1.そもそも生き物の発情期とは?
4.うさぎの発情期にみられる行動
4-1.オス・メス共通の行動
4-2.オスに多い行動
4-3.メスに多い行動
6.うさぎの発情期中の対応
6-1.発情対象を遠ざける
6-2.触りすぎない
6-3.スプレーした所のにおいを消す
6-4.偽妊娠から気を紛らわせる
6-5.診察を受ける
7.うさぎの避妊・去勢手術について
7-1.うさぎの避妊・去勢手術をしている人は多い?
7-2.避妊・去勢手術のメリット
7-3.避妊・去勢手術のデメリット
【掲載:2021.01.12 更新:2023.02.02】
そもそも生き物の発情期とは?
発情期は、動物が異性に発情する時期のことで、赤ちゃんを作る、迎える体の準備ができた動物に到来します。動物に恋の季節が来て交尾の相手を求める時期といえます。
動物は思春期を迎えると生殖機能が成熟し、一年に何度か「繁殖期」が訪れてその間は繁殖が可能になります。
繁殖期が来ると、性ホルモンの分泌によって体は交尾をする準備が整い、異性に対して求愛行動を取るようになります。それが「発情」です。
うさぎの場合は、発情したメスの尿に含まれるフェロモンをオスが嗅いで発情し、交尾に至ります。メスの体は交尾の刺激で排卵が起こり、受精によって妊娠が成立します。
発情しても交尾をする機会がなければ、そのまま繁殖期は過ぎ去り、発情期にみられた求愛行動も消失します。
うさぎの発情期は一年に何回来る?
野性のうさぎは春に繁殖期を迎えるのですが、ペットのうさぎは季節にあまり関係なく、一年中発情します。
ほとんどの動物は繁殖期の来る時期が決まっていて、春から夏に繁殖する動物が多くなっています。これは、一年で春から夏にかけての時期が温暖で食べ物も豊富にあり、子育てに最も適しているためです。
動物は、季節、日照時間や気温の刺激で繁殖期を迎えることが多いのですが、飼育されている動物は人間の生活に合わせて生きているため、季節や日照時間などの影響をあまり受けません。そのため、ペットは季節に関係なく発情期が起こるようになりました。
ペットのうさぎも、季節の影響は多少受けるので春から夏にかけて起こる換毛期には発情しやすくなります。ただし一年を通して繁殖可能な状態であり、きっかけがあれば年中発情が起こります。
うさぎの発情期はいつから始まる?
うさぎは、オスで生後6~10ヶ月ごろ、メスで生後4~8ヶ月ごろに性成熟を迎え、発情期が始まります。
性成熟には個体差があり、大型種より小型種のほうが早く成熟する傾向があります。早い場合だと生後3か月半頃には性成熟するうさぎもいるようです。
ちなみに、うさぎのオスは性成熟するまで睾丸が降りないので、男の子は下腹部を見ても男の子のシンボルがないように見えることもあります。
生後3か月頃を過ぎると睾丸が陰嚢に降り、外見でわかるようになります。睾丸が見えれば思春期に入ったということなので、発情期が来る可能性を考えたほうが良さそうです。
うさぎの発情期にみられる行動
性成熟したうさぎは、季節や気温、または異性のうさぎや飼い主さんの存在に刺激を受け、一年を通して発情行動がみられるようになります。
飼い主さんにとっては困ったり、手に負えないと感じるようなこともあり問題行動と呼ばれたりもします。
◆オス・メス共通の行動
うさぎに発情期が来ると、ホルモンの影響で縄張り意識が強くなったり気が荒くなったりして、次に挙げるような行動が始まります。
- 飼い主に対し攻撃的になる、逆にベタベタ甘えてくるようになる
- 抱っこを嫌がる
- スタンピング(足ダン)が増える
- ブゥブゥとよく鳴く
- 甘噛みが増える
- ほかのうさぎや動物を威嚇する
- アゴの臭腺(下顎腺)やお尻の臭腺(鼠経腺、肛門腺)をこすりつける
- 食欲が減退する
臭腺をこすりつけるのは、自分のにおいを付けるためです。オスは発情していない時でもテリトリーを拡大するため、あちらこちらにアゴをこすりつけますが、発情するとオスもメスも頻繁ににおいを付けるようになります。
◆オスに多い行動
上記の行動に加え、オスは次に挙げる変化、行動がみられるようになります。
- トイレ以外でおしっこをする
- おしっこを飛ばす「スプレー」行為をする
- ぬいぐるみや飼い主さんの腕にしがみついてマウンティングをする
- ブゥブゥ言いながら走り回る
- メスを追いかける、威嚇する
スプレーはオス特有の行為で、おしっこのにおいで自分のテリトリーをアピールするために行います。また、ぬいぐるみなどにしがみついて腰をカクカクするマウンティングをする男の子もいます。
◆メスに多い行動
メスは次に挙げるような行動がみられるようになります。
- 背中や腰を触ると、オスを受け入れるかのようにお尻を高く上げる
- ケージに手を入れると威嚇・攻撃してくる
特にメスは発情期に入ると、気が立って飼い主を遠ざけるような行為をすることも少なくありません。自分の巣であるケージを守る気持ちが強くなり、飼い主さんがケージに手を入れるのを強く嫌がる子も出てきます。
うさぎの発情期にみられる症状
オスは興奮すると、お尻の臭腺からにおいのする分泌液を出すこともあります。これは麦茶やコーヒーに似て香ばしいような独特なにおいです。
メスは発情するとホルモンの影響で外陰部が赤くなり、繁殖の受け入れ体制に入ります。排泄物のにおいが強くなることもあります。
中には、妊娠していないのに妊娠したような兆候がみられる「偽妊娠」が起こるうさぎさんもいます。乳首が赤くなる、牧草や自分の毛で巣を作る、乳汁が出るなどの症状がみられます。通常の妊娠期間が25~29日間であるのに対し、偽妊娠は15~16日間と短めです。
うさぎの発情期中の対応
発情はどの動物にもみられるごく自然な現象です。しかし発情行動がエスカレートすると、うさぎや飼い主さんに大きなストレスがかかり、トラブルも起こりやすくなります。
発情期が来たらなるべく穏やかに発情期が過ぎ去るよう、うさぎの発情を誘発するような行動を控える対応を心がけましょう。
具体的な対処法を紹介します。
◆発情対象を遠ざける
オスは、メスがいるとおしっこのにおいに刺激され発情します。繁殖を希望しない場合は、オスとメスを近づけないようにしましょう。
マウンティングに困っている場合は、うさぎが始めそうになった時に飼い主さんが腕や足をサッと隠したり、対象になるぬいぐるみなどを片付けたりするのがおすすめです。
◆触りすぎない
発情したメスは、人間に背中や腰を触られてもお尻を突き上げ、オスの交尾を受け入れる仕草をします。発情を促進し偽妊娠を招くので、発情期中は飼い主さんもなでなでするのはちょっと我慢しましょう。
◆スプレーした所のにおいを消す
うさぎは、以前スプレーした場所に再びおしっこをすることがあります。男の子が部屋でスプレー行為をして困っている場合は、スプレーした場所をしっかり清掃し、おしっこのにおいをきちんと消しておくとよいでしょう。
◆偽妊娠から気を紛らわせる
メスが偽妊娠すると、自分の毛を抜いて巣作りをすることがあります。その際に毛を飲み込んで「毛玉症」が起こりやすくなるので、かじり木やおもちゃで気を紛らわし、なるべく毛を抜かないようにしましょう。
◆診察を受ける
うさぎの発情行動はエスカレートすると、飼い主さんが困るのはもちろん、ストレスやホルモンバランスの変動によって、うさぎの健康にも弊害が出る可能性が出てきます。
発情行動が気になる場合は、動物病院を受診して獣医師に相談してみてください。
うさぎの避妊・去勢手術について
うさぎの発情行動を抑制する有効な手段に、メスの避妊手術やオスの去勢手術があります。
動物の避妊・去勢手術をすると不要な繁殖を防止できるほか、発情行動の原因となるホルモンのバランスをコントロールする効果があるのです。
メスの避妊とは子宮や卵巣を摘出する手術、オスの去勢は精巣を摘出する手術になります。大人になると脂肪が増えて手術の負担が大きくなるので、なるべく若いうち、生後半年から1歳くらいに手術をすることが薦められています。
2022年、神奈川県で起こったうさぎの多頭飼育崩壊が話題となりました。30代の夫婦が飼っていた2匹のうさぎが、わずか2年足らずで200匹以上に繁殖してしまったというニュースです。
「ねずみ算」という言葉を知っているでしょうか?「少ない数からあっという間に大きな数になる」現象を示す言葉です。
実は同様に「うさぎ算」という数学用語があるほど、うさぎは繁殖力が強い動物です。
つがいでうさぎを飼っている(飼う予定がある)場合は、望まない妊娠出産を避けるために避妊去勢手術を検討してください。
◆うさぎの避妊・去勢手術をしている人は多い?
うさぎの避妊・去勢手術をする人はどれくらいいるのでしょう。
環境省の調査によると、平成23年の不妊去勢措置の実施率は犬で約40%、猫で約80%なのですが、措置を受けているうさぎの割合は犬や猫よりずっと低いといわれています。
理由として、ペットのうさぎは避妊・去勢をしなくても繁殖の心配が少ないこと、体が小さく手術に不安があることが挙げられます。
しかし、避妊・去勢手術にはうさぎにとってさまざまなメリットあることから、手術を受けさせる飼い主さんも増えてきているのです。
◆避妊・去勢手術のメリット
避妊・去勢手術をすると繁殖の心配がなくなるほか、発情行動が抑制され、うさぎと飼い主さんが穏やかに暮らせるようになります。
オスの発情や攻撃性に関与しているのは雄性ホルモンです。去勢では雄性ホルモンを分泌する精巣を摘出するので、手術後はマーキングやスプレー、マウンティングが消え、性格も穏やかになります。
また子宮や精巣などを摘出するので、手術後はこれら生殖系の病気にかかる心配がなくなります。メスは避妊すると偽妊娠がなくなるので、偽妊娠の影響を受ける乳腺も病気を予防する効果が期待できます。
そして、発情期中はうさぎもイライラするため強いストレスがかかりますが、発情を抑制するのでうさぎのメンタルの安定にもつながります。
◆避妊・去勢手術のデメリット
避妊・去勢手術にはデメリットもあります。
うさぎは体が小さいため、全身麻酔が大きな負担となります。麻酔アレルギーや死亡などの危険性もあります。ただ、安全性の高い麻酔も出てきています。
また、避妊・去勢後はどうしても太りやすくなってしまいます。これは、繁殖活動でエネルギーを消費する必要がなくなり、食べた物が脂肪に変わりやすくなるためです。手術後は食事のコントロールや適度な運動を心がけ、肥満の予防に徹底しましょう。
病気ではないのにわざわざ手術することには、不安や疑問を感じるかもしれません。しかし、ペットのうさぎの場合は発情しても交尾できないことが大きなストレスになることもあるのです。うさぎが健康で快適に暮らせるよう、獣医師と相談し一番良い方法を選択してください。
まとめ
うさぎは繁殖力が強く一年を通して発情期が訪れます。発情は自然な現象ですが、うさぎや飼い主さんの負担になる場合は、発情を抑える対策も必要です。飼い主さんはうさぎの生理を理解したうえで、適切な対応を取ってあげましょう。
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