かじり木はハムスターに必要?かじり木の効用と注意点、選び方を解説

2024.09.21

かじり木はハムスターに必要?かじり木の効用と注意点、選び方を解説

ペットショップで見かける小動物用のかじり木。木の枝、木のスティック、おやつタイプなど種類も豊富です。飼育するための必須アイテムではないようですが、ハムスターには与えるべきなのか気になりますよね。かじり木を与えた場合にはハムスターにどんな影響がみられるのでしょうか。この記事では、ハムスターにかじり木は必要かという点、与える際の注意点や選び方について説明していきます。


ハムスターにもかじり木は必要なの?

かじり木とキンクマハムスター

「かじり木」とは名前のとおり、動物がかじるためにある木のことです。ハムスター、モルモット、デグーなどのげっ歯類やうさぎの切歯(前歯)は「常生歯」といって一生伸び続ける性質があるので、歯が伸び過ぎを防ぐ目的でかじり木をかじって歯を削るのです。

ただし、かじり木はペレットやおやつと異なり、ハムスター飼育の必須アイテムに位置づけされていません。そのため、用意したほうがいいのか、それともなくても問題ないのか、迷ってしまいますよね。

ペットショップには小動物向けに様々な種類のかじり木が販売されていますが、やはりハムスターにはかじり木を与えたほうが良いのでしょうか。

・ペレットを与えていれば基本的に必要はない

結論から言うと、基本的にはハムスターにかじり木を与える必要はありません。

ハムスターはペレットを主食としていますが、ペレットは硬いので毎日食べるだけでも自然に歯は削られています。そのため、ハムスターがペレットを食べて歯が適度に削られていれば、わざわざかじり木を与える必要はないのです。

ただし、きちんと歯がすり減らせていないと、歯が伸び過ぎる「過長歯」や噛み合わせが悪くなる「不正咬合」が起こりやすくなります。

また、過長歯や不正咬合になると、歯でうまく噛めないために食事ができなくなる、長くなった歯が口腔内を傷つけて炎症が起こる、といった深刻なトラブルを招いてしまいます。そのため、ハムスターが日頃から硬い物をかじって歯をすり減らすことはとても重要なのです。

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ハムスターがペレットをしっかり食べているなら、かじり木を使わなくても大丈夫ですが、予防的にかじり木を与えておけばさらに安心できるというわけです。

・ストレス解消になる

かじり木は、動物の歯を削るだけではなく、ストレスを解消させるおもちゃにもなります。

ハムスターはストレスを感じると、そのストレスを発散させるためケージを噛むようになることがあります。ただし、歯を傷めたりケージがボロボロになったりするので、ケージの噛み癖は直さなければなりません。

そのような場合に、ストレスを発散させるためのおもちゃとしてかじり木を入れておくと、ハムスターがかじり木をかじることで満足してケージを噛まなくなる効果が期待できるようになるのです。

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ハムスターにかじり木を与える際の注意点

かじり木はハムスターに良い作用をもたらすアイテムですが、ハムスターが飼い主さんの思惑どおりに使ってくれるとも限りません。場合にとってはかじり木によってケガや事故を起こす可能性もあるので、かじり木の特徴を知った上で、必要に応じて用意する必要があります。

では、ハムスターにかじり木を与える際にはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。

・安全な物を選ぶ

かじり木はハムスターが口にする物なので、安全な物であることが前提となります。動物が口にしても安全な天然素材で作られた物を選びましょう。

ペット用品として販売されているかじり木ならば、動物が口にした時の安全性を考慮して作られているので安心して与えられます。

一方、動物が使用することを前提にしていない木材や木の加工品、畑や自然から採集してきた木の枝などは農薬、塗料や添加物といった化学的な物質が残留している可能性があります。

ハムスターは体が小さいので、少量の成分を取り込んでも健康へ影響しやすいので、口にする物を選ぶ際は注意が必要です。

・ケガに注意する

ハムスターは器用なので、かじり木を上手にかじる可愛い姿が見られることでしょう。ただ、場合によってはハムスターがかじり木でケガをすることがあるので、選び方、設置の仕方には注意が必要です。

まず、かじり木はハムスターがかじりやすい手頃なサイズを選ぶことが大切です。大き過ぎる、太すぎる物はケージ内でスペースをとりますし、ハムスターがかじりにくいので良くありません。長過ぎる物も、ハムスターが手に持った時や口にくわえた時にハムスターの体やケージ内にぶつかり、事故の元になります。

また、割りばしやかまぼこ板をかじり木の代用にする方法もありますが、動物に使用して安全という保証がないのでおすすめはできません。特に割りばしはささくれができやすくケガの心配があるので、ハムスターにガリガリかじらせるのは避けたほうが良さそうです。

かじり木を与えた後も、ハムスターがかじったために鋭くとがってくる、ネジなどの金具が露出するといったことが出てくる可能性があります。これがハムスターの歯や口、体に当たると傷つけるおそれがあるので、そのままケージ内に放置することはやめましょう。

少なくとも、かじり木を与える際はケージ内に入れっぱなしにしないで、こまめに経過をチェックしましょう。ハムスターが安全にかじり木を使っているか、かじり木が危険な状態になっていないか、ハムスターがケガをしていないか、こまめに観察することがケガや事故の予防につながります。

・かじらない場合は取り除く

かじり木は必需品というわけではないので、ハムスターがかじらない場合は邪魔にならないように撤去しておくことをおすすめします。

また、ハムスターが初めはかじり木をよくかじっていても、かじり過ぎて小さくなったり、かじりにくくなったりすると、興味を示さなくなることがあります。その場合も、古いかじり木は取り除き、新しいかじり木に交換してあげるとよいでしょう。


ハムスターのかじり木の種類と選び方

切り株のエサ入れに前足をかけるハムスター

かじり木には様々なタイプがあり、素材、形、香りや味などがそれぞれ異なります。ハムスターにかじり木を与える際は、目的やハムスターの好みに合わせて適した物を選んでいくとよいでしょう。

・小枝や据え置きタイプ

かじり木のスタンダードなタイプといえるのが、木の小枝や植物の茎、木材をスティック状に加工した物です。

野生のハムスターは木の皮を食糧にすることもあるくらいで、ハムスターが木の皮をはがしたりかじったりすることも珍しいことではありません。かじって飲み込んだとしても大量でなければ問題はないので、安心して与えることができます。

小枝は果樹や広葉樹など小動物が口にしても良い木から採集されていて、天然素材ならではの香りや噛み心地が魅力です。ハムスターによって好みが異なるので、いろいろと試してみるのも良いでしょう。

果実って小枝 スリムタイプ りんご 果実って小枝 スリムタイプ りんご

かじり木スティック ふつう かじり木スティック ふつう

野菜の茎を乾燥させた物は木の枝よりも柔らかいので、噛む力が少し弱いハムスターにおすすめできます。

かじリングバー パパイヤバー 10本入 かじリングバー パパイヤバー 10本入

・おやつ(ペレット)

かじり木とは木や枝を加工した物が一般的ですが、普段食べているエサと違ってあまり味がしないため、ハムスターが興味を示さない場合もあります。

そんなハムスターに硬い物をかじらせたい場合は、歯ごたえのあるペレットタイプのおやつを与えるのがおすすめです。おやつは、ハムスターの好む味や香りが付いているので喜んでかじってくれるでしょう。

ただし、天然木のかじり木と違ってカロリーが高めなので、与え過ぎには注意が必要です。食べ過ぎると、お腹がいっぱいになって主食のペレットが食べられなくなったり、カロリーのとり過ぎで肥満を招いたりするかもしれません。ハムスターが気に入っていても、たまに少量を与える程度にしておきましょう。

ハムスター・リスのくるみバー ハムスター・リスのくるみバー

ハムスター・リスのプチコーン いちご味 ハムスター・リスのプチコーン いちご味

おもちゃになっているタイプは、遊びながら歯をすり減らすこともできます。

ガジガジ挑戦状 ガジガジ挑戦状

・ケージに固定するタイプ

ネジなどの金具でケージに固定するタイプは、安定感があってハムスターがかじりやすいところがメリットといえます。ケージ内の空間を有効に活用したい方にもおすすめです。

かじり木コーン かじり木コーン


ハムスターがかじり木をかじらない場合、歯の問題があるかも

かじり木をせっかく用意したのにハムスターがかじらない、というケースもあります。

ハムスターがかじり木をかじらない場合、理由として考えられるのは次の3点です。

・食事だけで歯がきちんとすり減らせている
・ほかの物を噛んでいる
・歯に問題がある

まず、主食のペレットを食べることですでに歯をすり減らすことができている場合は、ハムスターが硬い物をかじりたい気持ちにならないので、かじり木に興味を示さないことがあります。

飼い主さんとしては少し残念な気持ちになるかもしれませんが、食欲もあり歯の調整もできている証拠なので良かったと思うことにしましょう。

次に、ハムスターがケージや巣箱などかじり木以外の硬い物をかじって満足している場合も、かじり木にあまり興味を示さない場合があります。ケージの金網やプラスチックなどは、ハムスターがかじると歯がゆがんだり誤食を招いたりして危険なので、ハムスターが喜びそうなかじり木を与えてかじり木に気を向けさせましょう。

また、ハムスターに噛む力がないためにかじり木がかじれない、ということもあります。ハムスターも人間と同じで加齢によって歯が弱っていくので、ハムスターがシニアなら硬いかじり木をかじらせる必要はありません。歯への負担が少ないペレットやおやつを与えて、少しずつ歯をすり減らしていきましょう。

心配なのは、ハムスターの歯に問題があるためにかじり木が噛めないケースです。すでに過長歯や不正咬合などがある場合はかじり木がかじれません。

過長歯や不正咬合は自然に治ることはなく、そのまま放置すると食事も取れなくなってしまいます。ハムスターにとっては深刻な疾患といえるので、歯の異常に気付いたら動物病院を受診して適切な治療を受けることをおすすめします。

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まとめ

ハムスターのかじり木について説明いたしました。かじり木は、ハムスターの歯の伸び過ぎを防ぐために役立ちますが、ペレットをかじって歯が適度にすり減らせている場合は与えなくてもかまいません。

飼っているハムスターにかじり木が必要なのか迷う場合は、お試しにひとつ買ってハムスターの反応を見てもよいでしょう。小動物用のかじり木には様々なタイプがあるので、ハムちゃんが喜びそうなかじり木を選んでみてください。

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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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