1.うさぎの適正温度は何度くらい?
1-1.うさぎは暑さに弱く寒さに強い?
1-2.耳で体温を調節
1-3.被毛の入れ替えで体温を調節
2.うさぎは温度変化に敏感?
2-1.少々の温度変化には順応する
2-2.ジメジメした環境も極度の乾燥も苦手
2-3.急激な温度変化には弱い
2-4.体力の低いうさぎは注意が必要
【掲載:2021.04.02 更新:2022.04.27】
うさぎの適正温度は何度くらい?
うさぎを飼育する時の適正温度は、室温15~25℃くらいといわれています。湿度は常に40~50%前後くらいに保つのが理想です。
これは人にとっても過ごしやすい環境であり、飼い主さんが快適だと思える温度・湿度がうさぎさんにも丁度良い環境といえるでしょう。
ただ、人とうさぎは体温調節の仕組みが異なっています。そのため、人の事情に合わせて温度管理をおこなっても、うさぎは「暑い」「寒い」と感じることが出てくるかもしれません。
うさぎが快適に過ごすためには、うさぎの体温調節の仕組みを理解したうえで、適切な温度管理をしてあげることが大切なのです。
◆うさぎは暑さに弱く寒さに強い?
うさぎは暑さに弱く、どちらかというと寒さに強い動物です。ペットのうさぎはアナウサギを品種改良したもので、野生のアナウサギは寒さに比較的強いといわれます。
アナウサギは地下に巣穴を作ってその中で暮らします。巣穴の中は夏涼しく冬は温かいので、夏の暑さや冬の寒さをしのぐことができます。
しかしペットのうさぎは地下の巣穴で暮らすことがないので、暑さや寒さの影響を受けやすく、野生のうさぎよりは暑さ、寒さに弱いです。
◆耳で体温を調節
人間は汗をかくことで放熱して体温調節をおこないますが、うさぎは汗をかく機能が発達していません。代わりに耳で体温を調節しています。
うさぎの耳には1本の太い動脈が通っていて、そこから毛細血管が網目のようにびっしり張りめぐらされています。これらの血管は皮膚の表面近くにあります。
暑い時や活動した時には体温が上昇しますが、うさぎは耳を空気にさらすことで毛細血管に流れている血液の熱を冷まし、冷ました血液を体中に循環させることで体温の上昇を防ぐことができるのです。
暑い時は耳の毛細血管を拡張させて耳に流れる血液の量を増やし、耳からたくさんの熱を放射して体温を下げようとします。逆に寒い時は、耳から熱が奪われないよう耳の毛細血管を縮小させます。
人間は全身に汗腺があるので、暑い時は汗をかいて効率よく体温を下げることができます。また寒い時には、汗を出さず鳥肌を立てて熱を生み出します。うさぎにはその機能がないので、耳だけで体温を調節しなければならないのですね。
◆被毛の入れ替えで体温を調節
うさぎの換毛は3か月ごとに見られ、数週~1か月ほどかけて頭部からお尻の方に向かって進みます。
1年のなかで特に激しく毛が抜けるのは春と秋です。春には冬毛が夏毛に、秋には夏毛が冬毛に生え変わります。毛皮を入れ替えることで季節に合わせた体温調節をおこなっているのです。
換毛は日照時間などの飼育環境にも左右されるため、特に室内で飼っているうさぎは一年中通して換毛が行われる場合もあります。
うさぎは温度変化に敏感?
私たちは急な温度変化で体調を崩すことがあります。うさぎも温度変化の影響を受けやすいのでしょうか。
◆少々の温度変化には順応する
長毛種、耳が垂れているロップイヤーは暑さが苦手な傾向もありますが、健康なうさぎならば少々の温度変化ですぐ影響を受けることはありません。
もともと、日本には四季があり一年で気候が大きく移り変わるので、日本で生まれ育つうさぎは、ある程度気候の変化に順応することができます。
うさぎの体は、気温の変化を感じて換毛がおこなわれます。人工的に温度を一定にしてしまうと換毛がだらだら続いたり換毛期がずれたりして、逆にうさぎの体に負担をかけてしまいます。
そのような事情もあり、うさぎさんが元気そうなら過保護にしすぎなくても大丈夫なのです。
はじめにうさぎの適正温度は室温15~25℃程度と紹介しましたが、実際夏場にこの温度を保つことは、エアコンなど冷房機器をフル活用していても困難なことがあります。
そのため、夏場は室温25℃を理想とし、高くても28℃以上になることのないように注意を払いましょう。
◆ジメジメした環境も極度の乾燥も苦手
うさぎは湿度が高くジメジメ・ムシムシした環境も苦手です。湿度が高いとケージ内に細菌が増殖して不衛生になります。また高温多湿だとうさぎがばてやすくなります。
また反対に空気が乾燥していると静電気により被毛にほこりがついてしまったり、皮膚トラブルを引き起こす原因にもなります。
湿度は年間を通して50%を保つようにしましょう。
◆急激な温度変化には弱い
少々の気温変化なら影響が少ないことも多いのですが、急激な温度変化には敏感なので、季節の変わり目、急な天候の変化には注意が必要です。自律神経のバランスが乱れて体調を崩すことがあります。
うさぎさんには、急に暑くなった日、寒くなった時、または1日の寒暖差が大きい日に体調を崩す子が多いです。また、台風の前や梅雨などに気圧の影響を受け、食欲不振や「うっ滞」を起こし、動物病院に駆け込むことも珍しくありません。
春や秋は暑い日と寒い日が交互にくることもあり、そういう時には部屋の温度差が大きいことがあります。
春でも急に暑くなった日には熱中症のリスクが高まります。
うさぎさんは急な温度変化には弱いため、家を空ける時には事前に天気予報をチェックし、エアコンのタイマー設定をするなどしてから出かけるようにしてください。
◆体力の低いうさぎは注意が必要
子うさぎ、高齢のうさぎ、療養中のうさぎは、健康で若いうさぎに比べて体力が低く体温調節もうまくできないので、気温の変化を受けて体調が崩れやすくなっています。
適正な温度の範囲内でも気温の変化で体調を崩すことがあるので、抵抗力の落ちているうさちゃんを飼っている場合は用心が必要です。
健康なうさぎであれば冬場は15℃を下回らない程度の室温にし、幼齢・高齢・病気のうさぎの場合には22℃を目安に設定してあげてください。
適正温度より暑い時のうさぎの様子
うさぎは高温多湿が苦手で大変暑さに弱い生き物です。
夏バテや熱中症になりやすいので、暑がっている様子があったら、すぐ室温を下げる、体を冷やすなどの対処が必要です。
このような様子があれば、うさぎが熱中症になっている可能性があります。
- 体や脚をできるだけ伸ばしている
- 耳の色が赤い
- 耳を触ると熱い
- 呼吸が早い、荒い、口呼吸をしている
- あまり動かない
体をできるだけ伸ばしてじっとしているのは、体温の上昇を防ぐためです。また、放熱するために耳の血管が拡張して血流が増えるので、耳が充血して温度も高くなります。また、呼気で熱を逃すため呼吸数が増えて荒くなります。
夏バテになると食欲が低下し、暑い環境で体温が上昇するとすぐ熱中症にかかります。熱中症にかかるとあっという間に重症化し、命に関わります。上記のような症状が見られたらすぐ動物病院を受診しましょう。
適正温度より寒い時のうさぎの様子
うさぎは寒さには比較的強いのですが、寒さのあまりに体温が低下すると体調が崩れやすくなります。
急に気温が低下した時、寒すぎて体が冷えた時には体の機能が低下し、うっ滞や下痢、感染症のリスクが高まります。うさぎの元気がなく寒そうにしていたら、すぐ部屋やうさぎの体を温めなければなりません。
このような様子があれば、うさぎが寒がっている可能性があります。
- すみで丸くなってじっとうずくまる
- 耳を触ると冷たく感じる
- 食欲がない
- 軟便や下痢をする
うさぎは寒い時に体温が逃げるのを防ぐため、前足を折りたたんで体の下に入れる「香箱座り」をし、なるべく体を小さく丸めて休みます。冬場はどのうさぎも香箱座りをすることが増えますが、寒がっていることはないか体調をチェックすることも大切です。
寒い時は放熱を防ぐために耳の末梢血管が縮小するので、耳の温度は夏よりも低く感じられます。ただし、触ると明らかに冷たくて元気がない場合は体温が低下して体調を崩している可能性があるので、すぐ受診することがのぞまれます。
うさぎケージ内の温度調節方法
うさぎを飼う時は、ケージを置く部屋とケージ内の温度・湿度を適正な範囲に保ちましょう。
基本的にケージは直射日光が当たらず風通しが良い場所に設置します。ケージの周りに温湿度計を設置してケージの温度・湿度がすぐわかるようにし、うさぎの様子も見ながら温度調節をするとよいでしょう。さらに、夏の暑さ対策、冬の寒さ対策はじゅうぶんに気を遣う必要があります。
見やすいデジタルの温湿度計は卓上・壁掛けの2WAYタイプで、ケージの温度管理に重宝します。
◆夏の暑さ対策
日本の夏は高温高湿になりやすく、残念ながらうさちゃん達にとっては過酷な時期といえるでしょう。
室温が28℃を超えるあたりから、うさぎが暑そうにしている様子が見られます。6月から9月にかけては、夏バテや熱中症に気をつけましょう。
冷涼な地域を除き、できれば夏場はクーラーの冷房を適度にかけ、部屋の温度は25℃を理想とし、28℃以下、湿度は50℃以下に保つことが望ましいです。
節電対策も大切ですが、ペットを飼うならばやはり冷暖房は必要になってきます。飼い主さんが外出してうさちゃんがひとりで留守番する場合、防犯のために窓を閉め切ると思いますが、その際にエアコンをつけないと室内の温度が30℃以上に上昇し、とても危険です。
また、エアコンの代わりに扇風機の風をケージに当てるのも、うさぎにはあまり効果がないのでおすすめできません。
私たちが扇風機の風に当たると涼しく感じるのは、風で汗を蒸発する際に皮膚の熱が奪われるからです。うさぎは汗をかかないので風が当たってもほとんど熱が奪われず、涼しくはなりません。
エアコンがあまり使えない場合は部屋に熱がこもらないように換気し、ケージ内に凍らせたペットボトルや涼感グッズを置き、うさぎの体を直接冷やしてあげるのもおすすめです。うさちゃんも大喜びするでしょう。
水が蒸発する時の気化熱で、うさちゃんの体をやさしくクールダウンします。
接触冷感生地で作った、ひんやりと気持ちいいトンネル。風通しが良くゆったりしています。
◆冬の寒さ対策
気温が下がるとうさぎは体調を崩しやすくなります。温湿度計を見たり天気予報で明日の温度をチェックしたりして、早め早めの寒さ対策をおこないましょう。
地域や飼育環境によっても異なりますが、10~11月頃から気温の下がる日が増え、特に朝晩は冷え込むようになります。ヒーターやエアコンを適宜使ってケージを温かく保ちましょう。
ケージはすき間風が入ってこない場所に置き、気温の下がりやすい朝晩はケージをカバーや段ボールなどで覆って保温効果を高めます。毛布やバスタオルをかける時は、うさぎがかじらないよう気をつけてください。
また冬は底冷えしやすいので、ケージの中にマットやペットヒータ―を置くのもおすすめです。
断熱効果と保温効果を持つラグです。底冷えを防ぎ、ペットの体温を保温します。
中に置いて敷いたりケージに吊り下げたりと2WAYで使える小動物用のヒーター。うさちゃんの体をやさしく温めます。コードにかじり防止カバーが付いていて安心です。
療養中のうさぎ、高齢のうさぎは体温調節がうまくできないので、室温を高め(22~24℃くらい)に保ち、ケージ内にも温かい敷き物を敷いてあげるとよいでしょう。
まとめ
日本は四季があり、一年を通して温度と湿度が変動します。お住まいの地域や飼育環境によっては、うさぎには暑すぎる、または寒すぎるという時期もあるでしょう。ペットのうさぎは「暑い」「寒い」と思っても、自分で穴を掘って快適な巣穴を作ることができません。うさちゃんが快適で健康に過ごすためにも、飼い主さんがうさぎの過ごしやすい環境を提供してあげましょう。
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