1.フェレットはどんなペット?
1-1.野生に生息している?
1-2.特徴
1-3.フェレット用語「ファーム」とは
2.フェレットの寿命はどのくらい?
2-1.フェレットの平均寿命
2-2.他のペットと比べて長い?
3.フェレットに多い病気は?
3-1.副腎疾患
3-2.インスリノーマ
3-3.下痢・嘔吐
【掲載:2021.07.20 更新:2022.05.24】
フェレットはどんなペット?
◆野生に生息している?
フェレットとはヨーロッパ一帯に生息するヨーロッパケナガイタチというイタチを家畜化した動物で、「野生のフェレット」というものは存在しません。
ちょうど、犬が野生のオオカミを家畜化して生まれた動物であることと同じですね。
犬はおよそ15000年前に家畜化されましたが、フェレットはいつ家畜化されたのでしょうか。
実は紀元前4世紀ごろ、つまり2000年以上前にはすでに家畜化されていました。最近ペットとして広まったかのように感じますが、意外とペットとして長らく人間とともに暮らしてきたのですね。
フェレットの野生時の姿であるヨーロッパケナガイタチは、小型の両生類や哺乳類、昆虫や鳥の卵を食べる肉食性の動物です。夜行性で群れをなさず、単独で暮らします。視力が弱いため、音やにおいでコミュニケーションをはかります。
野生では夜行性で単独性。視力が弱いため音声やにおいでコミュニケーションを図ります。
◆特徴
ペットとしての歴史が実は長いフェレット。そのおかげか、基本的には人を襲わない動物です。
しかし、さすがに犬のようには人に慣れず、比較的しつけが難しいペットであることも事実です。
また好奇心旺盛でよく動き回り、なんでも口にしたり噛み付いたりしてしまいます。食べる時間と寝る時間以外は、ほとんど遊びの時間とも言われています。
また、野生の時に狭い穴ぐらを掘り返す習性があったためか、フェレットも狭いところが大好きです。
このような特性から、噛んで遊ぶトイやボール、おもちゃのトンネルを用意して遊ばせてあげるとよいでしょう。
◆フェレット用語「ファーム」とは
さて、フェレットをペットとしてお迎えしようと思った方の中には「ファーム」というワードを見かけた方もいらっしゃると思います。
フェレットの「ファーム」とは「繁殖場」のことです。
犬や猫でいえばブリーダーが近い存在です。
日本にはフェレットのファームが1つしか存在せず、ペットショップなどにいるフェレットは、基本的に海外のファームで繁殖された個体が輸入されたものがほとんどです。
専門のブリーダーに育てられた血統種、と捉えると良いかもしれません。
よく知られているフェレットのファームとして、マーシャル、パスバレー、マウンテンビュー、ルビーがあります。
日本のペットショップでは特に次の2つのファーム出身のフェレットが多くみられます。
- 温和な性格で噛み癖の少ない、初心者向けのマーシャルフェレット
- わんぱくな性格で、飼い主ともよく遊んでくれるパスバレーフェレット
この2つはいずれもアメリカのファームですが、出身が違うだけで性格は正反対ですね。
性格だけではなく、ファームによって体格や値段も決まってきますから、フェレットの個性を決める上でファームは重要な要素なのです。
- フェレットは完全家畜化された動物で、野生には存在しない
- 好奇心旺盛でよく動き回る
- 狭いところが大好き
- ファーム(繁殖場)によって、体格や性格などのフェレットの個性が決まる
- 日本ではマーシャルフェレットとパスバレーフェレットがメジャー
では次からは、実際にフェレットを飼うにあたり気になるフェレットの寿命についてみていきましょう。
フェレットの寿命はどのくらい?
◆フェレットの平均寿命
フェレットの寿命には幅があり、5〜10年と言われています。小動物の中では寿命が長い動物です。
10年以上生きれば、長生きしたといえるでしょう。
ギネスブックに記録されているフェレットの最長寿命記録は15年! 正しい記録は残っていませんが、なかには20年近く生きたフェレットもいると言われています。
◆他のペットと比べて長い?
フェレットの5〜10年という寿命は、他のペットと比べるとどうでしょうか。
日本で一般的なペットの寿命と比べてみましょう。
- 犬・猫:14〜15年
- フェレット:5〜10年
- うさぎ:7〜8年
- モモンガ:5〜7年
- ハリネズミ:2〜5年
これらの小動物と比べると、犬や猫よりは短いですが、小動物の中ではフェレットは長寿と言えます。
フェレットは老化が早いと言われており、4歳以上になるとシニア期に入ります。つまり、仮にフェレットの寿命を10年と考えると、寿命の半分は高齢、ということになります。
実はフェレットにはいくつかかかりやすい病気があります。寿命に幅があるのは、シニア期に入り体が弱ったフェレットが、病気にかかってしまい命を落とす子がいるからなのです。
特に注意しなければならないフェレットの病気について解説していきます。
フェレットに多い病気は?
フェレットに多くみられる病気には何があるのでしょうか。
ここでは、フェレットに多い病気TOP3を解説します。
- 副腎疾患
- インスリノーマ
- 下痢・嘔吐
あまり聞き慣れない病気ばかりですが、ご安心ください。順に詳しくご紹介していきます。
◆副腎疾患
副腎疾患は、その名の通り副腎(ふくじん)という臓器に何らかの不調がある状態です。
5〜6歳のフェレットに多く発症しますが、3歳くらいのフェレットでも発症することがあります。
症状としては
- 貧血
- 脱毛
- 外陰部の腫脹(メス)
- 排尿障害(オス)
などがあります。
副腎という臓器はさまざまなホルモンをつくる臓器です。副腎でつくられたホルモンは全身に作用して体の調子を保ちます。この副腎が正常にはたらかなくなると、全身に様々な障害を引き起こしてしまいます。
フェレットの副腎疾患はホルモンの中でも一般的に「男性ホルモン」「女性ホルモン」と呼ばれる”性ホルモン”が過剰につくられてしまうことが特徴です。
この性ホルモンが過剰に分泌されると、上で説明した発情のような症状が起こってしまいます。
なぜフェレットの副腎疾患が発生しやすいのかはまだ詳しくわかっていませんが、フェレットの多くがファームで避妊・去勢されている影響で、本来生殖器に作用するはずの性腺刺激ホルモンというホルモンが副腎に作用してしまうためではないかと言われています。
悪化すると副腎に腫瘍ができてしまいます。これが大きくなると血管が圧迫され循環不全を起こしたり、血栓ができたりすることもあります。
最悪の場合、腹水の貯留や後肢に浮腫などが発生し全身状態の悪化を招き、重度の腎不全を招いたり、まれに突然死したりすることもあります。
副腎疾患の治療法には外科治療と内科治療が存在します。
・外科治療
触診や血液検査、超音波検査などで判断した後、手術ができる状態であれば、異常箇所や腫瘍を手術で摘出してしまいます。
腫瘍組織と正常組織が判別しづらいため基本的に片側の副腎を腫瘍ごと摘出してしまうことが多いです。副腎は通常1個体に2つあるため、片方を取り去っても問題ありません。
・内科治療
酢酸リュープロレリンという成分の薬品を注射して、性腺刺激ホルモンの分泌を抑制します。フェレットにかかる負担も小さいですが、継続して治療を続けていくことが必要です。
このように、完治が見込める病気ではありますが、症状がいずれもフェレットの生死を左右するものばかりなので、注意しなければならない病気です。
◆インスリノーマ
インスリノーマとは、高齢のフェレットによく見られる、「フェレットの低血糖」と呼ばれる病気です。インスリンという血糖値を下げるホルモンが過剰分泌される疾患です。膵臓のβ細胞の過形成や腫瘍化が原因とされています。
血液検査を行い、血糖値が60mg/dl以下(正常時は100mg/dl前後)だとほぼ確定でインスリノーマと診断されます。
症状としては、
- 元気や食欲の消失
- ぼんやりとする
- 寝ていることが多くなる
- 動く時ふらふらしている
- 体が震える
- ご飯の時間でもないのによだれを垂らす
などの低血糖症がみられます。
悪化すると全身の痙攣や昏睡、不全麻痺や失明などの脳障害が引き起こされ、最終的に死に至ってしまう病気です。
フェレットのインスリノーマは4歳くらいから発症が多くなり、6〜7歳で最多になります。
インスリノーマの治療法にも外科治療と内科治療があります。
・外科治療
膵臓の腫瘍を摘出しインスリンの量を減らすことにより、インスリノーマの症状を軽くすることを目的とします。
インスリノーマは進行性の病気ですので、外科手術での根治は望めません。また、合併症を発症することがあります。
手術後の平均寿命は平均462日と言われています。
・内科治療
インスリノーマを完治させるというより、誘引される低血糖の症状を緩和させることを目的とした治療法です。血糖値を常に正常にする治療ではありません。
インスリノーマ完治させるのは難しく、生涯にわたる投薬が必要になります。
また、なるべく血中の糖を使用させないために、過ごしやすい室温を保つ温度管理や、活発な運動や興奮をさせないような管理が必要となってきます。
◆下痢・嘔吐
フェレットの特徴として好奇心が旺盛なため、ものをなんでも口にしてしまう習性があります。
特に弾力のあるゴムやスポンジのようなものが好みなのですが、体の小さいフェレットにとっては大きな異物になってしまいます。
胃や腸の中に異物が入ってしまうと、下痢や嘔吐を繰り返すようになり、やがて消化管が完全に詰まってしまうと、背中を丸めてひどく痛がってしまうようになります。
このような誤飲による下痢や嘔吐が1〜3歳の子どもフェレットに多くみられます。
以上、副腎疾患、インスリノーマ、下痢・嘔吐が、フェレットに多い病気TOP3です。フェレットの年齢によって、いろいろな病気になる危険があるのですね。
つまり、これらの病気を予防してあげることが長生きの秘訣になるワケです。
それでは最後に、フェレットを長生きさせる具体的な方法をお伝えします。
フェレットを長生きさせる方法
フェレットを長生きさせる方法、それは、
- 病気の予防と素器発見
- ストレスの低減
- 食生活
の三本柱でフェレットを支えることです。
今回解説した病気を予防することはもちろん、ストレスを減らして誤飲などの事故を防ぎ、食生活を健全なものにして野生のような動きを可能にすることで、健康的に寿命を伸ばし長生きさせることができるでしょう。
◆病気の予防と早期発見
インスリノーマや副腎疾患は、飼い主もフェレット自身も気づかないうちに発症・進行するものです。
早期発見するには、定期に獣医さんの元で検診を受けると良いでしょう。
その際に、日々の生活の中で違和感を感じたりする行動があれば、相談することもできます。
病気の早期発見に大きく貢献すると思いますので、ぜひ地域でエキゾチックアニマルの診療に力を入れている動物病院を探されてみてください。
◆ストレスの低減
フェレットはとにかく遊びたがりますから、四六時中ケージの中で暮らしているとストレスが溜まってしまいます。そのため、ケージの外で十分な運動をさせてあげることがストレス対策になります。
特にケージや部屋に狭い場所や安心して噛みついてもいいものなどがあればなお良いでしょう。部屋の中では遊ばせづらいという方は、フェレット用のハーネスやリードが市販されていますので、それらを活用して外へお散歩というのも良いかもしれません。
ただし、外でのお散歩ではノミ・マダニの心配もありますし、フェレットの致死率が高い感染症にかかってしまう可能性もあります。
お外に連れ出す場合は特に、ワクチンの接種とノミダニ予防を確実に行いましょう。
また、フェレットは寂しがりやなことでも知られています。
飼い主さんのことを家族同然に感じていますから、話しかけたり撫でてあげたり、よくコミュニケーションをとってあげましょう。
◆食生活
フェレットはもともと肉食性の動物なので、高タンパクな食事を心がけましょう。
市販のフェレット専用フードやおやつがおすすめです。初めてフェレットを飼う方や、どんなご飯を食べさせたらいいか迷うという方は、まずはこちらをメインで食べさせると良いでしょう。
また、たまにはご馳走をということで、スーパーなどで販売されているお肉を与えたくなるかもしれませんが、人間向けの肉はフェレットにとって脂肪分が高すぎます。もしあげるのであれば鳥のささみや鹿肉など、脂肪分が低いお肉をたまに与えると良いかと思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はフェレットの寿命や長生きする方法についてご紹介しました。
フェレットには4歳くらいから発症しやすい疾患がいくつかありますから、それを予防するため日々の生活習慣を良くしてあげることが寿命を長くする秘訣です。
この他にもわんぱくな気質など気をつけなければいけないことも多いですが、それでも可愛さ余るのがフェレット。
小動物の中では比較的寿命が長い生き物ですから、長い時間愛情をかけて幸せなフェレットライフを送りましょう。
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