おしっこが出にくくなったり、おしっこするときに痛がったりするなどの様子が見られたり、血尿が出たりします。
血尿がみられる場合は、早めに受診しましょう。

・結石(尿路結石・膀胱結石)
ハムスターにも、「尿路結石」や「膀胱結石」といった結石ができる病気があります。
結石ができているハムスターには、できた結石が尿道を傷つけて血尿が出たり、お腹が膨らんだりするといった症状が出ます。
おしっこがオレンジ色や赤色に見える場合は、速やかに獣医師さんに相談しましょう。

・腸炎
細菌・ウイルス・寄生虫などの感染症やストレスなどから、腸炎を起こすことがあります。
腸炎を起こすと、下痢をしたり、うんちに血が混じったりすることがあります。
血便がみられる場合は、早めに受診しましょう。
なお、受診の際、うんちを持っていくと原因が特定しやすくなります。

・腫瘍
膀胱や腸などにできた腫瘍が原因で、血尿や血便などの症状がみられることがあります。
血尿や血便は、大きな病気の可能性が考えられるため、早めの受信をおすすめします。

【生殖器にみられる場合】

ハムスターは、生殖器から尿を出します。
そのため、生殖器からの出血か膀胱や尿道からの出血かの区別は見た目ではわかりません。
なお、生殖器から出血がみられる場合、オスかメスかによって考えられる原因が異なります。

・精巣炎(オス)
生殖器から出血がみられる場合、精巣に炎症が起こっている可能性があります。
炎症の原因は、主に、細菌やウイルスの感染、ホルモンバランスの異常などです。
精巣炎の場合は、精巣の腫れなどがみられる場合もあります。

・子宮蓄膿症や子宮水腫(メス)
生殖器から出血がみられる場合、「子宮蓄膿症」や「子宮水腫」を発症している可能性が考えられます。
子宮蓄膿症は、細菌感染が原因で発症する病気で、子宮に膿や体液が貯まる病気です。
子宮水腫は、子宮に液体が貯まる病気で、ホルモンバランスの異常などにより発症します。
子宮に体液が貯まる病気では、お腹の張りや食欲低下を伴う場合もあります。

◆対処

炎症の原因は、主に、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症で、これらを防ぐには清潔な環境が不可欠です。
特に、トイレは常に清潔に保つようにしましょう。
また、結石ができてしまう原因は、食生活にあります。
ミネラル過多になると結石ができやすくなるため、エサやおやつはバランスよく与えてあげてください。
傷を伴わない出血は、内臓の疾患である可能性が高いです。
そのため、早めの受診をおすすめします。


まとめ

今回は、ハムスターのおしりでおこる5つの異常とその原因や対処法について、ご紹介してきました。
ハムスターが健康でいるために最も重要なことは、「ストレスのない快適な空間で生活すること」です。
ハムスターが発症する多くの病気は、不衛生な生活空間やストレス、食生活などから起こります。
かわいいハムスターの病気を防ぐためにも、こまめな掃除とバランスの良い食生活を心がけましょう。
また、日々、ハムスターを観察していると、早く異変に気付くことができます。
スキンシップしながら、体調チェックをしてあげてください。



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こどもの頃から、爬虫類、小動物、ワンコなど、さまざまな動物と共に生活してきました。 今まで出会ってきた動物たちとの経験を活かしながら、新しい情報、役立つ情報をキャッチし、ご紹介していきたいと思います。


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